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入学式
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入学式当日。澪はできたばかりの制服に身を包み、静かに入学式が始まるのを待っていた。
この世界で黒髪は目立つらしいので、魔法でエルクベージュに染め、肩くらいの長さまで切り、後ろでひとつに結んだ。
髪型を男の時と同じにしたのは、リアム様へのヒントだ。
ちょっとくらいヒントをあげないと負けちゃうしね。
式が始まって、まずは学園長の挨拶。これは長くなるやつだろうなぁーと誰もが思っていた。
「えー、新入生のみなさん、入学おめでとう!これからの学園生活を存分に楽しんでください!以上。」
(((え、みじか)))
それは、今年の新入生の心がひとつになった瞬間だった。
入学式が終わると、澪は先生に連れられて教室に向かっていた。
『王子は同じクラスかな?』
『どうだろうね。でも同じクラスじゃないと私の勝算が下がっちゃうからな。同じだといいけど。』
『あー、はやく王子の反応がみたいなー。』
自分が《ミオ》だということに気づいた時の反応を想像して、澪はつい「ふふっ」と声に出して笑ってしまう。
すると、前を歩いている先生に怪訝そうな顔で「どうした」と聞かれてしまった。
「いえ、楽しみでつい。」
「そうか。教室に着いたらまず自己紹介をしてもら考えておけ。この学園はクラス替えがないから自己紹介が必要なのはお前さんだけだから。」
「はい。」
教室に入ると、たくさんの視線が一気にこちらに向いた。
うーん。久しぶりだ、この感じ。
『王子いる?』
『んー。あ、いたよ。1番前の席だ。』
『おーいたいた。まだ気づかないでくれよー。』
「よし、では新入生を紹介する。エクラ、自己紹介。」
「はい。はじめまして、エクラです。出身地は秘密です。趣味は読書とトランペットを演奏することです。1年間よろしくお願いします!」
「じゃあ空いてるところに適当の座って。よし、1時限目から授業に遅れないように。学級委員はエクラを1時限目の教室まで案内するように。以上。」
学級委員・・誰かな?
すると、王子がこっちらに真っ直ぐ向かってきた。
「エクラさん、初めまして。私はこのクラスの学級委員、リアム・リュスィオールです。一応この国の第一王子だけど普通に話してくれて大丈夫ですよ。」
「はじめまして、エクラです。ではそうさせていただきますね。リュスィオール様。」
「名前もリアムでいいですよ。クラスで私はリアムくんと呼ばれています。あ、そろそろ移動しないと遅れてしまいますね。1時限目は数学です。最初の授業なので大変かもしれんが頑張ってください。」
皆さん、聞いてください。この子、「頑張ってください」のところでウィンクしました。美しい少年が、美しい笑顔で、ウィンクしました。これは罪だと思います。
『これは罪だよね。』
『たしかに。これは何人の生徒が犠牲になったか分からないね。』
移動の間、王子は授業がどこまで進んでいるのかを教えてくれた。この学園で習う数学は日本の高校で習う内容と全く同じっぽいので、そのくらいの知識はしっかりと叩き込まれている澪にとっては余裕だ。
『気づきそうにないね』
『しょうがないよ。同じなのは年齢と髪型だけだもん。』
早く半年経たないかなーと考えていると
「リアムくんだけ新入生ちゃんと話しててずるいわ!私ともお話させて!」
と、いきなり横から美少女が話しかけてきた。
少し癖のあるやわらかいローズピンクの髪とスカイブルーの大きな瞳が特徴的な美少女。その可愛らしい見た目は、澪の心を見事に撃ち抜いた。(澪の好みどストライク!)
「お美しいお姫様、ご挨拶が遅れて申し訳ございません。私はエクラと申します。よろしければ貴方様のお名前をお聞かせ願いますでしょうか。」
皆さん、お忘れかもしれませんが澪は女神と言っても過言ではないほどの美人。それを忘れてはいけません。
「まあ。・・私はシャルム・ルードヴィングです。シャルムとお呼びください。よろしく、エクラさん。」
「よろしく、シャルムさん。」
『お姫様が顔を真っ赤にさせちゃったよ?澪。その顔でそういうセリフは僕以外には言わない方がいいと思うけどな。』
『知らないの?かわいい女の子はみんな敬うべきなのよ。』
「さあ、行きましょうか。エクラさん。」
「はい。」
休み時間になって、澪は囲まれることを覚悟したがそんなことはなく、みんなこちらを見てはいるものの近づいてくる気配はない。
その変わり、シャルムがずっと澪の傍から離れない。
(くっそー。シャルムさんの邪魔するなオーラがすごい。)
(私たちだってあのスーパー美少女、しかも3年生への入学試験に合格した天才少女と話したいのに!)
(近づいたら殺されそだよ。)
「おいーシャルムー。新入生独り占めすんなよ。」
そこに現れたのは、・・・ん?
『『子ども?』』
澪とシロの声が重なった。
そこにいたのは身長130cmくらいの真っ白な髪を高い位置でふたつに結んだかわいらしい女の子。
あ、でもこの子うちの生徒だ。制服着てるし。
「はじめまして。私はエトワール・ルードヴィング。シャルムの姉だ。よろしく。」
あ、?
「はじめまして。エクラです。こちらこそよろしく。」
とりあえずとびっきりの笑顔で笑っておく。
その時、何人かの生徒が鼻血を出して保健室に向かった。
「姉っていっても3ヶ月しか変わらないですけどね。小さいけれど私たちと同じ17歳なんです。」
「授業中は見かけませんでしたけど、違うクラスですか?」
「いや、同じクラスだよ。今日はちょっと寝坊しちゃってな。」
「あ、てゆーか私とエクラさんとの時間を邪魔しないでください!」
「エクラはお前のもんじゃねーよ。」
「あのー、私にもエクラさんとお話させてください。」
『賑やかだね』
『うん、楽しめそうだ。』
この世界で黒髪は目立つらしいので、魔法でエルクベージュに染め、肩くらいの長さまで切り、後ろでひとつに結んだ。
髪型を男の時と同じにしたのは、リアム様へのヒントだ。
ちょっとくらいヒントをあげないと負けちゃうしね。
式が始まって、まずは学園長の挨拶。これは長くなるやつだろうなぁーと誰もが思っていた。
「えー、新入生のみなさん、入学おめでとう!これからの学園生活を存分に楽しんでください!以上。」
(((え、みじか)))
それは、今年の新入生の心がひとつになった瞬間だった。
入学式が終わると、澪は先生に連れられて教室に向かっていた。
『王子は同じクラスかな?』
『どうだろうね。でも同じクラスじゃないと私の勝算が下がっちゃうからな。同じだといいけど。』
『あー、はやく王子の反応がみたいなー。』
自分が《ミオ》だということに気づいた時の反応を想像して、澪はつい「ふふっ」と声に出して笑ってしまう。
すると、前を歩いている先生に怪訝そうな顔で「どうした」と聞かれてしまった。
「いえ、楽しみでつい。」
「そうか。教室に着いたらまず自己紹介をしてもら考えておけ。この学園はクラス替えがないから自己紹介が必要なのはお前さんだけだから。」
「はい。」
教室に入ると、たくさんの視線が一気にこちらに向いた。
うーん。久しぶりだ、この感じ。
『王子いる?』
『んー。あ、いたよ。1番前の席だ。』
『おーいたいた。まだ気づかないでくれよー。』
「よし、では新入生を紹介する。エクラ、自己紹介。」
「はい。はじめまして、エクラです。出身地は秘密です。趣味は読書とトランペットを演奏することです。1年間よろしくお願いします!」
「じゃあ空いてるところに適当の座って。よし、1時限目から授業に遅れないように。学級委員はエクラを1時限目の教室まで案内するように。以上。」
学級委員・・誰かな?
すると、王子がこっちらに真っ直ぐ向かってきた。
「エクラさん、初めまして。私はこのクラスの学級委員、リアム・リュスィオールです。一応この国の第一王子だけど普通に話してくれて大丈夫ですよ。」
「はじめまして、エクラです。ではそうさせていただきますね。リュスィオール様。」
「名前もリアムでいいですよ。クラスで私はリアムくんと呼ばれています。あ、そろそろ移動しないと遅れてしまいますね。1時限目は数学です。最初の授業なので大変かもしれんが頑張ってください。」
皆さん、聞いてください。この子、「頑張ってください」のところでウィンクしました。美しい少年が、美しい笑顔で、ウィンクしました。これは罪だと思います。
『これは罪だよね。』
『たしかに。これは何人の生徒が犠牲になったか分からないね。』
移動の間、王子は授業がどこまで進んでいるのかを教えてくれた。この学園で習う数学は日本の高校で習う内容と全く同じっぽいので、そのくらいの知識はしっかりと叩き込まれている澪にとっては余裕だ。
『気づきそうにないね』
『しょうがないよ。同じなのは年齢と髪型だけだもん。』
早く半年経たないかなーと考えていると
「リアムくんだけ新入生ちゃんと話しててずるいわ!私ともお話させて!」
と、いきなり横から美少女が話しかけてきた。
少し癖のあるやわらかいローズピンクの髪とスカイブルーの大きな瞳が特徴的な美少女。その可愛らしい見た目は、澪の心を見事に撃ち抜いた。(澪の好みどストライク!)
「お美しいお姫様、ご挨拶が遅れて申し訳ございません。私はエクラと申します。よろしければ貴方様のお名前をお聞かせ願いますでしょうか。」
皆さん、お忘れかもしれませんが澪は女神と言っても過言ではないほどの美人。それを忘れてはいけません。
「まあ。・・私はシャルム・ルードヴィングです。シャルムとお呼びください。よろしく、エクラさん。」
「よろしく、シャルムさん。」
『お姫様が顔を真っ赤にさせちゃったよ?澪。その顔でそういうセリフは僕以外には言わない方がいいと思うけどな。』
『知らないの?かわいい女の子はみんな敬うべきなのよ。』
「さあ、行きましょうか。エクラさん。」
「はい。」
休み時間になって、澪は囲まれることを覚悟したがそんなことはなく、みんなこちらを見てはいるものの近づいてくる気配はない。
その変わり、シャルムがずっと澪の傍から離れない。
(くっそー。シャルムさんの邪魔するなオーラがすごい。)
(私たちだってあのスーパー美少女、しかも3年生への入学試験に合格した天才少女と話したいのに!)
(近づいたら殺されそだよ。)
「おいーシャルムー。新入生独り占めすんなよ。」
そこに現れたのは、・・・ん?
『『子ども?』』
澪とシロの声が重なった。
そこにいたのは身長130cmくらいの真っ白な髪を高い位置でふたつに結んだかわいらしい女の子。
あ、でもこの子うちの生徒だ。制服着てるし。
「はじめまして。私はエトワール・ルードヴィング。シャルムの姉だ。よろしく。」
あ、?
「はじめまして。エクラです。こちらこそよろしく。」
とりあえずとびっきりの笑顔で笑っておく。
その時、何人かの生徒が鼻血を出して保健室に向かった。
「姉っていっても3ヶ月しか変わらないですけどね。小さいけれど私たちと同じ17歳なんです。」
「授業中は見かけませんでしたけど、違うクラスですか?」
「いや、同じクラスだよ。今日はちょっと寝坊しちゃってな。」
「あ、てゆーか私とエクラさんとの時間を邪魔しないでください!」
「エクラはお前のもんじゃねーよ。」
「あのー、私にもエクラさんとお話させてください。」
『賑やかだね』
『うん、楽しめそうだ。』
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