改訂版 愛のエキスと聖女さま

にしのみつてる

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第2章

ユメカ先輩、人間に戻っていますよ

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「皆さん、今からログハウスに強制転移します」
 4人は転移門でテルアジャル高原の森に仮設したログハウスに一瞬で戻って来た。

「ラファエル、ひょっとして今からレベルが大幅に上がるのか?」

「はい、今の戦いでおよそ500レベル上がる予定です」

「はぁ、500上がるって、レベル800代になるのか?」

「そうです、皆さんは既に亜神になっています」
「今日と明日は静養日に充てましょう」

「サブロー、今から魔力循環よ」
「は~い、魔力循環ですね」

「ダリナ、サブロー、お風呂に入ってからちゃんと休むのよ」
「それとポーションも忘れずに飲むのよ」

「「は~い」」

「ユメカ先輩まだですか?」
「アサト早く手を繋いで」

「ユメカ先輩、魔力流します!」
 アサトとユメカは膨大な魔力の還流が起きていた。ようやく、魔力が体に馴染んで体の火照りが治まってきて二人は正常に戻った。


「ユメカ先輩、何だかかわったような気がします」
「アサト、貴方、急にどうしたの?」

「ユメカ先輩、僕たち人間に戻っていますよ」
 二人はお互いに向かい合って獣耳が無くなっているのに気付いた。

「サブローの身長がヒロシさんと同じようになったね」
「ダリナさん、体つきがミサエさんみたいに大人っぽくなりましたね」

「もう、サブローのエッチ」

「あれ??」
「あれ??」

「ダリナさん、なんだか、前よりも人族の言葉を一杯を知っているような気がします」
「そう言えば、不思議ね」

「サブロー、名前が2つだと頭がこんがらがってしまうね」
「そうですね」

「サブロー、今からヒロシさんとミサエさんに本当の事を話しましょうよ」
「そうですね」


「ヒロシさん、ミサエさん、私たち大人の体になりました」
「ダリナ、サブロー、どうしたの?」

「はい、サブローと魔力循環をしていたら私たち大人の人間の体になったのです」

「ダリナは私の下着を貸してあげるわね」
「ヒロシさんもサブローに下着を貸してあげて」

 ヒロシとミサエさんは口には出さなかったが、ダリナとサブローは体格が成人の女性と男性の姿になったので今まで着ていた子供用の下着ではサイズが合わない事が分かったのだった。

「ミサエさん、私の本当の名前はサナダ・ユメカだったようです」
「ヒロシさん、僕はヤマシタ・アサトだったようです」

「二人とも名前の他に覚えていることは無いの?」

「それと、ヤマシタ・アサトの記憶が完全に戻ったみたいです」
「私もサナダ・ユメカの記憶が完全に戻りました」

「私とアサトは同じ会社に務める先輩後輩で、忘年会の帰りにタクシーに乗ったはずだったけど、タクシーの運転手が心臓発作で亡くなってしまい、ガードレールを突き破って崖から落ちたのです」

「そして気がついた時は、私は獣人族の赤ちゃんとして生まれ変わっていたのです」
「僕も同じです」

「プリアーポス様、ボナデア様、レート様、聞こえていますか?」
「おお、ヒロシか、二人の進化の様子を見ておったぞ」

「すみません、ダリナとサブロが人間に進化した理由を説明してください」

「そうね、私から詳しく説明しましょう」
 部屋が輝いてレート様だけが現れた。

「貴方たちはジャイアントワームを100匹倒して大幅にレベルが上ったのは知っているでしょ」
「はい、知っています」

「ダリナとサブローはレベルが上った事で私が人族に進化させたのよ」
「その方が今後の旅で人種差別を受けることが無いから困らないと思ったからよ」

「そうなんですね」
「では、今後はユメカとアサトに名前を変更した方が良いのでしょうか?」

「ダリナとサブローで良ければそのままで構わないわ」
「では、ダリナとサブローでお願いします」

「分かったわ。記憶を固定させるわね」

「では、貴方たちのステータスを確認して」
「「「「ステータス」」」」

 ◇ ◇ ◇ ◇

【名前】ヒロシ・ミラタ
【種族】人族
【年齢】22
【称号】大錬金術師/神の御使い《亜神》
【スキル】
 プリアーポス神の加護、ボナデア神の加護、レート神の加護
 創造・具現化 転移 収納 分身 料理人 召喚 従魔 思念伝達 魔法付与 不老不死 隠蔽 ゴーレムマスター

【LV】880
【MP】880000

【名前】ミサエ・ミラタ
【種族】人族
【年齢】22
【称号】大魔女/神の御使い《亜神》
 プリアーポス神の加護、ボナデア神の加護、レート神の加護
【スキル】
 創造・具現化 転移 収納 分身 料理人 召喚 従魔 思念伝達 魔法付与 不老不死 隠蔽 ゴーレムマスター

【LV】880
【MP】880000

 ◇ ◇ ◇ ◇

【名前】ダリナ・サナダ
【種族】人族
【年齢】21
【称号】大魔女/神の御使い《亜神》
【スキル】
 プリアーポス神の加護、ボナデア神の加護、レート神の加護
 創造・具現化 転移 収納 分身 料理人 召喚 従魔 思念伝達 魔法付与 不老不死 隠蔽 ゴーレムマスター

【LV】860
【MP】8600000

【名前】サブロー・ヤマシタ
【種族】獣人族
【年齢】20
【称号】大錬金術師/神の御使い《亜神》
【スキル】
 プリアーポス神の加護、ボナデア神の加護、レート神の加護
 創造・具現化 転移 収納 分身 料理人 召喚 従魔 思念伝達 魔法付与 不老不死 隠蔽 ゴーレムマスター
【LV】860
【MP】8600000

 ◇ ◇ ◇ ◇

「レート様、俺たちは不老不死になったのですか?」
「そうよ、亜神になったのだから『不老不死』は当然よ」

「レート様、私とサブローの年齢が上がっています」

「皆さんが安心して乾杯できる年齢に調整しました」
 そう言われて、レート様は消えていかれた。

「ダリナ、サブロー、気分は落ち着いたか?」

「はい、大丈夫です」
「私も大丈夫です」。ダリナもサブローも年齢が上がったから皆んなでお酒が飲めるな」

「そうですね、ダリナさんと僕はお酒が大好きでした」

「ダリナ、貴女、すっかり大人の雰囲気になったわね」
「そうですよ、ミサエさんと同じレディです」


「サブロー、何か変化を感じる?」
「はい、なんだか力がみなぎってきました」

「おお、男前になったな」


「ダリナさん、着替えに行きましょうよ」
「そうね」

 しばらくして、ダリナとサブローはヒロシとミサエさんと同じロキシア農民の服装で現れた。

「まぁ、農民の服装の方が目立たないからね」
「そうね」

 ヒロシとサブローは革ベストと短剣型魔導銃を腰に帯剣して、初心者冒険者の格好になった。ミサエさんとダリナは農民のワンピースに頭にスカーフを巻いてロキシアから出てきた田舎娘風の冒険者の格好になったのだった

「じゃあ、オウランバータに行こうか?」

「ヒロシさん、街に行けるのですか?」
「ダリナさん、串焼き肉ショルラッグをいっぱい食べましょうよ」

「ここから、大通りは直ぐだよ」

 ヒロシは転移門を出して、オウランバータの肉屋の裏口につなげた。オウランバータの大通りは人々で賑わっていた。4人が通りに出ると懐かしいメロディが流れていた。

 ♪ ♪ ♫ ♪ ♪

 ゼン、ゼン、ゼンギスカン、ウー、ハッ、ウー、ハッ、
 ゼン、ゼン、ゼンギスカン、ウー、ハッ、ウー、ハッ、

 ウーハッ、ウーハッ、ウーハッ、

 ゼン、ゼン、ゼンギスカン、ウー、ハー、ウー、ハー、
 ゼン、ゼン、ゼンギスカン、ウー、ハー、ウー、ハー、

 ウーハッ、ウーハッ、ウーハッ、

 ♪ ♪ ♫ ♪ ♪

「ヒロシさん、この曲知っています、ジンギスカンダンスですね。小学校の運動会で踊りました」
「サブロー、私も小学校で踊ったわ」

「皆さん、ダンスを踊っていますがどうしたのですか?」

「ああ、砂漠のジャイアントワームが全ていなくなったからドルゴス国王がお祭りを開いてくれたのさ」
「あんたらも、オウランバータ名物のショルラッグを食べていきなよ。今日は街中の食べ物屋が屋台を出しているからね」

「今日は特別に1本鉄貨1枚だ」
「おじさん、ショルラッグ40本下さい」
「毎度あり、銅貨4枚だ2本おまけしてあげるよ」

 サブローとダリナは人間に進化してもは串焼き肉ショルラッグは大好きなようで、夢中でショルラッグを頬張っていた。


(サブロー、ダリナ、念のためにペンダントをかけておいてくれ)
(わかりました)

(皆さん、後ろから強盗が近づいてきます。用心してください)

「おい、女の二人連れだ」
「男は弱そうな格好だ」

「兄貴、女をかっさらおうぜ」
 強盗の手がミサエさんとダリナの腰に触れようとした途端に、バチン、バチン、バチン、バチン、防御魔法が発動した。

『ナイトメア』
 ラファエルが呪文を唱えると男たちはびっくり仰天して一目散に走り去っていった。

(ラファエル、何をしたんだ)
(はい、悪意を持った者には悪魔が乗り移ったように見える幻術魔法をかけたのです)

(それはいいな)

「ミサエさん、ダリナ、大丈夫?」
「ええ、何ともないわ」

「ダリナさん、ミサエさん、大きなショッピングモールです」
「本当ね、入ってみましょうよ」

「全品2割引きって書いてありますね」

「ミサエさん、ダリナ、サブロー、二手に分かれて食料品と諸々の買い出しをしていこうよ」

「そうしましょう」
 ヒロシとミサエさんは普段知っている野菜を多めに買った。

「ヒロシさん、お肉はどうするの?」

「ミサエさん、念話でダリナとサブローに買うように伝えてよ」
「俺たちは、野菜を中心に買おうよ」

「わかったわ」

(ダリナ、サブロー、ショルラッグ用のお肉は貴女たちで買って、私たちは野菜を買うから)
(は~い、分かりました)

 ◇ ◇ ◇ ◇

 ダリナとサブローはショッピングモールの肉屋の前に立っていた。

「おじさん、この肉は何ですか?」
「キャミラ、ラクダの肉さ」

「焼いて秘伝のタレを付けてパンに挟んで食べると最高だね」
 店主はラクダバーガーを勧めてくれたのでダリナとサブローは頬張った。

「ダリナさん、うま~」
「本当ね」

「おじさん、パティを100枚と秘伝のタレ3本下さい」

「はいよ、銀貨1枚だ」
「それと、秘伝のタレ3本は銅貨3枚だ」

「おじさん、ありがとう」

「ダリナさん、ハンバーガのバンズはどうするのですか?」
「サブロー、バンズが売っているよ」

「本当だ」

「すみません、パンを100個もらえますか?」
「はいよ、100個で銀貨1枚だ」
「ありがとう」

 ダリナとサブローと別れたヒロシとミサエさんはショッピングモールの酒屋の前で立ち止まっていた。

「ヒロシさん、スパークリングワインよ」
「本当だ、久しぶりに見たね」

「これはロキシア国のオキラニアで作られたスパークリングワインだよ」
「少し高いけど口当たりが甘くて飲みやすいよ」

 ヒロシとミサエさんは店員に勧めれて試飲をさせてもらった。

「ミサエさん、これならダリナとサブローも飲めそうだね」
「そうね」

「ヒロシさん、箱で買っていきましょうよ」
「そうだね」

「すみません、スパークリングワインを2箱ください」
「毎度あり、2箱で金貨2枚だ」

「ヒロシさん、肉屋の裏口に戻りましょう」
「そうだね」

 ミサエさんは肉屋でベーコンの塊10キロを買ったのだった。

(ダリナ、サブロー、肉屋の前で合流しましょう)
((は~い))

続く──
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