『お仕置き転生』に巻き込まれました

宙乃りるる

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一章

二話

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あれから、ちょっと部屋を探索してみたが特に変わったものが無かった。
服の変えがあったら良かったのだが…。
制服のままはなんだか落ち着かない。

けれど、窓の外の光景は異様だった。
森。
ただの森ではなく、真っ暗な森。
太陽があがっていたので昼間のはずだが、それにしては暗すぎた。

「不思議な所だな。」

思わずそうポツリと漏らす。
それからもう一度部屋を見回す。
特に変わった所はもちろんない。

これからどうしたらいいのだろうか。
まさか、このままずっとこの部屋で過ごせ、なんてことは無いだろう。
何よりこの部屋は大きすぎて落ち着かない。

そう思っていたら、ドアがまた開いた。

「お待たせっ!さ、行こっか。」

どこへ?

そう質問する間もなく腕を引かれ部屋の外へと出る。
そこに広がっていたのは驚く、けれど納得出来る光景だった。

ひたっすらに長い廊下。
いくつもの部屋もあり、まるでお城の様。
嫌、たぶん本当にお城なのだろう。

そう思えたのはその屋敷の見取り図と思える物があったから。
あまりに広く、高かった。

先生がいないと直ぐに迷子になりそうだな。

せめて、しっかりと周りを見ておこう。
そう思い辺りを見回しながら、先生に腕を引かれて歩いた。


「…夏海」

連れてこられたのはおそらく見取り図からして大広間。
そこには私を虐めていた人達の中でも中心だった人達──葉山夏海はやまなつみ桧山恵美ひやまえみ新山陽菜にいやまひな──がソファーに座っていた。

けれど、その姿はおかしかった。
有咲は瞳が赤色に。
恵美は瞳が青色に。
陽菜は瞳が緑色になっていた。

「何…その瞳」

思わず私はそう問う。

「知らないわよ。気がついたらこうなってたの。ていうかあんただって瞳の色、変わってるじゃない。」

え…?
瞳の色が変わってる?

「先生、鏡ある?」
「ちょっと待ってね。冥土めいどさん、鏡ちょーだい!」

"冥土さん"?
誰かの名前だろうか。

「はい、鏡です。」

…びっくりした。
ドアが開いた気配もないのに、気がつけば先生の横へ。
しかも、その身を赤色のメイド服に包んでいた。
頭には薔薇がのった、やはり赤色のホワイトブリムも。
所謂『メイド』という人なのだろうか。

そんなことを思いながら、恐る恐る鏡を覗き込む。

「なに…これ。」

その瞳は、金色に染まっていた。

「まあまあ綺麗だからいーじゃん。」
良くないです。
心の中でそう思いながら、よく見たら先生の瞳も黄色と赤色のオッドアイだなと考える。
それと、先生はこの世界に『人ならざる者』とやらもいると言っていた。

これも、慣れるのしかないかもな。
そう結論付け、鏡をコトンと置いた。
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