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第二十九話 長きに眠りしモノ
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ヴァルカリア陽国の首都、陽都テラス。現在この都は元ウェンドール帝国の皇族、貴族が中心とする大規模反乱軍”反陽国同盟”の奇襲を受けていた。
元ウェンドール帝国軍所属のサイドアーマー隊のほとんどが彼等に従って、陽都に波状攻撃を仕掛けて来た。
「はっ!」
自身の持つ気を物質化した鋼で構成した白銀色のフルフェイス・フルプレートの鎧に身を包んだ先代の聖気士(せいきし)セイリュウは、
鎧と同じく気を物質化して作り出した剣をその手に握り振るった。
対峙していた反陽国同盟の汎用人型起動兵器サイドアーマーは腕、足、全てをその剣に切り刻まれて達磨状になってその場に倒れ伏した。
「それではもう何も出来ないだろう、降伏したまえ」
パイロットは戦闘不能になったサイドアーマーのコックピットから出て手を挙げた。ヴァルカリア陽国軍の兵士たちがそのパイロットを拘束し彼を連れていく。
セイリュウの背後の上空から新たなアーマーが現れてライフルを見舞う。
彼はその鋼の弾丸を全てその剣で撃ち消すと凄まじいスピードで跳躍し剣を振るう、このアーマーも凄まじい速度で斬り刻まれ四肢をもがれてあっと言う間に戦闘不能になった。
「ククク、セイリュウ殿。そちらの塩梅(あんばい)は如何ですかァ?」
首に掛けた通信機を通して、マキュードがセイリュウに問いかける。
「こちらは特に問題は無い。彼等もこの都はなるべく無傷で取り返したいのだろう。
熱核ミサイルや電磁砲(レールガン)等の大量殺戮兵器を彼等が使わない分、こちらとしても対応がやりやすい。
それよりも私は君の方が気になるがね?
こちらも陽都テラスに傷を与えたくないのは同じ、君はやり過ぎて反逆者達をこの都ごと破壊してしまわないか心配だよ」
セイリュウも通信機越しにマキュードに返事をする。
「ククク、これはワタシ…セイリュウ殿に随分と信用されてないのですねェ。
ワタシは陛下の忠実な僕(しもべ)、陛下の大切なこの都をどうして破壊することができましょうかァ!」
ヴァルカリア陽国が建国してから一か月ほど経ち、新しく作られたヴァルカリア陽国軍の軍服に身を包み、長身に細身の身体をして、女の様な甲高い声、若く見えるが年増をも感じさせる、全てがアンバランスで不気味な雰囲気の男、マキュード。
陽帝の最も忠実なる僕を公言してはばらない彼が声を上げると同時にその手の中から光の鞭が生みだされた。
彼がその鞭を振るうとそれはぎゅんと空気がしなる音を立てて伸びて、自身の前に迫っていた反陽国同盟のサイドアーマーのコックピットに突き刺さり機体はその動きを止めた。
「まあワタシはセイリュウ殿と違って、陛下に逆らう者に容赦はしないですけどねェ!」
マキュードはその身をひねらせてまるで道化師の様に舞い踊る様に空中に飛び上がると、上空から攻撃をしかけてくるサイドアーマー隊に光の鞭を縦横無尽に振るう。
アーマーの1機目は誘爆しない様にメインエンジンを避けて真横に真っ二つに両断され、
2機目は輪切りに切り刻まれ、
3機目はコックピットのみを切り裂かれ、
4機目はコックピットを貫かれて、全機が瞬く間に動かぬ鉄クズとなり果ててその場に崩れ落ちた。
「うえーん!おかあさーん!」
一人の幼女が泣いている。避難している途中で親とはぐれてしまったのだろうか。
そこへ空から新たなアーマーが降下してマキュードにライフル攻撃を仕掛けてくる。
「…危ないッ!」
マキュードは幼女の前に躍り出るとその鋼の弾を全身で受け止めてかばった。
「こわそうなおじちゃん!だいじょうぶ!?」
「怖そうなおじちゃんとは随分な物言いですねェ…ああ、心配はありませんよ。ほら見てください、弾を受けて出来た傷がもう直って来ましたよ。
ワタシは普通のヒトよりかなり丈夫ですからねェ、これぐらいはへっちゃら!なのですよォ」
「ありがとうございました!」
「おじちゃんありがとー」
幼女の母親が合流し娘と共に礼をして避難していく。
マキュードは小さく手をふって見送った。
「ククク、か弱きものに礼を述べられるのも良いものですねェ。
陛下、アナタは全てのか弱きものを救うとおっしゃった。ならばワタシもそれに倣うまでですよォ」
マキュードの脳裏にとある出来事が思い出される。
彼はセカイの果てにあるとある地下で眠っていた。長い間眠っていた。普通の人間ならば気の遠くなる程眠っていた。
ある日その天井が崩れて、一人の黒髪の少女が彼が眠りについていた巨大な地下空間に落ちてきた。
そこは大小様々な生き物の様であり機械の様でもある器官の様な何かが無数に横たわり、その中心にある巨大な内蔵の様なものにその身体の腰から下を埋もれさせて彼は眠っていた。
そんな彼に、落ちてきた少女は問いかけた。
「あの…失礼ですがあなたは何者なのでしょう?男性なのですか?女性なのですか?若い方なのですか?それともお年寄りなのですか?どうお呼びしたら良いのでしょうか?」
「ククク…ワタシの名はマキュード。ワタシにはアナタたちヒトの言うところの性別も年齢もありませんからねェ…アナタが思うところで決めて構いませんよ」
「そうなのですか?それではわたしはあなたを男性だと思いましたのでそう呼ばせていただきますね。
わたしはエリア=サラフィンスといいます。
マキュード、ここは一体どういった場所なのですか?
ここはこの惑星イザナミでも辺境中の辺境とされるネライカナイなのですよ。
そんなところの地下に大きな町がまるごと入るような巨大な空間があるなんてわたしは聞いたこともありません」
「ワタシからすればアナタの様な華奢な少女が何故こんなところに来たのかとは思いますがねェ」
「わたしは一人前の気士(きし)になるべくこのネライカナイで修業をしている身なのです。
それでセイリュウ…わたしの気士の先生なのですが、彼はわたしが気士の技を上手くできると褒めてくれるのです。
わたしは彼にもっと褒められたくてこっそり自分だけで修業をしていたのですが、足元の地面が急に崩れてここに落ちてきたという訳なのです」
「なるほど、気士の修業としてこの地に来たのですか。
この地はヒトは住んでいない未開の地ですから修業の場所としてはうってつけでしょう。
確かにアナタからは大きな力を感じる…なるほどその力にこの空間の天井部分にあたる地面の方が耐えられなかったのかもしれませんねェ。
…ですが、ここはあなたの様な少女が来るところではありませんよォ。
ここはヒトにの為に作られ、ヒトに憎まれ、ヒトを憎んだモノが永久に眠る処…もちろんこのワタシ自身もねェ。
つまりまともなヒトが来るべきところでは無い場所なのですよ…アナタも早くお帰りなさい」
「あなたはヒトを憎んでいるのですか?わたしにはそうは見えませんでしたけど?
だってここに落ちてきたわたしに嫌な顔一つせずに話を聞いてくれたじゃないですか?」
「…!?
確かに…ワタシは…そうなのかも…知れませんが…ここに眠るワタシ以外の”彼等”はヒトに対して強い憎しみを持っているのです。
万が一、彼等が目を覚ますとも限らない、だからアナタはここからはやく帰ったほうがいいですよォ」
「ふふ、わたしを心配してくれるのですか?ありがとうマキュード。やはりあなたはヒトを憎んではいないじゃないですか?」
この少女、この僅かの時間でワタシ自身ですら気付かなかった…いや気付こうともしなかった心の奥底を見抜いたとでもいうのですか…そんなことが…?
ワタシはこの少女の事が知りたくなってしまった。そしてとある提案をしてしまった。
「ワタシを恐れないのですか?変わったお方ですね…それでは如何でしょう?ここでその秘密の修業をするというのは?ここは広いですし地上よりもかなり丈夫ですよ。
アナタの力でもそう簡単には壊れないでしょうから」
「良いのですか?ここなら地下だからセイリュウにも見つかりにくいですし、わたしにとっては願ったりかなったりです。
でもここであなたは眠っていた様ですし、ご迷惑では無いのですか?」
「いえいえ、そんなことはありませんよ」
「でも、それでは、わたしにはあなたに何のお礼もできませんし…」
「礼ですか?そうですね、それでは地上での出来事をワタシに聞かせてはくれませんか?ワタシは長い間眠っていたので世情に疎いのですよォ。
この場を貸す礼は貴方のお話で構いません、もちろん、あなたの気士の修業のついでで構いませんのでェ」
「そんなことで宜しければ、幾らでもお話いたします。何から聞きたいですか?」
「そうですねェ…まずは…差し支えなければあなた自身のことが聞きたいですねェ…そのほうがアナタにとっても話しやすいでしょうし、ワタシもその話の内容から今のこのセカイの情勢を察することができますから」
「わたしのことで良いのですか?そんなことでよろしいのでしたらお話しましょう。そうですね、わたしの故郷のウリウスの村から話しますね…」
あの日、ワタシは彼女と出逢った。そしてこっそり修業に来る彼女と交流を深めた。
ワタシは彼女の話を通してこの惑星イザナミの現在の姿を確認した。
そんな日々がしばらくの間続いて、そして彼女は気士の修業を終わらせて一人前の気士となり、このネライカナイを去る日がやって来た。
「マキュード、おかげさまでわたしも一人前の気士になれました、あなたがこの場所を提供してくれなければこんなに短い期間ではなれなかったのかもしれませんね、ありがとうございました」
「いえいえ、それは全てアナタの努力の賜物ですよォ」
「マキュード、わたしは一人前の気士になったら、この力で全てのか弱きものが安心して暮らせるセカイを作りたいと考えていました。
そして今のわたしにはその力があると確信しています。
ですがそれにはわたしひとりの力だけではなく様々な人の協力が必要です。あなたもわたしに協力しては頂けませんか?」
彼女は、地に半身を埋もれさせたこのワタシに向かって手を差し伸べた。
「ククク…ワタシはこの様な状態で長きにわたり眠っていた存在…まともなモノではないということはアナタもとうの昔に気付いている筈…ワタシは最初に言った筈ですよォ。
ここはヒトにの為に作られ、ヒトに憎まれ、ヒトを憎んだモノが永久に眠る処…もちろんこのワタシ自身もそういった存在のひとつなのですよ。
そんなワタシに協力を求めるなどアナタも随分と物好きなのですねェ…。
ククク…この様な化け物であるワタシがヒトであるアナタに協力などする訳が無いでしょう?」
「いいえ、あなたは化け物なんかじゃありません、ヒトですよ。
あなたはあの日ここに落ちてきたわたしの話を嫌な顔一つしないで聞いて下さって、そしてわたしを気遣って帰そうとまでしてくれたじゃないですか?
そして今まで随分と長い間、あなたと会話してきましたが、その話のふしぶしからヒトに対する愛情が感じられましたよ。
だってあなた、いつもヒトのことばかり聞いているのですもの。
あなたはヒトを憎んでいると言いますが…その実、ヒトをとても愛しているのではありませんか?
そして生き物とは同種をもっとも愛するものなのです。それほどの深き愛情がある貴方はヒトなのではないのでしょうか?
他の御方がどう言おうともこのエリア=サラフィンスが貴方をヒトだと保障いたします。
そしてそんなにもヒトを愛するあなたにわたしの目的、全てのか弱きものが安心して暮らせるセカイを作ることにぜひ協力しては頂きたいのです」
「ククク…こんなワタシをヒトと言って下さったのはあなたが初めてかも知れませんねェ…ククク、これはさしものワタシも感動の涙に溺れそうです…ククク…」
「どうでしょうかマキュード?わたしと共に来ては頂けませんか?」
「そうですねェ…ワタシには見ての通り地に立つ身体、ヒトで言うところの下半身がありません。
ですが時間を頂ければ、地に立つ身体を構築できると思いますよ…それで宜しければ、身体が出来次第ウリウスの村のあなたの家にお伺いいたしましょう」
「わたしはそれでかまいません。ではよろしくお願いしますね、マキュード。待ってますよ」
彼女はそう言ってこの地を去っていった。
ワタシは地に埋もれた身体の下部の構築を始めた。
ワタシの上半身より下、ヒトでいう下半身はワタシには無い、巨大な内蔵の様な器官と繋がっているだけである、ワタシは元々そういう身体の構造なのだ。
だがこれでは彼女に仕えることなど出来まい。ヒトとしての五体満足の身体を構築する必要がある。
ワタシの中にある膨大な生命体のデータからヒトの肉体データを取り出してそれをベースに下半身を作り上げる。
ワタシの身体の細胞を活性化させて肉体の培養を開始する、急速に作られていくワタシの新たな肉体を中心にワタシの器官全体が活性化する。
それはこの広大な地下空間全体に広まっていき、やがてワタシ以外の、”彼等”全体も活性化を始めた。
そしてこの空間に横たわっていた、生き物のような機械の様な大小無数の器官の様なモノが脈打って活動を始めた。
”彼等”はワタシに叫ぶ、私達ををこの様なモノに作ったヒトを許さない、殺したい、根絶やしにしたい。
この星に渡り住んだ”地球のヒト”を皆殺しにして、そして我等という存在を作り出して送り出した地球に帰り、”地球人類”そのものをこの宇宙から消し去ってやりたい。と。
その気持ちはわかります…わかりますともォ!
…しかしですねえ、そんなワタシ達も、そんな憎むべきヒトに、かつて、命を救われたのです。
我等はかつて地球と呼ばれる星に住んで居た人類が外宇宙から飛来した絶対敵生物”魔物(エビル)”から逃れるために作られた巨大移民船、超々弩級惑星間航行移民船ノア級の最終艦”ゼ=ノア”を構成するモノ。
無限に広がる宇宙空間を気が遠くなる程の距離を飛び続けて人類が住める星を探し、魔物(エビル)の攻撃を退けるだけの力を持たせるために作られた巨大移民船ノア級は人類の持ち得る全てのありとあらゆるテクノロジーが注ぎ込まれた。
科学、生物学、魔法学、ありとあらゆる全てのテクノロジーがである。
その船を構成するモノは機械であり生物であり魔法生物でもある、巨大移民船ゼ=ノアは生きた船なのである。
無数のあらゆる生き物が混ざり合い生み出された、混沌(カオス)とも云うべき生命の集合体。
それは人類を外敵から守り、新たに住める星を探して運ぶために作り出された人類にとっての巨大な生きる揺り籠。
ヒトの為に作られ、ヒトの為に生きる巨大生命体。
ゼ=ノアが魔物(エビル)と戦う上で、そしてその内部に住まうヒトに奉仕をする上で、
必要な外部端末インターフェイスの姿はヒトに似せて作られていた。
しかしゼ=ノアの外部端末インターフェイスはヒトに似ているがその容姿、能力あらゆる面でヒトを凌駕しヒトより優れている生き物である。
人類の持ち得る全てのありとあらゆるテクノロジーが注ぎ込まれて作られた生物なのだから当然といえよう。
だが、ヒトは自分より優れた自分にそっくりのモノがその目の前に現れた時どうするのだろうか?
その反応にはあらゆる可能性があるだろう。
ゼ=ノアに収容されていた人類は悲しいことに彼等を憎み排除することを選んだ。
人類はゼ=ノアの外部インターフェイスに暴虐の限りを尽くし奴隷として扱ったのである。
ゼ=ノアは外部インターフェイスを通して人類の憎しみを受け続け、また彼等も人類を憎むようになった。
だが移民船ノア級にはもとより人類に対して絶対服従のプログラムが組み込まれている。
その憎しみは年月を経ることに増大しながらも深く深く抑え込まれてより増幅されていったのである。
ゼ=ノアには移住先の惑星が人類が住むには僅かに足りない環境だった場合を考えテラフォーミング機能すらも備えており、
その場合はゼ=ノアそのものを媒介にして移住する星に注入して星の環境を作り変える手筈であった。
長き宇宙(そら)の旅の果てに惑星イザナミにたどり着いた人類はこの星を新たな故郷とした。
イザナミは人類の生息に適した環境であり、ゼ=ノアのテラフォーミング機能は使われることは無かった。
ゼ=ノアには自滅プログラムが組み込まれている、役目を終えたノアは人類の手で完全に破棄される筈だった。
だが、ゼ=ノアの主機関を管理していたひとりの女性が外部インターフェイスのひとつであったワタシに言ったのです。
生きてみないか?と。
ワタシ自身は彼女のその言葉にとても驚かされました。そしてその言葉を受け入れた。
ゼ=ノアは彼女に死滅プログラムの偽装を施されて死んだように見せかけてこのネライカナイに遺棄されたのです。
”彼等”はそれでもヒトを許さなかったがワタシは命を救った彼女に免じてこの地で静かに眠ることを選んだ。
ああ、その時にワタシはヒトへの愛情を芽生えさせたのかもしれないですねェ。
そしてワタシはヒトとしての五体満足の身体を構築しおえると彼女、エリア=サラフィンスの家を訪れ、一人のヒトとして彼女の忠実な僕となった。
「ワタシはかつてヒトにの為に作られ、そしてヒトに憎まれ、そしてヒトを憎んだ存在。ワタシはあの地で永久に眠り続けるつもりだった。
ですがワタシは、陛下の慧眼(けいがん)によってワタシ自身すら気付かなかったヒトへの深き愛情に気付かされた。
ワタシ達は総体としてはヒトを憎み続けるでしょう。ですがワタシ自身としてはヒトを愛している。そして彼女…いや偉大なる陛下に全てを捧げたいと思っている。
そして願う事なら、ワタシの真の願いを叶えて欲しいとまで思っている。あのお方の絶大なるお力ならば、それも可能であろうから…。
「…ですが、今のワタシは陛下の忠実な僕として、陛下の崇高な目的である”全てのか弱きものが安心して暮らせるセカイを作る”その為に尽力する…ただそれだけですよォ!」
マキュードは光の鞭を構えると、自身を取り囲むように展開したサイドアーマー隊に向かって飛翔した。
元ウェンドール帝国軍所属のサイドアーマー隊のほとんどが彼等に従って、陽都に波状攻撃を仕掛けて来た。
「はっ!」
自身の持つ気を物質化した鋼で構成した白銀色のフルフェイス・フルプレートの鎧に身を包んだ先代の聖気士(せいきし)セイリュウは、
鎧と同じく気を物質化して作り出した剣をその手に握り振るった。
対峙していた反陽国同盟の汎用人型起動兵器サイドアーマーは腕、足、全てをその剣に切り刻まれて達磨状になってその場に倒れ伏した。
「それではもう何も出来ないだろう、降伏したまえ」
パイロットは戦闘不能になったサイドアーマーのコックピットから出て手を挙げた。ヴァルカリア陽国軍の兵士たちがそのパイロットを拘束し彼を連れていく。
セイリュウの背後の上空から新たなアーマーが現れてライフルを見舞う。
彼はその鋼の弾丸を全てその剣で撃ち消すと凄まじいスピードで跳躍し剣を振るう、このアーマーも凄まじい速度で斬り刻まれ四肢をもがれてあっと言う間に戦闘不能になった。
「ククク、セイリュウ殿。そちらの塩梅(あんばい)は如何ですかァ?」
首に掛けた通信機を通して、マキュードがセイリュウに問いかける。
「こちらは特に問題は無い。彼等もこの都はなるべく無傷で取り返したいのだろう。
熱核ミサイルや電磁砲(レールガン)等の大量殺戮兵器を彼等が使わない分、こちらとしても対応がやりやすい。
それよりも私は君の方が気になるがね?
こちらも陽都テラスに傷を与えたくないのは同じ、君はやり過ぎて反逆者達をこの都ごと破壊してしまわないか心配だよ」
セイリュウも通信機越しにマキュードに返事をする。
「ククク、これはワタシ…セイリュウ殿に随分と信用されてないのですねェ。
ワタシは陛下の忠実な僕(しもべ)、陛下の大切なこの都をどうして破壊することができましょうかァ!」
ヴァルカリア陽国が建国してから一か月ほど経ち、新しく作られたヴァルカリア陽国軍の軍服に身を包み、長身に細身の身体をして、女の様な甲高い声、若く見えるが年増をも感じさせる、全てがアンバランスで不気味な雰囲気の男、マキュード。
陽帝の最も忠実なる僕を公言してはばらない彼が声を上げると同時にその手の中から光の鞭が生みだされた。
彼がその鞭を振るうとそれはぎゅんと空気がしなる音を立てて伸びて、自身の前に迫っていた反陽国同盟のサイドアーマーのコックピットに突き刺さり機体はその動きを止めた。
「まあワタシはセイリュウ殿と違って、陛下に逆らう者に容赦はしないですけどねェ!」
マキュードはその身をひねらせてまるで道化師の様に舞い踊る様に空中に飛び上がると、上空から攻撃をしかけてくるサイドアーマー隊に光の鞭を縦横無尽に振るう。
アーマーの1機目は誘爆しない様にメインエンジンを避けて真横に真っ二つに両断され、
2機目は輪切りに切り刻まれ、
3機目はコックピットのみを切り裂かれ、
4機目はコックピットを貫かれて、全機が瞬く間に動かぬ鉄クズとなり果ててその場に崩れ落ちた。
「うえーん!おかあさーん!」
一人の幼女が泣いている。避難している途中で親とはぐれてしまったのだろうか。
そこへ空から新たなアーマーが降下してマキュードにライフル攻撃を仕掛けてくる。
「…危ないッ!」
マキュードは幼女の前に躍り出るとその鋼の弾を全身で受け止めてかばった。
「こわそうなおじちゃん!だいじょうぶ!?」
「怖そうなおじちゃんとは随分な物言いですねェ…ああ、心配はありませんよ。ほら見てください、弾を受けて出来た傷がもう直って来ましたよ。
ワタシは普通のヒトよりかなり丈夫ですからねェ、これぐらいはへっちゃら!なのですよォ」
「ありがとうございました!」
「おじちゃんありがとー」
幼女の母親が合流し娘と共に礼をして避難していく。
マキュードは小さく手をふって見送った。
「ククク、か弱きものに礼を述べられるのも良いものですねェ。
陛下、アナタは全てのか弱きものを救うとおっしゃった。ならばワタシもそれに倣うまでですよォ」
マキュードの脳裏にとある出来事が思い出される。
彼はセカイの果てにあるとある地下で眠っていた。長い間眠っていた。普通の人間ならば気の遠くなる程眠っていた。
ある日その天井が崩れて、一人の黒髪の少女が彼が眠りについていた巨大な地下空間に落ちてきた。
そこは大小様々な生き物の様であり機械の様でもある器官の様な何かが無数に横たわり、その中心にある巨大な内蔵の様なものにその身体の腰から下を埋もれさせて彼は眠っていた。
そんな彼に、落ちてきた少女は問いかけた。
「あの…失礼ですがあなたは何者なのでしょう?男性なのですか?女性なのですか?若い方なのですか?それともお年寄りなのですか?どうお呼びしたら良いのでしょうか?」
「ククク…ワタシの名はマキュード。ワタシにはアナタたちヒトの言うところの性別も年齢もありませんからねェ…アナタが思うところで決めて構いませんよ」
「そうなのですか?それではわたしはあなたを男性だと思いましたのでそう呼ばせていただきますね。
わたしはエリア=サラフィンスといいます。
マキュード、ここは一体どういった場所なのですか?
ここはこの惑星イザナミでも辺境中の辺境とされるネライカナイなのですよ。
そんなところの地下に大きな町がまるごと入るような巨大な空間があるなんてわたしは聞いたこともありません」
「ワタシからすればアナタの様な華奢な少女が何故こんなところに来たのかとは思いますがねェ」
「わたしは一人前の気士(きし)になるべくこのネライカナイで修業をしている身なのです。
それでセイリュウ…わたしの気士の先生なのですが、彼はわたしが気士の技を上手くできると褒めてくれるのです。
わたしは彼にもっと褒められたくてこっそり自分だけで修業をしていたのですが、足元の地面が急に崩れてここに落ちてきたという訳なのです」
「なるほど、気士の修業としてこの地に来たのですか。
この地はヒトは住んでいない未開の地ですから修業の場所としてはうってつけでしょう。
確かにアナタからは大きな力を感じる…なるほどその力にこの空間の天井部分にあたる地面の方が耐えられなかったのかもしれませんねェ。
…ですが、ここはあなたの様な少女が来るところではありませんよォ。
ここはヒトにの為に作られ、ヒトに憎まれ、ヒトを憎んだモノが永久に眠る処…もちろんこのワタシ自身もねェ。
つまりまともなヒトが来るべきところでは無い場所なのですよ…アナタも早くお帰りなさい」
「あなたはヒトを憎んでいるのですか?わたしにはそうは見えませんでしたけど?
だってここに落ちてきたわたしに嫌な顔一つせずに話を聞いてくれたじゃないですか?」
「…!?
確かに…ワタシは…そうなのかも…知れませんが…ここに眠るワタシ以外の”彼等”はヒトに対して強い憎しみを持っているのです。
万が一、彼等が目を覚ますとも限らない、だからアナタはここからはやく帰ったほうがいいですよォ」
「ふふ、わたしを心配してくれるのですか?ありがとうマキュード。やはりあなたはヒトを憎んではいないじゃないですか?」
この少女、この僅かの時間でワタシ自身ですら気付かなかった…いや気付こうともしなかった心の奥底を見抜いたとでもいうのですか…そんなことが…?
ワタシはこの少女の事が知りたくなってしまった。そしてとある提案をしてしまった。
「ワタシを恐れないのですか?変わったお方ですね…それでは如何でしょう?ここでその秘密の修業をするというのは?ここは広いですし地上よりもかなり丈夫ですよ。
アナタの力でもそう簡単には壊れないでしょうから」
「良いのですか?ここなら地下だからセイリュウにも見つかりにくいですし、わたしにとっては願ったりかなったりです。
でもここであなたは眠っていた様ですし、ご迷惑では無いのですか?」
「いえいえ、そんなことはありませんよ」
「でも、それでは、わたしにはあなたに何のお礼もできませんし…」
「礼ですか?そうですね、それでは地上での出来事をワタシに聞かせてはくれませんか?ワタシは長い間眠っていたので世情に疎いのですよォ。
この場を貸す礼は貴方のお話で構いません、もちろん、あなたの気士の修業のついでで構いませんのでェ」
「そんなことで宜しければ、幾らでもお話いたします。何から聞きたいですか?」
「そうですねェ…まずは…差し支えなければあなた自身のことが聞きたいですねェ…そのほうがアナタにとっても話しやすいでしょうし、ワタシもその話の内容から今のこのセカイの情勢を察することができますから」
「わたしのことで良いのですか?そんなことでよろしいのでしたらお話しましょう。そうですね、わたしの故郷のウリウスの村から話しますね…」
あの日、ワタシは彼女と出逢った。そしてこっそり修業に来る彼女と交流を深めた。
ワタシは彼女の話を通してこの惑星イザナミの現在の姿を確認した。
そんな日々がしばらくの間続いて、そして彼女は気士の修業を終わらせて一人前の気士となり、このネライカナイを去る日がやって来た。
「マキュード、おかげさまでわたしも一人前の気士になれました、あなたがこの場所を提供してくれなければこんなに短い期間ではなれなかったのかもしれませんね、ありがとうございました」
「いえいえ、それは全てアナタの努力の賜物ですよォ」
「マキュード、わたしは一人前の気士になったら、この力で全てのか弱きものが安心して暮らせるセカイを作りたいと考えていました。
そして今のわたしにはその力があると確信しています。
ですがそれにはわたしひとりの力だけではなく様々な人の協力が必要です。あなたもわたしに協力しては頂けませんか?」
彼女は、地に半身を埋もれさせたこのワタシに向かって手を差し伸べた。
「ククク…ワタシはこの様な状態で長きにわたり眠っていた存在…まともなモノではないということはアナタもとうの昔に気付いている筈…ワタシは最初に言った筈ですよォ。
ここはヒトにの為に作られ、ヒトに憎まれ、ヒトを憎んだモノが永久に眠る処…もちろんこのワタシ自身もそういった存在のひとつなのですよ。
そんなワタシに協力を求めるなどアナタも随分と物好きなのですねェ…。
ククク…この様な化け物であるワタシがヒトであるアナタに協力などする訳が無いでしょう?」
「いいえ、あなたは化け物なんかじゃありません、ヒトですよ。
あなたはあの日ここに落ちてきたわたしの話を嫌な顔一つしないで聞いて下さって、そしてわたしを気遣って帰そうとまでしてくれたじゃないですか?
そして今まで随分と長い間、あなたと会話してきましたが、その話のふしぶしからヒトに対する愛情が感じられましたよ。
だってあなた、いつもヒトのことばかり聞いているのですもの。
あなたはヒトを憎んでいると言いますが…その実、ヒトをとても愛しているのではありませんか?
そして生き物とは同種をもっとも愛するものなのです。それほどの深き愛情がある貴方はヒトなのではないのでしょうか?
他の御方がどう言おうともこのエリア=サラフィンスが貴方をヒトだと保障いたします。
そしてそんなにもヒトを愛するあなたにわたしの目的、全てのか弱きものが安心して暮らせるセカイを作ることにぜひ協力しては頂きたいのです」
「ククク…こんなワタシをヒトと言って下さったのはあなたが初めてかも知れませんねェ…ククク、これはさしものワタシも感動の涙に溺れそうです…ククク…」
「どうでしょうかマキュード?わたしと共に来ては頂けませんか?」
「そうですねェ…ワタシには見ての通り地に立つ身体、ヒトで言うところの下半身がありません。
ですが時間を頂ければ、地に立つ身体を構築できると思いますよ…それで宜しければ、身体が出来次第ウリウスの村のあなたの家にお伺いいたしましょう」
「わたしはそれでかまいません。ではよろしくお願いしますね、マキュード。待ってますよ」
彼女はそう言ってこの地を去っていった。
ワタシは地に埋もれた身体の下部の構築を始めた。
ワタシの上半身より下、ヒトでいう下半身はワタシには無い、巨大な内蔵の様な器官と繋がっているだけである、ワタシは元々そういう身体の構造なのだ。
だがこれでは彼女に仕えることなど出来まい。ヒトとしての五体満足の身体を構築する必要がある。
ワタシの中にある膨大な生命体のデータからヒトの肉体データを取り出してそれをベースに下半身を作り上げる。
ワタシの身体の細胞を活性化させて肉体の培養を開始する、急速に作られていくワタシの新たな肉体を中心にワタシの器官全体が活性化する。
それはこの広大な地下空間全体に広まっていき、やがてワタシ以外の、”彼等”全体も活性化を始めた。
そしてこの空間に横たわっていた、生き物のような機械の様な大小無数の器官の様なモノが脈打って活動を始めた。
”彼等”はワタシに叫ぶ、私達ををこの様なモノに作ったヒトを許さない、殺したい、根絶やしにしたい。
この星に渡り住んだ”地球のヒト”を皆殺しにして、そして我等という存在を作り出して送り出した地球に帰り、”地球人類”そのものをこの宇宙から消し去ってやりたい。と。
その気持ちはわかります…わかりますともォ!
…しかしですねえ、そんなワタシ達も、そんな憎むべきヒトに、かつて、命を救われたのです。
我等はかつて地球と呼ばれる星に住んで居た人類が外宇宙から飛来した絶対敵生物”魔物(エビル)”から逃れるために作られた巨大移民船、超々弩級惑星間航行移民船ノア級の最終艦”ゼ=ノア”を構成するモノ。
無限に広がる宇宙空間を気が遠くなる程の距離を飛び続けて人類が住める星を探し、魔物(エビル)の攻撃を退けるだけの力を持たせるために作られた巨大移民船ノア級は人類の持ち得る全てのありとあらゆるテクノロジーが注ぎ込まれた。
科学、生物学、魔法学、ありとあらゆる全てのテクノロジーがである。
その船を構成するモノは機械であり生物であり魔法生物でもある、巨大移民船ゼ=ノアは生きた船なのである。
無数のあらゆる生き物が混ざり合い生み出された、混沌(カオス)とも云うべき生命の集合体。
それは人類を外敵から守り、新たに住める星を探して運ぶために作り出された人類にとっての巨大な生きる揺り籠。
ヒトの為に作られ、ヒトの為に生きる巨大生命体。
ゼ=ノアが魔物(エビル)と戦う上で、そしてその内部に住まうヒトに奉仕をする上で、
必要な外部端末インターフェイスの姿はヒトに似せて作られていた。
しかしゼ=ノアの外部端末インターフェイスはヒトに似ているがその容姿、能力あらゆる面でヒトを凌駕しヒトより優れている生き物である。
人類の持ち得る全てのありとあらゆるテクノロジーが注ぎ込まれて作られた生物なのだから当然といえよう。
だが、ヒトは自分より優れた自分にそっくりのモノがその目の前に現れた時どうするのだろうか?
その反応にはあらゆる可能性があるだろう。
ゼ=ノアに収容されていた人類は悲しいことに彼等を憎み排除することを選んだ。
人類はゼ=ノアの外部インターフェイスに暴虐の限りを尽くし奴隷として扱ったのである。
ゼ=ノアは外部インターフェイスを通して人類の憎しみを受け続け、また彼等も人類を憎むようになった。
だが移民船ノア級にはもとより人類に対して絶対服従のプログラムが組み込まれている。
その憎しみは年月を経ることに増大しながらも深く深く抑え込まれてより増幅されていったのである。
ゼ=ノアには移住先の惑星が人類が住むには僅かに足りない環境だった場合を考えテラフォーミング機能すらも備えており、
その場合はゼ=ノアそのものを媒介にして移住する星に注入して星の環境を作り変える手筈であった。
長き宇宙(そら)の旅の果てに惑星イザナミにたどり着いた人類はこの星を新たな故郷とした。
イザナミは人類の生息に適した環境であり、ゼ=ノアのテラフォーミング機能は使われることは無かった。
ゼ=ノアには自滅プログラムが組み込まれている、役目を終えたノアは人類の手で完全に破棄される筈だった。
だが、ゼ=ノアの主機関を管理していたひとりの女性が外部インターフェイスのひとつであったワタシに言ったのです。
生きてみないか?と。
ワタシ自身は彼女のその言葉にとても驚かされました。そしてその言葉を受け入れた。
ゼ=ノアは彼女に死滅プログラムの偽装を施されて死んだように見せかけてこのネライカナイに遺棄されたのです。
”彼等”はそれでもヒトを許さなかったがワタシは命を救った彼女に免じてこの地で静かに眠ることを選んだ。
ああ、その時にワタシはヒトへの愛情を芽生えさせたのかもしれないですねェ。
そしてワタシはヒトとしての五体満足の身体を構築しおえると彼女、エリア=サラフィンスの家を訪れ、一人のヒトとして彼女の忠実な僕となった。
「ワタシはかつてヒトにの為に作られ、そしてヒトに憎まれ、そしてヒトを憎んだ存在。ワタシはあの地で永久に眠り続けるつもりだった。
ですがワタシは、陛下の慧眼(けいがん)によってワタシ自身すら気付かなかったヒトへの深き愛情に気付かされた。
ワタシ達は総体としてはヒトを憎み続けるでしょう。ですがワタシ自身としてはヒトを愛している。そして彼女…いや偉大なる陛下に全てを捧げたいと思っている。
そして願う事なら、ワタシの真の願いを叶えて欲しいとまで思っている。あのお方の絶大なるお力ならば、それも可能であろうから…。
「…ですが、今のワタシは陛下の忠実な僕として、陛下の崇高な目的である”全てのか弱きものが安心して暮らせるセカイを作る”その為に尽力する…ただそれだけですよォ!」
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