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第1章
ダニヤ村のダンジョン1階~装備は関係ないはずだけど~前編
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冒険者中級講習が終わった次の朝、ミサエさんは朝の鐘がなる前に起きてヒロシを起こした。
「ヒロシさん早く起きて、今日はダニヤ村のダンジョンに行くのでしょ」
「うん、直ぐに起きるよ」
ヒロシは身支度を整えると転移門を出してアチヤ川の堤防に移動した。収納からキャンピングカーを出して直ぐに乗り込んだ。
「賢者、ダニヤ村のダンジョンに行ってくれ」
「ダニヤ村のダンジョンへは10分ほどで到着します」
キャンピングカーはアチヤ川の堤防からソラゴ川堤防道路を上流に向かって15分ほど走って、渡し船が出ている船着き場に到着した。ダニヤ村はソラゴ川の大きな中洲に出来た村だった。3つの川に囲まれているので大雨が降ると洪水が度々起きていたが、300年前に国王がサーツミ市の領主に命じ、騎士が土木技術者を連れてきて技術指導をしたのと、キント市、ノーミ市、オカロダ町の三人の領主も力を合わせ近隣の村人たちが総出でソラゴ三川堤防が完成したと賢者は詳しく教えてくれた。
「ヒロシさん、ミサエさん、ご案内はここまでです」
ヒロシとミサエさんは隠蔽魔法を張ったままキャンピングカーを収納にしまってから渡し船に乗り込んだ。渡し賃は一人鉄貨1枚だと賢者が教えてくれた。
「ミサエさん、渡し船に乗ろうよ」
ヒロシとミサエさんは船頭に2人分の渡し賃の鉄貨2枚を払って渡し船に乗り込んだ。先に乗っていた3人の男性冒険者は全員が背中に大きなバスターソードを背負っていて皆同じような格好をしていた。女性冒険者3名はメイスを持っている冒険者もいたが、後の二人は腰に少し短めのショートソードを帯剣していた。
『何だ、その女物の短い剣は、それでも冒険者のつもりなのか?」
「女物の剣を持っているようじゃ大した冒険者じゃないな」
「女も安っぽい魔法杖では大したことないな」
「こいつら、田舎モンのザリットだな」
アハハハ……
ヒロシはバスターソードを背負った3人の男にザリットと言われ軽蔑され笑い者にされていた。渡し船は直ぐにダンジョンの入口に着岸され、ヒロシを笑った男女のパーティは急いでダンジョンの中へと入っていった。
「ヒロシ、ミサエ、君たちも来たのか?」
「レオン、ヘレン、おはよう」
「ヒロシはその短剣で戦うつもりなのか?」
「言いにくいけど、ザリットって言われなかったか?」
「ああ、さっき冒険者に言われたよ。、俺は体も小さいし、力が無いからこれでいいんだ」
「さっきも冒険者パーティにこの短剣をザリットと言われてさんざん笑われたところだよ」
「レオン、ミサエさんの杖も安物だと嘲笑の対象なのか?」
「ああ、そうだ、男はチーソ刀の豪華さ、女は魔法杖の水晶玉の大きさと杖の豪華ささ」
「そうだったのか、レオン、教えてくれてありがとう」
「ヒロシ、剣のことは余り気にするな。実力が付けば良いのが買えるさ」
「キースとカーラは後で来るそうだ」
「ビンセントとマーサは今日は休みだと言っていたよ」
「ヒロシとミサエはここが初めてだろうから、1階と2階で充分に腕試しをしてから3階に降りてくるといいよ」
「ダンジョンは3階までならDランクでも攻略可能だからね」
「悪いが、俺たちは先を急ぐので……」
「ヒロシ、ミサエ、また後で会おう」
レオンとヘレンは挨拶を済ますとさっさと階下に降りていった。
「ミサエさん、賢者に魔物探知を手伝ってもらいながらゆっくりと行きましょうか」
「そうね、他の冒険者の戦い方も見ていきましょうよ」
ダンジョン1階の入口付近は草原になっていて、スライムが飛び跳ねていたので武器を買えない子どもたちは棍棒でスライムを叩いて潰していた。スライムが落としていく緑色の魔石は子どもたちのいい小遣い稼ぎになっていたのだった。
「ヒロシさん、スライム」
ビッ、ビッ、ビッ、ヒロシが撃った短剣型魔導銃はスライムに当って次々と緑色の魔石に変わったのだった。何処からか数人の子どもたちが一斉に駆け寄ってきて緑の魔石を拾ってさっと走り去っていった。ヒロシとミサエさんは子どもたちの邪魔をしないようにスライムを倒しても緑の魔石は拾わずに1階の中間まで歩いてきた。
「ヒロシさん、ホーンラビット」
ビッ、ビッ、ホーンラビットは角を落として消えていった。
「ミサエさん、ありがとう」
「君たち、ホーンラビットの角は拾っていかないのか?」
「あっ、そうでしたね」
ヒロシは頭をかきながら、ホーンラビットの角を拾った。
「俺は監視員のラデクだ」
「オカロダの冒険者ギルドから派遣された職員さ、ここでスライムの魔石を拾っている子どもたちが危険な目に遭わないように監視するのが俺の仕事だ」
「スライムの魔石は入口の買い取り所で1つが銅貨1枚で買い取りをしているので子どもたちのいい小遣い稼ぎなのさ」
「上手な子だと1日で銀貨1枚は稼ぐので大人顔負けだよ」
「ホーンラビットは棍棒では倒せないので子どもたちはもっぱらスライム専門なのさ」
「そうなんですか」
「ヒロシと妻のミサエです、今日初めてダンジョンに入りました」
「1階と2階は初心者でも油断をしなければ危険は無いから君たちもダンジョンを楽しんでいってくれ」
「ラデクさん、ありがとうございます」
(話終わり)
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都合により2話に分けました
「ヒロシさん早く起きて、今日はダニヤ村のダンジョンに行くのでしょ」
「うん、直ぐに起きるよ」
ヒロシは身支度を整えると転移門を出してアチヤ川の堤防に移動した。収納からキャンピングカーを出して直ぐに乗り込んだ。
「賢者、ダニヤ村のダンジョンに行ってくれ」
「ダニヤ村のダンジョンへは10分ほどで到着します」
キャンピングカーはアチヤ川の堤防からソラゴ川堤防道路を上流に向かって15分ほど走って、渡し船が出ている船着き場に到着した。ダニヤ村はソラゴ川の大きな中洲に出来た村だった。3つの川に囲まれているので大雨が降ると洪水が度々起きていたが、300年前に国王がサーツミ市の領主に命じ、騎士が土木技術者を連れてきて技術指導をしたのと、キント市、ノーミ市、オカロダ町の三人の領主も力を合わせ近隣の村人たちが総出でソラゴ三川堤防が完成したと賢者は詳しく教えてくれた。
「ヒロシさん、ミサエさん、ご案内はここまでです」
ヒロシとミサエさんは隠蔽魔法を張ったままキャンピングカーを収納にしまってから渡し船に乗り込んだ。渡し賃は一人鉄貨1枚だと賢者が教えてくれた。
「ミサエさん、渡し船に乗ろうよ」
ヒロシとミサエさんは船頭に2人分の渡し賃の鉄貨2枚を払って渡し船に乗り込んだ。先に乗っていた3人の男性冒険者は全員が背中に大きなバスターソードを背負っていて皆同じような格好をしていた。女性冒険者3名はメイスを持っている冒険者もいたが、後の二人は腰に少し短めのショートソードを帯剣していた。
『何だ、その女物の短い剣は、それでも冒険者のつもりなのか?」
「女物の剣を持っているようじゃ大した冒険者じゃないな」
「女も安っぽい魔法杖では大したことないな」
「こいつら、田舎モンのザリットだな」
アハハハ……
ヒロシはバスターソードを背負った3人の男にザリットと言われ軽蔑され笑い者にされていた。渡し船は直ぐにダンジョンの入口に着岸され、ヒロシを笑った男女のパーティは急いでダンジョンの中へと入っていった。
「ヒロシ、ミサエ、君たちも来たのか?」
「レオン、ヘレン、おはよう」
「ヒロシはその短剣で戦うつもりなのか?」
「言いにくいけど、ザリットって言われなかったか?」
「ああ、さっき冒険者に言われたよ。、俺は体も小さいし、力が無いからこれでいいんだ」
「さっきも冒険者パーティにこの短剣をザリットと言われてさんざん笑われたところだよ」
「レオン、ミサエさんの杖も安物だと嘲笑の対象なのか?」
「ああ、そうだ、男はチーソ刀の豪華さ、女は魔法杖の水晶玉の大きさと杖の豪華ささ」
「そうだったのか、レオン、教えてくれてありがとう」
「ヒロシ、剣のことは余り気にするな。実力が付けば良いのが買えるさ」
「キースとカーラは後で来るそうだ」
「ビンセントとマーサは今日は休みだと言っていたよ」
「ヒロシとミサエはここが初めてだろうから、1階と2階で充分に腕試しをしてから3階に降りてくるといいよ」
「ダンジョンは3階までならDランクでも攻略可能だからね」
「悪いが、俺たちは先を急ぐので……」
「ヒロシ、ミサエ、また後で会おう」
レオンとヘレンは挨拶を済ますとさっさと階下に降りていった。
「ミサエさん、賢者に魔物探知を手伝ってもらいながらゆっくりと行きましょうか」
「そうね、他の冒険者の戦い方も見ていきましょうよ」
ダンジョン1階の入口付近は草原になっていて、スライムが飛び跳ねていたので武器を買えない子どもたちは棍棒でスライムを叩いて潰していた。スライムが落としていく緑色の魔石は子どもたちのいい小遣い稼ぎになっていたのだった。
「ヒロシさん、スライム」
ビッ、ビッ、ビッ、ヒロシが撃った短剣型魔導銃はスライムに当って次々と緑色の魔石に変わったのだった。何処からか数人の子どもたちが一斉に駆け寄ってきて緑の魔石を拾ってさっと走り去っていった。ヒロシとミサエさんは子どもたちの邪魔をしないようにスライムを倒しても緑の魔石は拾わずに1階の中間まで歩いてきた。
「ヒロシさん、ホーンラビット」
ビッ、ビッ、ホーンラビットは角を落として消えていった。
「ミサエさん、ありがとう」
「君たち、ホーンラビットの角は拾っていかないのか?」
「あっ、そうでしたね」
ヒロシは頭をかきながら、ホーンラビットの角を拾った。
「俺は監視員のラデクだ」
「オカロダの冒険者ギルドから派遣された職員さ、ここでスライムの魔石を拾っている子どもたちが危険な目に遭わないように監視するのが俺の仕事だ」
「スライムの魔石は入口の買い取り所で1つが銅貨1枚で買い取りをしているので子どもたちのいい小遣い稼ぎなのさ」
「上手な子だと1日で銀貨1枚は稼ぐので大人顔負けだよ」
「ホーンラビットは棍棒では倒せないので子どもたちはもっぱらスライム専門なのさ」
「そうなんですか」
「ヒロシと妻のミサエです、今日初めてダンジョンに入りました」
「1階と2階は初心者でも油断をしなければ危険は無いから君たちもダンジョンを楽しんでいってくれ」
「ラデクさん、ありがとうございます」
(話終わり)
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都合により2話に分けました
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