されど空の蒼さを知る

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雨が降り始めた。

ぽつぽつと、そしてやがて霧雨になり、どんよりとした空だけが残った。

「虹はかかるかな、、、」

そんなわけなかった。
雨の後は虹ではなく、晴れること待ち望む俺たちを嘲笑う雲だけが残る。

誰かが言った
「虹を見るためには雨に濡れないと」

ふざけるな。

雨は幸せの前触れではない、不幸の一環でしかないのだ。
そんなギャンブルにハマった廃人の言葉を色鮮やか表現し、希望を持たせるような響きを奏でようと、雨は所詮晴れの到来の知らせるものでは無いのだ。

曇天の下、俺の心は雲に覆われ、目的地などない歩行を始めた。

「歩行ね、、、はは」

それは動作だけを示すが目的を表さず、ただ機械的なものでしかない。まさに今の俺だ。ヒトであることを誇れるものは何も無いんだ。

、、、いつの日からか俺は無意識に自嘲していた。

「そんなんやってみなきゃわからんて!」
そんな明るい未来を想像して動き一つ一つが鞠が跳ねるような、明日が待ち遠しかった俺は何処に行ったのだろうか。

かつてが愛おしい、今が寂しい、いやそんなものではない。
俺は、光のない人生を歩むことに疲れた。
先の見えない闇にいつ飲み込まれるのか分からない恐怖に自ら奮い立て、裏切られに行く、死ぬだなんて、


そんなのはごめんだ。


「この世に救いはない。」
そう社会に教えられ報われることの無い宣告をされた。
夢を抱いてなし崩しにされ、今まで生きてる俺が現実の教本だ。

神なんか存在しない。




気付けば俺はいつもの繁華街に着いていた。




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