どうしよう、俺の公子様がXXに。

小夜時雨

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埋めたらしいよ、一応(騎士たちが)

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 どうせエンバスの領主は「自分ではない」「勝手に奴らがやったんだ」「関係ない」の三拍子を繰り返し発言することは想定内、血の匂いは早く消してしまおう、死体を荒らされるのもよろしくない、という結論に至り、お亡くなりになった獣人たちは道端で埋め埋めすることになった。

 騎士たちを中心に、あっという間に出来上がった穴に埋没させられる彼ら。

 かろうじて生き残った獣人たちの目は警戒心丸出しで座り込んだままこちらを伺っているが、何をいうでもなく、ただ息苦しそうに口輪と足枷を甘んじて受け入れて静かにしている。

 (……特に、仲間への祈りとか、
  そういった態度を示すことはなさそう)

 なのは、怪我をしているというのに冷静な表情、なように見えるからか。
明らかに訓練を受けたものの動きをしてみせていたので、もう隠しようもないが、こちら側にチクる気もなさそうだ。ふてぶてしい、ともいう。

 (幸い、怪我した騎士たちもいないようだ)

 もちろん、フリードも。
いや、仕留めた半分は公子様なんだけど、本性露わにしたらさすがに強かった。

 (……もし、僕と戦うことになれば)

 多分、僕は手加減ができないから……怪我させてしまうかもしれなかった。
それぐらいは素早い動きでもって、手数でもって相手をてんてこ舞いにし、人数を減らしていった。

 ……さて、どこからともなく用意していたらしいスコップや獣人としての本性でもって現場を元通りにした我々は、エンバスの目的地へと足並み揃えて進むことなった。
 馬車に乗る前に、一応ルフスさんの様子もみたけど、まったくもって気にもせずに僕の上着についた血を見て、
あー、血糊、なかなかとるの大変なんですよね、などと歴戦の勇みたいなことを言っていた。
 彼の場合、出血は肉体言語の夜、のことらしいので、深くは突っ込まないことにした。悲惨な現場もまた、別の面であることを知った僕は、何も見なかったことにして景色を……。
 
 「うう……まただ」

 気配が、付き纏っていた。

 「フリード」
 
 振り返ると、ため息をついたフリードが、何やら思案顔だったけれど。

 「……これ以上、時間が遅れることは良いことではありませんね」

 と一言。
 とんとん、とこめかみに人差し指を当てて、
 
 「仕方ありません。
  前もってエンバス領には文章でもって来訪の旨を伝えていたことが、
  こうしてアダになるとは思いもよりませんでしたが、
  いまだにエンバスでは自分が王であると、甚だたかを括っているようです。
  ……この大陸でもっとも強いと自惚れている獣人ほど、
  情けないことはありません、リヒト」
 「うっ」

 (やめて、それは僕に効く)
 異世界で生まれ、自分は強いと若干の中二病的な考えをもっていた黒歴史を思い出してしまうから……。

 「……?
  どうしました、リヒ」
 「な、なんでもない……」

 そりゃあ、強かったもんね、僕……。
 誰だって鼻高々になるよ。なんと華々しい過去。ああ、輝かしいな、昔の僕は小さい王様だったよ……。暴れん坊、というほどではないが、家族に迷惑をかけてたのは間違いない。どこまでも通用するか、そりゃあ、気になるからね、子供時分のの万能感ほど恐ろしいものはない、たとえそれが異世界に転生したとしても。くっ。
 (そんな僕の過去は置いといて)
 僕は過去を振り返らないよう、頭を振って、的確な精神攻撃を振る舞ってくれた彼を前にしてまずは受けごたえをする。
 
 「ごほん!  
  ……まあ、エンバス領主どのは、その。
  生まれながらに嫡男だったし、
  なんでも許されただろから、
  ……暗殺者を送り込んできてもおかしくは……、
  おかしいけど」
 「宣戦布告だ」
 「あ、うん。まあ、そうなるよね……」

 現実は、さすがに厳しい。権力者だもの、自由には責任は伴うものである。
  
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