2人だけの物語

レティシア

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人の在らぬ光の国

2つの夏

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人の在らぬこの国は、歩道と道路と建物以外は意外にも緑にあふれていた
理由は簡単で、一定面積を緑化することが法令で決まっているからだ。
どこまでも続く緑は2人の遊び場だった。
秘密基地を作ったり追いかけっこしたり、かくれんぼしたり...
もちろん誰も咎められなかった。大人は歩道や車道から出られない。
無邪気な2人はただひたすらにこの緑の世界を冒険した。
いつまでも、永遠に遊んでいられる気までした。
青空に大きな鯨が泳いだ。とても大きい鯨だった。
白い服を着た少女は言った。
「もう行かなきゃ。みんなを待たせるわけにいかないから。」
みなしご少女は問う。
「みんなって誰?」
お嬢様である少女は返した。
「大人のみんな。ずっと子どもじゃいられないんだ。」
後ろから聞こえる筈の無い金属音の足音が聞こえる。
「お嬢様、お時間です。」
少女たちは互いに別れを告げた
「それじゃあ、またいつか。」
「ぜったいにまた遊べるよね!」
「...無邪気なままで出会えたらね。」
お嬢様の後ろ姿には腰に付けた1つのひし形の飾りが煌めいていた。
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