改訂版 愛のエキスと聖女さま

にしのみつてる

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第2章

寄り道してカレーを食べに行こう~激辛料理と、恋のスパイス~

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 ヒロシたち4人の最終目標はエラーダ国に行く予定だったが、その次の目的地はまだ決まっていなかった。

「空飛ぶ筏は俺たちが初めて作ったのだから、神様たちは色々と飛行データーを取って共有化すると思うよ」
 ヒロシはリビングでくつろぎながらサブローたちに説明した。

「ダリナ、夕食はフィッシュバーガーにしてみない」
「ミサエさん、タルタルソースを作りましょう」
ミサエさんとダリナは白身魚のタレスタを揚げてフィッシュバーガーを再現するようだ。

「ヒロシさん、マヨネーズのハンドミキサーを具現化で出して」
「サブロー、タブレットで調べて」

「ヒロシさん、こちらです」
「ミサエさん、魔導のハンドミキサーを作ったよ」

「ヒロシさん、ありがとう」
「どういたしまして」

「うまっ、ダリナさんのフィッシュバーガー最高です」
 チュッ、「サブロー、ありがとう」

「ミサエさん、フィッシュフライは買って正解だったね」
「そうね、ダリナもサブローも美味しそうに食べたから正解ね」

「ダリナさん、明日はカレーライスがいいですね」
「そうだった。完全に忘れてた。、サブローは前からカレーが好きだったよね」

「そうです、カレーとナンです」

「ラファエル、この世界でカレーの材料は手に入るの?」
「はい、ボリウッド国のムンバーに寄り道していけば本場のカレーが食べられると思います」
 ラファエルは軌道修正プログラムを並列処理させた。

「ミサエさん、どうする?」
「私もカレーを食べてみたいから許可よ」

「ミサエさん、僕は串焼き肉の有るところなら何処でも付いていきます」
「サブローさん、ボリウッド国の串焼き肉はシークカバブです」
「ダリナさん、シシカバブでしたね」

 ポーン、飛行コース修正完了、6時間後にブータニ国を通過します。飛行距離合計は約10500キロです

「ヒロシさん、ひょっとしてログハウスでヒマラヤ山脈ような高い山を越えるのは無理よ」
「うん、ラファエルの圧力隔壁なら大丈夫と思うけど」

「ミサエさん、ログハウスはボリウッド国に直接向かっているのとは違うようだよ?」
「ラファエル、何処に向かう予定だ?」
「はい、ブータニ国に向かっています」

「ヒロシさん、ブータニ国でスイーツは有りそうですか?」
「サブロー、今はキーナ国の砂漠の上だぞ」


「ミサエさん、私超ヒマです」

「ヒロシさん、操縦は大丈夫なの?」
「ミサエさん、自動操縦だから問題ないよ?」

「サブロー、暇だから、今から寝室で魔力を練ろうよ」
「ダリナさん、いいですよ……」

「サブロー、お腹が空いたから、私たちも何か食べようよ」
「ダリナさんは食いしん坊ですね……僕もお腹が空きました」

「ダリナさん、串焼き肉とマンゴージュースを持ってきましたよ」
「サブロー、ありがとう」

「あー美味しかった!ごちそうさま」
「ダリナさん、口元についてますよ……」
「えっ?どこ?」
「ここですよ」

 ペロッ、チュッ
「ちょ、ちょっと!もっとして」
「ダリナさん、もう取れましたよ」

「もう!、サブローったら」

「ヒロシさん、サブロー、お疲れ様、ダリナもお疲れ様」

 4人はワイバーンに遭遇したが、ラファエルの判断で全て倒し、キーナ国の高原に緊急着陸をした。
辺りは真っ暗だったので4人は泥のように眠ったのだった。

 翌朝……ピピピ、ピピピ、ピピピ、ラファエルは今朝も朝6時のアラームでヒロシとミサエさんを起こしていた。もちろんサブローとダリナもラファエルのアラームで起こされていた。

「ヒロシさん、おはよう」
「ミサエさん、おはよう」

「ヒロシさん、ミサエさん、おはようございます。窓の外を見てください」
「うわ~なにこれ」
「すごいね~、一面の青い花畑だよ」

「皆さん、おはようございます。幻の青いケシの花、ブルーポピーです」

「ヒロシさん、ケシの花って麻酔薬の原料だよね」
「ミサエさん、ご安心ください。ブルーポピーには麻薬成分はありません」
「もっとも大量に接種すれば幻覚作用が出ます」

 朝食後、4人はログハウスの外に出てブルーポピーの花畑を楽しんだ。

「サブロー、私の青い花を見つめて」
 チュッ、ダリナは朝から積極的にサブローの手を握っていた。

「もう、ダリナさん、いきなりなんて」
「ダリナさん、僕も好きですよ」
「サブロー、私も大~好き」

「あれ!!」
「あれ!!」

「サブロー、ダリナ、戻っておいで~」
「は~い」

 ブータニ国はチベッタ山脈の麓にある標高2000メートルの美しい景色と豊かな文化で有名な小さな王国だった。

「ヒロシさん、大きな風車ね」
「皆さん、あれは神様に風の力で祈りを捧げるマニ車ですよ」
 ラファエルが観光ガイドよろしくブータニ国の教会について教えてくれた。

「サブロー、教会が崖に沿って建っているよ、行こうか?」
「ダリナさん、急に走っては駄目です。急に走ると、高山病になりますよ」

 サブローが言い終わる前にダリナは急に走ったので高山病を発症して岩の上にへたり込んでいた。
「ミサエさん、ダリナにマンドラゴラポーションを飲ませよう」
「ヒロシさん、パーフェクトヒールが先よ」

「パーフェクトヒール」

「ヒロシさん、ミサエさん、もう大丈夫です」
「ダリナ、高い山の上では急に走り出すと、さっきみたいに気持ち悪くなるから、薄い空気に徐々に体を慣らしていくのよ」

「ミサエさん、強化魔法をかけたら駄目でしょうか?」
「後で反動が来るはずだから、余計に気持ち悪くなると思うわ」
「ミサエさん、そうなんですね」

「ミサエさん、ダリナ、サブロー、食堂があるけど入ってみる?」
「「「は~い」」」
 ヒロシたちは食堂に入っていった。ラファエルが教えてくれたブータニの激辛料理を試すことにしたのだった。

「ダリナさん、辛い、でも美味しいです」
「サブロー、不思議な味だね」

 ブータニ国の代表料理、エマ・ダツィは唐辛子とチーズを主な材料とした料理で、辛さの中にチーズのコクが特徴だった。一緒に注文した赤米は赤いお米で、ブータニ国では一般的な食べ物だと店の店員から教えられた。


「ヒロシさん、それにしても美しい山ね」
「ミサエさん、来てよかったね」

「ダリナさん、美しい山だね」
「サブロー、急にどうしたの?」

「ダリナさん、今いい雰囲気なのシーンですよ、僕に合わせてくださいよ」
「サブロー、そうだったの、ゴメン、ゴメン」
 4人は青々とした谷々に囲まれた素晴らしい景色に見とれ、暫くの間感動をしていたのだった。

「世界はやっぱり広いね、さぁ次は本場のカレーを食べに行こうよ」
「「「はい」」」

 ネパリ国へはイベット中央山脈を避けるように迂回飛行して450キロだった。中央山脈の上を飛ばなかったのは、この前みたいにワイバーンの攻撃を避けるためだった。

 ポーン、ポーン、
「まもなく、ネパリ国首都カツマンズです」

「ラファエル、街道の外で着陸してくれ」
「了解しました」

「ヒロシさん、ミサエさん、カレーのお店です」
 サブローは言い終わるとダリナと一緒に入っていった。

「ダルバート、4つ」
「は~い」

 店内は巡礼者でごった返していたが、運良く一つのテーブルが空いたので4人は座ることが出来た。ダルバートはネパリ国の家庭料理でどの食堂でも提供されていた。ダルは豆、バートはご飯を意味していた。

「ヒロシさん、豆のカレーライスですね」
「サブロー、あっさりして美味しいな」

「ダリナ、あまり辛くないね」
「ミサエさん、先程のエマ・ダツィは辛くて、私半分残してしまいました……」

 (皆さん、今からマーケットでダラムマサラだけ買っていけば元の世界のカレーライスに似た味が再現できるはずです)
(ラファエル、了解。ダラムマサラが売っているマーケットに案内してくれ)

「皆んな、市場に行こうよ」
「「「はい」」」

 市場でカレーの元になるダラムマサラを扱う店は数店舗あった。どの店も甲乙付け難かったのでミサエさんとダリナは相談して3店舗のダラムマサラをかなりの量を仕入れた。

「ヒロシさん、サブロー、これからはカレーが食べられるわよ」

「ミサエさん、期待しています」
「ダリナさん、美味しいカレーお願いします」

 4人は不用意に犯罪に巻き込まれるのを避けるため転移魔法でログハウスに戻ったのだった。

 
◇ ◇ ◇ ◇

「プリアーポス様、ボナデア様、レート様、聞こえていますか?」
「おお、久しぶりじゃ、どうしたのじゃ」

「AIクリスタル脳って何ですか?」
「それは話すと長くなるのじゃが……」
 プリアーポスは簡単にAIクリスタル脳の事を話した。

「では、他のジェネオスとアギオスは地球でウイルスを感染してから行動がおかしくなったのですか?」
「そういうことじゃ、それでゼウス様の怒りが爆発し、14万光年離れた快楽だけの星に飛ばされたのじゃ」

「そうじゃ、忘れておった、ダラムマサラはオリンポスの宮殿でも大いに受けておるのじゃ」
「プリアーポス様、もう試されたのですか?」

「そうよ、私とレートでムサカにこっそり入れたのよ。ムサカはお好み焼きに似たエラーダ料理よ」
「分かりました、カレーが受けたので今後も食の旅を続けます」

「それと、ミサエさんとダリナが考えたスムージーも女神たちには好評よ、美容に効果があるそうでヘーラー様から褒められたわ」

 プリアーポス様とボナデア様、レート様3柱は消えていかれた。


「サブロー、スムージーよ」
「ヒロシさんもスムージよー」

 この後、ザクロのスムージーを飲まされたヒロシとサブローだったが、ザクロの効果で腹の調子が良くなったのだった。

(話終わり)
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