魔人戦界ラージャーラ

幾橋テツミ

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第一章 地上から来た教軍超兵

ティリールカの守護神⑥

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 ドーム球場800個分に相当する超巨大地下空間に構築されたティリールカ愛華領において、蒼穹の役割を果たす大天蓋の実に100カ所以上に分散して埋め込まれ、淡いクリーム色のを輝かせる人工太陽にあまねく照らし出された下界──そのほぼ中心部に位置する該教界の頭脳にして心臓部というべき【教令部】の65階建ての白亜の円筒形ビル27自室に戻ったメテウ=ウェーゼンは、深夜の出立に備えて仮眠を取るつもりであったが、その前にが控えていた。

 何しろ1年の半ば以上を故郷の外で過ごしているとあって落ち着いた色調の藍色のカーペットが敷かれた10畳ほどの寝室内には簡素な青色の寝台以外殆どモノが存在せず殺風景そのものだが、それゆえにの異様さが余計に際立っていた。

「……」

 就寝前に湯浴みするつもりであるのか、まず金属的な光沢を放つブルーのベルトを外したメテウは、流れるように青い衣類の上下も脱ぎ捨てて無造作に藍色の毛布?が掛けられた寝台に放り投げる。

 かくて露わになったのは、無駄な脂肪が一切排除された輝かしい青年神の裸体であり、今や唯一の装身具は細い紐が彫刻的な臀部に食い込む濃紺のメンズTバック?のみである。

 そして、その前面は柔らかな布地を突き破らんばかりに隆起していた……!

 されど何より意外なのは、これまで誰しもが尻込みする危険地帯ばかりを行脚してきた彼の肉体に、古傷らしいものが殆ど見受けられぬことであった──もしこれが怠慢の証でなかったとしたならば、この特殊情報研究員はラージャーラでもトップクラスのおそるべき戦士なのかもしれぬ……。

「──おいで、ミュコス」

 一瞥と共に投げかけられた一言によって謎の人造人間がゆっくりと立ち上がり、〈主人〉に向かってしずしずと歩み寄る。

 身長は150センチほどであろうか、ふっくらとしたボディには何の装飾も施されてはいないが両手だけは妙にリアルに仕上げられており、そこだけ切り取れば白粉おしろいを塗りたくった生身の人間のそれと見分けがつかぬほどである……。

 3メートルほど先の部屋の中央で仁王立ちする美青年の手前まで接近したそいつは静かに両膝を折って跪くと、恭しく両手をメテウの腰に伸ばした。

「……」

 かくてエロティックな下着がゆっくりとずり下げられ、美しい若者はあくまでも優雅な身ごなしで両足を抜くと、身を屈めて拾い上げたそれをベッドに放り投げるのだった。

10……」

 俯き、些か自嘲気味に呟きながら人造人間の頭部を愛おしげに撫で回すメテウ=ウェーゼンの表情は光度を絞られた青い照明のせいもあって判然とせぬが、屹立する肉柱がのっぺらぼうの顔面に突如開いた空洞に吸い込まれ、上半身が弓なりにのけ反ったことで明らかとなった。

 快感と苦痛が綯い交ぜとなった、文字通りの悩ましき心持──それは細かく震える青い唇から漏れ出す艶かしい呻きと喘ぎによって更に強調される。

 くちゅっ、じゅぱっ、くちゅっ…

 ずずっ…ちゅぱっ…じゅじゅっ…

 ──もちろん生身の人間による口腔性交フェラチオの際の淫猥な顔面筋肉の動きはないものの、利用者が享受する快感は何ら劣る部分がないばかりかむしろメテウのはげしい反応からはこの人造人間の口内には生身の、そして手練の奉仕者の技巧をも凌駕した体験を約束する何らかの特殊な仕掛けギミックが仕込まれているのではないかと疑わせた。

 だが当然ながら、激しく喘ぎながら身をよじらせる美青年の脳裡を占めているのは無機的な人造人間への愛情などではない。

「あっ、ああ……愛しいラユナ……!

 果たして私たちは幾つの試練を乗り越えれば結ばれることが許されるというのか……!

 この2年間というもの、私は天響神に誓って誰よりも愛華領のために躰を……いや命を張ってきた……あっ、はあぁッ…。

 そ、そうともッ……それこそラージャーラ全界を駆け巡って神牙教軍の侵攻情報を収集し、それに基づいた防衛計画を立案し…くぅッ!……自前の武力を有さぬのために指折りの傭兵集団や独立系の軍事組織と命懸けの交渉をまとめてきたのだぞッ!…アッ…ンンッ!!

 ミュ…ミュコスよ、そんなに急がなくてもいい……もっと蠕動を緩めて…純度の高い子種を残すため、20日もの禁欲を守った私をそんなに早くイカさないで……あはあッ!

 よ、よし、それでいい……フィニッシュをいつにするかはあくまでも私が決める……その時はちゃんと指示を出してやるからな……はうッ!

 ──く、口で言うのは簡単だが、これがどれだけ心魂をすり減らす難事業であったことかッ!

 考えてもみるがいいッ……そもそもが調相手に和気藹々と打ち合わせるのとはワケが違うのだぞッ!!

 し、しかしあの冷酷非道なシーオめは、この輝かしい功績にも飽き足らず絶対に実現不可能な無理難題を突き付けてきた──あろうことか、ラージャーラの古代伝説でも最大の謎とされる【四毒神獣しどくしんじゅう】を発見し、ティリールカの防衛兵器に仕立て上げよなどとッ!!

 おっ、おのれッ!これはもはや私を亡き者とし、!!

 だからこそ私は最初のミッションに旅立つ前に彼女と固く誓約し合ったのだ──もし我が身に何が起ころうとも、遺した子種によってこのメテウ=ウェーゼンの命の炎を久遠に保ち続けるとッ!

 さあミュコスッ、時は来たッ!

 ご主人様をイカせろおおおおッッ!!

 ──はあああああああッッッ!!!」

 

 



 

 
 

 

 

 

 
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