イケメン教師陵辱調教

リリーブルー

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第三十章 オデトと麓戸の姉

9 廊下での遭遇

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 蘭子の部屋を後にした愛出人は、興奮と罪悪感が混じる胸のざわめきを抑えきれず、ホテルの廊下をエレベーターに向かって歩いていた。蘭子の香水の香りがまだ服に残り、彼女の甘い声、誘惑的な行為――口移し、胸元を舐めた感触、恍惚とした表情での放尿――が脳裏を離れない。愛出人の身体は熱く、心は麓戸の笑顔と蘭子の提案の間で揺れ動いていた。「私なら、愛出人くんの子どもを産めるわ」。その言葉が、愛出人の夢をあまりにも鮮やかに描き出し、罪悪感をさらに深める。
 すると、廊下の向こうから聞き覚えのある声が響いてきた。パーティで蘭子に絡んだ、あの「昔の男」の声だ。愛出人の背筋がゾッとする。まずい。そう思った瞬間、男は若い女性を連れて、酔った様子でふらりと現れた。愛出人を認めると、ニヤリと笑いながら近づいてきた。
「あれ? どうしたの? 蘭子といっしょじゃないの? 帰るの?」
 男の声は下卑た響きを帯び、愛出人に不快の念を抱かせた。
「はい、帰るところです。失礼します」
 愛出人は視線を落とし、足早に通り過ぎようとした。だが、男は愛出人の腕を掴み、引き止めた。
「え、もう終わったの? きみ、早いねえ? そんなんで満足させられたの?」
 男の言葉に、連れの女性が「いやあだ」とくすくす笑う。愛出人の頬が熱くなり、羞恥と怒りが混じる。男はさらに続ける。
「それともこれから次のお仕事? ハルトくんと?」
 あまりの侮辱に怒りと羞恥で声も出ない。
「イケメンだろ? きみはこういう男どう思う?」
 男が愛出人の腕を引っ張って女性に示しながら聞く。女性は酔っているのか、クスクス笑っている。物のように扱われて愛出人は不快感を禁じ得なかった。
「ちょっと君も部屋でいっしょに飲もうよ。少しでいいからさ」
 愛出人が引き込まれそうになった部屋は、なんと、蘭子の部屋の隣だった。隣。神崎の奥さんとしているところを神崎校長や麓戸に隣室から覗かれたことを思い出した。この部屋はコネクティングドアで隣と繋がっている。もちろん鍵はかかっているが、その部分は壁が薄い。お互いの行為の声が隣に聞こえるかもしれない。さっきのは聞かれなかったけれど、これから戻って蘭子さんと行為をしたら、この二人に聞かれるかもしれない。
 だが、今はそんな興奮よりも、恐怖と嫌悪が勝っていた。
「いや、困ります。僕は……」
「いいじゃない。三人で、な? 君、こういうの、慣れてるんだろ?」
「慣れてないです! やめてください!」
 愛出人が必死に抵抗すると、隣の部屋のドアが開き、蘭子が現れた。深紅のドレスは水で濡れた跡が残り、彼女の目は鋭く光っている。
「どうしたの、騒がしい」
 蘭子の声は冷たく、威厳を帯びていた。男はニヤリと笑い、蘭子に絡むように言った。
「おや、蘭子、奇遇だね。隣の部屋? いっしょに飲まない?」
「お断りよ」
 蘭子の声は鋭く、男の笑みを切り裂くようだった。だが、男はひるまず、愛出人の腕をさらに強く引いた。
「だってさ。じゃあ、遠慮なくオデトくんはもらったよ。俺らと三人で飲もうか」
「やめなさい」
 蘭子の声が響き、彼女は愛出人の前に立ちはだかった。愛出人はその瞬間、男の手を振り切り、蘭子の部屋に逃げ込んだ。蘭子が素早くドアを閉め、男の声が遠ざかる。部屋の中は静かで、蘭子の香水の香りが再び愛出人を包み込んだ。

   ◆

部屋の中、揺れる心

 愛出人はベッドの端に座り、震える手で額を押さえた。廊下での男の言葉、卑猥な笑み、蘭子の保護的な行動――すべてが、愛出人の心を乱していた。蘭子はドアに鍵をかけ、愛出人の隣に腰を下ろした。彼女のドレスはまだ濡れた跡が残り、胸元がほのかに透けている。愛出人の目は一瞬、吸い寄せられるが、すぐに視線を逸らした。
「ごめんなさい、オデトくん。あんな男に絡まれるなんて、嫌な思いをしたわね」
 蘭子の声は柔らかく、しかし悔しげだった。彼女の手が、愛出人の肩にそっと触れる。その感触に、愛出人の心臓が再び跳ねる。
「いえ、蘭子さんが助けてくれて……ありがとうございます」
 愛出人は震える声で、感謝した。蘭子は微笑み、愛出人の手を握った。
「あなたは私の自慢よ。あんな男に渡すわけにはいかないわ」
 その言葉に、愛出人の胸が熱くなる。蘭子の目は、愛出人の心の奥を見透かすようだった。彼女はそっと身を寄せ、耳元で囁いた。
「ねえ、オデトくん。私は、あなたにどんな過去があろうとも、かまわないわ。何かに怯えて震えている、そんなあなたも好きよ。私はあなたが欲しいの。私があなたの子どもを産んで、あなたと幸せな家庭を築く――あなたの夢、いっしょに叶えられるわよ」
 蘭子の言葉は、愛出人の夢をあまりにも鮮やかに描き出す。愛出人の願いが、蘭子の存在によって現実味を帯びてくる。愛出人は目を閉じ、蘭子の手をそっと握り返した。
「蘭子さん、僕……まだ、考えさせてください」
 蘭子は一瞬、目を細めたが、すぐに微笑んだ。
「いいわ。私のドアは、いつでも開いてるから」
 愛出人は立ち上がり、部屋を後にした。だが、蘭子の香水の香り、彼女の保護的な行動、誘惑的な言葉が、愛出人の心に深く刻まれ後ろ髪をひかれる思いだった。廊下に出ると、愛出人はエレベーターに乗り込み、胸の鼓動を抑えながら、麓戸の顔を思い浮べた。だが、その顔は、蘭子の顔と重なっていった。
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