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2話
しおりを挟むきん、と冷えた空気が頬を撫でる。
その冷たさに千代はぶるりと震え、布団を引っ張り顔を埋める。
体がごそごそと動きにくいことも気になった。
「……ん……」
千代は寝返りを打ち、ぼんやりと瞳を開けた。
(寒い……エアコン、タイマーし忘れたっけ……あれ?でも夏祭りは……)
顔を布団にうずめたまま枕元に置いてあるはずのエアコンのリモコンを探すが、それらしいものは見つからない。
何よりこの寒さは経験したことのないほどで、とても布団から出られない気がするのだった。
「痛……っ」
千代は普段痛まない背中の痛みに、そういえば体を打ち付けられたあと、ここに運ばれたのだということを思い出した。ゆっくり体を起こし、布団を肩からかけてくるまる。毛布がないことに気づいて寒いのも当然だと納得した。
あれほど痛んだ体も今は嘘のように回復しているようで、少しばかり痛みは残っているものの、どこを動かしても関節の軋みがなく、息苦しさや視界、聞こえの異常もない。
とりあえず今自分の体は大丈夫なのだ、と確認すると、千代はほっとして顔がゆるんだ。
己の意志が伝わらない、動かないというのはそれほど絶望感が伴った。死の淵というものから、ようやく自分を取り戻した。そんな気がするくらいだ。
千代が周りを見渡すと、雨戸が閉じられているのか、外からの光は隙間から細く差し込んでいる。外の様子は分からない。しっかりと閉じられた暗い部屋は監禁を思わせるには十分だ。
体が痛むものの、昨日ほどではなかったから、周りを見渡した。
そして暗い場所に目が慣れて来ると、目の前にある見慣れないインテリアじっと見つめた。
(明らかに平安時代の几帳とか御簾だよね……)
窓がないから外の様子は分からない。でも光が入ってくる、ということはどこかにあるはずだ。
ぼんやりとそう思いながら、眠る前のことを思い出す。
恐怖に包まれたあの瞬間、自分は死ぬのだと絶望した。けれどあの金と赤を纏う女の気弱な様子はからすればまだその可能性がなくなったわけではないのだろう。
こうして監禁、というだいぶ怖い想像もしたわけだが、手足は拘束されているわけでもなかったし、寝具に寝かされているし、荷物も傍らに置いてある。鞄を開けてみると、特に今までと変わりなく、夏期講習のテキストとノート、とりあえず突っ込んだビラとティッシュ、筆記用具に簡単なメイクポーチ、スマホと電子辞書、暇つぶしの小説が一冊入っている。
スマホの電源は入っていたが、通信はオフラインになっていた。
冷房対策で持っていたカーデは調度品にかけてあり、シャツとボックスプリーツのスカートはそのまま着ていたので、おそらく取り上げられたものはないはずだ。すると、少なくとも悪い意味での監禁ではないような気がしている。
雨戸らしいものを開けて外を見ようとしてみると、そこに窓がないことに気づいた。カーテンも、ブラインドもない。
木製の戸のようなものがあるだけで、ガラスがない。
とりあえずその戸を開けようとするが、どうも開け方が分からず、ガタガタと音が鳴るだけだった。
「起きられましたか」
まさか誰かいるとは思わず、千代の心臓は文字通り飛び跳ねた。薄暗い部屋の中に、あの光輝く不思議な髪色の女が戸を開けて入ってきたのだった。
「一晩お休みになって体は動くようになったのですね。まずは体を拭きましょう。お水も飲んだ方がいいでしょうね。今お持ちしますのでもう少々お待ちください」
女はそう言うと千代は部屋から出ないように、と言いつけて出て行った。
女出て行った先には庭のようなものが見える。そして千代は視界に入った外を見てただ驚く。
静。
庭は真っ白な雪が積もっている。
不思議と、日常生活の音が何も聞こえない。
車の音、踏切、テレビや、行き交う人の歩く音。
これほどの大雪なのに、雪かきの音すら聞こえない。雪が降ったから人が外に出ておらずに静かなのか、やけに人の存在が希薄な空気だった。
「いや、あの、ここはどこ……?私はどうしてこんなところに」
昨夜のことを思い出す。
お祭りでかき氷を買って食べながら歩いていた。
肩にかかえた鞄は重くて食べづらく、どこか座ろうとしてみんなで座る場所を探していたのだ。そうして神社の参道まで差し掛かって、神楽堂では奉納舞がされていた。
お祭りのメインである。
こちらの方は神社関係者や氏子と思われる人々が昔ながらの祭を執り行っているのだ。千代たちはそこまでの事は知らず、ただ人が少ない方に歩いてきたらたどり着いた。
境内はぼんやりとした提灯のあかりに包まれ、篝火も焚かれている。祭独特のある種神聖な空気の中に足を踏み入れていたのだった。
けれど現在ではこの神社から最寄の駅までずらりと連なる露店や、最寄駅からの歩行者天国にある特設ステージでのイベントの方が人が多く、お祭りそのものよりも縁日やイベントの方が盛況だった。
千代たちが境内の隅にある石に腰を下ろし、遠目に奉納舞を見つめる。巫女装束の女性が二人で優雅に袖を揺らし、鈴を鳴らす。その後ろには太鼓や笛などを持った人が袴姿で演奏していた。
ふと、空間が歪んだ。
一瞬のことで、思わず目をこする。午後からずっと机にかじりついていたのだ。目が疲れるのも当然で千代は目薬を挿そうとかき氷を傍らに置こうとした時だった。
ぐっと重力が増したかのように足から、肩から感じる圧力が急激に増す。ずしん、と内臓に響くその重さは未知のもので、千代は何も反応できないでいる。
体は重石を置かれたように身動きが取れず、歪んだ空間もそのままで何が起きているのかさっぱり分からず、だんだんと千代は混乱していく。息が上がり、鼓動が早鐘を打つ。鼓膜までぐっと何かを詰め込まれたように音もだんだんと聞き取れなくなっていた。
すると足元がさらに強く地面に引っ張られるような感覚に息を飲む。
隣にいる悠のことは歪んでいてよく見えない。遠目の神楽殿もだ。聞こえていた舞の音も、鈴の音も、篝火の灯りも、遠く遠く小さくなっていく。
ふっ、と足元に地面の感覚を失い、見て見るとそこには闇があった。そうしてそのまま引っ張られるようにしてその闇に落ちてしまったのだ。
(そうして昨日、良くわからない場所に落ちてしまったわけで、結局ここはどこなの……)
異形の女、平安時代の装束に調度品。およそ千代の日常とは結びつかない状況はただ混乱しかない。
夏だったはずが一面の銀世界だ。
祭で感じたあの大きな圧力は一体なんだったのだろうか。闇に落ちたという感覚がそもそも正しいのか、千代は何一つ把握できないでいる。
昨夜よりも恐怖が薄らいでいるのは、おそらく私物が何もなくなっていないことや今が朝という明るい時間であることもあるだろう。千代は自分がおかれた状況を冷静に考えようとつとめていた。
「持ってまいりました。こちらへ」
布のパーテーションに囲まれたスペースに入ると、冬の水そのままに凍えた水が張られた盥があった。錦は千代に堅く絞られた手拭を渡す。
「……あの、ここはどこなんでしょうか。私は、帰りたいんですが」
「私は錦、と言います。その様子ではお寒いでしょうから、まず着替えましょう。お話はそれから致します」
錦、と名乗った女は、昨夜と変わらず赤から金のグラデーションの髪を揺らしている。話をする、と言われ、千代は今すぐ何かの危機があるわけではないと感じた。しかし、かと言って渡された着替えというのがどうにもおかしい。それは和服なのだ。確かに今千代は制服、それも夏服だが、こんな着物を渡されたところで自分で着られるはずもない。
「あの、着方分からないし、単純に帰りたいので」
「私がお手伝いいたします。それと、帰ることはかないません」
「え?」
「あなた様はこれから東宮様の元へと入内なさるのです」
「じゅ、じゅだい……?」
聞き慣れない言葉に千代は全く理解ができない。その様子に錦は大きくため息をつく。この少女は、本当にこの「今」の事を何も知らない「未来人」なのだ、と錦は納得がいった。
「東宮様と……なんと言ったらいいでしょうか。添い遂げる、というか」
「添い遂げる?……あ、入内って結婚ってこと!?無理でしょ。私未成年っていうか高校生だよ。結婚できる年齢じゃない」
「おいくつですか?」
「十七」
「十分でございます。さあ、覚えることが沢山ありますので」
「え、待って十分って何?十七は結婚できないし、ここはどこなの?」
「ここは大納言家のお屋敷にございます。あなた様は生き別れた大納言様の姫、ということになっております」
「だ、だい、大納言??」
「あなた様は未来から呼ばれたと聞いております。どのくらい未来なのか存じませんが、あなた様のいた時代よりここは『過去』になるかと」
「か、過去――」
千代は周りを見渡して、見たことのあるそれらが教科書や参考書の中で見たものとだいたい一致する。そしてそれが現実としてあることに錦が言うことの信憑性が増してくる。
何より外は銀世界。夏祭りのあのじめじめとした暑さが感じられない。突然気候が夏から冬になるだろうか。いくら最近は異常気象なんて言われても、季節がたった数時間で入れ替わることなどあり得ない。
確かめたいことが山ほどある。そもそもここは、本当に過去なのか。
部屋に閉じ込められているような状態だったため、庭以外を見ていない。―外を見ていないのだ。
「この目でちゃんと見たい。外に行って街をみれば……」
多少は納得するかもしれない、と千代は思った。
外にはビルや電線、派手派手しい看板や、うるさい工事、見慣れたものは山ほどあるはずだ。こんな閉鎖的なところで何かを言われても説得力はない。
「いいでしょう」
意外にも、それは快諾された。
千代も少しばかりそれを反対されるものだと思っていたが、どうやら錦は柔軟性がある人であるらしいことが分かった。
(外に行けば、見慣れた光景のはず…)
千代はどうやってこの屋敷から抜け出し、逃げるのかを考えてみるが、当然そんな経験はないのでよい方法など思いつくわけがなかった。
とりあえず、スマホをスカートのポケットに忍ばせる。
外は雪だったが、夏祭りの時にこちらへ来てしまったため、上着がない。エアコン対策のカーデをとりあえず着ておくことにした。
そのうえ錦が上に羽織るように、と着るものを肩にかけてくれた。
「烏丸」
錦がそう言うと、ばさり、と音がする。
庭先に舞い降りたのは、それは大型の烏、というには言葉が足りないほどの大きさだった。
「乗ってください」
千代はそこに乗るのに躊躇した。
それは大きな烏だ。黒光りする羽が美しく、黒い瞳は濡れたように艶やかだ。
「待って、これに乗るの?あの、外に行くって徒歩とか、車とかじゃなくて?」
予想外の乗り物に千代は面食らった。
動物に乗った事など、幼い頃ふれあい動物園でのポニーしかない。それも大泣きしてしまったくらいには動物は苦手なのだ。
「あの、歩いていきたいのだけれど……」
「この雪の中で歩くのはちょっと無理でしょう」
しんしんと降り積もる雪は、見ている分には美しい。
けれど庭に出てみて思ったのは、足首が埋まるくらいには積もっている、ということだった。
スニーカーで歩くにはかなり厳しい。
それでも黒光りする背中に乗ることを躊躇っていると、先に乗っていた錦が腕を引いてから千代の体を引っ張り上げてしまった。
動きにくそうな平安時代の服からまたちょっと違う感じの服に変わった錦が、女とは思えない力を発揮して千代はますます動揺する。
それでも乗せられてしまった烏丸の背中は馬よりも大きく、跨いでちょうどよく安定して座っていられるだけのスペースが烏丸の背中にはあった。
記憶にあるポニーよりは安定感があるが、手綱がなく、つかまるところがない。この烏に乗っている間はしがみつくしかないらしい。
「こうして、この辺りの羽をつかんでください」
「ちょ、は、羽なの!あと、なんか……不安定」
「私が後ろから支えますので」
この大きな鳥の背中で果たして安全にいられるかも分からず、乗り慣れていそうな錦のいう事をきくしかなかった。
「烏丸、飛べ」
錦の声に烏丸は羽を広げ、大きく羽ばたいた。
その羽はゆうに十メートル近くあり、勢いよく飛び上がるとすぐにスピードに乗って上昇した。
気性が荒い、と言っていただけあって、乗っている人間のことは気にしないらしい。千代はしがみついていなければ振り落とされてしまうほどの勢いだった。
雪降る中、見えてきたのは街だった。否、街と言っていいのかさえあやうい。眼下に見えるのは、ほとんど白く、街と山の区別がつかない。
けれど、確かにどこにも文明的なものが見当たらなかった。
電線、線路、舗装された道路と車、ビルや看板……あれほど溢れていた、千代のよく知るものが何もない。
雪に埋もれた道、平屋というべきなのだろうか、二階建ての建物すら見当たらない。
街の周りはずっと山々に囲まれ、川も見える。
道路、というにはだいぶ心許ない、泥の道があるだけで、けれどどれだけ探しても車の一台もなかった。視界にうっすらと白く浮きあがる街。けれどそれが街かどうか判別できるはずもない。
眼下に広がる白と灰色の街にはおよそ近代的と言えるものがない。
そうして一回り空を駆けた後、部屋に戻った千代はぽつり、とつぶやいた。
「納得、というより、作り物にしてはさすがに規模大きすぎて信じる気になってきた……」
部屋に戻った千代は、錦が用意してくれたあたたかいお湯で体を温める。
はっきり言って、それは気休めにもならないほどに体は冷え切っていた。
かじかんだ指先をこすり合わせて温める。
がちがちと震えるのは寒さだけじゃない。押しつぶされそうな不安が千代を襲っている。
(本当に……過去……)
千代は自分の鞄をひっくり返して日本史と古典のテキストやノート、運よく資料集も見つけた。それらを見ながら錦の話に耳を傾ける。
「大納言様は内裏での影響力をなんとかして得たいがために、姫を探しておりましたが、あいにく大納言様には姫がおりませんでした。方々伝手を探し回ったようなのですが……。そして結局、呪術師に人を未来から召喚する秘術がある、と知りそれであなた様がこちらにいらしたのです」
「……秘術?」
「いにしえの頃、いけにえを召喚していた術のひとつだと聞いたことはありますが、詳しくは分かりません」
大納言、几帳、御帳台、女房装束……ぺらぺらとめくっていた資料集を見ながら、そう言えばこの頃は娘を帝に嫁がせて男子が生まれれば外戚として影響力が増す、っていうやつだった、と千代は思い出した。
この程度のこともすぐに出てこないあたり、千代が目指している大学への合否判定がCのままであることがこんな時代で腑に落ちてしまった。
時間を越えたとなれば帰る方法がひとりで見つけられるはずもない。外は真冬となればここにいればかろうじて寝食は確保できる、と思えば、しばらく言うことを聞いていてもさして問題はなさそうに思える。
世話をしてくれるこの錦、という人ではない女も、千代を粗末に扱ったり、無視したりもしない。千代の言葉にひとつひとつ答えてくれるのだ。
(そう言えば、さっきのあの黒い大きな鳥に乗った時は別の衣装だったよね……)
「ねえ、錦さんは着ているものをぱっと替えられるの?」
「私の事は錦、とお呼びください。あなた様は姫であり、私の仕える人ですから。あと、服……、っと着るものですか。本来は烏丸に乗っていた時のようなものですね。これは私もお屋敷に合わせて着ているものです」
するとほわり、と錦のまわりが光に包まれたかと思うと、本来の、と錦が言う服装に変わっていた。それは資料集を見れば、奈良時代の服装に似ていた。
「……すごいね……。っていうか、人、じゃないよね?それとも平安時代の人はみんなこうとか?」
「神通力で服装は変えられるのです。私は、元々木に宿る精霊のひとりでしたので、変化することは難しくはなかったのですが、今は半分人になってしまったので、あまり複雑な変化はできなくなってしまいました。ですので、髪だけはどうにもこのままで」
「はんぶん、人……」
唐突に明かされる錦のことに千代はあっけにとられてしまった。神通力、変化、半分、精霊……。
「そういうのって、秘密にしなくていいの……?」
「あら?そうですか?案外、人に紛れて暮らしている神も妖もいるものですよ」
にっこりと言う錦に千代は何も言えなかった。
「そう言えば、まだお名前聞いてませんでしたね、何というお名前ですか?それとも、あらためて名をつけますか?」
「名前、つけていいの?」
「あなた様のことは私と呪術師、大納言さましか分かりませんので、あんまりこの時代にそぐわないお名前でしたら変えるしかないと思うのですが」
「……千代。そのままでいい」
「分かりました千代姫」
「……ひ、姫……」
これまで呼ばれたことのない姫という言葉に、千代は面食らってしまった。
◆
「無理、わかんない」
「入内されたら、私はそばにはいられませんから、しっかりなさいませ」
千代は錦からこの時代のさまざなことを教えられてはいるが、まったく身が入らないままだった。大納言の目的が入内であるなら、殺されるとか物騒なことにはならないだろう、と千代は考えている。命あっての物種、元の時代に戻るためだ。
その手掛かりはないまま間もなく一週間になる。
家は、家族はどうしているのだろうか。
一週間も帰らないままであればそろそろ捜索願が出されていてもおかしくはない。予備校や部活、他にも地元の友達だっている。戻った時にこの状況をどう説明したらいいのかもわからない。
スマホの充電を減らさないようにするためには電源を落とすしかなく、受験勉強しようにも錦によるこの時代の教育があり、夜に何かしようにも灯りが心もとなくて思うようにはかどらない。
仕方なく眠ろうと横になるが、模試の為に鞄に入れてあった腕時計は午後九時を指している。この時計があっているかどうかは正直分からなかった。
錦は確かに千代の世話をする。教育もしている。この時代の常識、文字、所作などだ。しかし、気安く話すということはない。丸一日一緒にいて、会話もしているがそれはすべて必要だから、教育だから、というものだ。命の危険がないと分かった千代にとって今足りないのは話し相手だった。
錦はどうしても教育係世話係である。令和の世の話など通じるはずもなければ、錦のことも何も分からない。摩訶不思議現象によって印が腕に刻まれたことも全く動じることもない錦にとって、心配することでもなく、また何か問題があったとしても気にしていないようだった。
(孤立無援……ほんとうにどうしよう)
結局、錦にとって千代は仕事の対象でしかない。千代の味方でないのだ。
千代は今になって底なしの奈落にいるような、立ちあがる地面さえないような不安定さに身震いがするのだった。
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