ジャン いきあたりばったり

リリーブルー

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美少年は愛人

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 ジャンは、十七歳で四十五歳の男の愛人になった。

   男は日本人でケイといった。ジャンはケイの、パリのアパートに囲われていた。

 ジャンは、十六のときに母の男から逃げ出してのち、しばらく友達の家や路上を転々とした。
   路上で親しくなった少年から、いいカモの見つけ方を教わって、ナンパしては、ご飯をおごってもらった。

   仲間から、ケイを紹介され、ジャンはケイと愛人契約を結んだが、ケイは留守がちだった。
 さびしさにジャンがケイをなじると、コンサート・ツアーで世界中をまわっているのだ、とケイは答えた。ケイには、ほかに恋人がいるようだった。これではまるで、ジャンが嫉妬しているみたいだ。
 ジャンは、恋なんかしていなかった。
   ただ住むところがあるのは、ないよりずっとまし、というだけだ。
   ケイは、ジャンが友達を連れこむのは許さなかったので、ジャンは部屋でいつも一人だった。
 ジャンは、ケイがいつ帰ってくるかわからないので、たいてい部屋にいた。部屋にいて、ケイ所有のCDを片っ端から聞いたり、楽器をいじったりした。それに飽きると机の引き出しを開けて、手紙の束をあさって読んだり、写真を盗み見したりした。
 あからさまな情事を綴った手紙や、ケイの恋人らしき男のヌード写真が出てきた時には、どきどきした。
   ジャンは時々、暇つぶしに仲間と会ってキスしたり、ハントした相手とデートもした。
 でも、ケイに義理だてして、泊まったりホテルに行くことはなかった。ゲイ・クラブの暗がりでディープキスしながらまさぐり合う程度が冒険だった。
 
 今夜は、まさにそんな夜だった。サイケデリックな音楽のかかる暗い店内で、ジャンは少し年上の青年とキスしていた。
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