『お仕置き転生』に巻き込まれました

宙乃りるる

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「ん…くぅ…。」

ん…ここは?
目に入ってきたのは普段の見慣れた天井…ではなくまるで御屋敷のように綺麗でシミひとつない天井の高い白色の壁。横を見るとライム色の壁。こちらもやはりシミひとつない。
まだ眠気で上手く動かない体と頭を動かし、フラフラしながらも立ち上がる。

「なに…ここ…。」

部屋。部屋であることは分かるのだがあまりに広すぎる。
家具もとても豪華。

どこかの御屋敷…?
けれど、私は学校に行ったはず。
そして、先生が…。

もしかしてこれが『お仕置き』なのだろうか。
ならばどうして私まで。
そうあまりに大きいベットに腰掛けて思考する。

「ん、起きた?」

思考は、その声によって阻まれた。

「先生?」
「先生だよ」

先生の姿が目に入り、一瞬頭が真っ白になる。

「その姿…?」
「ん、あぁこれ?」

一見普段と変わらない姿。
けれど、先生からは狼のような耳と尻尾が生えていた。

「ま、君達が来たのはそーいう世界ってことよ!」

"そーいう世界"の一言でまとめられることでは無いと思う。
そう私が言うと先生は心底面倒くさそうに解説してくれた。

「つまり、ここはゲームやアニメとかで見る魔法等もある世界…と。
そして、まあお決まりのように人間と魔族は争っている。
私達は魔族側についてこの戦を止めないと帰れない。
これで合ってますか?」

先生の何回も脱線した長い話をまとめる。

「うんうん。合ってるあってる!
ま、そういう訳だから。他の子達にも解説してくるから待っててねー。」

先生はそう言うと、颯爽と部屋から出ていった。

けれど、そんなお話の世界だけと思っていたことが私に起きるなんて。
正直信じられないし夢かと疑ってしまう。

しかし、何故かすんなりと信じられる私もいる。
嫌、信じようとしてる、の方が正しいか。

まあその理由はかなり簡単だ。
元いた世界が嫌いだから。
両親は毎晩喧嘩ばかり。クラスでは虐められる。

正直戦など止められる気はしないが、別に戻れなくても構わない。
ならば夢なら夢で目覚めるまではこの世界を楽しんでやろう。
そう結論付けるが、一つだけ納得がいかない。

仮にこれが本当で、"お仕置き"なら。
どうして私まで巻き込まれたのだろうか。

どうせ先生の気まぐれだろうなとは分かっているが。
先生はそんな人だから。

けれどそんなことで納得出来るはずもなく、小さくため息を吐いた。
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