改訂版 勇者と聖女の育成請け負います_みんなで育てれば怖くないね

にしのみつてる

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第6章

コース修正と中華風おかゆ 

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 子ドラゴンを放流後……時間は深夜になっていた。

「ミカエル、オウランバータに向かってくれ」
「了解です」

「目的地をオウランバータに設定、オートパイロット作動、視界クリアー、コース障害無し」
 ポーン、ポーン、「オウランバータまでは2230キロ、約4時間26分です」

「イーライ、ネイト、ヒナミ、ホノカ、私たちは寝るね」
「はい、異常があればお知らせします」
 亜神の体になっても睡魔には贖えなかった。

「イーライ、ご主人様たちが寝ている間にログハウスに例の改造を施そう」
「ネイト、『ルミナスの矢』はそのまま装備しておくか?」
「その予定だ、『クリエーション・AIブレーン✕2』」

「イーライ、出来上がったので設置してくれ」
「了解」
「邪悪な波動の対象はLV20にしておこう」
 ヒナミとホノカはモニター画面を眺めていた。

「ネイト、それだと対象が多すぎるわ」
「じゃあ、LV50だとどうだ」
「今度は全く反応しないわ」
「間をとって、LV30でどうだ」

「ヒナミ、シローさんは何でオウランバータにしたんだっけ」

「サント島で少しコースを変更して、コリオ国でお昼、キーナ国で蟹を食べてトラブルに巻き込まれたからコースを変更したのよ」

「オウランバータに立ち寄るとかなり無駄に遠回りをするよ」

「ミカエル、サマルカンドに直接向かうコースに修正を提案」
「了解しました。シローさんたちの起床時間を朝の9時にセットして、サマルカンドに直接向かいます」

「ホノカ、ワイバーンの邂逅だけは注意しましょう」
「了解」

 こうして、優秀なバトルメイドとバトル執事は人間のように寝る必要が無いので夜のフライト中にログハウスに射撃統制システムに改良したAIクリスタル脳に設置してちゃっかりコースを変更していた。

 ◇ ◇ ◇ ◇

 フライトから9時間後……
 ピピピ、ピピピ、ピピピ……ミカエルはアラームを鳴らした。

「スミレさん、おはよう」
「シローさん、おはよう。何かぐっすり寝た気分よ」
「スミレさん、俺もそうだ」

「もうすぐ、サキヒコとカナエさんも直ぐに起きて来るだろうね」

「ヒナミ、ホノカ、おはよう、ここは何処なの?」
「はい、スミレさんたちが就寝されてからコース修正を行い、現在はサマルカンドに直接向かっています」

「ホノカ、ありがとう。無駄を無くすのもいいことだわ」

「スミレさん、朝食の準備が出来ています。今朝は鶏肉と椎茸のおかゆです。デザートは豆花とうふぁです」
「ヒナミ、それは美味しそうね」

「シローさん、サキヒコさん、カナエさん、朝食にしましょう」
「「「は~い」」」

「スミレさん、このおかゆ美味しいです」
「そう、ヒナミたちが考えて作ったそうよ」

「ヒナミ、ホノカ、ありがとう」

「イーライとネイトは夜間に何かしていたの?」
「はい、ログハウスの屋根にAIクリスタル脳を設置しています。それと、別のジェネオスとアギオスが考えた悪意を持つ人物を無力化する『ルミナスの矢』を設置してあります」


「サキヒコ、俺たちが寝ている間にログハウスが魔改造されたようだぞ」
「シローさん、イーライとネイトだから諦めましょう」
「そうだね」

「サキヒコさん、屋根に取り付けたAIクリスタルを脳を射撃統制システムに改良していいですか?」
「ああ、構わないけど、ログハウスの魔改造は対ワイバーン用なのか?」

「そうですが、別の意味もあって悪意を持つ生物を空中から狙撃するためです」
「ネイト、俺向きの仕様だけど、『ルミナスの矢』の管制も射撃統制システムのから自動で行えるのか?」

「はい、まだ公には公開されていませんが、アメリキ国を訪問中のジェネオスとアギオスは『ルミナスの矢』で『堕天使・ルシファが召喚した勇者・聖女』を無力化しているのです」


「シローさん、どう思いますか?」
「今後、サキヒコがサンパウロ国に行くなら『ルミナスの矢』とM2重機関銃は必須だろうね」

「昨夜もシャンルンで訳の分からない組織に狙われたし、一旦、着陸して魔改造をしてもらう方が安心だね」
「そうですね」

「シローさん、サキヒコさん、着陸は要りません。既にサキヒコさんのログハウスは収納の中でM2重機関銃は取り付けられています。後はAIクリスタルを脳を射撃統制システムに改良するだけです」

「えっ、イーライとネイトは夜間にそこまで魔改造をやってたの」
「「はい、他にすることが無かったので……」」

「イーライ、ネイト、頑張ったね。ありがとう」
「どういたしまして」
 ポーン、ポーン、目的、サマルカンドの青の都の上空に到着しました」

「射撃統制システム起動、邪悪な波動の対象をLV30に設定、目標、サマルカンドの青の都」
「モスク内に対象物発見、迎撃モードへ移行」
 4人はスクリーンに映し出された、赤い目の男女を見ていた。

「シローさん、画面に映っていたのは魔族ですか?」
「どうやら、そのようだね」

「スミレさん、私たち、知らない内に危険な場所に来たようです」
「カナエさん、ここにいれば安全よ」

「『ルミナスの矢』発射まで3、2、1…」

 ズドンッ!  
 光の矢が空を裂き、モスクの奥の一室で悪事を企んでいた男と女の一対は『ルミナスの矢』に当たり目に見えない魔法陣で無力された。

「対象の無力化を確認、消失しました。引き続き警戒態勢を継続します」

「イーライ、ネイト、凄いシステムだね」
「じゃあ、脅威は去ったね」

「はい、もう大丈夫です。私たち4人も皆さんを護衛しますからご安心下さい」


 シローたちが悪魔を倒した時、悪魔の波動がAIクリスタル脳に記録された。直ぐに悪魔の情報はヨダシステムに記録され、神々は堕天使・ルシファと悪魔の二重の強敵に対策を練ることになった。

(話終わり)
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