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第1章
新しい勇者・聖女グループ・エルピーダの誕生
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オカロダ町の勇者と聖女グループ・マリティレスのメンバーはフロテルがしまってある倉庫兼事務所でくつろいでいたところを数十人の騎士団に囲まれていた。
「何だお前たちは、俺たちが勇者と聖女と知っていて捕らえる気か?」
「マリティレスの剣士オーディックと姫剣士アネルマ、剣士フランクと姫剣士エレンの4人は国家冒涜罪、殺人罪の罪で領主様から国外追放の判決が出た」
「オカロダ町の勇者と聖女グループ、マリティレスは本日を持って解散とする」
「剣士オーディックと剣士フランク、姫剣士アネルマと姫剣士エレンの4人は国外追放とする」
「お前たちの保護役のニコラス・カーターとアレクサンドル・サドフスキーの両名とその妻も国外追放とする」
「お前たちはこの町の勇者でも聖女でも無いのだ、おとなしくお縄につけ」
騎士団長のジェミヤンは領主ピエール・フレイシスのサインが入った逮捕状を読み上げた。
「父上と母上が囚われるなんてなんて」
「オーディック、歯向かうのはやめておけ」
オーディックは騎士団長のジェミヤンに歯向かおうとしたしたが、フランクに制止させられた。
「お父様とお母様が囚われるなんて嘘でしょ」
「アネルマ、私たちの時代は終わったのよ」
エレンは泣き崩れるアネルマを抱きしめた。
オリンポスの神々が開発したテオス・システムの一部はボリーウッドの神界に渡っていた。テオス・システムは更に改良されカルマシステムと名を変えて新しくなったシステムはイポニア人全ての罪を記録していたのだった。
カルマシステムはマリティレスのメンバーがこれまでに犯してきた小さな罪の積み重ねをしっかりと記録していた。領主ピエール・フレイシスはマリティレスのメンバーの普段からの横柄な態度に教会と冒険者ギルド、商人ギルドも含めて市民からの苦情の声が予想以上に殺到していたのを考慮して今年の国外追放の刑はマリティレスの4人にすることが閣議で決定したのだった。
「そこで提案だが、領主の叙情酌量により4人はニコラス・カーターとアレクサンドル・サドフスキーと共にサウパウロ国に国外追放とする」
「これより1週間以内にオカロダ港よりサウパウロ国に向けて出港するのだ」
先に囚えられたニコラス・カーターが所有していた3本マストの大型商用船、ドラコニア丸はチーソ刀の運搬用にコリレオ国で建造された帆船だった。ロキシア国で開発された魔鉱石の推進装置を持っており外洋航海も性能上は問題なかった。サウパウロ国には叔父のキース伯爵が滞在していたのだった。
監視役の騎士団員2人が残り騎士団長のジェミヤンと部下たちは引き上げていった。
「オーディックさん、俺も付いていくっす」
「俺もです」
「アネルマ様、私たちも連れて行ってください」
「皆んな、ありがとう、準備が有るので3日後にオカロダ港に集まってくれ」
「父上たちと一緒にドラコニア丸で出港だ」
「今夜のところは、一旦解散しよう」
「「「「はい」」」」
翌日からマリティレスのメンバーは全員が船員服に着替えて出航準備を始め、ドラコニア丸と事務所の間を何往復もしたのだった。
ニコラス・カーターとアレクサンドル・サドフスキーの両家は領主に差押られたので家財道具の持ち出しは諦めたが、オーディックとアネルマ、フランクとエレンの貯金は差し押さえの対象にはならなかったので旅費に充てたのだった。
約束の3日後、剣士オーディックと剣士フランク、姫剣士アネルマと姫剣士エレンの4人とニコラス・カーターと妻のメラニー、アレクサンドル・サドフスキーと妻のカトリーナの4人、旧マリティレスのメンバー24人で計32人の大所帯になった。これに監視役の騎士団員4人が乗船したので総勢36名がオカロダ港に停泊しているドラコニア丸に乗船したのだった。
サウパウロ国に渡るには俗に南蛮航路と呼ばれている西廻り航路で行くのが普通だった。通常は船の食料補給を兼ねて寄り道をしながら航海する船旅だったのでサウパウロ国に渡るには30日の日数を要した。
マリティレスの一行はニコラス・カーターの提案でドラコニア丸の進路をパラデラ港に向けて出港したのだった。パラデラ港からは絹糸を積んだアキリキ国に向かう大型クリッパー船に伴走してもらい、絶海の楽園チョノルル島へは1週間の航海だった。チョノルル島からアキリキ国のサルシスコ港へ寄港して、そこから南下してパナマス運河を目指した。
パナマスからサウパウロまでは更に2週間かかったが従来の西廻り航路よりは半分の日数でサウパウロに到着したのだった。監視役の騎士団員4人はサウパウロで下船して帰国の途についたのだった。
オカロダ町では1週間遅れでペトラ祭りが盛大に開催された。今年度より私刑執行は完全に廃止され国外追放の刑になることが騎士団長から報告された。次に領主と新しい司祭の挨拶が終わり、マイケルとアニー、ロバートとヘレンの2組の勇者と聖女のグループが領主から正式に認められた。
新しい勇者と聖女のグループ名はエルピーダと決まったのだった。
「「「「「「新しい勇者と聖女万歳!!!」」」」」
「「「「「「エルピーダ万歳!!!」」」」」
「「「「「ウォー!!!」」」」」
ド~ンド~ンド~ン、ゴーンゴーンゴーン、チキチキ、チキチキ、チキチキ、ド~ンド~ンド~ン、ゴーンゴーンゴーン、チキチキ、チキチキ、チキチキ、アーヨーイヨイ、アーヨーイヨイ
ド~ンド~ンド~ン、ゴーンゴーンゴーン、チキチキ、チキチキ、チキチキ、ド~ンド~ンド~ン、ゴーンゴーンゴーン、チキチキ、チキチキ、チキチキ、アーヨーイヨイ、アーヨーイヨイ
市民総出の踊りの輪が何重にも出来て、フロテルが引き回されオカロダ町のやかましい夜は更けていった。
(話終わり)
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「何だお前たちは、俺たちが勇者と聖女と知っていて捕らえる気か?」
「マリティレスの剣士オーディックと姫剣士アネルマ、剣士フランクと姫剣士エレンの4人は国家冒涜罪、殺人罪の罪で領主様から国外追放の判決が出た」
「オカロダ町の勇者と聖女グループ、マリティレスは本日を持って解散とする」
「剣士オーディックと剣士フランク、姫剣士アネルマと姫剣士エレンの4人は国外追放とする」
「お前たちの保護役のニコラス・カーターとアレクサンドル・サドフスキーの両名とその妻も国外追放とする」
「お前たちはこの町の勇者でも聖女でも無いのだ、おとなしくお縄につけ」
騎士団長のジェミヤンは領主ピエール・フレイシスのサインが入った逮捕状を読み上げた。
「父上と母上が囚われるなんてなんて」
「オーディック、歯向かうのはやめておけ」
オーディックは騎士団長のジェミヤンに歯向かおうとしたしたが、フランクに制止させられた。
「お父様とお母様が囚われるなんて嘘でしょ」
「アネルマ、私たちの時代は終わったのよ」
エレンは泣き崩れるアネルマを抱きしめた。
オリンポスの神々が開発したテオス・システムの一部はボリーウッドの神界に渡っていた。テオス・システムは更に改良されカルマシステムと名を変えて新しくなったシステムはイポニア人全ての罪を記録していたのだった。
カルマシステムはマリティレスのメンバーがこれまでに犯してきた小さな罪の積み重ねをしっかりと記録していた。領主ピエール・フレイシスはマリティレスのメンバーの普段からの横柄な態度に教会と冒険者ギルド、商人ギルドも含めて市民からの苦情の声が予想以上に殺到していたのを考慮して今年の国外追放の刑はマリティレスの4人にすることが閣議で決定したのだった。
「そこで提案だが、領主の叙情酌量により4人はニコラス・カーターとアレクサンドル・サドフスキーと共にサウパウロ国に国外追放とする」
「これより1週間以内にオカロダ港よりサウパウロ国に向けて出港するのだ」
先に囚えられたニコラス・カーターが所有していた3本マストの大型商用船、ドラコニア丸はチーソ刀の運搬用にコリレオ国で建造された帆船だった。ロキシア国で開発された魔鉱石の推進装置を持っており外洋航海も性能上は問題なかった。サウパウロ国には叔父のキース伯爵が滞在していたのだった。
監視役の騎士団員2人が残り騎士団長のジェミヤンと部下たちは引き上げていった。
「オーディックさん、俺も付いていくっす」
「俺もです」
「アネルマ様、私たちも連れて行ってください」
「皆んな、ありがとう、準備が有るので3日後にオカロダ港に集まってくれ」
「父上たちと一緒にドラコニア丸で出港だ」
「今夜のところは、一旦解散しよう」
「「「「はい」」」」
翌日からマリティレスのメンバーは全員が船員服に着替えて出航準備を始め、ドラコニア丸と事務所の間を何往復もしたのだった。
ニコラス・カーターとアレクサンドル・サドフスキーの両家は領主に差押られたので家財道具の持ち出しは諦めたが、オーディックとアネルマ、フランクとエレンの貯金は差し押さえの対象にはならなかったので旅費に充てたのだった。
約束の3日後、剣士オーディックと剣士フランク、姫剣士アネルマと姫剣士エレンの4人とニコラス・カーターと妻のメラニー、アレクサンドル・サドフスキーと妻のカトリーナの4人、旧マリティレスのメンバー24人で計32人の大所帯になった。これに監視役の騎士団員4人が乗船したので総勢36名がオカロダ港に停泊しているドラコニア丸に乗船したのだった。
サウパウロ国に渡るには俗に南蛮航路と呼ばれている西廻り航路で行くのが普通だった。通常は船の食料補給を兼ねて寄り道をしながら航海する船旅だったのでサウパウロ国に渡るには30日の日数を要した。
マリティレスの一行はニコラス・カーターの提案でドラコニア丸の進路をパラデラ港に向けて出港したのだった。パラデラ港からは絹糸を積んだアキリキ国に向かう大型クリッパー船に伴走してもらい、絶海の楽園チョノルル島へは1週間の航海だった。チョノルル島からアキリキ国のサルシスコ港へ寄港して、そこから南下してパナマス運河を目指した。
パナマスからサウパウロまでは更に2週間かかったが従来の西廻り航路よりは半分の日数でサウパウロに到着したのだった。監視役の騎士団員4人はサウパウロで下船して帰国の途についたのだった。
オカロダ町では1週間遅れでペトラ祭りが盛大に開催された。今年度より私刑執行は完全に廃止され国外追放の刑になることが騎士団長から報告された。次に領主と新しい司祭の挨拶が終わり、マイケルとアニー、ロバートとヘレンの2組の勇者と聖女のグループが領主から正式に認められた。
新しい勇者と聖女のグループ名はエルピーダと決まったのだった。
「「「「「「新しい勇者と聖女万歳!!!」」」」」
「「「「「「エルピーダ万歳!!!」」」」」
「「「「「ウォー!!!」」」」」
ド~ンド~ンド~ン、ゴーンゴーンゴーン、チキチキ、チキチキ、チキチキ、ド~ンド~ンド~ン、ゴーンゴーンゴーン、チキチキ、チキチキ、チキチキ、アーヨーイヨイ、アーヨーイヨイ
ド~ンド~ンド~ン、ゴーンゴーンゴーン、チキチキ、チキチキ、チキチキ、ド~ンド~ンド~ン、ゴーンゴーンゴーン、チキチキ、チキチキ、チキチキ、アーヨーイヨイ、アーヨーイヨイ
市民総出の踊りの輪が何重にも出来て、フロテルが引き回されオカロダ町のやかましい夜は更けていった。
(話終わり)
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