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第2章
ミサエさん、俺たちは『井の中の蛙』だったね
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「ラファエル、とりあえず目的地は任せるので全自動で飛行をしてくれ」
「了解しました、サブローさんとダリナさんのキャンピングカーとリンクして飛行します」
タブレットの画面には世界地図が表示され、飛行ルートが示されていた。キャンピングカーはロキシア国の上空を飛んで、エラーダ国のアシナに向かう最短コースを進む予定だった。飛行距離は約9,350キロ、飛行時間はおよそ19時間と表示されていた。
「ラファエル、後はよろしく頼む」
ヒロシはラファエルに指示を出すと、ミサエさんと一緒にベッドに潜り込んで休息をとった。サブローとダリナも前の晩の疲れから熟睡していた。
「「テイクオフ」」
2台のキャンピングカーは上昇を開始し、規定高度に到達すると水平安定板を展開し、高度12,000フィートで順調に飛行を続けた。時刻はすでに深夜1時を過ぎていた。コリレオ国の上空を通過し、モンゴリヤ国を目指して進んでいく。
慌ただしい出発から8時間後、キャンピングカーはモンゴリヤ国のケリクスグル湖の湖畔に着陸していた。
ピピピ、ピピピ、ピピピ……アラーム音が鳴り、ヒロシとミサエさんはベッドで目を覚ました。時刻は朝の9時だった。
「ヒロシさん、ミサエさん、おはようございます」
「ラファエル、おはよう。ここはどこなの?」
「モンゴリヤ国のケリクスグル湖です」
「どうしてここに着陸したの?」
「はい、ここはイポニアの人々が“魔王国”と信じている場所だからです。実際に確かめていただこうと思いました」
「なるほど、確かに魔族なんてどこにもいないね」
「サブロー、ダリナ、おはよう」
「「ヒロシさん、ミサエさん、おはようございます」」
ミサエさんとダリナは朝食に簡単なエッグサンドを用意してくれた。
「ヒロシさん、綺麗な湖ですね」
「そうだね、釣りもできそうだ」
「ヒロシさん、砂金です、ほら」
「私も見つけました!」
澄んだ湖水の岸辺で、サブローとダリナは小さな砂金の粒を発見した。
「ラファエル、砂金の分析を頼む」
「ヒロシさん、金属探知機を作って効率的に探してみましょう」
ラファエルは画面に金属探知機の設計図を表示した。
「そんなものまで作れるのか?」
「はい、ロキシア国に移住した技術者たちが開発済みです」
ヒロシは具現化を発動し、丸いコイル付きの金属探知機とピンポイント探知機の2種類を完成させた。
プー、プー、プププ……探知機が反応し、ヒロシは砂金の塊を発見した。
「ミサエさん、見つけたよ!」
「すごいですね、ヒロシさん」
「ラファエル、私たちの分もお願いします」
「了解しました」
ミサエさん、ダリナ、サブローもそれぞれ探知機を手に湖へ入った。
プー、プー、プププ……
「本当に簡単に見つかる!」
「サブロー、競争しましょう!」
「はい、負けませんよ!」
こうして4人は砂金集めに熱中し、最終的にバケツ4杯分、合計20キロの砂金を採取した。
「ヒロシさん、サブロー、お茶にしましょう」
「はーい」
「この金属探知機は、ヒロシさんの国の技術なのですか?」
「そうだと思うよ。こっちにはない技術だから驚かれるんだろうね」
「この後はどうします?」
「今夜はここでキャンプかしら?」
「ラファエル、この後は?」
「ロキシア国イルクスカへ飛び、冒険者ギルドで砂金を換金しましょう。イルクスカは串焼き肉《シャシリク》が名物です」
「やった、串焼き肉!」
「サブロー、出発よ」
サブローとダリナはすでにキャンピングカーに乗り込んでいた。ヒロシは後片付けをして、自分たちのキャンピングカーを収納にしまい、サブローたちの車に同乗した。
「ラファエル、イルクスカの冒険者ギルドにお願いします」
「了解しました。サブローさん、青いボタンを押してください」
「テイクオフ!」
キャンピングカーは再び舞い上がり、規定高度12,000フィートで水平飛行へ移行した。目的地イルクスカまでは約260キロ、飛行時間はおよそ31分。
プー、プー、緊急回避――自動障壁五重展開。
「ラファエル、どうした?」
「ワイバーンの群れに遭遇しました」
「イルクスカまであとどれくらい?」
「15分です」
「よし、撃退するぞ!」
「はい!」
「「地獄雷魔法《ヘルサンダーボルト》!」」
轟音と稲光に包まれ、5羽のワイバーンは墜落した。
「オートコレクト」
ワイバーンは収納に回収され、キャンピングカーはイルクスカの冒険者ギルドへ到着した。
4人は砂金と討伐素材を持ち込み、ギルドで査定を受けた。
結果はワイバーン5体=金貨1,000枚、砂金4杯=金貨4,000枚、合計で金貨5,000枚。
さらにギルドの調査により、彼らの実力は本来Sランク相当であることが判明。イポニアでのランク操作の不正も明るみに出ていた。
こうしてヒロシ、ミサエ、サブロー、ダリナの4人は新たにAランク冒険者カードを発行され、それぞれに金貨1,250枚ずつが振り込まれた。
「ミサエさん、俺たち“井の中の蛙”だったんだな」
「ええ、イポニアの不正はもう世界中に知られていたのよ」
新しい冒険者カードを手に、4人は次なる冒険へ胸を膨らませていた。
終り──
----------------------------------
R15対応
「了解しました、サブローさんとダリナさんのキャンピングカーとリンクして飛行します」
タブレットの画面には世界地図が表示され、飛行ルートが示されていた。キャンピングカーはロキシア国の上空を飛んで、エラーダ国のアシナに向かう最短コースを進む予定だった。飛行距離は約9,350キロ、飛行時間はおよそ19時間と表示されていた。
「ラファエル、後はよろしく頼む」
ヒロシはラファエルに指示を出すと、ミサエさんと一緒にベッドに潜り込んで休息をとった。サブローとダリナも前の晩の疲れから熟睡していた。
「「テイクオフ」」
2台のキャンピングカーは上昇を開始し、規定高度に到達すると水平安定板を展開し、高度12,000フィートで順調に飛行を続けた。時刻はすでに深夜1時を過ぎていた。コリレオ国の上空を通過し、モンゴリヤ国を目指して進んでいく。
慌ただしい出発から8時間後、キャンピングカーはモンゴリヤ国のケリクスグル湖の湖畔に着陸していた。
ピピピ、ピピピ、ピピピ……アラーム音が鳴り、ヒロシとミサエさんはベッドで目を覚ました。時刻は朝の9時だった。
「ヒロシさん、ミサエさん、おはようございます」
「ラファエル、おはよう。ここはどこなの?」
「モンゴリヤ国のケリクスグル湖です」
「どうしてここに着陸したの?」
「はい、ここはイポニアの人々が“魔王国”と信じている場所だからです。実際に確かめていただこうと思いました」
「なるほど、確かに魔族なんてどこにもいないね」
「サブロー、ダリナ、おはよう」
「「ヒロシさん、ミサエさん、おはようございます」」
ミサエさんとダリナは朝食に簡単なエッグサンドを用意してくれた。
「ヒロシさん、綺麗な湖ですね」
「そうだね、釣りもできそうだ」
「ヒロシさん、砂金です、ほら」
「私も見つけました!」
澄んだ湖水の岸辺で、サブローとダリナは小さな砂金の粒を発見した。
「ラファエル、砂金の分析を頼む」
「ヒロシさん、金属探知機を作って効率的に探してみましょう」
ラファエルは画面に金属探知機の設計図を表示した。
「そんなものまで作れるのか?」
「はい、ロキシア国に移住した技術者たちが開発済みです」
ヒロシは具現化を発動し、丸いコイル付きの金属探知機とピンポイント探知機の2種類を完成させた。
プー、プー、プププ……探知機が反応し、ヒロシは砂金の塊を発見した。
「ミサエさん、見つけたよ!」
「すごいですね、ヒロシさん」
「ラファエル、私たちの分もお願いします」
「了解しました」
ミサエさん、ダリナ、サブローもそれぞれ探知機を手に湖へ入った。
プー、プー、プププ……
「本当に簡単に見つかる!」
「サブロー、競争しましょう!」
「はい、負けませんよ!」
こうして4人は砂金集めに熱中し、最終的にバケツ4杯分、合計20キロの砂金を採取した。
「ヒロシさん、サブロー、お茶にしましょう」
「はーい」
「この金属探知機は、ヒロシさんの国の技術なのですか?」
「そうだと思うよ。こっちにはない技術だから驚かれるんだろうね」
「この後はどうします?」
「今夜はここでキャンプかしら?」
「ラファエル、この後は?」
「ロキシア国イルクスカへ飛び、冒険者ギルドで砂金を換金しましょう。イルクスカは串焼き肉《シャシリク》が名物です」
「やった、串焼き肉!」
「サブロー、出発よ」
サブローとダリナはすでにキャンピングカーに乗り込んでいた。ヒロシは後片付けをして、自分たちのキャンピングカーを収納にしまい、サブローたちの車に同乗した。
「ラファエル、イルクスカの冒険者ギルドにお願いします」
「了解しました。サブローさん、青いボタンを押してください」
「テイクオフ!」
キャンピングカーは再び舞い上がり、規定高度12,000フィートで水平飛行へ移行した。目的地イルクスカまでは約260キロ、飛行時間はおよそ31分。
プー、プー、緊急回避――自動障壁五重展開。
「ラファエル、どうした?」
「ワイバーンの群れに遭遇しました」
「イルクスカまであとどれくらい?」
「15分です」
「よし、撃退するぞ!」
「はい!」
「「地獄雷魔法《ヘルサンダーボルト》!」」
轟音と稲光に包まれ、5羽のワイバーンは墜落した。
「オートコレクト」
ワイバーンは収納に回収され、キャンピングカーはイルクスカの冒険者ギルドへ到着した。
4人は砂金と討伐素材を持ち込み、ギルドで査定を受けた。
結果はワイバーン5体=金貨1,000枚、砂金4杯=金貨4,000枚、合計で金貨5,000枚。
さらにギルドの調査により、彼らの実力は本来Sランク相当であることが判明。イポニアでのランク操作の不正も明るみに出ていた。
こうしてヒロシ、ミサエ、サブロー、ダリナの4人は新たにAランク冒険者カードを発行され、それぞれに金貨1,250枚ずつが振り込まれた。
「ミサエさん、俺たち“井の中の蛙”だったんだな」
「ええ、イポニアの不正はもう世界中に知られていたのよ」
新しい冒険者カードを手に、4人は次なる冒険へ胸を膨らませていた。
終り──
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