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第124話 上書き
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「ふう…」
俺はリリンシアの気配が完全に消え去ったの確認すると、
大きく息を吐きその場に腰を下ろした。
遙かに格上の存在との対峙は心身共に凄まじく疲弊するのである。
正直、ここで命を失っても全くおかしくは無かった。
俺は運良く様々な要因が絡んで生き残ることが出来たのである。
「光の精霊、ありがとうな」
俺はその要因のひとつである、
この場に介入してくれた光の精霊に感謝の言葉を述べた。
「ん。ケイガおにいちゃんがぶじでよかった」
その髪から着ている服まで真っ白な幼い少女は笑顔で答えた。
「兄さん、お疲れさまでした」
静里菜は俺の側に寄り添って来て言葉をかける。
「静里菜もありがとうな。
この精神世界の補正の話を聞かなければ…俺は戦う術も見い出せ無かったろう」
「でも兄さん…わたしがこのセカイを作ったばっかりに、
あの闇の存在を此処に引き寄せたのでは無いかと…。
今回の事はわたしに責がある気がします…」
「そんなことは無いさ。
リリンシアの物言いからして、
この精神世界が無くても俺に会いに来ただろう。
むしろ彼女が現れたのが、
俺に有利な補正の働く精神世界だったからこそ、
こうやって無事生き残る事が出来たんじゃないかな?」
「ちきゅうのかみにつかえるみこ。
わたしもそうおもう。
やみのせいれいのこうきしんは、なみはずれ。
このせいしんのせかいがなければ
げんじつせかいのおにいちゃんにあいにきてた」
「兄さん…そして光の精霊様…。
心遣い、ありがとうございます」
「静里菜は深々と頭を下げた。
と、同時に彼女の身体が透け始めた。
「あ、兄さん。
どうやら巫術の時間が切れるみたいです。
まもなくこの精神世界が消失します」
俺たちの周りの風景がぼやけ始めた。
まるで夢のセカイの様である。
いや、元々の夢のセカイへと戻り始めたということか。
「兄さんとはもっと色々とお話したかったのですけれど…もう無理みたいですね。
それでは最後に…えいっ!」
静里菜は名残惜しそうに言葉を述べると俺の胸の中に抱き付いて来た。
「兄さん、さっきの破廉恥なひとの感触が残らない様にわたしが上書きしちゃいますね」
「ははっ、それは助かるなあ」
俺は透けていく静里菜の身体を抱きしめて、その頭を優しく撫でる。
彼女の白菊の様にたおやかな身体の感触が俺を包み、
リリンシアの毒花の様な魅惑的な肌の感触が全て祓われていく感じがした。
「兄さん、わたしは優羽花と話せなかったことが心残りです。
優羽花は、ああ見えて脆いところがありますから。
見ず知らずの異世界では色々と心が参ってしまうかも知れません。
どうか心掛けてあげて下さいね」
「ああ、わかっているよ」
「わたしもなるべく早く、こちらに実体として来れるように努めます。
それでは兄さん…どうかお気を付けて…」
静里菜の身体が完全に透き通って、そして消えていった。
俺はリリンシアの気配が完全に消え去ったの確認すると、
大きく息を吐きその場に腰を下ろした。
遙かに格上の存在との対峙は心身共に凄まじく疲弊するのである。
正直、ここで命を失っても全くおかしくは無かった。
俺は運良く様々な要因が絡んで生き残ることが出来たのである。
「光の精霊、ありがとうな」
俺はその要因のひとつである、
この場に介入してくれた光の精霊に感謝の言葉を述べた。
「ん。ケイガおにいちゃんがぶじでよかった」
その髪から着ている服まで真っ白な幼い少女は笑顔で答えた。
「兄さん、お疲れさまでした」
静里菜は俺の側に寄り添って来て言葉をかける。
「静里菜もありがとうな。
この精神世界の補正の話を聞かなければ…俺は戦う術も見い出せ無かったろう」
「でも兄さん…わたしがこのセカイを作ったばっかりに、
あの闇の存在を此処に引き寄せたのでは無いかと…。
今回の事はわたしに責がある気がします…」
「そんなことは無いさ。
リリンシアの物言いからして、
この精神世界が無くても俺に会いに来ただろう。
むしろ彼女が現れたのが、
俺に有利な補正の働く精神世界だったからこそ、
こうやって無事生き残る事が出来たんじゃないかな?」
「ちきゅうのかみにつかえるみこ。
わたしもそうおもう。
やみのせいれいのこうきしんは、なみはずれ。
このせいしんのせかいがなければ
げんじつせかいのおにいちゃんにあいにきてた」
「兄さん…そして光の精霊様…。
心遣い、ありがとうございます」
「静里菜は深々と頭を下げた。
と、同時に彼女の身体が透け始めた。
「あ、兄さん。
どうやら巫術の時間が切れるみたいです。
まもなくこの精神世界が消失します」
俺たちの周りの風景がぼやけ始めた。
まるで夢のセカイの様である。
いや、元々の夢のセカイへと戻り始めたということか。
「兄さんとはもっと色々とお話したかったのですけれど…もう無理みたいですね。
それでは最後に…えいっ!」
静里菜は名残惜しそうに言葉を述べると俺の胸の中に抱き付いて来た。
「兄さん、さっきの破廉恥なひとの感触が残らない様にわたしが上書きしちゃいますね」
「ははっ、それは助かるなあ」
俺は透けていく静里菜の身体を抱きしめて、その頭を優しく撫でる。
彼女の白菊の様にたおやかな身体の感触が俺を包み、
リリンシアの毒花の様な魅惑的な肌の感触が全て祓われていく感じがした。
「兄さん、わたしは優羽花と話せなかったことが心残りです。
優羽花は、ああ見えて脆いところがありますから。
見ず知らずの異世界では色々と心が参ってしまうかも知れません。
どうか心掛けてあげて下さいね」
「ああ、わかっているよ」
「わたしもなるべく早く、こちらに実体として来れるように努めます。
それでは兄さん…どうかお気を付けて…」
静里菜の身体が完全に透き通って、そして消えていった。
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