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「フィールド型、私みたいな特殊な地図能力無いと階段見つけるのきついですね…」
移動しては【魔法の地図】で階段の方向を確認しながら進む。
代り映えのない風景なので方向を見失いやすいし現在地も分かりずらい。
「確かにな…。前の時は仲間に探知系のスキル持ちがあったからそれで何とか進んでいた感じだったな」
「私達騎士には一応地図スキル持ちが居ましたからね…。まぁ我々がダンジョンに入るときはスタンピードの予兆が出た時とか緊急事態の時なので進むというよりも守って狩るというのが正しいのですけど」
それなりの工夫をしている事がわかった。
「確かにフィールドの階層に到達したところは攻略の歩みが緩くなっているようですね」
「コンパスとか使い物にならないらしいですからねぇ」
田淵さんと三橋さんが聞いていたことを実感したように言う。
これだったらなかなか進めないよな…という感じで。
「私はコタローが居るからなんとか勧めそうですよ」
「わふ!」
横田さんの言葉にコタローが任せて!と言うように吠える。
「田淵さん達はフィールド型イケそうですね」
尻尾をぶんぶん振りながら胸を張るコタローにみんなが癒される。
「きゅいきゅい!」
「ひん」
それに対抗意識を燃やしてかオニキスとサンドラも『任せて!』と言い始めるので撫でておいた。
「まぁ方向や現在地が分からなくなる点もありますけど、休憩がとりづらいっていうのもありますよね」
三橋さんはそう言いながらおにぎりに齧り付いている。
お昼時という事もありちょっとした広間でお昼をとっているところなのだ。
結界を張っているから魔物が何かをしてきても問題はない。
なんだったらおにぎり片手に魔術を放てば倒せてしまうお手軽さである。
「普通は何人かが食べて何人かが警戒してるもんなんだがな?」
「結界の魔道具は希少ですし使うにも相当の魔力を持っていかれますからね」
異世界組の二人は苦笑しているけれど。
「ご飯くらい落ち着いて食べたいですし」
「ここだけですよ…、ダンジョン内でこんなにのんびり昼が食べれるのって」
「そもそも日帰りでダンジョン攻略が出来るのも眞守さんのおかげですしねぇ」
転移が出来るのが一番恩恵が高いと思う。
「詫びガチャで出た超レアアイテムですからねぇ…」
眞守さんが居ないときは以前いただいたダンジョンから外に出るアイテムを使えばいいんですけどこっちは使用回数に限りがあるからあんまり使いたくないんですよね」
隠し部屋で見つけたアイテムやボスドロップ品で自分が使わないものはどんどん押し付けている現状である。
田淵さん判断と桜子さん判断で他に回しても良いものは売りに出し、一部は私に、残りはクランの貯金に回してもらっている。
全部持って行っても良いといったけれどそれは駄目らしい。
大金怖い。
「どう頑張っても階段まで5日はかかる距離なんですよね…。この階層凄く広いんですよ」
「5日か…。まだかわいい方だぞ?ひどいところだと砂漠で一か月なんて言うところもあったくらいだからな」
「あぁ、デザリア迷宮ですね。あそこはひどかった…」
どうやら入った経験があるらしいユリウスさんが遠い目をしている。
一体何があったのか気になるけれど聞ける空気ではなかった。
昼食を取り終えると再び進み始める。
見える風景は変わり映えのない平原なのに、気づくと狂暴な顔の魔物が湧いているからミスマッチ感が半端ない。
出てきた瞬間コタローとオニキスが競うように突っ込んで倒し、倒し損ねた魔物はサンドラがしっかりと処理してくれる。
数が多いと皆それぞれの持ち味を生かした配置で戦闘を開始する。
オークが多いのでお肉がいっぱいドロップするけれど、我が家は大食いがいっぱい居るので多くあっても困る事はない。
時間停止機能がある収納助かります。
倒したオークのドロップ品を拾い終わると不意に私のスマホが鳴った。
この世界にダンジョンが出来た際にダンジョン内に落として変質しどうやら魔道具になっていて、唯一外から連絡をつなぐ手段となっている。
普通のスマホだと外とのやり取りなんてできない。
「どうした?」
「白尾さんからですね。戻ってきてほしいと」
「何かあったんでしょうね。どうしますか?」
基本私はダンジョン関係の面倒ごとをスルーする事が出来る。
出来るんだけど――。
「あの白尾さんが絵文字を使うことなく普通の文面でメッセージを送ってくるって相当な事だと思うんですよね」
「…だな」
という事で戻る事になった。
一度家に戻り体を《クリーン》で清めて着替える。
気持ち的にはシャワーを浴びたいけれど急ぎ向かわなければならないのでしょうがない。
「今回は転移じゃなくて車出来て欲しいという事ですね」
どうやら田淵さん達の方にも連絡が行ったらしい。
「今日は俺も一緒に行くわ」
「私はいつでも一緒です」
先生とユリウスさんも一緒らしい。
オニキスは当然のごとく私の服のフードに入り、サンドラも小さくなって私の横にくっついている。
最強の布陣かもしれない。
うちからクランの事務所まで車で30分ほどかかる。
車中では何があったのかと落ち着かない気持ちをコタロー、オニキス、サンドラを撫でる事で落ち着く。
横田さんが羨ましそうにしていたけれど今は真面目な護衛勤務中なので涙をのんで我慢している状態らしい。
帰ったら存分に皆を撫でてください。
移動しては【魔法の地図】で階段の方向を確認しながら進む。
代り映えのない風景なので方向を見失いやすいし現在地も分かりずらい。
「確かにな…。前の時は仲間に探知系のスキル持ちがあったからそれで何とか進んでいた感じだったな」
「私達騎士には一応地図スキル持ちが居ましたからね…。まぁ我々がダンジョンに入るときはスタンピードの予兆が出た時とか緊急事態の時なので進むというよりも守って狩るというのが正しいのですけど」
それなりの工夫をしている事がわかった。
「確かにフィールドの階層に到達したところは攻略の歩みが緩くなっているようですね」
「コンパスとか使い物にならないらしいですからねぇ」
田淵さんと三橋さんが聞いていたことを実感したように言う。
これだったらなかなか進めないよな…という感じで。
「私はコタローが居るからなんとか勧めそうですよ」
「わふ!」
横田さんの言葉にコタローが任せて!と言うように吠える。
「田淵さん達はフィールド型イケそうですね」
尻尾をぶんぶん振りながら胸を張るコタローにみんなが癒される。
「きゅいきゅい!」
「ひん」
それに対抗意識を燃やしてかオニキスとサンドラも『任せて!』と言い始めるので撫でておいた。
「まぁ方向や現在地が分からなくなる点もありますけど、休憩がとりづらいっていうのもありますよね」
三橋さんはそう言いながらおにぎりに齧り付いている。
お昼時という事もありちょっとした広間でお昼をとっているところなのだ。
結界を張っているから魔物が何かをしてきても問題はない。
なんだったらおにぎり片手に魔術を放てば倒せてしまうお手軽さである。
「普通は何人かが食べて何人かが警戒してるもんなんだがな?」
「結界の魔道具は希少ですし使うにも相当の魔力を持っていかれますからね」
異世界組の二人は苦笑しているけれど。
「ご飯くらい落ち着いて食べたいですし」
「ここだけですよ…、ダンジョン内でこんなにのんびり昼が食べれるのって」
「そもそも日帰りでダンジョン攻略が出来るのも眞守さんのおかげですしねぇ」
転移が出来るのが一番恩恵が高いと思う。
「詫びガチャで出た超レアアイテムですからねぇ…」
眞守さんが居ないときは以前いただいたダンジョンから外に出るアイテムを使えばいいんですけどこっちは使用回数に限りがあるからあんまり使いたくないんですよね」
隠し部屋で見つけたアイテムやボスドロップ品で自分が使わないものはどんどん押し付けている現状である。
田淵さん判断と桜子さん判断で他に回しても良いものは売りに出し、一部は私に、残りはクランの貯金に回してもらっている。
全部持って行っても良いといったけれどそれは駄目らしい。
大金怖い。
「どう頑張っても階段まで5日はかかる距離なんですよね…。この階層凄く広いんですよ」
「5日か…。まだかわいい方だぞ?ひどいところだと砂漠で一か月なんて言うところもあったくらいだからな」
「あぁ、デザリア迷宮ですね。あそこはひどかった…」
どうやら入った経験があるらしいユリウスさんが遠い目をしている。
一体何があったのか気になるけれど聞ける空気ではなかった。
昼食を取り終えると再び進み始める。
見える風景は変わり映えのない平原なのに、気づくと狂暴な顔の魔物が湧いているからミスマッチ感が半端ない。
出てきた瞬間コタローとオニキスが競うように突っ込んで倒し、倒し損ねた魔物はサンドラがしっかりと処理してくれる。
数が多いと皆それぞれの持ち味を生かした配置で戦闘を開始する。
オークが多いのでお肉がいっぱいドロップするけれど、我が家は大食いがいっぱい居るので多くあっても困る事はない。
時間停止機能がある収納助かります。
倒したオークのドロップ品を拾い終わると不意に私のスマホが鳴った。
この世界にダンジョンが出来た際にダンジョン内に落として変質しどうやら魔道具になっていて、唯一外から連絡をつなぐ手段となっている。
普通のスマホだと外とのやり取りなんてできない。
「どうした?」
「白尾さんからですね。戻ってきてほしいと」
「何かあったんでしょうね。どうしますか?」
基本私はダンジョン関係の面倒ごとをスルーする事が出来る。
出来るんだけど――。
「あの白尾さんが絵文字を使うことなく普通の文面でメッセージを送ってくるって相当な事だと思うんですよね」
「…だな」
という事で戻る事になった。
一度家に戻り体を《クリーン》で清めて着替える。
気持ち的にはシャワーを浴びたいけれど急ぎ向かわなければならないのでしょうがない。
「今回は転移じゃなくて車出来て欲しいという事ですね」
どうやら田淵さん達の方にも連絡が行ったらしい。
「今日は俺も一緒に行くわ」
「私はいつでも一緒です」
先生とユリウスさんも一緒らしい。
オニキスは当然のごとく私の服のフードに入り、サンドラも小さくなって私の横にくっついている。
最強の布陣かもしれない。
うちからクランの事務所まで車で30分ほどかかる。
車中では何があったのかと落ち着かない気持ちをコタロー、オニキス、サンドラを撫でる事で落ち着く。
横田さんが羨ましそうにしていたけれど今は真面目な護衛勤務中なので涙をのんで我慢している状態らしい。
帰ったら存分に皆を撫でてください。
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