改訂版 勇者と聖女の育成請け負います_みんなで育てれば怖くないね

にしのみつてる

文字の大きさ
48 / 78
第5章

サキヒコとカナエ《前編》 レベル1の転生者

しおりを挟む
 コーヘーとチハールがハリマヤマナカ市に旅立って……シローとスミレさんはハカトン市の海洋ダンジョンの先深部を攻略していた。素材はミカエルのアドバイスに従いしっかりと収納してきた。コーヘーとチハールと別れて3日後、2人がハリマヤナカ市のドマティオ岬でクラーケンを倒したとミカエルが教えてくれた。


 次の日の早朝……

「シロー……さん、シローさん……」
 スミレさんはベッドでぐっすり寝ているシローを大きく揺すった。夜が明ける前なので夜中の3時ぐらいだろうか?

「スミレさん、おはよう」
「あれ~、どうかしたの?」

「シローさん、大変よ、ログハウスが空を飛んでるよ」、

 シローとスミレのログハウスは大空に向かって上昇を開始していた。シローは身支度を整えてリビングの画面に向かって朝の挨拶をしていた。

「ミカエル、おはよう、急に上昇して、何処に向かうの?」
「たった今、天界から緊急連絡が入って、次の目的地はキビピーチ市に決定しました」
「キビピーチ市って、神様も何だか安易な名前を付けた気がするね」

「シロー、そう文句を言うでない、神々も知恵を絞って名前をつけておるのじゃ」
「それから、他の市はタブレットの画面で確認をするのじゃ」

 キビピーチ市 イアペトス クリュメネ
 カープ市
 キタロー市
 モイズ市

「今は大変革の時期なのじゃ」

「ミカエル、フライト時間は?」
「約20分です」

 ログハウスは順調に海の上を飛んでいた。キビピーチ市とは元の世界で言う岡山市の事だろうとシローは思ったが、神様たちが吉備団子と桃の語呂合わせから都市の名前をを付けたのだろうと思ったのだ。

 ポーン、ポーン、

「まもなく、着陸態勢に入ります」
「ミカエル、いつもの様に海側から侵入して港の倉庫の裏に着陸してくれ」

「了解しました。港からは冒険者ギルドまでは遠いので、プロイ川の堤防に着陸します」
「了解、着陸地は任せるよ」

「ミカエル、夜が明けるまで少し寝かしてくれ」
「了解しました。では、朝の8時ころにタイマーをセットしておきます」
「お願いするよ」

 ピピピ、ピピピ、ピピピ、ミカエルは8時にアラームでシローとスミレさんを起こしてきた。
プロイ川の堤防からキビピーチ市の中心部までは少し距離があったのでキャンピングカーを出して移動した。

「スミレさん、キビピーチ市に到着しましたね」
「ええ、今回は会う人が決まっていないね」

「そうだね、とりあえず、教会が出来ていれば行きたいけど」
「シローさん、この先に教会があるよ」

「本当だ、入ってみようよ」

「ようこそ、お参り下さいました。こちらの教会は、キビピーチ市の守護神イアペトス様、クリュメネ様をお祀りしているのです」
 シローとスレさんは、神像の前に金貨1枚をそっと差し出した。

「お二人にイアペトス様、クリュメネ様のご加護がありますように」
 司祭様は、丁寧にお祈りをしてくださった。

「信心深き清き者たちよ」
 タブレットが光ってゼウス様とヘーラー様が現れた。 

「シロー、スミレ、此度の件は大義であった、残すはキビピーチ市の勇者サキヒコと聖女カナエであるが、1週間前に転生させたが、転生時の基礎レベルが全く足りていないのじゃ」

「ゼウス様、俺達と同じようにAIクリスタル脳は移植されたのですか?」

「イアペトス、クリュメネ、ジェネオスとアギオスにAIクリスタル脳を移植するのじゃ」
「「はっ、仰せのままに」」

「どうやら、我らの手違いでジェネオスとアギオスにAIクリスタル脳の移植を忘れておったようじゃ」
「そうだったのですか」

「ジェネオスとアギオスに魔導ペンダントを渡して魔力の底上げは可能でしょうか?」
「早いのは、実戦での魔物退治じゃがもちろん行ってくれるな」

「ハイ、分かりました、オーガ退治ですよね」
「そうじゃ、オーガ退治の詳細は冒険者ギルドで聞くと良いのじゃ」

「そう言うことじゃな、今夜はゆっくりと休んで、明日の朝早くに冒険者ギルドに行くのじゃ」
「分かりました」

 教会の外に出ると、酒屋には特産のピーチワインが売っていたので買ってみた。途中の弁当屋でオーク肉のカツ弁当を二つ買って帰り、プロイ川の堤防下に転移魔法で戻り、スミレさんと一緒にピーチワインを飲んだのだった。


「スミレさん、ピーチワインはかなり甘いね」
「そのようね、飲みすぎると足をとられて後が大変よ」
「そうだね、程々にしておこうよ」

 二人はピーチワインの口当たりが良いので飲みすぎないように程々にしておいた。明日の朝は二人で冒険者ギルドに行ってみようと思った。

 ◇ ◇ ◇ ◇

 サキヒコとカナエは1週間前に異世界に転生してきたばかりで、魔物の狩り方も何も知らないままキビピーチ市の宿屋で引きこもっていた。サキヒコは生前にラノベ本を読んだ知識で、ここが異世界だと直ぐに分かったが、神様にもらった僅かなお金で宿屋で寝泊まりしているだけで、冒険者になるつもりなど端から無かった。

 転生した翌日、カナエは、宿屋の女将に請われて昼間の時間に客室の掃除を手伝い始めた。サキヒコは相変わらず部屋から出ようとしなかったのでカナエと宿屋の女将はサキヒコをそのままにしておいたのだった。

 夜になると、サキヒコは性欲が異常に高まりカナエの体を貪るように求めたが、カナエはサキヒコが勝手に始める”身勝手なおせっせ”が嫌だった。心で嫌と思っても、カナエの体はサキヒコの愛撫に反応して、二人は愛欲に溺れる生活を続けていたのだった。

「信心深き者たちよ」
「我らはこのキビピーチ市を統べる、イアペトスとクリュメネなり」
 突然部屋が金色に輝いて神様たちが現れた。

「汝らは勇者と聖女に選ばれこの世界に転生はさせたが、余りにもレベルが低すぎて自助努力をする姿勢が全く足りぬのじゃ」
「明日の朝早くに冒険者ギルドに行き、シローとスミレに会ってジェネオスとアギオスに一日も早くなれるよう基礎から鍛え直してもらうのじゃ」
「なお、汝らが神との約束を勝手に破棄した場合は何処かの星に飛ばされ重い罰則が待っておるので覚悟するのじゃ」

 イアペトス様とクリュメネ様はこれだけ言われると消えていった。

(AIクリスタル脳正常作動、バイタル異常なし)
(AIクリスタル脳・リブート完了、世界辞書のインストール完了、禁欲プログラム発動)

「カナエ、今度は真面目にやってみるよ。神様に言われてから、俺何だかやる気が出てきた」
「サキヒコ、本当なの? 私、サキヒコを応援するから」

 サキヒコは冒険者になるのは面倒だと思ったが、神様との約束だけは絶対に守ろうと心に誓ったのだった。

(クリュメネ、どうやら、AIクリスタル脳の移植は成功のようじゃな)
(ええ、ヘーラ様に言われた時は焦りましたよ)

(そうじゃった)

 イアペトス神とクリュメネ神は神界の泉でサキヒコがやる気になったことを確認して宮に戻っていった。


 (話終わり)

 -------------------------------------
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

処理中です...