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第三章 凶幻獣戦域の覇者
【空の破壊神】を撃て!③
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ザヌザの方でも戦闘機群が眼球砲門破壊に専念していることを感知したらしく、序盤は断続的であった怪光線発射はもはや乱射の域に達しており、16機出動していたガートスのうち、既に7機が撃墜されていたのである。
されど不幸にもコクピットを射出した刹那に光線の直撃を食らった一名を除いて、航空戦隊員は無事脱出に成功していた。
「ふははははッ!
ザヌザの目玉を数個潰しただけで神霊薬花園に墜落・炎上させたとあっては、結局のところ愛華領破壊に加担しただけではないかッ!
しかも神牙教軍にとってティリールカ愛華領とはこの薬花園を意味するのであって、教民どもが逼塞する地下要塞など副次的存在にすぎんのだッ!
それであるからして、ここさえ焦土と化してしまえば既に旧愛華領は亡んだも同然……残存物に等しい閉ざされた地下世界など突き崩す手段は星の数ほどもあるわッ!!
──むッ、あの深紅の機体はレイモンド・スペンサーだなッ!?」
まさしく、スペンサーがメインパイロットを務めるCBK機と坂巻雪英が操縦桿を握る星拳鬼會機が真打登場とばかり、阿修羅のごとく戦線に乱入してきたのである!
「ユキヒデッ、今更言うまでもないがターゲットは目玉オンリーだッ!
だが油断するなよッ、敵は刃獣のみではないかもしれないぞッ!!」
「了解ですッ!Mr.スペンサーッ!!」
CBK総帥による意味深な呼びかけが何を意味するかは明白であったが、指令室に陣取るゼドやガーギルに聴かれているのを承知の上でのこの発言は、スペンサーがミッション終了後に当該教界を敢然と去ることを意味していた──一方の坂巻雪英も追従したい思いはやまやまであったものの、当然ながら所属チームの御意見番である玉朧拳師の意向を尊重せざるを得ぬ立場である我が身がこの上なくもどかしかった。
「──ほほう、どうやらあの連中は畏れ多くも愛華領に事実上の宣戦布告を行った模様ですな……ま、もとよりその内奥にいかなる邪念を燃やしているものか判然とせぬ異世界人どもの集まりですから、この心情告白によってむしろ分かりやすくなったと見るべきでしょうかね……!」
不敵な笑みと共に言い放たれたチェイズ闘士団行動隊長の暴言に荒々しく頷きながら次期教率者も呼応する。
「むしろ望むところだ──怪物の眼球が全て潰れたその瞬間に我が教界からの強制退去を命じてくれるッ!
もとより精神医療は専門ではないが、私見ではあの度し難い反抗的精神はもはや矯正不可能であり、いずれ彼奴は聖団を統べるネフメルス氏にも牙を剥くのではないかな?」
「全く同感です──そして最終的にはラージャーラに身の置き所を失い、旧敵たる神牙教軍への加入を鏡の教聖に直訴するのではないかと……!」
「うむ、大いにあり得るな」
当然自分たちの会話がスペンサーに聴かれていないことを前提の言いたい放題であったが、デルタスライダーのハイパー傍受システムによって、錬装者たちはその全ての文言を直接聴取しているかのような臨場感で脳裡に刻み付けていたのである。
「フフフ、言ってくれるぜ……。
されど他人に言及する前に、オマエさんの秘密組織が掲げる野望の方が罪無き教民たちにはよほど脅威なのではないかと自問してもらいたいものだがね……!」
ほとんど囁き声ながら声に出したのは、聖団内では聖人視する者も少なくないほど人格者で通っている彼ですらも、この両人──正確にはゼド=メギンが剥き出しにする露骨な敵対感情に対し、ついに堪忍袋の緒を切ったということなのであろう……。
しかし幸いにも?この呟きが彼らの耳にキャッチされることはなかった──何故ならば、空の大怪物が思わぬ挙動を示したからだ!
「うおおッ、や、奴め、垂直に身を起こしたぞッ!!」
「そっ、そうかッ!
めぼしい砲門をほとんど潰された今、これまでの水平姿勢ではもはや戦闘機群を攻撃できぬと判断して……だ、だがこれで万能戦闘艦は一気に狙いを付けやすくなりましたなッ!!」
「うむッ、そのとおりだッ!
しかも主砲はより柔弱であろう腹側に炸裂させるべきであるから、背中を向ける前に決着をつけねばならぬ──ウォベル戦隊長、そしてアルスェ博士、頼みましたぞッッ!!」
片やザヌザの内部では、“地極将”樊尨が円形シートに背中を押し付けられながら悲壮な雄叫びを上げていた。
「愚か者どもッ、たかが砲門を幾つか潰した程度で勝ったつもりになるなよ──ここからがザヌザの本領発揮だッ!
教軍最大の飛翔系刃獣による〈全方位光撃〉の恐ろしさ、身をもって味わうがいいッッ!!」
不肖の弟子ほどこれ見よがしではないものの、渋い藍色の体表面には赤・橙・黄・紫といった妖光が明滅し始め、幽巴兄弟亡き後“最強教軍超兵”の称号を恣にする樊尨の闘志が最高潮に達したことが示される。
「撃てえええええェッッ!!!」
あたかも超巨大な独楽のごとく信じられぬほど高速回転しながら放たれた百本以上の死の破壊光線──予め警戒していた2機のデルタスライダーは辛うじて直撃を免れたものの、何と闘士団側はウォベルのみを残して全滅してしまったのである!
されど不幸にもコクピットを射出した刹那に光線の直撃を食らった一名を除いて、航空戦隊員は無事脱出に成功していた。
「ふははははッ!
ザヌザの目玉を数個潰しただけで神霊薬花園に墜落・炎上させたとあっては、結局のところ愛華領破壊に加担しただけではないかッ!
しかも神牙教軍にとってティリールカ愛華領とはこの薬花園を意味するのであって、教民どもが逼塞する地下要塞など副次的存在にすぎんのだッ!
それであるからして、ここさえ焦土と化してしまえば既に旧愛華領は亡んだも同然……残存物に等しい閉ざされた地下世界など突き崩す手段は星の数ほどもあるわッ!!
──むッ、あの深紅の機体はレイモンド・スペンサーだなッ!?」
まさしく、スペンサーがメインパイロットを務めるCBK機と坂巻雪英が操縦桿を握る星拳鬼會機が真打登場とばかり、阿修羅のごとく戦線に乱入してきたのである!
「ユキヒデッ、今更言うまでもないがターゲットは目玉オンリーだッ!
だが油断するなよッ、敵は刃獣のみではないかもしれないぞッ!!」
「了解ですッ!Mr.スペンサーッ!!」
CBK総帥による意味深な呼びかけが何を意味するかは明白であったが、指令室に陣取るゼドやガーギルに聴かれているのを承知の上でのこの発言は、スペンサーがミッション終了後に当該教界を敢然と去ることを意味していた──一方の坂巻雪英も追従したい思いはやまやまであったものの、当然ながら所属チームの御意見番である玉朧拳師の意向を尊重せざるを得ぬ立場である我が身がこの上なくもどかしかった。
「──ほほう、どうやらあの連中は畏れ多くも愛華領に事実上の宣戦布告を行った模様ですな……ま、もとよりその内奥にいかなる邪念を燃やしているものか判然とせぬ異世界人どもの集まりですから、この心情告白によってむしろ分かりやすくなったと見るべきでしょうかね……!」
不敵な笑みと共に言い放たれたチェイズ闘士団行動隊長の暴言に荒々しく頷きながら次期教率者も呼応する。
「むしろ望むところだ──怪物の眼球が全て潰れたその瞬間に我が教界からの強制退去を命じてくれるッ!
もとより精神医療は専門ではないが、私見ではあの度し難い反抗的精神はもはや矯正不可能であり、いずれ彼奴は聖団を統べるネフメルス氏にも牙を剥くのではないかな?」
「全く同感です──そして最終的にはラージャーラに身の置き所を失い、旧敵たる神牙教軍への加入を鏡の教聖に直訴するのではないかと……!」
「うむ、大いにあり得るな」
当然自分たちの会話がスペンサーに聴かれていないことを前提の言いたい放題であったが、デルタスライダーのハイパー傍受システムによって、錬装者たちはその全ての文言を直接聴取しているかのような臨場感で脳裡に刻み付けていたのである。
「フフフ、言ってくれるぜ……。
されど他人に言及する前に、オマエさんの秘密組織が掲げる野望の方が罪無き教民たちにはよほど脅威なのではないかと自問してもらいたいものだがね……!」
ほとんど囁き声ながら声に出したのは、聖団内では聖人視する者も少なくないほど人格者で通っている彼ですらも、この両人──正確にはゼド=メギンが剥き出しにする露骨な敵対感情に対し、ついに堪忍袋の緒を切ったということなのであろう……。
しかし幸いにも?この呟きが彼らの耳にキャッチされることはなかった──何故ならば、空の大怪物が思わぬ挙動を示したからだ!
「うおおッ、や、奴め、垂直に身を起こしたぞッ!!」
「そっ、そうかッ!
めぼしい砲門をほとんど潰された今、これまでの水平姿勢ではもはや戦闘機群を攻撃できぬと判断して……だ、だがこれで万能戦闘艦は一気に狙いを付けやすくなりましたなッ!!」
「うむッ、そのとおりだッ!
しかも主砲はより柔弱であろう腹側に炸裂させるべきであるから、背中を向ける前に決着をつけねばならぬ──ウォベル戦隊長、そしてアルスェ博士、頼みましたぞッッ!!」
片やザヌザの内部では、“地極将”樊尨が円形シートに背中を押し付けられながら悲壮な雄叫びを上げていた。
「愚か者どもッ、たかが砲門を幾つか潰した程度で勝ったつもりになるなよ──ここからがザヌザの本領発揮だッ!
教軍最大の飛翔系刃獣による〈全方位光撃〉の恐ろしさ、身をもって味わうがいいッッ!!」
不肖の弟子ほどこれ見よがしではないものの、渋い藍色の体表面には赤・橙・黄・紫といった妖光が明滅し始め、幽巴兄弟亡き後“最強教軍超兵”の称号を恣にする樊尨の闘志が最高潮に達したことが示される。
「撃てえええええェッッ!!!」
あたかも超巨大な独楽のごとく信じられぬほど高速回転しながら放たれた百本以上の死の破壊光線──予め警戒していた2機のデルタスライダーは辛うじて直撃を免れたものの、何と闘士団側はウォベルのみを残して全滅してしまったのである!
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