どうしよう、俺の公子様がXXに。

小夜時雨

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(ルフスさんも来てくれるそうです)

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 うっすらと差し込む光は柔らかく、薄暗い部屋をほんのりと明るくさせた。
朝は良好の旅日和。お出かけするにはもってこい、の良き門出である。
 朝は弱い僕なので、ぼうっとしている合間にルフスさんがすべてをやってくれたけど……彼には、大いに頭が上がらない。

 「いえいえ、俺の仕事ですし」
 
 と言われておしまいだが、ヴォル家にくるまでは庶民にほど近い貴族であったので……他人に世話されるのに慣れれるの早すぎでは? と自問自答している。
 
 (下着まで手入れされてるし)

 なんだか第二のカーチャンみたいだ……。
ビシッとした使用人の服をすっかり着こなしている美容部員なんだけどね。その実態は。
ルフスさんはこだわりが強いタイプらしく、お洗濯の水ですら硬質だか軟式だかまるで野球みたいなことを言い始める程度にはプロ意識が高い。僕は汚れがとれて見栄えがそれなりに、人に迷惑がかからない程度なら別にいいや、っていうごく一般的男子な考え方なので、ルフスさんみたいなこだわりタイプにとってはさぞ、鍛えがいのあるお荷物だろう。普段から僕の格好は上から下まで、ルフスさんチョイスです。
 
 (最初に出会ったときの、あの廃退的な雰囲気が一気に消えて、
  今やキラキラなお兄さんになって生き生きとして生活している)

 苦労しっぱなしの人生を送ってきただけに、どんなことにも対応できるし、親切で時々謎な言動があるけど、ハイスペ兄さんだと思う。

 「さ、忘れ物はありませんか? 
  お運びいたしますよ」
 「うーん、もう、ないかな。多分」

 最終確認をしているルフスさんの仕事の邪魔をしないよう、僕はヴォル邸の玄関ホールへと続く廊下を進む。
僕が婚約者として認識を正式にされた途端、もう、この邸宅では僕がどこに行こうがどこの部屋にいようが別に気にもしないような雰囲気にはなっているし、僕自身もそうするべきだと使用人たちとの交流も図ったため、そう悪いようにはされてはいないのだけれども、あの薄暗い部屋がやはり、僕にはぴったりだなあ、としみじみ思う。

 (外出しやすいし)

 勝手にね。
もはや裏玄関みたいな部屋である。ある意味。
 ハイパー執事には別の部屋へ、公子様の部屋へ、という誘いがあったけれども僕は断った。
まだ結婚すらしていないのに同室なのは嫌だし、何かあったら僕が疑われそうだし、たまに行くだけでちょうどよかった。じっとりとした視線を感じるけれども、フリードは本当にその道のエキスパートだからいけない。僕の方が淡白だなって思う。あんまり一緒に良すぎると僕の方が先に参ってしまいがちというか。

 (年齢は僕の方が若いのにおかしいな)

 そう思うけど、こればかりは個体差だから仕方ない。
もやもやとした考えをぐるぐると悩んでいてもしょうもないので、さて、ご当人のところへと行くか。

 「リヒ」

 彼もまた荷物の間に立っていて、荷運びの使用人たちが忙しなく行ったり来たりしている。
健康的にツヤツヤ肌の彼を目の当たりにし、うん、昨日は応えなくてよかった、と改めて思う。
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