弱くてすみません~偽認定された夫婦の冒険記~

にしのみつてる

文字の大きさ
16 / 28
第1章

新人歓迎会~はじめてのお酒とはじめての狩り~

しおりを挟む
 奴隷商館でヒカルとミチルを助けて……本当はマリオがお金で買ったが、ヒカルとミチルの冒険者登録が無事に終わった。

「ヒカルさん、ミチルさん、冒険者カードに登録が終わりました」
「ミナさん、ありがとうございます」

 ◇ ◇ ◇ ◇

【名前】ヒカル・ネモト
【種族】人族
【年齢】17
【称号】剣士見習い
【スキル】
 具現化、収納  
【LV】5
【MP】5000

【名前】ミチル・ヨシカワ
【種族】人族
【年齢】17
【称号】修道女見習い
【スキル】
 製薬、鑑定 
【LV】5
【MP】5000

 ◇ ◇ ◇ ◇

「マリオ、リカコ、見てごらん、この子達は伸びしろがあるよ」
「カレンさん、何で分かるのですか?」

「初期レベルに対してのMPの数字を見ているのさ」
「この子たちは初心者の10倍の魔力量なのよ」

「凄いですね」

「それにミチルは製薬と鑑定スキルを持っているわ、聖女になれなくても薬師は確実よ」
「ヒカルは具現化と収納なので、剣士として成功しなくても錬金術師に化ける可能性が有るのよ」

「へぇ~、鑑定でそんな事までわかるのですか?」
「そうよ」

「ヒカル、ミチル、あなた達、冒険者講習を始めるから別館に急ぎなさい」
「ミナ、初心者テキストは棚に置いてあるから講師をやってあげて」

「は~い」

「では、ヒカルさん、ミチルさん、冒険者初心者講習を今から始めます」
「「ミナ先生お願いします」」

 初心者講習は、冒険者たちが帰ってくる夕方の鐘までの間、鐘が鳴るまでの時間を利用して別館でミナが講師役を努めた。

 夕方の鐘が鳴って、冒険者たちが帰ってきた。

「それと、ヒカルとミチルも素質があるから明日からは簡単な薬草採取のクエストね」
「そうだな」

「ミナも講師役をご苦労さま」

「マリオ、リカコ、今夜はここで食べていけ」
「バルドさん、ありがとうございます」

「マリオ、リカコ、今夜は宴だな」

「おお!!、宴って歓迎会ですよね」
「リカコ、美味しそうだね」

「マリオさん、リカコさん、宴って俺たちも飲めるのですか?」
「ここでは15歳で成人だから問題が無いはずだよ」

「野郎ども宴だ~、新人のヒカルとミチルよ~」


「ヒカルとミチルは果実水、俺とリカコはスパークリングワインで」
「ヒカル、無理しないでいいよ」
 果実水とは果実を漬けた甘い水のことで、お酒を飲まない人のために何処の酒場でも用意されていた。

「マリオさん、お酒は飲まないのですか?」
「今夜は程々にしておきます」

「カレンさん、今夜の酒代です。皆さんで使ってください」
「マリオ、気を遣わせちゃって悪いわね」
  マリオはカレンに金貨3枚を手渡した。


「今夜もガンガン飲むわよ~」
「ウオ~!!!!、ミナちゃ~ん、最高です!!」

 冒険者たちは、一斉にテーブルに陣取って今夜も楽しい宴が始まった。

「ヒカルです、よろしくお願いします」
「ミチルです、よろしくお願いします」

「ウォ~!!!、ルーキー頑張れよ」

「マリオさん、リカコさん、冒険者の酒場って凄い雰囲気ですね」

 宴の熱気がひと段落した頃、バルドがグラスを掲げて言った。
「ヒカル、ミチル。明日は初めての冒険だな。薬草採取とはいえ、油断するなよ」
「「はい!」」二人は声を揃えて答えた。

「新人が初任務に出る前夜は、早めに休むのがギルドの流儀だ」
 カレンがそう言うと、周囲の冒険者たちも頷いた。

「そうだな、明日からはお前たちも“仲間”だ。無理せず、でも誇りを持って行ってこい」
「ありがとうございます、皆さん」
 ミナが手を振りながら言った。「じゃあ、ヒカルさん、ミチルさん、今日は早めに帰ってね」

「マリオさん、リカコさん、帰りましょうか」 
「そうだね、明日に備えて休もう」

 四人はギルドを後にし、夜風に吹かれながら借家へと向かった。空には星が瞬き、ナニサカの街灯が静かに彼らの足元を照らしていた。

 ◇ ◇ ◇ ◇

 マリオとリカコ、ヒカルとミチルの4人はカレンさんから借りたログハウスで朝を迎えた。

 マリオは女性陣の強い要望でシャワー付きトイレを男女別に2階と1階に増設した。
 この世界でのトイレはいわゆる汲み取り式なので、マリオは元の世界の知識を頼りにシャワー付き水洗トイレを具現化したのだった。風呂も同じように元の世界の記憶からユニットバスを作ったので、1階と2階のトイレ横に設置できたのだった。

 リカコとミチルはそれぞれ別々で風呂に入り、後からマリオとヒカルが朝風呂を楽しんだ。

「リカコさん、朝からお風呂なんて最高ですね」
「昨夜はマリオさんが酔っ払って寝たから罪滅ぼしよ」

「ところで、あなたたち、仲は進展したの?」
「その辺は、リカコさんの想像力にお任せします」

「この世界では、15歳で成人だから、そういうことも自然よ」
「そうなんですか?」

 リカコとミチルはスクランブルエッグを薄くスライスした田舎パンに挟み込み、簡易的なサンドイッチを作っていた。

「朝ごはんよ~」
「「は~い」」
「「「「いただきま~す」」」」

「マリオさん、今日の僕たちの予定はどうするのですか?」
「ウリエル、ヒカルとミチルのレベルアップ方法を考えてくれ」


「はい、まずはお二人にこの魔導ペンダントをかけてもらいます」
「しばらくすると、魔法袋が開きますのでじっとしていてください」
空中にウリエルがいつの間にか作った魔導ペンダントが浮かんでいた。この魔導ペンダントはマリオとリカコが買ったものより高性能に出来ていて、最大で魔力を10000まで上げることが出来るスグレモノだった。


「ヒカルさん、お腹がぽかぽかしてきたよ」
「ミチル、僕もぽかぽかしてきました」

 お二人ともいい感じです。それでは、マリオさんとリカコさんの瞑想の見本を見せてもらいましょう」

「マリオさん、リカコさん、瞑想をお願いします」

「リカコ、つなぐね」
「ええ」
 マリオとリカコが手をつないで椅子の上で瞑想を始めると二人の体が虹色に輝いていた。

「リカコさん、すごく神秘的でした」

「ヒカル、私たちも瞑想の練習よ」
「うん、お願い」

「あれ~、うまく魔力が流れ無い」
「ヒカル、焦らずにミチルさんの事を頭の中で思い浮かべてごらん」

「はい」
 その時、二人の体が薄く光だし、魔力の循環が始まった。

「やった~、ミチル、できたね」
「ヒカル、終わるのが早すぎよ。最低でも10分は集中しましょう」

 瞑想が終わったので、ウリエルの案内でマリオとリカコが薬草採取したオポタ川の堤防に歩いてきた。
 転移門を使えば直ぐだったが、まずは歩きで体力をつけるのも冒険のうちだった。

「マリオさん、家から随分距離がありましたね」
「30分の歩きは普通だよ」

 ミチル、疲れてない?
 ヒカルさん、疲れたのね」
「うん、かなり疲れた」

 ヒカルは土手で座り込んでしまった。
 マリオは「気合だよ」と声を掛けたが、ヒカルはぐったりしたままだった。

「リカコ、ヒカルに回復魔法をお願い」
「ヒール」 ヒカルの体がふわりと光り、目を開けた。
「はっ、ここは……どこ?」
「ヒカルさん、大丈夫? はい、冷たいお水」
  ヒカルはゴクゴクと飲み干し、「プハ~、生き返った」と笑った。

 転生してもヒカルの体力はそのままだった。

「ウリエル、ヒカルの基礎体力を上げる方法は無いのか?」
「はい、ヒカルさんが『体力強化』魔法を習得することです」 
「呪文は『ブースト』です」


「ブースト」
  ヒカルの体がふわりと光り、足取りが軽くなった。
「あっ、軽くなった!」
  ミチルが笑って言った。「ヒカルさん、これで薬草採取もバッチリですね」 

 ミチルの鑑定魔法のおかげで、常設依頼のマグワート採取は100束が揃い、ヒカルはそれを収納スキルでしまった。

「ミチル、お昼まだなの?」
「リカコさん、時計ってどうしてるんですか?」

「あなたたち、ギルドで鐘の説明は聞いたでしょ」
「はい、聞きました。大まかな時間しかないんですよね」

「えっ、マリオさんたちは不便じゃないんですか?」
「ヒカル、レベルが上がれば神様からタブレットがもらえるよ。時計も付いてるからね」
「やった~!レベル25で全開放だ~!」

「初日だから仕方ないよね」ヒカルはそう言って笑った。
 四人は急いで冒険者ギルドに帰り、マグワート100束の納品を終え、報酬の銀貨1枚を受け取った。


 ----------------------------------

 この作品では……イポニア国では15歳で成人として扱われるので飲酒は問題ないそうです。

(話終わり)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

【魔法少女の性事情・1】恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...