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第三章 凶幻獣戦域の覇者
【空の破壊神】を撃て!④
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15体ほど生き残っていた仔ザヌザどもはさすがに本体の一部分だけあり光の地獄をかい潜ってしぶとく生き延びており、もはや3機のみとなった愛華領側戦闘機にはどう転んでも勝ち目はなかった。
「な、何ということだ……!
ま、まさかあの鈍重な大怪物があのような離れ業をやってのけるとは……!
こ、これで我が教界の最後の切り札である万能戦闘艦の主砲に繋げるための布石の担い手が消えてしまった……!!
い、一体どうすればいいのか……かくなる上は、一か八かの賭けにはなるが、やはり戦闘艦を出すしかないか……」
ゼド=メギンが悲痛な呟きを吐き出す傍らで歯ぎしりしていた傭兵集団の長は、必死に抑制した声色で奇跡的に生き残った弟分を呼び出す。
「──ウォベルか?
うむ、全く危ないところだったな……ともあれ君に天響神の加護があってよかった、これも日頃の信心と鍛錬の賜物だろう。
ところで、ハギムラ操獣師が指南役として出陣した新人が駆る絆獣の姿が見えないのは何故だ?
うむ、うむ……(険しい表情となり) な、何だって、新型聖幻晶が早くも故障して交信不能だとォッ!?」
この悲報に気色ばんだゼドが手の中の銀棒のボタンをもどかしげな手つきで幾つか叩いて耳に当てるが、その口元は固く結ばれたままで言葉を発することができぬ。
「マユカが私の呼びかけに応えない……ま、まさか新旧聖幻晶が同時に使用不能となることなどあり得るのかッ!?
そ、そもそもリサラに与えたモノは極智の眼がエグメドの神託を受けて総力を結集して創造し、昨日彼女と数十回に及ぶテスト通信を重ねており、不具合など一切発生しなかったはずだッ!
(航空戦隊長の真悠花との通信内容をガーギルから伝えられ)
そ、それならそれで、あの娘は一体どこに行ったのだッ!?
た、たとえ聖幻晶無しとはいえ、天下の特級操獣師が全面サポートしているのであるから戦場に姿を現すことくらいはできるだろうがッッ!?」
もはや虚飾が完全に剥がれ落ちてしまった雇い主にヴァイザー越しとはいえさっきまでとは打って変わった冷ややかな視線を注ぎながら、態度には微塵も滲ませずに闘士団行動隊長が操作盤に歩み寄ってヴェセアムに貼り付けていた2体のピジェスから送信される映像を大スクリーンに投射しようとしたのであるが、そこには漆黒の空洞のみがあった!
「ま、まさかピジェスさえも機能不全に陥ったのかッ!?
と、いうことは……天翔魔鱏を取り巻く全てが、教軍の標的となってしまったということ──も、もしや絆獣の体内へ教軍超兵に踏み込まれてしまっているのかもしれぬではないか……だ、だからこそ私はあれほどリサラに専用絆獣での出撃を促したのにッ……!!」
全身を震わせながら悲憤慷慨するゼドの言葉に頬をピクリとさせたガーギルは、半ば本気で期待しつつ破天荒な提案を口にした。
「──そうかッ!
まだ我々には麗翼光鵬と魔空夜叉という“二大最強絆獣”が残されていましたねッ!!
残念ながらいずれも正規の特級操獣師を欠いてしまってはおりますが、まだ我が陣営には十数人の現役操獣師が健在のはず──たとえ一人では不可能でも、複数名を搭乗させれば相乗効果でそれなりの働きは可能なのではッ!?」
かつてりさらから操獣の困難さを言葉を尽くして教示されていながらも、もはや藁をも掴む心境の次期教率者は早速、既に催眠ガスから覚醒しているはずの絆獣聖団発足以来の大事件の首謀者たちを監視するナースセンターに連絡を入れる。
されど、ここでもまた彼は期待を裏切られる仕儀となった。
先方はたしかに交信に応じた──されどその声は彼が初めて耳にする邪悪な響きを帯びていたのである!
「ひっひひひ……ええ、ちゃ~んと聴こえておりますよ、デメキン……じゃなかったゼド=メギン様。
(湧き起こった爆笑によってかなりの人数が一室に集合しているのが分かる)
──ところで何のご用?
とにかくウチら寝起きでモーレツにハラが減ってるんで、ハナシがあるんならとりあえずあのシケた食堂でオナカを膨らませてからにしてもらいたいんッスけどねェ……。
──うわッ、ウルセッ!
何だその態度はですってェ……ハッ!
アンタ、殺戮姫殺しのアタシにそんな憎まれ口叩くなんていい度胸してんじゃん……ちょっとみんな、何か言ってやんなッ!
(“ザケンなッ!”、“ブッ殺せッ!”という怒号がデバイス越しに生々しく届き、ショックのあまりグラリとよろめいた次期教率者は傭兵指揮官に渋々支えられるのであった)
ギャッハハハハハッ、効いてる効いてるッ!!
オイ、ちっとばかり見てくれがチャレえだけの七光り小僧よ、耳の穴かっぽじってよ~く聞きな。
アタシたちゃあなぁ、もう絆獣聖団員でも何でもねえ、光り輝く神牙教軍の誇り高き戦士なんだよッ!
(割れるような拍手と下卑た歓声、そして複数の口笛)
したがってドグサレ古巣とズブズブの勘違い野郎の言うことなんざ一切従うつもりはねえってことを宣言させてもらうぜ──はァ?医門機を差し向けてボコボコにしてやるだとォ……上等じゃねえか、あんなガラクタポンコツ、何十体寄越そうが残らずスクラップにしてやらあッッ!!!」
コンソール上に組んだ両足を投げ出してシートにふんぞり返る、点々と血痕が残る狐色のジャンプスーツに、真悠花よりも更に数センチ低い痩身短躯を包んだおかっぱ頭──竹澤夏月惨殺の実行犯である冷血操獣師の頭上の白い天井に張り付いたテニスボール大の山吹色の目玉が6個、毒々しい復讐の燐光を脈動させつつ凝然と見下ろしていたのである!
「な、何ということだ……!
ま、まさかあの鈍重な大怪物があのような離れ業をやってのけるとは……!
こ、これで我が教界の最後の切り札である万能戦闘艦の主砲に繋げるための布石の担い手が消えてしまった……!!
い、一体どうすればいいのか……かくなる上は、一か八かの賭けにはなるが、やはり戦闘艦を出すしかないか……」
ゼド=メギンが悲痛な呟きを吐き出す傍らで歯ぎしりしていた傭兵集団の長は、必死に抑制した声色で奇跡的に生き残った弟分を呼び出す。
「──ウォベルか?
うむ、全く危ないところだったな……ともあれ君に天響神の加護があってよかった、これも日頃の信心と鍛錬の賜物だろう。
ところで、ハギムラ操獣師が指南役として出陣した新人が駆る絆獣の姿が見えないのは何故だ?
うむ、うむ……(険しい表情となり) な、何だって、新型聖幻晶が早くも故障して交信不能だとォッ!?」
この悲報に気色ばんだゼドが手の中の銀棒のボタンをもどかしげな手つきで幾つか叩いて耳に当てるが、その口元は固く結ばれたままで言葉を発することができぬ。
「マユカが私の呼びかけに応えない……ま、まさか新旧聖幻晶が同時に使用不能となることなどあり得るのかッ!?
そ、そもそもリサラに与えたモノは極智の眼がエグメドの神託を受けて総力を結集して創造し、昨日彼女と数十回に及ぶテスト通信を重ねており、不具合など一切発生しなかったはずだッ!
(航空戦隊長の真悠花との通信内容をガーギルから伝えられ)
そ、それならそれで、あの娘は一体どこに行ったのだッ!?
た、たとえ聖幻晶無しとはいえ、天下の特級操獣師が全面サポートしているのであるから戦場に姿を現すことくらいはできるだろうがッッ!?」
もはや虚飾が完全に剥がれ落ちてしまった雇い主にヴァイザー越しとはいえさっきまでとは打って変わった冷ややかな視線を注ぎながら、態度には微塵も滲ませずに闘士団行動隊長が操作盤に歩み寄ってヴェセアムに貼り付けていた2体のピジェスから送信される映像を大スクリーンに投射しようとしたのであるが、そこには漆黒の空洞のみがあった!
「ま、まさかピジェスさえも機能不全に陥ったのかッ!?
と、いうことは……天翔魔鱏を取り巻く全てが、教軍の標的となってしまったということ──も、もしや絆獣の体内へ教軍超兵に踏み込まれてしまっているのかもしれぬではないか……だ、だからこそ私はあれほどリサラに専用絆獣での出撃を促したのにッ……!!」
全身を震わせながら悲憤慷慨するゼドの言葉に頬をピクリとさせたガーギルは、半ば本気で期待しつつ破天荒な提案を口にした。
「──そうかッ!
まだ我々には麗翼光鵬と魔空夜叉という“二大最強絆獣”が残されていましたねッ!!
残念ながらいずれも正規の特級操獣師を欠いてしまってはおりますが、まだ我が陣営には十数人の現役操獣師が健在のはず──たとえ一人では不可能でも、複数名を搭乗させれば相乗効果でそれなりの働きは可能なのではッ!?」
かつてりさらから操獣の困難さを言葉を尽くして教示されていながらも、もはや藁をも掴む心境の次期教率者は早速、既に催眠ガスから覚醒しているはずの絆獣聖団発足以来の大事件の首謀者たちを監視するナースセンターに連絡を入れる。
されど、ここでもまた彼は期待を裏切られる仕儀となった。
先方はたしかに交信に応じた──されどその声は彼が初めて耳にする邪悪な響きを帯びていたのである!
「ひっひひひ……ええ、ちゃ~んと聴こえておりますよ、デメキン……じゃなかったゼド=メギン様。
(湧き起こった爆笑によってかなりの人数が一室に集合しているのが分かる)
──ところで何のご用?
とにかくウチら寝起きでモーレツにハラが減ってるんで、ハナシがあるんならとりあえずあのシケた食堂でオナカを膨らませてからにしてもらいたいんッスけどねェ……。
──うわッ、ウルセッ!
何だその態度はですってェ……ハッ!
アンタ、殺戮姫殺しのアタシにそんな憎まれ口叩くなんていい度胸してんじゃん……ちょっとみんな、何か言ってやんなッ!
(“ザケンなッ!”、“ブッ殺せッ!”という怒号がデバイス越しに生々しく届き、ショックのあまりグラリとよろめいた次期教率者は傭兵指揮官に渋々支えられるのであった)
ギャッハハハハハッ、効いてる効いてるッ!!
オイ、ちっとばかり見てくれがチャレえだけの七光り小僧よ、耳の穴かっぽじってよ~く聞きな。
アタシたちゃあなぁ、もう絆獣聖団員でも何でもねえ、光り輝く神牙教軍の誇り高き戦士なんだよッ!
(割れるような拍手と下卑た歓声、そして複数の口笛)
したがってドグサレ古巣とズブズブの勘違い野郎の言うことなんざ一切従うつもりはねえってことを宣言させてもらうぜ──はァ?医門機を差し向けてボコボコにしてやるだとォ……上等じゃねえか、あんなガラクタポンコツ、何十体寄越そうが残らずスクラップにしてやらあッッ!!!」
コンソール上に組んだ両足を投げ出してシートにふんぞり返る、点々と血痕が残る狐色のジャンプスーツに、真悠花よりも更に数センチ低い痩身短躯を包んだおかっぱ頭──竹澤夏月惨殺の実行犯である冷血操獣師の頭上の白い天井に張り付いたテニスボール大の山吹色の目玉が6個、毒々しい復讐の燐光を脈動させつつ凝然と見下ろしていたのである!
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