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プレゼント②
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「ちょっと待ってよ!あたしまだ説明終わってないから」
のどかが口を開く。
すっかり目も元通りになっている。
「それと、彩香さんごめんなさい」
「いいよ。気にしなくていいから」
のどかは彩香の返答を聞き、説明を始める。
「マウスピースがあたしの武器なんだけど、これはもう一つの武器があって初めて役に立つの。その武器っていうのが、この洗濯ばさみみたいなやつなんだ。これを対象に投げると自動で口が開いてくっつく。その状態で、このマウスピースを噛むと、くっついたやつが閉じるの。」
挟むところがギザギザになっていて、なおかつ鋭く研がれている。
「それって、口で挟まなくても機械とかでやる方がすごい威力になると思うんだけど?それに、そんな小さいのじゃ役に立たないんじゃないのか?」
「それがね、おにーちゃん。これは、適合者にしかできない使い方なの。ナイロは適合者の能力がそのまま伝わる性質を持っていて、その力も適合者の力に依存するんだよ。」
説明するときの、のどかの顔はいつも自慢げである。
「どうにかならないのか?その顔」
「そうにもできないのである。ふふん」
改善する気は全くないようである。
そもそも治らないと考えないといけない。
「なんでその洗濯ばさみの武器だけに力が伝わるんだ?他のナイロの武器だってあるはずだろ?周りを囲っているのもナイロだし」
「そんなの分からないよ!おにーちゃんのバカ!!」
「いや、知らないで使ってたのかよ」
行き詰まると、南が説明をしてくれた。
「いいかい?この絶牙とマウスピースの一部のナイロには、所有者の情報が入っている。のどか、以前飴玉サイズのナイロを一日中舐め続けたことがあっただろう?」
「あったあった。あれ大変だったんだよ。ご飯とか食べられないし」
「そのナイロを混ぜて作られている。だから、他のナイロには力が伝わらない。それに単純な動きは誰にだってできるが、動かすことはかなり器用な奴じゃないと不可能だ。」
智尋は面白いことを考えた。銃弾をそれで作ると最強なのではないかと。
智尋は結構器用な奴である。
粘土でアニメキャラだって作れるし、時計の修理バイトだってしたこともある。
そんなことを考えている智尋にかまわず、比津見が説明を始めた。
「私の使っている武器は刀だ。日本刀のように硬くて丈夫なんだ」
見せられた日本刀は、ナイロの瑠璃色が非常に良く合っており、波紋はうねりの出てきた波のように見える。
濤乱刃と呼ばれるものらしい。
「この刀は凄いんだ!何体でもバッサリ斬れるんだぞ!!」
目がキマッており、息も荒くなっている。
早く斬りたいといった気持ちがひしひしと感じられた。
今ここで振り回してもおかしくないほどだ。
「とりあえず武器も渡したし、説明もしたから帰ってもいいぞ。というか帰れ」
南は冷たく言ってきた。
修司はまだ眠ったままなので、研究所内の看護師さんのような人に見てくれるよう頼んだ。
「じゃあな、修司。ゆっくり休めよ」
「あんた死んだらあーしのペアがいなくなるんだから死んじゃだめだからね」
外に出ると夕日が出てきており、辺りを赤く染めていた。
彩香とはすぐに別れて、智尋たち家族での帰宅となった。
「いや~それにしても、ひつみんめっちゃ怖かったね」
「ああ、けどそのあとの比津見さん可愛かったけどな」
「智尋くん、ちゃんとファッションに興味持たないといけなくなっちゃったわね。」
秋姉とのどかは智尋の方を見てニヤニヤと笑っている。
すると後ろから
ガタンッ!!!!!
と大きな音がした。
振り返るとそこには比津見がいた。
さっきの音は刀を落とした音だったようだ。
夕日のせいなのかさっきよりも顔が赤く見える。
「あ、いや、その~~~~」
そのまま反対に向いて走り出した。
適合者なので、足が非常に速く、すぐ見えなくなってしまった。
思わず笑みがこぼれてしまった。
怖いときと可愛い時のギャップが凄い。
「おにーちゃん完全に好きになってるじゃん」
「そうね、のどかの言うとおりだわ」
智尋は落ち着かせてから答える。
「ああ、完全に好きになってるな。けど、ちょっと気になることがある」
「「どうゆうこと?」」
「可愛いって言われるだけであの反応……もしかしてチョロインというものではないか?」
急に眼鏡をクイッと上げる仕草をし始める。
「「チョロインって?」」
また、クイクイッと上げる。
「惚れやすい人ってことであります。これは非常にまずいでことでありますぞ。誰にでもすぐに惚れてしまうので早めに行動せねば……しかし、彼女なんて必要ないと公言してしまっているため、私には行動を起こす気がない。というか、行動を起こせる自信がないのです。なんだかこの恋は実らない気がしますね~」
ものすごい早口で話しており、話している間もずっとカチャカチャしている。
周りの人達からも、危ない奴を見る目で見られている。
「ちょっと、おにーちゃん。急にどうしたの?」
「はっ!すまない。少し変になっていたようだ」
のどかが智尋の腕をつかんで軽くゆすると元に戻った。
秋も心配そうに見つめている。
「まあ、帰るか。それじゃあな」
智尋は逃げるようにまっすぐ家に帰った。
のどかが口を開く。
すっかり目も元通りになっている。
「それと、彩香さんごめんなさい」
「いいよ。気にしなくていいから」
のどかは彩香の返答を聞き、説明を始める。
「マウスピースがあたしの武器なんだけど、これはもう一つの武器があって初めて役に立つの。その武器っていうのが、この洗濯ばさみみたいなやつなんだ。これを対象に投げると自動で口が開いてくっつく。その状態で、このマウスピースを噛むと、くっついたやつが閉じるの。」
挟むところがギザギザになっていて、なおかつ鋭く研がれている。
「それって、口で挟まなくても機械とかでやる方がすごい威力になると思うんだけど?それに、そんな小さいのじゃ役に立たないんじゃないのか?」
「それがね、おにーちゃん。これは、適合者にしかできない使い方なの。ナイロは適合者の能力がそのまま伝わる性質を持っていて、その力も適合者の力に依存するんだよ。」
説明するときの、のどかの顔はいつも自慢げである。
「どうにかならないのか?その顔」
「そうにもできないのである。ふふん」
改善する気は全くないようである。
そもそも治らないと考えないといけない。
「なんでその洗濯ばさみの武器だけに力が伝わるんだ?他のナイロの武器だってあるはずだろ?周りを囲っているのもナイロだし」
「そんなの分からないよ!おにーちゃんのバカ!!」
「いや、知らないで使ってたのかよ」
行き詰まると、南が説明をしてくれた。
「いいかい?この絶牙とマウスピースの一部のナイロには、所有者の情報が入っている。のどか、以前飴玉サイズのナイロを一日中舐め続けたことがあっただろう?」
「あったあった。あれ大変だったんだよ。ご飯とか食べられないし」
「そのナイロを混ぜて作られている。だから、他のナイロには力が伝わらない。それに単純な動きは誰にだってできるが、動かすことはかなり器用な奴じゃないと不可能だ。」
智尋は面白いことを考えた。銃弾をそれで作ると最強なのではないかと。
智尋は結構器用な奴である。
粘土でアニメキャラだって作れるし、時計の修理バイトだってしたこともある。
そんなことを考えている智尋にかまわず、比津見が説明を始めた。
「私の使っている武器は刀だ。日本刀のように硬くて丈夫なんだ」
見せられた日本刀は、ナイロの瑠璃色が非常に良く合っており、波紋はうねりの出てきた波のように見える。
濤乱刃と呼ばれるものらしい。
「この刀は凄いんだ!何体でもバッサリ斬れるんだぞ!!」
目がキマッており、息も荒くなっている。
早く斬りたいといった気持ちがひしひしと感じられた。
今ここで振り回してもおかしくないほどだ。
「とりあえず武器も渡したし、説明もしたから帰ってもいいぞ。というか帰れ」
南は冷たく言ってきた。
修司はまだ眠ったままなので、研究所内の看護師さんのような人に見てくれるよう頼んだ。
「じゃあな、修司。ゆっくり休めよ」
「あんた死んだらあーしのペアがいなくなるんだから死んじゃだめだからね」
外に出ると夕日が出てきており、辺りを赤く染めていた。
彩香とはすぐに別れて、智尋たち家族での帰宅となった。
「いや~それにしても、ひつみんめっちゃ怖かったね」
「ああ、けどそのあとの比津見さん可愛かったけどな」
「智尋くん、ちゃんとファッションに興味持たないといけなくなっちゃったわね。」
秋姉とのどかは智尋の方を見てニヤニヤと笑っている。
すると後ろから
ガタンッ!!!!!
と大きな音がした。
振り返るとそこには比津見がいた。
さっきの音は刀を落とした音だったようだ。
夕日のせいなのかさっきよりも顔が赤く見える。
「あ、いや、その~~~~」
そのまま反対に向いて走り出した。
適合者なので、足が非常に速く、すぐ見えなくなってしまった。
思わず笑みがこぼれてしまった。
怖いときと可愛い時のギャップが凄い。
「おにーちゃん完全に好きになってるじゃん」
「そうね、のどかの言うとおりだわ」
智尋は落ち着かせてから答える。
「ああ、完全に好きになってるな。けど、ちょっと気になることがある」
「「どうゆうこと?」」
「可愛いって言われるだけであの反応……もしかしてチョロインというものではないか?」
急に眼鏡をクイッと上げる仕草をし始める。
「「チョロインって?」」
また、クイクイッと上げる。
「惚れやすい人ってことであります。これは非常にまずいでことでありますぞ。誰にでもすぐに惚れてしまうので早めに行動せねば……しかし、彼女なんて必要ないと公言してしまっているため、私には行動を起こす気がない。というか、行動を起こせる自信がないのです。なんだかこの恋は実らない気がしますね~」
ものすごい早口で話しており、話している間もずっとカチャカチャしている。
周りの人達からも、危ない奴を見る目で見られている。
「ちょっと、おにーちゃん。急にどうしたの?」
「はっ!すまない。少し変になっていたようだ」
のどかが智尋の腕をつかんで軽くゆすると元に戻った。
秋も心配そうに見つめている。
「まあ、帰るか。それじゃあな」
智尋は逃げるようにまっすぐ家に帰った。
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