どうしよう、俺の公子様がXXに。

小夜時雨

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決定事項

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 はじめはどうにも、嫌がっていたそぶりをしてみせていたフリードだったけれども、失敗した壁ドンを通り越してお願いしたら、あっという間に教えてくれた。多分、それでも、すべてではないだろうけど。

 「リヒト様は上目遣いの達人ですね」

 とは、ルフスさんの談である。
僕の失敬な壁どん(物理)ですら目撃していたそうだが……それは最初っからでは?

 「身長差がありますからねえ。
  懐にかき抱いているリヒト様の、
  可愛いらしい仕草にしてやられたのでしょう。
  さすがです」
 「……それ、褒めてる?」
 「褒めてますとも」

 にこやかに会話は締められたが、それはそれでどうなんだろう。
ルフスさんはウキウキで旅行カバンの中身の入れ替えをああでもない、こうでもないと忙しそうにして僕の部屋から出ていった。

 「はぁー……」

 ずるずる、と貴族子息らしくないだらしない格好で椅子に座る。




 しばらくすると、この薄暗い僕の部屋に、いつものハイパー執事がやってきた。
ニコニコとしているが、なんだろう。さすがに体裁が悪いので座り直している。

 「どうしました?」
 「はい。ご主人様からの日程のご予定をお伝えいたします」
 「あー、決まったんだね」
 「さようでございます」
 
 ヴォル家筆頭執事も、ことさらに調整に時間がかかったようだ。

 「お疲れ様です」
 「ありがたきお言葉」

 今回の旅程は、さすがに同行者がいるだけに、関係各所への話のもっていきように大変苦労したようだ。
なんたって極秘旅行である。ある意味。

 「王陛下にまで話がいっちゃったもんね……」
 「はい。今回のことについて、
  ちょうど良いからとのことで。
  ですが、今までご主人様はお休みをいただいていなかったのですから、
  その兼ね合いもあるのでしょう」

 どうやらこの国には有給、という考え方がちょっとはあるらしい。ちょっとは。
そう、僕の婚約者であるところの、フリードも、僕と一緒に成敗……いや、旅行についてってくれることになったのである。

 「一粒で二度美味しい、とはこのこと」

 一人ごちる。うん。
幸い、対抗馬の権力者であるヴォル家の公子様が印籠のようにいてくれるので、もし何かあったら助かる。

 (あの、なんだか見境のなさそうな、
  それでいて妙な感じの獣人の王様も、
  なんだかんだであの領地のことについて
  気にはしているようだし)

 国からのバックアップも万全、のようだし、一応はお忍びではあるので不足がないようにしてくれるのは大変大助かりだ。

 (もし僕に何かあれば、
  という可能性もなきしにもあらずだからね)

 そういう場合、も少しは考えてはいるし、うん。大丈夫だ。
 今回は大貴族の領地における問題だから、国からの干渉はばっちこいである。
その糸口になれば幸いだ。証拠も見つけたいし見つけられなくても、根幹を破壊しておけば大丈夫だろう。蛇口の元をなんとかすればなんとかなるものである。

 (あの薬の出所もね)

 僕の二の腕も大いに唸るというものである。ぐるんぐるんと。
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