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第3部 電脳機神兵の花嫁になんてならない!
第8章 アリーシャ、第二王子に一目惚れされる
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ヤンキーっぽい兄とギャルっぽい姉の弟でありながら、スカイにはちゃんと王子様らしい気品がある。
高価な宮廷服を着ているわけではないが、身だしなみもきちんとしていて、どこか名門校のお坊ちゃまのような雰囲気だ。
「……でも、下はハーフパンツにブーツなんだよね……」
スカイの白衣の下は、上半身はワイシャツにネクタイだ。
だが下半身は、有名私立の初等部の制服のような、ピシッとした半ズボンになっている。
「ショタでツンデレでIQ高い天才って設定だからなー……。でも14歳って年齢はちょっとムリあったかも……。ほぼ私と同い年だしなー……」
王子様らしい美少年であるスカイは、初等部の制服っぽい格好も違和感なく着こなしている。
着こなしてはいるのだが……何と言うか、ギリギリだ。もう少しでギリギリアウトになってしまいそうな、危うい感じがする。
「……まったく、ウチの国にはSHIROを正当に評価できる人間がいなくて、本当に困ります。アレがどれだけ素晴らしいものなのか、理解できるだけの知能も無い」
スカイはまだ私の存在にも気づいていない様子だ。「やれやれ」という感じで、暗に実の姉をディスりにかかる。
……あー。これは姉弟仲悪くなるだろうなー。
「それで、シェリーロワールの姫君はどちらに?ウチのSHIROに注目してくださるとは、小国ながら、なかなか見所のある……」
スカイの目が探るように一同を見渡し……その視線が私のところでピタリと止まった。
「………………ッ!」
その目が大きく見開かれ、頬が一瞬で赤く染まる。
まさに "恋に堕ちた瞬間" の表情だ。
……しまった。シェリーロワールの王女の "絶世の美姫" 設定が、ここでも効果を発揮してくるのか……。
「あ……う……え……っと……、お……お初にお目にかかります。メ……メトロポラリス第二王子、エクスカイゼル・キングフィッシャーと、も……申します……っ」
さっきまでの小生意気な態度が嘘のように、しどろもどろにスカイが挨拶してくる。
……可哀想に。すっかりテンパって……。
彼のアイデンティティーである "ツンデレ" のツンも、すっかりどこかに消えてしまっている。
シェリーロワールの王女の美貌スペックは、本当に容赦がないな……。
「はじめまして。シェリーロワール王国第一王女アリーシャ・シェリーローズです。えっと……SHIROの開発って、もう終わっちゃってます?」
目の前でプチパニックに陥っている美少年を、申し訳ない気持ちで眺めながら、それでも訊きたいことは訊いておく。
スカイは私が話しかけただけで「はぅっ!」という感じで、緊張に身を強張らせる。
「えっと……その……まだ、完成しては、いないのですが……でも、貴女がお望みなら、すぐにでも仕上げます!すぐにでも!」
「いえ、無理はしないで、なるべくゆ~っくり、スローペースで慎重にやってください」
すぐに完成されては困る。
なぜなら、そのSHIROが、後に電脳機神兵に搭載されることになるOSなのだから。
SHIRO―― Support Humanity Intelligent Robot Operating-system は、本来、人間を助けるサポートロボットのOSとして開発がスタートした。
だが、あまりにも最先端過ぎる技術に、ほとんどの人間の理解が追いつかず、イロモノ扱いされているのが現状だ。
何せ、科学技術の発達した国とは言え、ほとんどの技術はまだアナログだと言うのに、一部のIQの高い人間だけが一足飛びにデジタルの世界に足を踏み入れてしまっているのだ。
無理解の壁は対立を生みやすい。
そしてその対立が、思わぬトラブルを巻き起こしたりするものなのだ。
「やだ、スカイってば、いっちょまえに何照れてんのよ!言っとくけど、アリーシャちゃんは大陸一の美姫なんだからね。C級マイスターにもなれないアンタじゃムリムリ」
普段、弟から散々ディスられまくっているであろう姉が、ここぞとばかりにディスり返す。
スカイの顔がこれまでより一層赤くなった。
「マ……マイスターランクなんて、所詮は手先の器用さだけでしょう!僕にはこの国の将来を変えられるほどの頭脳があります!」
……口ではそう言うが、このスカイ、マイスターランクが低いことへのコンプレックスがある。
だから余計に「物凄い発明をして周囲を見返してやりたい」という気持ちが強いのだ。
姉弟ゲンカがヒートアップしそうになったその時、廊下にひょこりと一人の男性が現れた。
「室長ー。まだ見学始まらないんですか?サッサと終わらせて、研究再開させていただきたいんですがー」
「こら、歌うたい!賓客の前だぞ!そんな話をするんじゃない!」
スカイは真っ赤な顔のまま、研究員らしきその男性を叱る。
ミンネジンガーと呼ばれたその男性は、スカイと同じく白衣姿で、銀縁の眼鏡をかけていた。
外見にこだわらないタイプなのか、何だかモサッとした髪型をしているが、きちんと整えれば美形になりそうな気配がする。
眼鏡の奥には爽やかなミントグリーンの瞳。その目が一瞬、興味深げに私を見たような気がした。
……ミンネジンガー。
確か創君設定のキャラで、フルネームがやたら長かった気がする。
クレッセントノヴァ出身で、ミドルネームにその人の "本質" を表す "祝福の名" が入るから……確か、マウリシオ・ミンネジンガー・イゼルロット……だったかな。
ミンネジンガーは中世ドイツの詩人の一種で、"愛を歌う人" みたいな意味なんだよね……。
……って、アレ?……ダメだ。
制作秘話の方ばっかり覚えてて、肝心のキャラ設定を覚えてないや……。
高価な宮廷服を着ているわけではないが、身だしなみもきちんとしていて、どこか名門校のお坊ちゃまのような雰囲気だ。
「……でも、下はハーフパンツにブーツなんだよね……」
スカイの白衣の下は、上半身はワイシャツにネクタイだ。
だが下半身は、有名私立の初等部の制服のような、ピシッとした半ズボンになっている。
「ショタでツンデレでIQ高い天才って設定だからなー……。でも14歳って年齢はちょっとムリあったかも……。ほぼ私と同い年だしなー……」
王子様らしい美少年であるスカイは、初等部の制服っぽい格好も違和感なく着こなしている。
着こなしてはいるのだが……何と言うか、ギリギリだ。もう少しでギリギリアウトになってしまいそうな、危うい感じがする。
「……まったく、ウチの国にはSHIROを正当に評価できる人間がいなくて、本当に困ります。アレがどれだけ素晴らしいものなのか、理解できるだけの知能も無い」
スカイはまだ私の存在にも気づいていない様子だ。「やれやれ」という感じで、暗に実の姉をディスりにかかる。
……あー。これは姉弟仲悪くなるだろうなー。
「それで、シェリーロワールの姫君はどちらに?ウチのSHIROに注目してくださるとは、小国ながら、なかなか見所のある……」
スカイの目が探るように一同を見渡し……その視線が私のところでピタリと止まった。
「………………ッ!」
その目が大きく見開かれ、頬が一瞬で赤く染まる。
まさに "恋に堕ちた瞬間" の表情だ。
……しまった。シェリーロワールの王女の "絶世の美姫" 設定が、ここでも効果を発揮してくるのか……。
「あ……う……え……っと……、お……お初にお目にかかります。メ……メトロポラリス第二王子、エクスカイゼル・キングフィッシャーと、も……申します……っ」
さっきまでの小生意気な態度が嘘のように、しどろもどろにスカイが挨拶してくる。
……可哀想に。すっかりテンパって……。
彼のアイデンティティーである "ツンデレ" のツンも、すっかりどこかに消えてしまっている。
シェリーロワールの王女の美貌スペックは、本当に容赦がないな……。
「はじめまして。シェリーロワール王国第一王女アリーシャ・シェリーローズです。えっと……SHIROの開発って、もう終わっちゃってます?」
目の前でプチパニックに陥っている美少年を、申し訳ない気持ちで眺めながら、それでも訊きたいことは訊いておく。
スカイは私が話しかけただけで「はぅっ!」という感じで、緊張に身を強張らせる。
「えっと……その……まだ、完成しては、いないのですが……でも、貴女がお望みなら、すぐにでも仕上げます!すぐにでも!」
「いえ、無理はしないで、なるべくゆ~っくり、スローペースで慎重にやってください」
すぐに完成されては困る。
なぜなら、そのSHIROが、後に電脳機神兵に搭載されることになるOSなのだから。
SHIRO―― Support Humanity Intelligent Robot Operating-system は、本来、人間を助けるサポートロボットのOSとして開発がスタートした。
だが、あまりにも最先端過ぎる技術に、ほとんどの人間の理解が追いつかず、イロモノ扱いされているのが現状だ。
何せ、科学技術の発達した国とは言え、ほとんどの技術はまだアナログだと言うのに、一部のIQの高い人間だけが一足飛びにデジタルの世界に足を踏み入れてしまっているのだ。
無理解の壁は対立を生みやすい。
そしてその対立が、思わぬトラブルを巻き起こしたりするものなのだ。
「やだ、スカイってば、いっちょまえに何照れてんのよ!言っとくけど、アリーシャちゃんは大陸一の美姫なんだからね。C級マイスターにもなれないアンタじゃムリムリ」
普段、弟から散々ディスられまくっているであろう姉が、ここぞとばかりにディスり返す。
スカイの顔がこれまでより一層赤くなった。
「マ……マイスターランクなんて、所詮は手先の器用さだけでしょう!僕にはこの国の将来を変えられるほどの頭脳があります!」
……口ではそう言うが、このスカイ、マイスターランクが低いことへのコンプレックスがある。
だから余計に「物凄い発明をして周囲を見返してやりたい」という気持ちが強いのだ。
姉弟ゲンカがヒートアップしそうになったその時、廊下にひょこりと一人の男性が現れた。
「室長ー。まだ見学始まらないんですか?サッサと終わらせて、研究再開させていただきたいんですがー」
「こら、歌うたい!賓客の前だぞ!そんな話をするんじゃない!」
スカイは真っ赤な顔のまま、研究員らしきその男性を叱る。
ミンネジンガーと呼ばれたその男性は、スカイと同じく白衣姿で、銀縁の眼鏡をかけていた。
外見にこだわらないタイプなのか、何だかモサッとした髪型をしているが、きちんと整えれば美形になりそうな気配がする。
眼鏡の奥には爽やかなミントグリーンの瞳。その目が一瞬、興味深げに私を見たような気がした。
……ミンネジンガー。
確か創君設定のキャラで、フルネームがやたら長かった気がする。
クレッセントノヴァ出身で、ミドルネームにその人の "本質" を表す "祝福の名" が入るから……確か、マウリシオ・ミンネジンガー・イゼルロット……だったかな。
ミンネジンガーは中世ドイツの詩人の一種で、"愛を歌う人" みたいな意味なんだよね……。
……って、アレ?……ダメだ。
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