イケメン教師陵辱調教

リリーブルー

文字の大きさ
352 / 475
第二十一章 麓戸の追憶(麓戸視点) 

麓戸と池井 7

しおりを挟む
 神崎は、唖然としたような顔をした後、慌てたように言葉を継いだ。
「麓戸君、それは誤解だよ。彼とはそんな」
麓戸は神崎の言い訳をさえぎった。
「隠しても無駄です」
麓戸の言葉に、神崎は「見られていたのか」というような苦い顔をした。
「別にいいですよ。俺も校内でセックスしまくってますし」
麓戸は教師を前にそう言って嘯いて見せた。
神崎の弱味を握り優位な立場に立てた余裕がそうさせた。
 神崎は麓戸の片手を取り両手でその手を包むように握りこんで言った。
「池井君をよろしく頼む」
低い声で力強くそう言ったあと、池井に背を向けるようにして麓戸の耳に口を近づけて小さく、
「私も困っていたんだ」
と囁いた。
 神崎は麓戸を仲間と認めたような近しさをことさらに示しているように麓戸には思えた。麓戸は、神崎の擦り寄りをはねつけて言った。
「邪魔になったから、俺に押し付けるんですね」
困っていただなんて、自分がそうさせたのに。池井がかわいそうだった。
「そういうわけじゃない。もともとそんなつもりじゃなかったんだ」
神崎は言った。
 そうかもしれない。神崎は悪くないのかもしれない。本当に最初は善意から池井を助けかばっていたのだろう。そんな風にも思えた。
 自分が神崎を憎んでいるのは、好きな後輩を取られたからだ。
 だけど、だからって池井とあんな行為。それも、ただの愛情ある行為じゃない。サディスティックでマニアックなあんな行為。
 酷いじゃないか。俺は我慢してるのに。
 第一、神崎は教師だ。しかも結婚するだって? 池井を一生大切にするわけじゃないなら手を出すなよ。求められても拒めよ!
 悲しくて涙が出そうだった。
 未成年に手を出してんなよ! しかも教え子に! ふざけんな!
 麓戸は心の中で泣いていた。
 辞めろよ。今すぐ教師をやめろよ。一生未成年に近づくな!
 泣くつもりはなかったのに、頬を伝う熱いものが涙だと気づいた。
「麓戸君……」
神崎が動揺したように肩に手をまわしてきた。
 触んな! このペド野郎! 馴れ馴れしい!
 神崎が、麓戸の名を呼ぶのさえ気色が悪いと思えてきた。
「私もこんな関係はよくないと思っていたんだ」
神崎の言葉には自己保身しかない。
 悔しくて涙しか流れない。
 池井のために何か言ってやりたいのに、口を開いたら嗚咽が漏れそうで何一つ言えない。
 弱い。あまりにも弱い。
 俺だって、神崎に甘えたい。
 いやもう甘えてしまっているのでは。神崎の前で涙なんか流しているのだから。
 池井ばかり神崎に可愛がられて悔しかったのでは。自分も神崎に優しくされたかったのでは。
 麓戸は、神崎とプレイしている池井を見て激しく興奮した。何度もその情景を思い出しては抜いた。学校のトイレに駆け込んで個室で前を擦って。野外で自慰したことも、誰もいない汚い公園のトイレでいやらしい声をあげてしたこともあった。
「あなたに言われなくたって、池井のことは大切にするつもりでしたけどね。俺も池井にはさんざん言ってたんですから。早く神崎先生とは別れろって」
麓戸はやっとのことで言い返した。
 自己反省に負けている場合ではない。
「付き合っていたわけじゃない」
神崎は抜け抜けと言い放った。
「えっ。僕と付き合ってましたよね?」
神崎の言葉に驚いた池井が悲痛な声をあげた。
「もういいから、行きなさい」
神崎は疲れたような顔をして手で生徒たちを追いやった。

 神崎は華々しい結婚式を挙げたそうだった。
 神崎がハネムーンから帰ってきた日、池井は学校の屋上から飛び降りた。
 池井は神崎の担任の生徒ではなく、正式なラグビー部員でもなかった。それで、神崎が責任を取らされることにはならなかったのだろう。  
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

皇帝陛下の精子検査

雲丹はち
BL
弱冠25歳にして帝国全土の統一を果たした若き皇帝マクシミリアン。 しかし彼は政務に追われ、いまだ妃すら迎えられていなかった。 このままでは世継ぎが産まれるかどうかも分からない。 焦れた官僚たちに迫られ、マクシミリアンは世にも屈辱的な『検査』を受けさせられることに――!?

お兄ちゃん大好きな弟の日常

ミクリ21
BL
僕の朝は早い。 お兄ちゃんを愛するために、早起きは絶対だ。 睡眠時間?ナニソレ美味しいの?

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

処理中です...