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うたがいの芽
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すると、羅音は、しびれをきらしたように、ぷいとむくれて、言い放った。
「もう、いいよ! 杏がしてくれないなら。もう、椰子(やし)にしてもらうから」
「ええっ?」
椰子は使用人で、羅音の従者の、気取った軽薄な若い男だ。
「何であんな奴なんかに」
僕は、怒りと興奮で、息をはずませた。
羅音は、
「だって、僕もう、せんからずっと……」
と言って、吐息をつくと、しなをつくった。
「もう、羅音ったら、しっかりしてよ!」
羅音の身体はぐだぐだで、もう何を言っても無駄なようだった。
そういえば、最近、羅音の部屋からいつも、夜中に変な物音や声がしていた。
「まさか椰子と……」
僕のむねに疑いの芽がきざした。
「あ、ああっ……」
見ると、羅音は、いつのまにか自分の指をお尻に差し込んでいた。
「そんなこと、やめてよ」
僕は、後ろから抱きついてやめさせようとした。
羅音は、指を入れたまま、蕩けた目で、僕を見た。
「杏も……しようよ」
「何言っているの」
僕は、拒否しながらも、羅音の熱っぽい目つきに、ぞくっとした。
「ん、んん」
中腰の姿勢で、指を使いながら、羅音は一人で高まっていた。
「はぁ、いいよ、すごく」
羅音は僕の顔を見上げながら、誘うかのようにあえいでみせた。
「ねえ、しようよ」
羅音は床に膝をついて、さらに激しく、指を抜き差ししはじめた。
「ああっ、すっごくいい」
僕がさっき捨てた雑誌が床に転がっていた。
羅音は這いずってそれに近づき、口でくわえてページをめくった。そして、男の子の尻のアップのところをペロペロ舐めさえしだした。
「やめてよ」
僕は、見ていられなくて羅音を雑誌から引き離そうとした。
「どうして? そんなに僕、変?」
紅い頬と、うるんだ目をして、色っぽく羅音が振りかえった。
これは、いつもの、ずっと前から知っている僕の羅音ではない。僕は混乱して、どうしていいかわからなくなった。
羅音は、ソファに戻って座った僕の膝の間に、頭を押しつけてきた。
「何するの……あっ」
「もう、いいよ! 杏がしてくれないなら。もう、椰子(やし)にしてもらうから」
「ええっ?」
椰子は使用人で、羅音の従者の、気取った軽薄な若い男だ。
「何であんな奴なんかに」
僕は、怒りと興奮で、息をはずませた。
羅音は、
「だって、僕もう、せんからずっと……」
と言って、吐息をつくと、しなをつくった。
「もう、羅音ったら、しっかりしてよ!」
羅音の身体はぐだぐだで、もう何を言っても無駄なようだった。
そういえば、最近、羅音の部屋からいつも、夜中に変な物音や声がしていた。
「まさか椰子と……」
僕のむねに疑いの芽がきざした。
「あ、ああっ……」
見ると、羅音は、いつのまにか自分の指をお尻に差し込んでいた。
「そんなこと、やめてよ」
僕は、後ろから抱きついてやめさせようとした。
羅音は、指を入れたまま、蕩けた目で、僕を見た。
「杏も……しようよ」
「何言っているの」
僕は、拒否しながらも、羅音の熱っぽい目つきに、ぞくっとした。
「ん、んん」
中腰の姿勢で、指を使いながら、羅音は一人で高まっていた。
「はぁ、いいよ、すごく」
羅音は僕の顔を見上げながら、誘うかのようにあえいでみせた。
「ねえ、しようよ」
羅音は床に膝をついて、さらに激しく、指を抜き差ししはじめた。
「ああっ、すっごくいい」
僕がさっき捨てた雑誌が床に転がっていた。
羅音は這いずってそれに近づき、口でくわえてページをめくった。そして、男の子の尻のアップのところをペロペロ舐めさえしだした。
「やめてよ」
僕は、見ていられなくて羅音を雑誌から引き離そうとした。
「どうして? そんなに僕、変?」
紅い頬と、うるんだ目をして、色っぽく羅音が振りかえった。
これは、いつもの、ずっと前から知っている僕の羅音ではない。僕は混乱して、どうしていいかわからなくなった。
羅音は、ソファに戻って座った僕の膝の間に、頭を押しつけてきた。
「何するの……あっ」
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