弱くてすみません~偽認定された夫婦の冒険記~

にしのみつてる

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第1章

奴隷商館に行こう~転生者ヒカルとミチルの選択~

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 ウリエルから改めて冒険者の定義を聞かされたマリオとリカコは自分たちの認識の甘さを痛感していた。
 
 ウリエルの提案でナニサカ市にある奴隷商館に奴隷を買いに行く予定だったが、その前にマリオとリカコは冒険者ギルドに寄って冒険者カードの情報確認をすることにした。理由を聞かれたら、神様から神託が下りて、商人と薬師になったと言う話をしようと二人で決めた。

「ミナさん、こんにちは」
「マリオさん、リカコさん、こんにちは、今日は何のご用でしょうか?」

「はい、冒険者カードの確認をして欲しいのです」
「それと、護衛として奴隷を雇うように神様から神託が降りたのです」

「分かりました、お二人のカードをお借りします」
「ステータス」

 ◇ ◇ ◇ ◇

【名前】マリオ・ナミキ
【種族】人族
【年齢】21
【称号】商人
【スキル】
 秘匿
【LV】25
【MP】****

【名前】リカコ・ナミキ
【種族】人族
【年齢】21
【称号】薬師
【スキル】
 秘匿
【LV】25
【MP】****

 ◇ ◇ ◇ ◇

「バルドさ~ん、カレンさ~ん、マリオさんたちがジョブチェンジされました」
「ミナ、本当か?」

「はい、何度も確認しましたがジョブチェンジは本当です」
「カレン、どう思う」

「神様が決めたのだから、称号の変更は仕方ないわね」

「マリオ、リカコ、後悔はしていないのか?」
「はい、それと奴隷を雇えと神託が降りました」

「ひょっとすると、新しい勇者と聖女が誕生するかもしれないな」
「カレン、どう思う?」

「私がマリオたちと一緒に奴隷商館に行ってその奴隷を品定めしてくるわ」
「ああ、それなら安心だ」


 ◇ ◇ ◇ ◇

 根本燿ねもとひかる芳川未知瑠よしかわみちるは関西地区の明達高校2年でラノベ研究部の同級生だった。ある日の放課後、下校途中に老人が運転するハイブリッド車にはねられて異世界転移してしまった。

「信心深き者たちよ、我らはこの世界を司る、バッカスとアリアドネなり」
「汝らは誠に気の毒ではあるが、脳卒中を起こした老人が運転するハイブリッド車にはねられて異世界に転生したのじゃ」

「これから転生する国はイポニア国のナニサカ市になるが、汝らは暴漢に襲われ奴隷商館に売られてしまうが少しの間だけ我慢するのじゃ」

「直ぐに同じ転生者の日本人夫婦が奴隷を買いに来るので大人しく買ってもらうのじゃ」
「そして、この日本人夫婦を守りながら勇者と聖女として成長しながら旅を続ければ良いのじゃ」

「ヒカルはこの約束を守るか?」
「あの~、神様、チートは直ぐにもらえないのでしょうか?」

「ワガママを言うでない、汝らが規定のレベルに達すればチートは使い放題じゃ」
「分かりました、誓います」

「ミチルはどうじゃ」
「私も誓います」

「では、少しだけ怖い思いをするかも知れぬが、奴隷商館の前に転生じゃ」

 空から少年と少女がゆっくりと降ってきたのを見ていたナニサカでチンピラのアルマンとハッサンは長剣を構えて駆け寄ってきた。

「う~ん、ミチル大丈夫?」
「大丈夫よ」

「おい、お前ら何処から来た、キタニ人か?」
「有り金全部置いていけ」
 ヒカルとミチルはチンピラ二人に長剣を突きつけられた。

「お金は持っていません、許して下さい」

「兄貴、乱暴はやめましょうよ、こいつらかなり身なりがいい服装を着ているので金になりそうですよ」

「おい、殺されたくなかったら俺達と一緒に店に入ろうか」

「ミチル、怖いけど今は我慢して」
「ええ、大丈夫よ」

「おい、早く歩け」
 ヒカルとミチルは手を縛られて急ぎ足で歩かされた。

「キタニ人の男と女の子供だ、店の前で保護したので買ってくれ」
「お前たち、本当にこの子たちを保護したのか?」

「ああそうだ、店に行きたいと言っていたからここに案内したたんだ」
「分かった、二人で30枚だ」

「何だこれっぽっちか、何なら隣の娼館で保護してもらってもいいのだぞ」
「分かった、二人で50枚だ」

「ありがとよ」

 チンピラのアルマンとハッサンは奴隷商館から逃げるようにして、向かいの向かいの遊興施設へ駆け込んでいった。あぶく銭が入ったので遊びでぱっと使おうとしたのだった。

 ミチルとヒカルは縄を解かれて、それぞれが格子のついた部屋に入れられた。奴隷商人のハンスは二人を一目見るなり、貴族の下僕として二人一組で金貨五百枚で売り出そうと考えていた。

 金持ちの貴族の中には、若い男女が仲睦まじく寄り添う姿を眺めて楽しむ、少し変わった趣味の夫婦がいることを知っていたからだ。それが駄目だとしても、ミチルは可愛がられる下僕として買い手がつくだろうし、ヒカルも貴族婦人の話し相手や世話係として需要があるとして売れる見込みがあったのだ。

 ◇ ◇ ◇ ◇

 マリオとリカコ、カレンの三人は市内の奴隷商館に冒険者ギルドの馬車で向かった。

「マリオ、リカコ、このお店よ」

「ハッサン、邪魔するわよ」
「これはカレン様、いらっしゃいませ」
 店主のハッサンは揉み手でカレンに挨拶をした。

「今日はこちらのお客様の依頼で買いに来たのよ」
「マリオ、リカコ、挨拶しなさい」

「商人のマリオです」
「妻で薬師のリカコです、よろしくお願いします」

「お客様はどのような奴隷をお望みですか?」
「はい、私は商売をしながら薬師の妻と旅をしておりまして、護衛をしてくれる奴隷を探しておるのです」

「わかりました、では連れてまいります」
 奴隷商人のハンスは頑強そうな獣人の男を連れてきたが、リカコは首を横に振った。

「奥様、こちらの女はどうでしょう」
 連れてこられたのは、リカコより年上の女性剣士だったが酷く辛そうな顔をしていた。

(マリオさん、あの女性剣士は肺の病気持ちよ)
(そうだね、病人は引き取れないね)

「ご主人、戦士でなくていいので若い人が欲しいのだが」
「それでしたら、今日入店したキタニ人の男女がいます」

 奴隷商人のハンスはヒカルとミチルを連れてきた。

「店主、この子達をもらうよ、幾らだ」
「マリオさん、この子達は貴族の嗜好に合わせた接待役として売り出す予定でして値段は一人500枚です」

「ハッサン、嘘を言ってはいけないよ、この子達はキタニ人では無くてマリオたちと同じイポニア人だよ」
「それに、職業は剣士と修道女だね」

「恐れ入りました、カレン様の鑑定には敵いませんね」
「では、二人まとめて500枚でどうでしょう」

「馬鹿言っていないで、誠心誠意の値段を出しな」

「はい、登録料と税金で二人合わせて金貨200枚です、これ以上の値引きはご勘弁下さい」

「マリオ、リカコ、買っておやり、この子達は鍛えれば強くなるよ」
「カレンさん、分かりました、買います」

「では、奴隷の契約印をしますが、マリオ様はどうされますか?」

「ハンスさん、奴隷の契約印は絶対に必要なのですか?」
「書類だけで省略は可能ですが、奴隷が主人を殺して逃げた場合、当店は一切の責任を負いませんよ」

「それと、契約奴隷ではなく、人して購入されるのでしたら金貨100枚で書類をお作りします」

「分かりました、ヒカルとミチルは人として購入させて下さい」
「ダテホコにいた時は奴隷の経験が無かったので俺もリカコも嫌だったのです」
 マリオは冒険者カードを出して金貨300枚を信用払いした。

「カレンさん、これで良かったでしょうか?」
「マリオ、甘いね、本来は奴隷契約をしてから後で書類を書き換えるのだよ」

「またご贔屓に」

「こうして、ヒカルとミチルはマリオとリカコに引き取られた」

 マリオとリカコ、ヒカルとミチル、カレンの五人は馬車で冒険者ギルドへと帰っていった。

「マリオ、リカコ、暫くこのナニサカでヒカルとミチルを鍛えてみないかい」
「そうですね、そうなるとテントでは狭いので、一軒家をお借りできませんか?」

「そうだね、ギルドから歩いて10分位の場所で1軒あったから寄っていくかい」
「ええ、お願いします」

 レジーナさんは、賃貸用の一軒家に案内してくれた。

「「「「うわぁ~」」」」
 四人は一斉に感嘆の声を上げた。

「レジーナさん、素敵な家ですね」

「ヒカルさん、二階の寝室が2部屋あるよ」
「ミチル、素敵だね」

「マリオさん、ここに決めましょう」

「カレンさん、家賃はいくらですか?」
「そうだね、ひと月銀貨5枚だね」
「とりあえず、ひと月お願いします」

「じゃぁ、冒険者ギルドでヒカルとミチルの冒険者登録をしようか」
「お願いします」

 続く──
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※この作品では奴隷商館、娼館と言った言葉が登場しますが、15歳成人の異世界での表現になります。
 

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