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人の在らぬ光の国
2つの成長
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あれから幾年過ぎただろうか。お嬢様に教えて貰っていた大人の言葉も、
この国の形も理解していた。
2人は別れたままであった。
国の城は王子の結婚式が行われるおかげで大盛況だった。
相手のお姫様は美しく、そしてまた王子と同じくからくりの姿だった。
不意に見えた輝煌に一瞬目を閉じた。お姫様の腰の飾りが光っていた。
お尋ね者となったみなしご少女は確信した。
あの光るフルフェイスのバイザーの中にはあの頃の約束があると。
長いコートと深く被ったフード、そして金属の仮面の下から覗いた。
お姫様と目が合った気がした。
[.--. ---. -.-.- .-.]
[-.-. --.- .-.-. -..- -.--- -.-. -..-. ..-.. .. --- -. ... ]
何かを伝えたい事はわかった。でもわからない。
必死に考えた。頭の血管が断裂してもおかしくないくらい。
王子が婚姻契約書が表示されたデバイスにサインを書き、指を押す。
お姫様はひたすら不動だった。時間を延ばすかのように。
周りが騒ぎ出す。期待を焦らされて沸き上がっていた。
お姫様が震えた手でペンを持つ。
少女は走りだした。姫にされようとするもう一人の少女の方へ。
[つそさな]という言葉の意を理解した。2年前に戻した。
「たすけて」
群衆を踏み台にして少女は姫様を攫う。
警備に撃たれた左肩からは血が滲む。
姫様は鎧装束とバイザーを捨て、走った。
このお尋ね者とどこかへ逃げようと。
警備は発砲できない。姫様に誤射すれば即射殺だ。
夕焼けの陽が輝いていた。
逆光に陰った少女達の逃げる城の鐘は壊れた婚姻と19:00を伝えた。
逃げ去る少女達の眼には昔日の流星のみが映っていた。
この国の形も理解していた。
2人は別れたままであった。
国の城は王子の結婚式が行われるおかげで大盛況だった。
相手のお姫様は美しく、そしてまた王子と同じくからくりの姿だった。
不意に見えた輝煌に一瞬目を閉じた。お姫様の腰の飾りが光っていた。
お尋ね者となったみなしご少女は確信した。
あの光るフルフェイスのバイザーの中にはあの頃の約束があると。
長いコートと深く被ったフード、そして金属の仮面の下から覗いた。
お姫様と目が合った気がした。
[.--. ---. -.-.- .-.]
[-.-. --.- .-.-. -..- -.--- -.-. -..-. ..-.. .. --- -. ... ]
何かを伝えたい事はわかった。でもわからない。
必死に考えた。頭の血管が断裂してもおかしくないくらい。
王子が婚姻契約書が表示されたデバイスにサインを書き、指を押す。
お姫様はひたすら不動だった。時間を延ばすかのように。
周りが騒ぎ出す。期待を焦らされて沸き上がっていた。
お姫様が震えた手でペンを持つ。
少女は走りだした。姫にされようとするもう一人の少女の方へ。
[つそさな]という言葉の意を理解した。2年前に戻した。
「たすけて」
群衆を踏み台にして少女は姫様を攫う。
警備に撃たれた左肩からは血が滲む。
姫様は鎧装束とバイザーを捨て、走った。
このお尋ね者とどこかへ逃げようと。
警備は発砲できない。姫様に誤射すれば即射殺だ。
夕焼けの陽が輝いていた。
逆光に陰った少女達の逃げる城の鐘は壊れた婚姻と19:00を伝えた。
逃げ去る少女達の眼には昔日の流星のみが映っていた。
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