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第3章
ハカトン市のハヤトとサクラ
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「スミレさん、ギルドは目の前ですよ」
「あっ、いけない。クレープに夢中になって忘れてたわ」
テへペロ スミレさんは照れて小さく舌を出したが、シローは気付かない振りをした。
◇ ◇ ◇ ◇
ハカトン市の冒険者ギルドは静かだった。ここの冒険者たちはダンジョン専門らしく、依頼ボードを眺めた感じではダンジョンの依頼で埋め尽くされていた。
シローとスミレさんは暫くの間、壁際で冒険者ギルドの様子を観察していた。受付のお姉さんの一人が二人に気づいたようでにっこり微笑んで海洋ダンジョンの無料券をくれたのだった。二人は無料券をくれたお姉さんの名前を聞くのを忘れてしまったが冒険者ギルドを挟んで真向かいが海洋ダンジョンの入口に入っていった。
海洋ダンジョンとは、元は炭坑だった施設らしく、地下20階層まである本格的な冒険施設だった。シローとスミレさんは、海洋ダンジョンの無料券で入ったので、1階の初心者コースでしか戦えないが、奥に向かって少し歩いてみることにしたのだった。
「シローさん、赤いゼリー」
「スミレさん、普通のレイピアを出したよ」
シローは収納の武器庫にしまってあったレイピアを取り出してスミレさんに渡した。
プシュッ、プシュッ、プシュッ、プシュッ、プシュッ、プシュッ、プシュッ、プシュッ、プシュッ、プシュッ、プシュッ、プシュッ、プシュッ、プシュッ、プシュッ、
赤い石は辺り一面に散らばっていた。
「あんたら、この赤い石を拾わないのかい?」
「えっ、この赤い石のことですか?」
「ああ、この赤い石10個で出口の景品交換所で明太子に交換してもらえるのだよ」
「そうなんですか、どうもありがとうございます」
親切なダンジョンの職員は、名札に『ハヤト』と書いてあった。年格好は22歳くらいでシローよりも少し歳上に感じだ。
ミカエルの情報ではハヤト、サクラ夫婦は半年前にリストラされた勇者と聖女だった。都合の良いときだけ雇われ用済みになったので解雇されたのだった。今は海上ダンジョンの嘱託職員として雇用されているとの事だった。
「失礼ですが、勇者ハヤトさんですか?」
「ああそうだが……」
「私はシローと言います、こっちは妻のスミレです」
「ああ、ポセイドン様から二人のことは神託で聞いているよ」
「申し訳ないが、俺もサクラも昼までの勤務なので、昼の鐘がなったら、冒険者ギルドのフロアーで会おう」
「分かりました、連絡もせずに突然来てしまったのですみません」
「それから、昼までは二人で市内観光をして時間を潰してきます」
「ああ、そうしてもらえると助かるよ」
シローとスミレさんはダンジョンの外に出て、昼まで市内観光をすることにしたのだった。
シローとスミレさんは海上ダンジョンの外に出てハカトン市内の観光をすることにした。赤いスライムを倒して拾った赤い石は出口の交換所でミョンナンと交換してもらった。
ダンジョンを出て、直ぐの場所にいちごパンケーキの看板が立てかけてあった。
「シローさん、今度はいちごパンケーキよ」
「スミレさん、ダッシュで走らなくても、今行きますよ」
珍しくスミレさんが脱兎の如く看板に向かって走って行ったのでシローは追いかけるのに必死だった。
店内は落ち着いた雰囲気で、女性客を中心に賑わっていたのだった。
「いちごパンケーキ2つお願いします」
「かしこまりました。いちごパンケーキ2つですね。お飲み物はどうされますか?」
「コーヒーを2つお願いします」
「おまたせしました。いちごパンケーキとコーヒーです」
「う~ん、甘~い」
スミレさんが至福の顔をしている姿を今日は二回も見たが……シローは、いちごパンケーキを食べながら、この世界はスイーツが極端に少ないことに早く気づくべきだった。
「シローさん、そろそろ出ましょうか?」
「スミレさん、いちごパンケーキも美味しかったね」
「さっきのプリンクレープも良かったけど……やっぱりいちごは正義ね
「ソウナンデスカ?」
「生のいちごは、王都ケトマスでは見なかったね」
「そうね、この世界ではまだ作付けがされていないかも知れないね」
(シローさん、スミレさん、そろそろ約束の時間になりましたので戻りましょう)
(ミカエル、ありがとう)
二人はいちごパンケーキの店を出て、冒険者ギルドに戻ったのだった。丁度、昼の交代時間になったらしく、受付の女性は俺たちの顔を見て、こちらにやって来た。
「はじめまして、ハヤトの妻のサクラです」
「はじめまして、王都ケトマスから来たシローです」
「妻のスミレです」
「サクラ、遅れてすまん、すまん」
「ハヤトさん、そんなに走らないで下さいな」
「シローさん、スミレさん、私達の家に来ませんか?」
「そこなら、人目を気にしなくて済みますから」
「「おじゃまします……」」
ギルド職員が入居している社宅は冒険者ギルドから歩いて10分ほどの場所に建っていた。建物は全部で6軒建っており、どれも同じ形の家だった。 ハヤト、サクラ夫妻は他のギルド職員と一緒にそこに住んでいたのだった。
ギルド社宅の家賃は一月に銀貨1枚だったので破格の安さだった。その代わりに部屋は一部屋しかなく、キッチンは付いていなかった。共同トイレと共同の水くみ場があって、風呂はこの世界では無いに等しいので最低限の住居には違いなかった。
(話終わり)
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「あっ、いけない。クレープに夢中になって忘れてたわ」
テへペロ スミレさんは照れて小さく舌を出したが、シローは気付かない振りをした。
◇ ◇ ◇ ◇
ハカトン市の冒険者ギルドは静かだった。ここの冒険者たちはダンジョン専門らしく、依頼ボードを眺めた感じではダンジョンの依頼で埋め尽くされていた。
シローとスミレさんは暫くの間、壁際で冒険者ギルドの様子を観察していた。受付のお姉さんの一人が二人に気づいたようでにっこり微笑んで海洋ダンジョンの無料券をくれたのだった。二人は無料券をくれたお姉さんの名前を聞くのを忘れてしまったが冒険者ギルドを挟んで真向かいが海洋ダンジョンの入口に入っていった。
海洋ダンジョンとは、元は炭坑だった施設らしく、地下20階層まである本格的な冒険施設だった。シローとスミレさんは、海洋ダンジョンの無料券で入ったので、1階の初心者コースでしか戦えないが、奥に向かって少し歩いてみることにしたのだった。
「シローさん、赤いゼリー」
「スミレさん、普通のレイピアを出したよ」
シローは収納の武器庫にしまってあったレイピアを取り出してスミレさんに渡した。
プシュッ、プシュッ、プシュッ、プシュッ、プシュッ、プシュッ、プシュッ、プシュッ、プシュッ、プシュッ、プシュッ、プシュッ、プシュッ、プシュッ、プシュッ、
赤い石は辺り一面に散らばっていた。
「あんたら、この赤い石を拾わないのかい?」
「えっ、この赤い石のことですか?」
「ああ、この赤い石10個で出口の景品交換所で明太子に交換してもらえるのだよ」
「そうなんですか、どうもありがとうございます」
親切なダンジョンの職員は、名札に『ハヤト』と書いてあった。年格好は22歳くらいでシローよりも少し歳上に感じだ。
ミカエルの情報ではハヤト、サクラ夫婦は半年前にリストラされた勇者と聖女だった。都合の良いときだけ雇われ用済みになったので解雇されたのだった。今は海上ダンジョンの嘱託職員として雇用されているとの事だった。
「失礼ですが、勇者ハヤトさんですか?」
「ああそうだが……」
「私はシローと言います、こっちは妻のスミレです」
「ああ、ポセイドン様から二人のことは神託で聞いているよ」
「申し訳ないが、俺もサクラも昼までの勤務なので、昼の鐘がなったら、冒険者ギルドのフロアーで会おう」
「分かりました、連絡もせずに突然来てしまったのですみません」
「それから、昼までは二人で市内観光をして時間を潰してきます」
「ああ、そうしてもらえると助かるよ」
シローとスミレさんはダンジョンの外に出て、昼まで市内観光をすることにしたのだった。
シローとスミレさんは海上ダンジョンの外に出てハカトン市内の観光をすることにした。赤いスライムを倒して拾った赤い石は出口の交換所でミョンナンと交換してもらった。
ダンジョンを出て、直ぐの場所にいちごパンケーキの看板が立てかけてあった。
「シローさん、今度はいちごパンケーキよ」
「スミレさん、ダッシュで走らなくても、今行きますよ」
珍しくスミレさんが脱兎の如く看板に向かって走って行ったのでシローは追いかけるのに必死だった。
店内は落ち着いた雰囲気で、女性客を中心に賑わっていたのだった。
「いちごパンケーキ2つお願いします」
「かしこまりました。いちごパンケーキ2つですね。お飲み物はどうされますか?」
「コーヒーを2つお願いします」
「おまたせしました。いちごパンケーキとコーヒーです」
「う~ん、甘~い」
スミレさんが至福の顔をしている姿を今日は二回も見たが……シローは、いちごパンケーキを食べながら、この世界はスイーツが極端に少ないことに早く気づくべきだった。
「シローさん、そろそろ出ましょうか?」
「スミレさん、いちごパンケーキも美味しかったね」
「さっきのプリンクレープも良かったけど……やっぱりいちごは正義ね
「ソウナンデスカ?」
「生のいちごは、王都ケトマスでは見なかったね」
「そうね、この世界ではまだ作付けがされていないかも知れないね」
(シローさん、スミレさん、そろそろ約束の時間になりましたので戻りましょう)
(ミカエル、ありがとう)
二人はいちごパンケーキの店を出て、冒険者ギルドに戻ったのだった。丁度、昼の交代時間になったらしく、受付の女性は俺たちの顔を見て、こちらにやって来た。
「はじめまして、ハヤトの妻のサクラです」
「はじめまして、王都ケトマスから来たシローです」
「妻のスミレです」
「サクラ、遅れてすまん、すまん」
「ハヤトさん、そんなに走らないで下さいな」
「シローさん、スミレさん、私達の家に来ませんか?」
「そこなら、人目を気にしなくて済みますから」
「「おじゃまします……」」
ギルド職員が入居している社宅は冒険者ギルドから歩いて10分ほどの場所に建っていた。建物は全部で6軒建っており、どれも同じ形の家だった。 ハヤト、サクラ夫妻は他のギルド職員と一緒にそこに住んでいたのだった。
ギルド社宅の家賃は一月に銀貨1枚だったので破格の安さだった。その代わりに部屋は一部屋しかなく、キッチンは付いていなかった。共同トイレと共同の水くみ場があって、風呂はこの世界では無いに等しいので最低限の住居には違いなかった。
(話終わり)
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