改訂版 愛のエキスと聖女さま

にしのみつてる

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第1章

サブローとダリナの魔力循環の練習 ~信頼と絆を育む儀式~

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 オカロダ町での騒動が収束した後、ヒロシとミサエさんは保護した獣人族の少年サブローに、新たな生活の第一歩を授けることにした。  
 彼にはまだ魔力の扱い方も知らず、心の傷も癒えていない。そんな彼の傍らには、ダリナがいた。彼女は自ら「お姉さんになる」と名乗り、サブローの世話を焼きながら、そっと寄り添っていた。

 その日、魔女家の中庭には柔らかな陽光が差し込み、風が白い布を揺らしていた。  
 ヒロシは静かに言った。

「サブロー、今から魔力を練る練習をダリナと一緒にしてみようか」  
「ダリナもいいね」  
「「はい」」

 ミサエさんは微笑みながら、二人の前に立った。

「まず、向かい合って手をつないでみよう。魔力は二人の心の通い合いから始まるのよ」

 サブローとダリナは少し照れながらも、互いに向き合い、そっと手を握り合った。  
 その瞬間、空気がわずかに震えたように感じられた。

「ダリナさん、お腹のあたりがぽかぽかしてきました」  
「それが魔力よ、サブロー。あなたの心が私に届いているの」

 ミサエさんは頷きながら言った。

「魔力循環は、互いの気持ちを感じることが大切なの。焦らず、ゆっくりとね。魔力は、信頼と優しさの中で育つものだから」

 ヒロシは二人の様子を見守りながら、静かに語りかける。

「魔力は力じゃない。心の波形だ。だから、無理に引き出す必要はない。感じることがすべてなんだ」

 サブローは目を閉じ、ダリナの手の温もりに意識を集中させた。  
 ダリナもまた、サブローの魔力の流れを感じ取ろうと、深く息を吸い込んだ。

「ミサエさん、サブローと向かい合っていいですか?」  
「ダリナ、それは二人がベッドに入ってからにしなさい。今は魔力の練習に集中しましょう」  
「はい」

 ミサエさんはふと気づいたように言った。

「ダリナ、サブロー、先にお風呂に入って体を洗ってきなさい。魔力循環は清められた身体と心で行うのが理想よ」

「は~い」  
 ダリナはサブローの手を引いて浴室へと向かった。

 二人が去った後、ヒロシはぽつりと呟いた。

「ミサエさん、ダリナは初めてじゃなかったのか?」  
「ヒロシさん、あの娘は私たちの前でわざとカマトトぶっているだけよ。毎晩、私たちの魔力循環をこっそり見に来ていたのよ」

「そうなのか……俺たちの魔力循環を見られていたんだな」  
「そうよ。でも、それだけ彼女も魔力に興味を持っていたってこと。悪いことじゃないわ」

 ヒロシは頷きながら、ふとサブローのことを思い出した。

「ダリナは赤ちゃんが出来たりしないのか?」  
「ヒロシさん、それは私も同じだけど、『キュアポイズン』をかけておけば妊娠しないから大丈夫よ」

「そうだったのか……」

 ミサエさんは話題を切り替えるように言った。

「それよりも、サブローの下着を作ってあげて。彼にはまだ何もないでしょう?」  
「俺と同じボクサーパンツでいいのか?」  
「ええ、賢者に最適化してもらえば問題ないわ」

「賢者、サブローの下着を最適化してちょうだい」  
「了解しました。ヒロシさんと同じボクサーパンツで大丈夫です。シャツはリネンのシャツを具現化で作りましょう」

「ミサエさん、サブローのシャツとパンツを作ったよ」  
「ヒロシさん、ありがとう」

 その夜、ダリナとサブローはベッドに入り、向かい合って手をつなぎながら魔力循環を繰り返した。  
 互いの心が少しずつ近づき、魔力の流れが穏やかに交差していく。

「サブロー、今夜からダリナと一緒に寝るのよ」  
「は~い」

 ヒロシは静かに言った。

「賢者、サブローのレベルアップと俺たちのレベルアップも考えてくれ」  
「そうですね。明日はソタイン村のギルドでサブローさんの情報を聞いてから、獣人族の里に行きましょう」

「そうだな。ミサエさんは何かある?」  
「私も獣人族の里に行くべきだと思うわ」

「ダリナ、サブロー、もう寝るよ」  
「は~い。おやすみなさい」

 ヒロシはミサエさんに微笑みかけた。

「俺たちも魔力循環をしようか?」  
「ヒロシさん、改めて言わなくても毎日の日課でしょ」  
「そうだったね」

 その夜、ダリナとサブローは三度、魔力循環を行いながら、互いの心を深く結びつけていった。  
 それは、ただの練習ではなく、『信頼と絆を育む儀式』のような時間だった。

終り──
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R15の内容に変更しています
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