2 / 4
一章
一話
しおりを挟む「ん…くぅ…。」
ん…ここは?
目に入ってきたのは普段の見慣れた天井…ではなくまるで御屋敷のように綺麗でシミひとつない天井の高い白色の壁。横を見るとライム色の壁。こちらもやはりシミひとつない。
まだ眠気で上手く動かない体と頭を動かし、フラフラしながらも立ち上がる。
「なに…ここ…。」
部屋。部屋であることは分かるのだがあまりに広すぎる。
家具もとても豪華。
どこかの御屋敷…?
けれど、私は学校に行ったはず。
そして、先生が…。
もしかしてこれが『お仕置き』なのだろうか。
ならばどうして私まで。
そうあまりに大きいベットに腰掛けて思考する。
「ん、起きた?」
思考は、その声によって阻まれた。
「先生?」
「先生だよ」
先生の姿が目に入り、一瞬頭が真っ白になる。
「その姿…?」
「ん、あぁこれ?」
一見普段と変わらない姿。
けれど、先生からは狼のような耳と尻尾が生えていた。
「ま、君達が来たのはそーいう世界ってことよ!」
"そーいう世界"の一言でまとめられることでは無いと思う。
そう私が言うと先生は心底面倒くさそうに解説してくれた。
「つまり、ここはゲームやアニメとかで見る魔法等もある世界…と。
そして、まあお決まりのように人間と魔族は争っている。
私達は魔族側についてこの戦を止めないと帰れない。
これで合ってますか?」
先生の何回も脱線した長い話をまとめる。
「うんうん。合ってるあってる!
ま、そういう訳だから。他の子達にも解説してくるから待っててねー。」
先生はそう言うと、颯爽と部屋から出ていった。
けれど、そんなお話の世界だけと思っていたことが私に起きるなんて。
正直信じられないし夢かと疑ってしまう。
しかし、何故かすんなりと信じられる私もいる。
嫌、信じようとしてる、の方が正しいか。
まあその理由はかなり簡単だ。
元いた世界が嫌いだから。
両親は毎晩喧嘩ばかり。クラスでは虐められる。
正直戦など止められる気はしないが、別に戻れなくても構わない。
ならば夢なら夢で目覚めるまではこの世界を楽しんでやろう。
そう結論付けるが、一つだけ納得がいかない。
仮にこれが本当で、"お仕置き"なら。
どうして私まで巻き込まれたのだろうか。
どうせ先生の気まぐれだろうなとは分かっているが。
先生はそんな人だから。
けれどそんなことで納得出来るはずもなく、小さくため息を吐いた。
0
あなたにおすすめの小説
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです
ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。
転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。
前世の記憶を頼りに善悪等を判断。
貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。
2人の兄と、私と、弟と母。
母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。
ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。
前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
義妹がピンク色の髪をしています
ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで
六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。
乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。
ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。
有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。
前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる