義理パパと美少年のエッチ

番外編1：変装社長の悲しき回想録

いつもより一時間早く出社。ロッカーで作業服に着替え、帽子を目深にかぶる。

「……まさか、俺がトイレの清掃チェックをする日が来るとはな」

持ち場は地下フロア。人の出入りは少ない。
モップを握りしめ、静かに目を光らせるその姿は、まさに“社長探偵”。

だが、最初の関門は――

「社長、おはようございます」

「……ッ！！」

目が合った新人社員が、すでに気づいていた。
それでも、何も言わずにスルーしてくれる優しさが、逆に刺さる。

社長・花園亜樹人、清掃員に変装中。
鏡に映るのは、くたびれた作業着にキャップ姿の“地味なおじさん”だった。

「……どこからどう見ても清掃員だな。完璧だ」

　独り言ちる声も、なぜかやや芝居がかっている。

　社長室の裏ロッカーで誰にも気づかれず着替え、
　社員通用口から出入り。
　変装はバッチリ、完璧なステルス作戦。

　そのつもりだった。

　しかし、フロアに出て3分後――

「社長、おはようございます」

　新人の女の子に笑顔で声をかけられる。

「……っ！？」

（なぜバレた！？）

　思わずモップの柄を逆さに持つ。
　その日のうちに、3人に「お疲れさまです、社長」と声をかけられ、
　以後は“社長が現場パトロールに来てる”という噂に。

　それでも、諦めずトイレ掃除に励んでいた。


ある日の社長室、の奥の部屋に秘書の昭島と×××なとき……。

「あきしまは、お掃除のおじさんとエッチしてます」

　――元気なアユムの声。

「…………」

（詰んだ）