3 / 4
一章
二話
しおりを挟むあれから、ちょっと部屋を探索してみたが特に変わったものが無かった。
服の変えがあったら良かったのだが…。
制服のままはなんだか落ち着かない。
けれど、窓の外の光景は異様だった。
森。
ただの森ではなく、真っ暗な森。
太陽があがっていたので昼間のはずだが、それにしては暗すぎた。
「不思議な所だな。」
思わずそうポツリと漏らす。
それからもう一度部屋を見回す。
特に変わった所はもちろんない。
これからどうしたらいいのだろうか。
まさか、このままずっとこの部屋で過ごせ、なんてことは無いだろう。
何よりこの部屋は大きすぎて落ち着かない。
そう思っていたら、ドアがまた開いた。
「お待たせっ!さ、行こっか。」
どこへ?
そう質問する間もなく腕を引かれ部屋の外へと出る。
そこに広がっていたのは驚く、けれど納得出来る光景だった。
ひたっすらに長い廊下。
いくつもの部屋もあり、まるでお城の様。
嫌、たぶん本当にお城なのだろう。
そう思えたのはその屋敷の見取り図と思える物があったから。
あまりに広く、高かった。
先生がいないと直ぐに迷子になりそうだな。
せめて、しっかりと周りを見ておこう。
そう思い辺りを見回しながら、先生に腕を引かれて歩いた。
「…夏海」
連れてこられたのはおそらく見取り図からして大広間。
そこには私を虐めていた人達の中でも中心だった人達──葉山夏海、桧山恵美、新山陽菜──がソファーに座っていた。
けれど、その姿はおかしかった。
有咲は瞳が赤色に。
恵美は瞳が青色に。
陽菜は瞳が緑色になっていた。
「何…その瞳」
思わず私はそう問う。
「知らないわよ。気がついたらこうなってたの。ていうかあんただって瞳の色、変わってるじゃない。」
え…?
瞳の色が変わってる?
「先生、鏡ある?」
「ちょっと待ってね。冥土さん、鏡ちょーだい!」
"冥土さん"?
誰かの名前だろうか。
「はい、鏡です。」
…びっくりした。
ドアが開いた気配もないのに、気がつけば先生の横へ。
しかも、その身を赤色のメイド服に包んでいた。
頭には薔薇がのった、やはり赤色のホワイトブリムも。
所謂『メイド』という人なのだろうか。
そんなことを思いながら、恐る恐る鏡を覗き込む。
「なに…これ。」
その瞳は、金色に染まっていた。
「まあまあ綺麗だからいーじゃん。」
良くないです。
心の中でそう思いながら、よく見たら先生の瞳も黄色と赤色のオッドアイだなと考える。
それと、先生はこの世界に『人ならざる者』とやらもいると言っていた。
これも、慣れるのしかないかもな。
そう結論付け、鏡をコトンと置いた。
0
あなたにおすすめの小説
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです
ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。
転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。
前世の記憶を頼りに善悪等を判断。
貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。
2人の兄と、私と、弟と母。
母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。
ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。
前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
義妹がピンク色の髪をしています
ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで
六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。
乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。
ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。
有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。
前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる