瞳の奥に潜む野獣 

果汁さん

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 羅針盤を持ち紅原灯の庭から狼化したカグラとその『軽身』を見ていたスペル騎士団長マキノは紅に触れる景色に充てくれていた。元々の景色は死者の森で廃墟と化した大地だった。スペル騎士団長は目覚めたカグラを休ませる為、鍛錬を続け体力を築こうとしていた。
「やっぱりこれがいい」
「そんな武器で戦ってたとはなぁー、実力では俺の方が、無視するなよ」
 羅針盤は示す方向を教えるアイテムだ。この羅針盤がある限り野獣の俺に挑める訳だ。それは有難い。
「野獣、まだ企んでる」
「野獣、そんなのはデマだ。我様は知らんぞ」
 野獣殲滅課の本部から派遣されていたはずが知らないとは笑えない冗談だ。
「野獣殲滅課だろう、本体を知らないのか」
「知らないね、歴史の文献を探って歴史を振り返っていた。それだけだ」
「俺は見た事がある」
 魂を干渉された。なんて事は言えないがな。
「干渉されたのではないのかな」
「戯けが、俺は俺だ」
 地下の巣窟では人を食って死から這い上がる『死の源』が流出してる。食べて這い上がり太陽から逃げようとする死人に近いがスペル騎士団長は気にしない。
 『死の源』の最凶の鬼が呪いとして滅せれないのだ。ナギア第一部隊長はこの件で呼ばれていた。
「倒さないといけない野獣よりも厄介な化物がいすぎて」
 ナギア第一部隊長は派遣としてこの狩場へ出動した弾みで言った。
「干渉材料か。奴は呪いでしか斃せないんだったな」
「呪いは我様の得意分野だ」
 我様と言ったり忙しい奴。

 鬼の名は『鬼餓鬼綱』。
 紅蓮の屋敷に居るみたいだが食糧として地下の巣窟へ出入りしている。
 その怨念も彷徨っている。
「厄介な化物が現れたもんだ。元凶が」
 溜め息混じりをするとナギア第一部隊長は模擬戦をしようぜと誘い掛けるが無視だ。
「しかとするなよ。団長ー」
 馴れ馴れしくしている物には距離を取るのが先決。
「奴は狼ではないのか」
「依代みたいな物だ」
 赤い霧が不気味な印象を与える中、狼の目は自我を忘れている。記憶の断片的な欠片を野生の勘に任せているだろう。本能は天敵『鬼餓鬼綱』への宿命を果たそうとしているのではないか。
「野獣はどうであれ因縁だ」
 野獣と『鬼餓鬼綱』は深い繋がりがある。海の時代でカイオンはいた。海の王者となったカイオンは今後の敵である野獣を打倒する段階で『白塵の荒野』を世界へ広めインディア王国の名になる前の国、イングラム王国で世話になっていた。
「復讐の時は来た」
「脅かす者は」
 蠢く蟲を貪る『鬼餓鬼綱』は地中で隠れていた。
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