164 / 221
第十五章 晩餐にて
唇ぐいーっ
しおりを挟む
心の痛みを、見透かされるのが怖いように、潤は、すぐに、目をそらすけど。
そんなガードをせずにおれないことを、僕は、許すよ。
僕だって怖いけど。
潤と、こんなに親しくなって、急に明日、潤に、捨てられるかもしれないのは、怖かった。
潤なら、理由も告げずに、そんなことをしそうだった。
だけど、それでもいいよ。
だって、潤の感じてる孤独と不安と恐れに比べたら、僕の、潤に捨てられるかも、という恐怖なんて、小さなものかもしれないから。
だから僕は、恐れないから。
恐れないって決めたわけじゃないけど、潤を愛したい気持ちが、自然とあふれてしまうから。
それで、たぶん、潤についてきてしまったんだろうな。
そして、たくさんドキドキする経験をして、今こうして潤を見ていることが、僕はできてよかった。
潤は、噛み終わって、全て肉を飲み込んだ。
僕も、よくできました、と言ってあげたい気分だった。
潤が、可愛いく思えた。
「全部飲み込んだかい?」
おじ様は、潤の顔を覗き込んだ。
潤は、
「うん」
と言って、神妙な顔つきで頷いた。
おじ様は、潤の真面目くさった顔つきを見て、
「ふっ」
と笑った。
「唇に血がついているよ」
そう言って、おじ様は、右手で、潤の顔をつかみ、潤の唇の左端から、右端へ、水平に、親指をすべらせた。
潤の唇が、おじ様の親指に引っ張られて、ぐいーっとのびた。
そんなガードをせずにおれないことを、僕は、許すよ。
僕だって怖いけど。
潤と、こんなに親しくなって、急に明日、潤に、捨てられるかもしれないのは、怖かった。
潤なら、理由も告げずに、そんなことをしそうだった。
だけど、それでもいいよ。
だって、潤の感じてる孤独と不安と恐れに比べたら、僕の、潤に捨てられるかも、という恐怖なんて、小さなものかもしれないから。
だから僕は、恐れないから。
恐れないって決めたわけじゃないけど、潤を愛したい気持ちが、自然とあふれてしまうから。
それで、たぶん、潤についてきてしまったんだろうな。
そして、たくさんドキドキする経験をして、今こうして潤を見ていることが、僕はできてよかった。
潤は、噛み終わって、全て肉を飲み込んだ。
僕も、よくできました、と言ってあげたい気分だった。
潤が、可愛いく思えた。
「全部飲み込んだかい?」
おじ様は、潤の顔を覗き込んだ。
潤は、
「うん」
と言って、神妙な顔つきで頷いた。
おじ様は、潤の真面目くさった顔つきを見て、
「ふっ」
と笑った。
「唇に血がついているよ」
そう言って、おじ様は、右手で、潤の顔をつかみ、潤の唇の左端から、右端へ、水平に、親指をすべらせた。
潤の唇が、おじ様の親指に引っ張られて、ぐいーっとのびた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
266
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる