どうしよう、俺の公子様がXXに。

小夜時雨

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本日のお遊び相手は? ドキっ、お姉さん、じゃなかったモブおじさん!の巻1

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 僕が外出するルーティンは概ね決まっている。
そのせいで、いや、僕が最近、ブンブン腕を振り回して準備していたせいかもしれないが、僕の使用人は主人の動きを察していたものらしい。ヴォル家の寝室から出てくるモブおじさんを目撃したというのに、ルフスさんは、
 
 「俺もついていきます、リヒト様」

 僕の正体を看破したのである。

 「……よくわかったね、ルフスさん」
 「ふふ。リヒト様のことは逐一、
  学んでおりますから」

 何を?

 「きっとこの日がやってくると、
  わかっておりました。指折り数えて……。
  俺もきっと役に立ちます。連れて行ってください」
 
 (ええぇ……)
 と思ったが、とても熱心にモブおじさんである僕に真面目にお願いしてきたため……。
時間も押してるし……力瘤を見せてくれるルフスさんだけど、うーん。まあ、確かにルフスさんは妙にパワーはあるんだよね、すらっとしてる割に。自分の身ぐらいは守れる、とは思う。万が一も考えて……ううん。まあ、大丈夫だろう。変なやつはいないらしいから、あちらの警備も。

 「じゃあ……手伝ってもらおうかな……」
 「ありがとうございます!」

 さて、鳩氏協賛のもと、怪しい人たちだよ、現地集合を行う。
鳩氏協力者たちは、この若い兄ちゃん誰だよ、という視線を無遠慮にルフスさんに向けてたけれども、僕の協力者だよ、と言えばなんとはなしにその視線も逸らされる。見目は悪くないので、今回の作戦に役立つ、とでも思ったのかもしれない。考えてみれば、ルフスさんはとても魅力的な外見ではあるのだ、見慣れてるから忘れてたけど。
 さて、協力者の協力も得られたことだし、こちらほんわかお兄さんと一緒に、加害者Fへのお家訪問、である。

 「ずいぶんと大きなお屋敷ですね、ぼっちゃま」
 「うん」

 さすがに本名では差し障りがあるため、僕への呼び名はぼっちゃまで統一されている。
ひそひそと、僕とルフスさんは会話をする。
 裏口に回り、ノック。
響く音、ドアノブが回る音。扉がギギギ、と小さく軋んだ音を立てて開かれる音……。
 (ドキドキ)
 いつもは突撃! ボコボコ記憶をなくすまで僕は殴るのをやめない作戦ばかりなので、こういった知能犯的な犯行は僕としても緊張する。
 出てきたF家のいかつい用心棒の風体をした獣人は、僕たちの顔や姿をじろじろと無遠慮に見つめて紹介状を読み込んだあと、

 「入れ」

 と、適当のあしらってきた。
よし。

 (さすがは鳩氏)

情報を取り扱うグアラン家の鳩なだけある。おかげで加害者Fの家の中をまるで透き通る水の中のごとく、すいすい泳げる。護衛兵もぬるい、ってことも承知済み。

 「場所はわかってるだろう?
  勝手に行け」

 (睡眠剤を夜食にいれて、とか考えてたけど、
  そこまでしなくても目的達成できそう)

 こちら側の息がかかった獣人を雇わせるか、という案もあったにはあったが、そこまで細かく詰めなくても別に……ボコればいいし……というか面倒だからさくっと……という二者択一に絞ったため、今回は鳩氏提案の侵入方法を採択したのである。もちろん、これも最終目的のためでもあるから……仕方ないね、うん。楽しんでないよ、僕。
 
 す、と顔をあげて見渡せば、うん。

 さすがにヴォル邸には遠く及ばないけれども、貴族としては真ん中ぐらいに位置するFにはそこそこの……資産はあるんだろう。まあまあ、な調度品があちこちに点在してキラキラとその黄金を輝かせている。壺だ、でかい。花も一応、刺さっている。彩りがどことなくドロドロとしている感じがして嫌な雰囲気なのは僕の心象なのかも。

 鳩氏協力者たちも忍び、忍びとそろそろとあたりを警戒しつつ、僕をとある場所へ誘導しようと進み始めたので、僕もついていく。ルフスさんも。僕たちはマントをかぶっているので、通りすがりに顔を見られることはないだろうけれども、念の為、屋内でも顔を隠している。さらには僕は隠蔽能力を使っているので余計に気づかれないであろう。

 階段を進み、夜を照らす灯りから逃げるように歩みを続けていき、そうして、該当者の部屋へとたどり着いた。あらかじめ知らされていた通りだ。僕の能力でもっても、壁越しからでもわかった。

 いる。
加害者Fが。
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