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第四章
竹春の語り 18
兄と対等だと思っていたが、やはり違っていたんだ、というモヤモヤした気持ちがした。
怒りと反抗の気持ちが渦巻いた。
兄を手篭めにしたい。
みんなが、もう、勝手に、先取りして噂しているように。
どうせ噂されているなら、噂の通りにしてしまえ。
私たちは、黙々と歩き、やがて家の隣の森まで来た。
「ここに寄って行こう」
「うん」
私は、チャンスだと思った。
私たちは、道路を渡り、森の入り口に入った。
前方に樹々が鬱蒼と繁っているのが見えた。
「お腹すいた」
私が言うと、兄は笑った。
「鞄に学食で買ったパンあるぞ」
兄は三年なので、パン獲得競争に勝ち得たのだろう。
兄の鞄を開けると、パンが三つも入っていた。
「すごい」
私たちは、樹の下でパンを食べることにした。
鞄の上に座ろうとすると、兄は、タオルを出して敷いてくれた。
「本の上に座るな」
「うん」
私は、ジャムパンと、大きい味のないパンの二つを食べた。
兄は、クリームパンを食べた。
兄が先に食べ終わって、私を見たので、味のないパンをちぎって、兄の口に入れた。
「ホスチアみたいだな」
と兄はにっこり笑った。
私の胸は高鳴った。
このまま口づけして、押し倒したらどうだろうか。
兄の白い顔と、動いている薄い唇を横目で見た。
怒りと反抗の気持ちが渦巻いた。
兄を手篭めにしたい。
みんなが、もう、勝手に、先取りして噂しているように。
どうせ噂されているなら、噂の通りにしてしまえ。
私たちは、黙々と歩き、やがて家の隣の森まで来た。
「ここに寄って行こう」
「うん」
私は、チャンスだと思った。
私たちは、道路を渡り、森の入り口に入った。
前方に樹々が鬱蒼と繁っているのが見えた。
「お腹すいた」
私が言うと、兄は笑った。
「鞄に学食で買ったパンあるぞ」
兄は三年なので、パン獲得競争に勝ち得たのだろう。
兄の鞄を開けると、パンが三つも入っていた。
「すごい」
私たちは、樹の下でパンを食べることにした。
鞄の上に座ろうとすると、兄は、タオルを出して敷いてくれた。
「本の上に座るな」
「うん」
私は、ジャムパンと、大きい味のないパンの二つを食べた。
兄は、クリームパンを食べた。
兄が先に食べ終わって、私を見たので、味のないパンをちぎって、兄の口に入れた。
「ホスチアみたいだな」
と兄はにっこり笑った。
私の胸は高鳴った。
このまま口づけして、押し倒したらどうだろうか。
兄の白い顔と、動いている薄い唇を横目で見た。
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