28 / 73
第二十話 謎の魔石
しおりを挟む
メルビアへ到着した僕とベルハイト、ニールの三人。そのまま三人で冒険者ギルドへ向かうのかと思ったが、「オレの仕事は、もう終わってっから」とニールはどこかへ行ってしまった。
ギルドへ入ってすぐ通された応接室には、ヴィクトルと四人の冒険者と姿があった。
ヴィクトルが振り返り、
「おう、戻ったか。客人がお待ちかねだぞ」
「ベルハイトさん!」
若者の声が出迎え、その声にベルハイトが破顔する。
「やっぱりカイン達だったのか」
客とはやはり、ユトスの冒険者パーティー[風の剣]だった。
若者――カインはベルハイトに挨拶を済ませると、僕を見て、なぜか目を輝かせた。
「もしかして、あんたがルカ?」
人懐っこい笑顔で近づいてくるカインを、
「ちょっとカイン!いきなりタメ口とか失礼でしょ?!」
「ぐえっ!」
すぐそばにいたメンバーの少女が、躊躇なく彼の首に腕をかけて抑え込んだ。あれは間違いなく締まっている。
「あの、大丈夫です。楽な話し方で」
これ以上カインの首が締まる前に声をかけると、ベルハイトが苦笑いしながら僕を紹介する。
「この人はルカさん。メルビアの運び屋で、俺がお世話になってる人だよ」
「けほっ……。はじめまして!オレは冒険者パーティー[風の剣]のリーダーで、カイン!こっちは、メンバーのシェリーとヒューゴ、それからアネット。よろしく!」
「……ルカです。よろしくお願いします…」
溌剌とした挨拶に圧倒される。三人のメンバーは、紹介されると礼儀正しく一礼した。
カインはぐっと身を乗り出す勢いで、
「あんたことは、ギルド長とダイアーさんから聞いて、めちゃくちゃ会いたかったんだ!なんか、すっっごく強いんだって?!」
すっっごく強いって……、すごくフワッとした情報だな…。それに、それなりに戦えるという自負はあるが、[無限保存庫]とそこにある魔法あっての戦果が大きい。僕自身が強いかと言われると、どうなのだろう。
「いえ…、別にそうでもないです」
やんわり否定したつもりだったのだが、カインは謙遜と受け取ったようで、更に力説し始める。
「何言ってんだよ!上層とはいえ魔窟の中を、自分よりずっと大きいベルハイトさんを背負った状態で、魔物を蹴散らしながら走り抜けるなんて、誰にでも出来ることじゃないって!」
……。
…………。
………………うん?
誰が誰を背負って魔窟の中を魔物を蹴散らして走り抜けたって?目を疑う絵面が出来上がるじゃないか。
僕は助けを求めてベルハイトを見るが、彼は額を押さえて俯いているし、その向こうのヴィクトルにいたっては、腹を抱えて笑いを堪えている。
するとベルハイトがぼそりと、
「ダイアーさん、適当なことを……」
……なるほど。ダイアーの仕業か。
おそらくだが、僕のことをカイン達に説明するにあたって称号持ちのことなどを話せなかったため、適当に濁したのだろう。
にしても、適当すぎやしないか。
僕がどう答えたものか考えている間も、カインは止まらない。
「俺さ!斧を使ってんだけど、最近どうにも伸び悩んでるっつーか、もっと威力を上げたいんだ!こう……ドッカーンて!なんかいい方法あったら」
スパンッ!
「あんた何しに来たのか忘れたの?!」
止めたのはシェリーの一撃だった。張り手が綺麗にカインの後頭部を直撃した。
それでもカインは、キラキラした目で僕を見ている。彼の中で僕は、既に怪力爆走運び屋になってしまっているようだ。
しかし、無表情のまま無言の僕やベルハイトの反応に、カインは何か察したらしい。
「……ん?…え?あれ?」
パーティーメンバーやヴィクトルにも視線を泳がせるカイン。そして、隣のシェリーが溜め息をついた。
「だから言ったでしょ。ダイアーさんの話は真に受けちゃダメだって」
それにヒューゴとアネットも続ける。
「あの人の話は、戦闘とダンジョン探索に関すること以外、聞き流したほうがいい」
「あはは……。ダイアーさん、良い人なんだけどね……」
どうやらダイアーの話を鵜呑みにしていたのは、カインだけだったようで、メンバー三人は困ったようにリーダーを宥めた。
カインはがっくりと項垂れる。
「えぇ……。じゃあ、ルカが強いっていうのはウソなのか?」
「いや、嘘じゃないよ」
「ああ。嘘じゃねぇな」
ベルハイトとヴィクトルが間を置かず相槌を打つ。それに反応したのは、やはりカインで。
「じゃあ!今から手合わせ…」
「だから何しに来たのよ!」
スパンッ!
シェリーの張り手、二発目が炸裂した。
こうしてパーティー内の力関係が確立されていくのかもしれない。
「[蒼天の鐘]が調査した結果、タストラ魔窟には、あの一件以降、異常はありません」
用件を話始めたシェリーが冒頭で報告したのは、意外な結果だった。てっきり、タストラ魔窟で前回と同じ異変、もしくは新たな異変が発生したのかと思っていたからだ。
ちなみにカインは脱線しそうなので、報告する役割から解任された。
「ここへ来たのは、ルカさんに見てもらいたい物があったからなんです」
「僕に?」
シェリーは頷き、魔法鞄から小さな包みを取り出し、テーブルの上で開いた。そこには――。
「これは…」
見覚えのある石。タストラ魔窟でグランドベアの亜種と思しき魔物が吐き出した、魔石のような石と酷似している。
「ルカさんがタストラ魔窟で見たものと同じですか?」
「同じ、だと思います。見たのは一瞬だったので絶対とは言えませんが…。形はともかく、色や模様は僕が見たものとよく似ています」
一見、魔石のようではあるが、一般的に知られている魔石は種類ごとにほぼ単色。これは複数の色が混ざり合い、見る角度で違う色になる。表面に浮き出た模様も、僕が知っている魔石とは一致しない。
「これはどこで?」
「ユトスの孤児院です」
孤児院?そんな場所に正体の分からない石が?
「私達は四人ともその孤児院の出身で、定期的に院を訪ねているんですが、先日訪ねた時に院長先生に相談されたんです」
シェリーは一度、テーブル上の石に視線を落とした。
「この石は一週間ほど前に孤児院に立ち寄った旅の男が、寄付として置いていったそうです。院長先生は宝石か鉱石の類かと思い、ユトスの商人に見せたそうですが正体が分からず、扱いに困っていのを、私達がギルドに持ち込みました」
随分不可解な話だ。その旅の男とは何者で、なぜこの石を持っていたのか。なぜそんなよく分からない物を孤児院で手放したのか。
「ギルドの鑑定師にも確認してもらい、魔石の類であることは間違いないとのことでした。でも、現存しているどの魔石とも一致しないそうで…。念のため、他の鑑定師にも鑑定してほしいということで、ヨハンさんが「それならメルビアへ」と」
シェリー達の報告はここまでのようだ。
僕はヴィクトルに視線を移す。
「お前らが戻って来るまでに鑑定させたが、ユトスの見解と同じだ。魔石の一種だろうが、見たことも聞いたこともねぇシロモノだと」
お手上げと言うように、ヴィクトルは肩を竦めた。
僕は目の前の謎の魔石を手に取り、それに集中する。
魔石とは、魔力を内包する石のことを指す。そしてその内包する魔力によって種類が分けられており、現時点で存在が確認されているのは、四元の四種類と光と闇の計六種類。
魔石は、魔素が自然に魔力に昇華した際に偶発的に生成されるもので、生成されたものを加工して形を整えたりすることは可能だが、魔石自体を人工的に造ることは不可能とされている。
魔窟では当たり前のように生成されているので、魔法鞄などにも使用され、市場にもそれなりに出回っているが、今目の前にあるこれは明らかに魔石の中でも異質だった。
しばらくして、ヴィクトルが口を開く。
「……どうだ?ルカ」
「……確かに魔石ですけど、鑑定師の言うように、どの種類にも当てはまりません。強いて言うなら、外部の魔力への干渉が普通の魔石より強い気がします」
今の段階では、この謎の魔石に関して、これ以上分かることはなさそうだ。
そう考えていると、ベルハイトがじっと僕を見ていた。
「えっと……。まさかルカさん、鑑定ができるんてすか?」
「?はい。……言ってませんでしたか?」
「言ってませんよ……」
ベルハイトは溜め息をついた。
鑑定は魔法ではなく、魔力操作による物質の反応から対象の性質や特性などを読み取り、それを特定する技術だ。なので、必要なのは魔力操作の技術と知識で、どの魔法適性も必要ない。
「運び屋の仕事をしていると、時々あるんです。詐欺が」
「詐欺?」
僕はベルハイトに頷いた。
「受取人と差出人がグルで、運び屋に偽物を運ばせて、荷のすり替えをでっち上げたて、金銭を要求してきたり。商売だと、売り主は既に代金を受け取っている状態で、客に偽物や劣化品を渡したり」
巻き込まれると身の潔白を証明したり、聴取を受けたりと、大変なんてものじゃない。
「以前は荷の鑑定は持ち主の許可がないと出来なかったんですけど、運送対象に限り、運び屋の判断で鑑定が出来るよう、五年前に法が改訂されました」
それでもこの手の詐欺や犯罪はまだ横行しているが、以前に比べれば減ってきている。
しかしなお、ベルハイトは難しい顔のまま。
「それって普通、鑑定師に依頼するのでは…?」
「ええ、まあ。でも自分で鑑定したほうが、時間も手間も省けますし」
近くにギルドがあればいいが、そうでないと鑑定師を探すのも一苦労だ。
「分かりますけど、簡単に身につくような技術じゃないでしょ……」
ベルハイトは何故か呆れたように笑っていて。
見渡すと、シェリーとヒューゴ、アネットは狐につままれたような顔。そんな中、
「やっぱルカって、すごいんだな!」
静かだったカインがパアッと顔を輝かせたかと思うと、それにつられたヴィクトルが声を上げて笑いだした。
ギルドへ入ってすぐ通された応接室には、ヴィクトルと四人の冒険者と姿があった。
ヴィクトルが振り返り、
「おう、戻ったか。客人がお待ちかねだぞ」
「ベルハイトさん!」
若者の声が出迎え、その声にベルハイトが破顔する。
「やっぱりカイン達だったのか」
客とはやはり、ユトスの冒険者パーティー[風の剣]だった。
若者――カインはベルハイトに挨拶を済ませると、僕を見て、なぜか目を輝かせた。
「もしかして、あんたがルカ?」
人懐っこい笑顔で近づいてくるカインを、
「ちょっとカイン!いきなりタメ口とか失礼でしょ?!」
「ぐえっ!」
すぐそばにいたメンバーの少女が、躊躇なく彼の首に腕をかけて抑え込んだ。あれは間違いなく締まっている。
「あの、大丈夫です。楽な話し方で」
これ以上カインの首が締まる前に声をかけると、ベルハイトが苦笑いしながら僕を紹介する。
「この人はルカさん。メルビアの運び屋で、俺がお世話になってる人だよ」
「けほっ……。はじめまして!オレは冒険者パーティー[風の剣]のリーダーで、カイン!こっちは、メンバーのシェリーとヒューゴ、それからアネット。よろしく!」
「……ルカです。よろしくお願いします…」
溌剌とした挨拶に圧倒される。三人のメンバーは、紹介されると礼儀正しく一礼した。
カインはぐっと身を乗り出す勢いで、
「あんたことは、ギルド長とダイアーさんから聞いて、めちゃくちゃ会いたかったんだ!なんか、すっっごく強いんだって?!」
すっっごく強いって……、すごくフワッとした情報だな…。それに、それなりに戦えるという自負はあるが、[無限保存庫]とそこにある魔法あっての戦果が大きい。僕自身が強いかと言われると、どうなのだろう。
「いえ…、別にそうでもないです」
やんわり否定したつもりだったのだが、カインは謙遜と受け取ったようで、更に力説し始める。
「何言ってんだよ!上層とはいえ魔窟の中を、自分よりずっと大きいベルハイトさんを背負った状態で、魔物を蹴散らしながら走り抜けるなんて、誰にでも出来ることじゃないって!」
……。
…………。
………………うん?
誰が誰を背負って魔窟の中を魔物を蹴散らして走り抜けたって?目を疑う絵面が出来上がるじゃないか。
僕は助けを求めてベルハイトを見るが、彼は額を押さえて俯いているし、その向こうのヴィクトルにいたっては、腹を抱えて笑いを堪えている。
するとベルハイトがぼそりと、
「ダイアーさん、適当なことを……」
……なるほど。ダイアーの仕業か。
おそらくだが、僕のことをカイン達に説明するにあたって称号持ちのことなどを話せなかったため、適当に濁したのだろう。
にしても、適当すぎやしないか。
僕がどう答えたものか考えている間も、カインは止まらない。
「俺さ!斧を使ってんだけど、最近どうにも伸び悩んでるっつーか、もっと威力を上げたいんだ!こう……ドッカーンて!なんかいい方法あったら」
スパンッ!
「あんた何しに来たのか忘れたの?!」
止めたのはシェリーの一撃だった。張り手が綺麗にカインの後頭部を直撃した。
それでもカインは、キラキラした目で僕を見ている。彼の中で僕は、既に怪力爆走運び屋になってしまっているようだ。
しかし、無表情のまま無言の僕やベルハイトの反応に、カインは何か察したらしい。
「……ん?…え?あれ?」
パーティーメンバーやヴィクトルにも視線を泳がせるカイン。そして、隣のシェリーが溜め息をついた。
「だから言ったでしょ。ダイアーさんの話は真に受けちゃダメだって」
それにヒューゴとアネットも続ける。
「あの人の話は、戦闘とダンジョン探索に関すること以外、聞き流したほうがいい」
「あはは……。ダイアーさん、良い人なんだけどね……」
どうやらダイアーの話を鵜呑みにしていたのは、カインだけだったようで、メンバー三人は困ったようにリーダーを宥めた。
カインはがっくりと項垂れる。
「えぇ……。じゃあ、ルカが強いっていうのはウソなのか?」
「いや、嘘じゃないよ」
「ああ。嘘じゃねぇな」
ベルハイトとヴィクトルが間を置かず相槌を打つ。それに反応したのは、やはりカインで。
「じゃあ!今から手合わせ…」
「だから何しに来たのよ!」
スパンッ!
シェリーの張り手、二発目が炸裂した。
こうしてパーティー内の力関係が確立されていくのかもしれない。
「[蒼天の鐘]が調査した結果、タストラ魔窟には、あの一件以降、異常はありません」
用件を話始めたシェリーが冒頭で報告したのは、意外な結果だった。てっきり、タストラ魔窟で前回と同じ異変、もしくは新たな異変が発生したのかと思っていたからだ。
ちなみにカインは脱線しそうなので、報告する役割から解任された。
「ここへ来たのは、ルカさんに見てもらいたい物があったからなんです」
「僕に?」
シェリーは頷き、魔法鞄から小さな包みを取り出し、テーブルの上で開いた。そこには――。
「これは…」
見覚えのある石。タストラ魔窟でグランドベアの亜種と思しき魔物が吐き出した、魔石のような石と酷似している。
「ルカさんがタストラ魔窟で見たものと同じですか?」
「同じ、だと思います。見たのは一瞬だったので絶対とは言えませんが…。形はともかく、色や模様は僕が見たものとよく似ています」
一見、魔石のようではあるが、一般的に知られている魔石は種類ごとにほぼ単色。これは複数の色が混ざり合い、見る角度で違う色になる。表面に浮き出た模様も、僕が知っている魔石とは一致しない。
「これはどこで?」
「ユトスの孤児院です」
孤児院?そんな場所に正体の分からない石が?
「私達は四人ともその孤児院の出身で、定期的に院を訪ねているんですが、先日訪ねた時に院長先生に相談されたんです」
シェリーは一度、テーブル上の石に視線を落とした。
「この石は一週間ほど前に孤児院に立ち寄った旅の男が、寄付として置いていったそうです。院長先生は宝石か鉱石の類かと思い、ユトスの商人に見せたそうですが正体が分からず、扱いに困っていのを、私達がギルドに持ち込みました」
随分不可解な話だ。その旅の男とは何者で、なぜこの石を持っていたのか。なぜそんなよく分からない物を孤児院で手放したのか。
「ギルドの鑑定師にも確認してもらい、魔石の類であることは間違いないとのことでした。でも、現存しているどの魔石とも一致しないそうで…。念のため、他の鑑定師にも鑑定してほしいということで、ヨハンさんが「それならメルビアへ」と」
シェリー達の報告はここまでのようだ。
僕はヴィクトルに視線を移す。
「お前らが戻って来るまでに鑑定させたが、ユトスの見解と同じだ。魔石の一種だろうが、見たことも聞いたこともねぇシロモノだと」
お手上げと言うように、ヴィクトルは肩を竦めた。
僕は目の前の謎の魔石を手に取り、それに集中する。
魔石とは、魔力を内包する石のことを指す。そしてその内包する魔力によって種類が分けられており、現時点で存在が確認されているのは、四元の四種類と光と闇の計六種類。
魔石は、魔素が自然に魔力に昇華した際に偶発的に生成されるもので、生成されたものを加工して形を整えたりすることは可能だが、魔石自体を人工的に造ることは不可能とされている。
魔窟では当たり前のように生成されているので、魔法鞄などにも使用され、市場にもそれなりに出回っているが、今目の前にあるこれは明らかに魔石の中でも異質だった。
しばらくして、ヴィクトルが口を開く。
「……どうだ?ルカ」
「……確かに魔石ですけど、鑑定師の言うように、どの種類にも当てはまりません。強いて言うなら、外部の魔力への干渉が普通の魔石より強い気がします」
今の段階では、この謎の魔石に関して、これ以上分かることはなさそうだ。
そう考えていると、ベルハイトがじっと僕を見ていた。
「えっと……。まさかルカさん、鑑定ができるんてすか?」
「?はい。……言ってませんでしたか?」
「言ってませんよ……」
ベルハイトは溜め息をついた。
鑑定は魔法ではなく、魔力操作による物質の反応から対象の性質や特性などを読み取り、それを特定する技術だ。なので、必要なのは魔力操作の技術と知識で、どの魔法適性も必要ない。
「運び屋の仕事をしていると、時々あるんです。詐欺が」
「詐欺?」
僕はベルハイトに頷いた。
「受取人と差出人がグルで、運び屋に偽物を運ばせて、荷のすり替えをでっち上げたて、金銭を要求してきたり。商売だと、売り主は既に代金を受け取っている状態で、客に偽物や劣化品を渡したり」
巻き込まれると身の潔白を証明したり、聴取を受けたりと、大変なんてものじゃない。
「以前は荷の鑑定は持ち主の許可がないと出来なかったんですけど、運送対象に限り、運び屋の判断で鑑定が出来るよう、五年前に法が改訂されました」
それでもこの手の詐欺や犯罪はまだ横行しているが、以前に比べれば減ってきている。
しかしなお、ベルハイトは難しい顔のまま。
「それって普通、鑑定師に依頼するのでは…?」
「ええ、まあ。でも自分で鑑定したほうが、時間も手間も省けますし」
近くにギルドがあればいいが、そうでないと鑑定師を探すのも一苦労だ。
「分かりますけど、簡単に身につくような技術じゃないでしょ……」
ベルハイトは何故か呆れたように笑っていて。
見渡すと、シェリーとヒューゴ、アネットは狐につままれたような顔。そんな中、
「やっぱルカって、すごいんだな!」
静かだったカインがパアッと顔を輝かせたかと思うと、それにつられたヴィクトルが声を上げて笑いだした。
52
あなたにおすすめの小説
美化係の聖女様
しずもり
ファンタジー
毒親の仕打ち、親友と恋人の裏切り、人生最悪のどん底でやけ酒を煽り何を思ったのか深夜に突然掃除を始めたら床がドンドンって大きく鳴った。
ゴメン、五月蝿かった?
掃除は止めにしよう、そう思った瞬間、床に現れた円のようなものが光りだした。
気づいたらゴミと掃除道具と一緒に何故か森の中。
地面には気を失う前に見た円が直径3メートルぐらいの大きさで光ってる。
何コレ、どうすればいい?
一方、魔王復活の兆しに聖女を召喚した王城では召喚された筈の聖女の姿が見当たらない。
召喚した手応えはあったものの目の前の床に描かれた魔法陣には誰も居ない。
もしかして召喚先を間違えた?
魔力の残滓で聖女が召喚された場所に辿り着いてみれば聖女はおらず。
それでも魔王復活は待ってはくれない。
それならば聖女を探しながら魔王討伐の旅へ見切り発車で旅する第二王子一行。
「もしかしたら聖女様はいきなり召喚された事にお怒りなのかも知れない、、、、。」
「いや、もしかしたら健気な聖女様は我らの足手まといにならぬ様に一人で浄化の旅をしているのかも知れません。」
「己の使命を理解し果敢に試練に立ち向かう聖女様を早く見つけださねばなりません。」
「もしかして聖女様、自分が聖女って気づいて無いんじゃない?」
「「「・・・・・・・・。」」」
何だかよく分からない状況下で主人公が聖女の自覚が無いまま『異世界に来てしまった理由』を探してフラリと旅をする。
ここ、結構汚れていません?ちょっと掃除しますから待ってて下さいね。掃除好きの聖女は無自覚浄化の旅になっている事にいつ気付くのか?
そして聖女を追って旅する第二王子一行と果たして出会う事はあるのか!?
魔王はどこに?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
不定期更新になります。
主人公は自分が聖女だとは気づいていません。
恋愛要素薄めです。
なんちゃって異世界の独自設定になります。
誤字脱字は見つけ次第修正する予定です。
R指定は無しの予定です。
World of Fantasia(ワールド・オブ・ファンタジア)
緋色牡丹
ファンタジー
生きる意味を見出せない三十二歳の男・山田緋色。
夏の夜、光の渦に呑まれ、彼が目を覚ましたのは――幻想の森だった。
壊れた愛車、知らない空、そして湖に浮かぶ青髪の少女。
異世界での出会いが、“止まった人生”を再び動かしていく。
異世界叙情ファンタジー、開幕──
※この小説は、小説家になろう、カクヨムにも同時掲載しています。
挿絵はAIイラストを使ったイメージ画像です。
事故に遭いました~俺って全身不随?でも異世界では元気ハツラツ?
サクラ近衛将監
ファンタジー
会社員の俺が交通事故に遭いました。二か月後、病院で目覚めた時、ほぼ全身不随。瞼と瞳が動かせるものの、手足も首も動かない。でも、病院で寝ると異世界の別人の身体で憑依し、五体満足で生活している。また、異世界で寝ると現代世界に目が覚めるが体の自由は利かない。
睡眠の度に異世界と現代世界を行ったり来たり、果たして、現代社会の俺は、元の身体に戻れる方法があるのだろうか?
そんな男の二重生活の冒険譚です。
毎週水曜日午後8時に投稿予定です。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
転生小説家の華麗なる円満離婚計画
鈴木かなえ
ファンタジー
キルステン伯爵家の令嬢として生を受けたクラリッサには、日本人だった前世の記憶がある。
両親と弟には疎まれているクラリッサだが、異母妹マリアンネとその兄エルヴィンと三人で仲良く育ち、前世の記憶を利用して小説家として密かに活躍していた。
ある時、夜会に連れ出されたクラリッサは、弟にハメられて見知らぬ男に襲われそうになる。
その男を返り討ちにして、逃げ出そうとしたところで美貌の貴公子ヘンリックと出会った。
逞しく想像力豊かなクラリッサと、その家族三人の物語です。
追放王子の気ままなクラフト旅
九頭七尾
ファンタジー
前世の記憶を持って生まれたロデス王国の第五王子、セリウス。赤子時代から魔法にのめり込んだ彼は、前世の知識を活かしながら便利な魔道具を次々と作り出していた。しかしそんな彼の存在を脅威に感じた兄の謀略で、僅か十歳のときに王宮から追放されてしまう。「むしろありがたい。世界中をのんびり旅しよう」お陰で自由の身になったセリウスは、様々な魔道具をクラフトしながら気ままな旅を満喫するのだった。
王女の夢見た世界への旅路
ライ
ファンタジー
侍女を助けるために幼い王女は、己が全てをかけて回復魔術を使用した。
無茶な魔術の使用による代償で魔力の成長が阻害されるが、代わりに前世の記憶を思い出す。
王族でありながら貴族の中でも少ない魔力しか持てず、王族の中で孤立した王女は、理想と夢をかなえるために行動を起こしていく。
これは、彼女が夢と理想を求めて自由に生きる旅路の物語。
※小説家になろう様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる