ダンジョンが生えた現実世界でおうちを守りたかっただけなんです！

０１０：

翌日、『ダンジョン管理人』という存在からメッセージが届いていた。

何処の老人なのかと言わんばかりの硬い挨拶から始まり、季節に関する感想やら当たり障りのない世間話がされた後にやっと本題が書かれていた。

【……。さて昨日眞守氏が戦ったリッチたちに関しまして、本来そちらのダンジョンで出現することのない魔物だったことをご報告させていただきます。本来ですとそちらのダンジョンはスライム専用で階層も５階層で終わる予定だったのですが、とある下級神の手によりダンジョン情報を改変されて階層が増やされていて５階層以降もスライム以外の魔物が出てしまうようになっております。
　こちらといたしましては改変されてしまったダンジョンをもとに戻したいところなのですが複雑な方法で改変されたようですぐには直せない状態となっております。改変により階層もかなり深く設定されており、今後攻略するうえで準備をしっかりとして万全な状態で挑むことをお勧めさせていただきたいと思います。
　またこちらの事情に眞守氏を巻き込みご迷惑をかけた事への詫びのしるしとしてアイテムや武具類をランダムで１０個得られるチケットを贈りますのでダンジョン攻略に役立ててください。

今回このような事態に巻き込んでしまい本当に申し訳ありませんでした　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ダンジョン管理神】


なんかのゴタゴタに巻き込まれた結果あのリッチが出たらしい。
しかも本来ならばあの５階層で攻略できていたと…？！
やらかした下級神とやらに恨みを抱きつつ、詫びの品が入っているらしい【万能収納】を見てみる。
【詫びガチャ１０連】とどこかで見たような文面とチケットが入っており、それを取り出すと『使用しますか？』という声が頭に響いた。
こういうのは早めに使った方が良いだろうと『はい』と頭の中で返事をすると手に持っていたチケットが光となってはじけ、１０個の光の珠に変わった。
光の珠は順々にはじけてポーションや武具類の形になった。

・上級ポーション１０本セット
・万能薬１０本セット
・転移のブレスレット
・魔法の鞄（中）
・魔法のテント
・帰還の宝珠
・スクロール【符術】
・三日月の短剣
・錬金の書
・隠蔽の指輪

なんかまた頭を抱えるようなものが色々と出てきた。
回復系はあればうれしい。
でもそれ以外は人目に触れさせたら駄目な奴だと思う、

【転移のブレスレット…神龍の鬚を編んで作られたブレスレット。月の結晶と太陽の結晶を媒体として、一度訪れたことがある場所に転移することが出来るようになる。ダンジョン・地上と転移先に制限はなく、特殊な加工により魔力消費は全くない。装備者に触れている対象も一緒に転移することが出来る】

【魔法の鞄（中）…ウエストポーチ型の収納機能が付いた鞄。体育館程の収納スペースがあり重量は制限されていない。時間経過が緩いため肉や野草の劣化を遅らせる事が出来る。生きたものは収納できない】

【魔法のテント…一見すると小さめのゲル型テントだが中には空間拡張が付与されており見た目と中身の広さは一致しない。中には４畳ほどの個室が４つあり、その他に料理が出来るキッチンやリビングダイニング、それに広めな風呂とトイレまでもが完備されている。入室制限をかけることができ、また不審者の侵入を防ぐための結界を張る事もできる】

【帰還の宝珠…ダンジョン内であればボス部屋以外の場所から出入り口に戻る事が出来る。５０／５０】

【スクロール【符術】…戦闘系スキル【符術】を取得することが出来る】

【三日月の短剣…普通の剣よりも曲線が強い短剣。聖属性が付与されておりアンデッドに有効なダメージを与える事が出来る】

【錬金の書…錬金術で作ることが出来るもののレシピが乗った書物。スマホの画面に本を当てればその内容をスマホに移すことが出来、何処でも簡単に見る事が出来るようになる】

【隠蔽の指輪…完全なる隠蔽が行えるようになる特殊な指輪】

…絶対に人目にさらしちゃいけない奴ばかりだった。（二回目）
ブレスレットは一見黒い革紐に白と赤の石がついているだけなのに神龍素材とか！
魔法のテントは下手をすると我が家よりも快適かもしれない。
武具類はこれからの攻略で助かるけれど、自分のところのダンジョン以外では使える気がしなかった。

「詫びだから出る物もいい奴だったんだろうなぁ…」
嬉しいんだけどやっぱり頭を抱えてしまうやつだった。
「…頑張って攻略しよう…」
誰にもばれなければいいんだと思いつつ、出てきた品を【万能収納】に放り込む。
【転移のブレスレット】と【隠蔽の指輪】だけは残して。
「うちの学校がアクセサリーとか緩めでよかった…」
派手過ぎる物やつけすぎは注意されるけど、どちらもシンプルなのでつけたまま学校に行っても大丈夫だろうと思う。

疲れた。
でもまだ確認しないといけない物がある訳で―――。
「次は称号ボーナスの確認……」
これもこれで心が削られるのだ

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【名前】眞守まもり　鈴子すずこ
【年齢】１６歳
【種族】人間
【職業】-

【レベル】３８
【体力】６１０／６１０
【魔力】７９０／７９０

【スキル】
生活魔法　サーチ　魔力感知　魔力操作　料理　裁縫　隠蔽　偽装　恐怖耐性Lv.３　
【戦闘系スキル】
　体術Lv.５　小剣術Lv.３　身体強化Lv.４　剣術Lv.２　気配察知Lv.４　拳闘術Lv.３　結界術

【固有スキル】
　魔法の地図　万能収納　重奏魔法アンサンブル　看破の魔眼　錬金秘術

【ギフト】
　‐
【魔術適性】
火属性Lv.４　水属性Lv.３　土属性Lv.２　召喚術

【称号】
最速の侵入者　勇気ある者　宝物収集家トレジャーハンター　魔導の奏者　スライムの天敵　守護者初討伐者　ジャイアントキリング
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なんかアウトな称号によりアウトな能力が増えていた。
即【隠蔽】ですよ！！！

【守護者初討伐者…この世界に現れたダンジョンのダンジョン守護者を誰よりも早く討伐した者に贈られる特別な称号。【召喚術】【錬金秘術】のスキル・能力が得られる】

【ジャイアントキリング…格上の存在との戦闘で勝利した者に贈られる称号。敵対する対象とのレベル差が大きい時使用するスキル・魔術のダメージ＋２０％】

「順調に人をやめていってる感が…」
絶対に人に見られてはいけない内容だ。
見せることが出来るとしたら、探究者がダンジョンに潜るようになって階層も２０～３０階層あたりまで行くのが当たり前になったくらい……。
「一体いつになるんだろう…」
遠い目をしてボヤいてみた。
隠蔽の指輪もネックレスとして身に着けておけば効果が出る事は実証済みなので絶対に外さないと心に決めるのだった。