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第7章
セリアリューナ山麓で再び遭遇~高度6万メートルの戦い~
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ポーン、ポーン、「まもなくセリアリューナ山脈です」
「ミカエル、このまま高度6万メートルまで上昇、敵を迎え撃つ」
「了解、高度6万メートルに設定」
メガファライナはセリアリューナ山脈を越え、高度6万メートルの成層圏に達していた。
「圧力隔壁異常なし」
「アストラ・オービタル・レーダー感あり」
「敵、60度方向、接近します」
そのとき、レーダーに再び“目玉型UFO”の魔力波が映る。
「来た……」サキヒコが呟く。
「敵さんも何らかの対策してきたようだな。 エンジェリコ砲、発射用意」
「エンジェリコ砲、発射準備完了」
「撃てー」
「ルーララ~ラ、ルーララ~ラ、ルーラララ~……時は止まる」
静かな宇宙空間に突然メロディが流れた。この聖なる波動が敵UFOの機関部に狂い生じさせていた。
「敵UFO、機関停止確認、爆破しました」
「カナエさん、ヒナミ、ホノカ、私たちの勝利よ!!」
スミレさんたちがハイタッチして喜びを噛みしめていた。
爆破の閃光が成層圏に広がり、宇宙空間に静寂が戻った。 エンジェリコ砲は共鳴を止め、星空モードに切り替わる。 サキヒコは砲台の前で立ち止まり、呟いた。
「……次は、もっと深いところから来る気がする」
ミカエルが静かに応じる。 「セリアリューナ山麓の地下には、未解析の魔力波が残っています」
「セリアリューナ山麓に着陸」
「了解、着陸シーケンス移行」
「補助マジックリアクターコンタクト」
「スピード・ブレーキ、セット」
「ギア・ダウン」
メガファライナはゆっくりと降下していき、高度300メートルで風の石による逆噴射を併用し、ゆっくり着地した。
「タッチダウン」
「周辺、レーダ感なし」
セリアリューナ山麓に着陸した直後、メガファライナの船体に矢が突き刺さった。
「エルフの弓矢です!」
ミカエルが警告する。 だが、シローは動かなかった。操縦席に座ったまま、モニターを見てただ静かに耐えていた。
「撃ち返すな。誤解を解く方が先だ」 その言葉に、スミレたちは頷いた。
やがて、樹冠の奥から現れたのは、銀髪のエルフ長老だった。
「この地は精霊の眠る聖域。なぜ侵入した」
シローは一礼し、静かに語り始めた。
「我々は、空に現れた大きな目玉型UFOを撃退しました。空が光ったのはその爆破の閃光です」
長老の眉が動く。「ミラス……あの忌々しい監視者か。確かに邪悪な波動は消えた。だが、なぜ戦えた?」
ヒナミが一歩前に出る。
「聖なる音楽です。私たちの砲台は、怒りではなく調和の波を放ちます」
ホノカが続ける。「刃の記憶を、守る力に変えたのです」
「お父様、この者たちに悪意はありません。むしろ、聖なる神の力を宿しています」
「フィオーラ、それは真か?」
「はい、大精霊様がおっしゃっています。『この者たちに害意は無い』……と」
長老は目を閉じ、森の風に耳を澄ませた。葉のざわめきが、まるで精霊たちの囁きのように響いていた。
やがて、彼はゆっくりと弓を下ろし、背後のエルフたちもそれに倣った。
「ならば、我らは矢を収めよう。精霊の声が、そなたらを受け入れたのだ」
スミレは深く一礼し、静かに言った。
「ありがとうございます。私たちは、この地を乱すために来たのではありません。むしろ、守るために――」
フィオーラが一歩前に出る。
「この森の地下には、古代の音の封印があります。大精霊様は、それが再び目覚める時が近いと告げています」
サキヒコが眉をひそめた。
「音の封印……それが、未解析の魔力波の正体か」
長老は頷いた。
「その封印は、かつて“ミラス”がこの地に干渉した際、精霊たちが自らの記憶を閉じ込めたもの。音楽によってのみ、開かれる」
ヒナミがそっとエンジェリコ砲に触れる。
「ならば、私たちの音で、精霊の記憶に触れてみたい」
長老は静かに微笑んだ。
「よかろう。だが、封印の扉は、調和の旋律でなければ開かぬ。怒りや欲望の音では、精霊は眠ったままだ」
ホノカが頷く。
「私たちの音楽は、守るためのもの。きっと届きます」
森の奥に、古びた石碑が姿を現した。そこには、精霊語で刻まれた旋律の断片が浮かび上がっていた。
ルンラララ、ラーララー、ルンランラララー その静かな旋律はエンジェリコ砲と共鳴し、地下から封印の扉が浮かび上がった。
「ミカエル、ミラスは何を欲したの?」
「リュエルサリュナ――星の記憶を宿す蒼き宝石。人族の言葉で言えば、タンザナイトに近い性質を持ちます」
「ミラスはリュエルサリュナを狙ってたの?」
「そうです、目玉UFOの触媒で、連続ワープが3倍になるそうです」
ミカエルは静かに続けた。
「それだけではありません。ミラスは、リュエルサリュナに宿る“音の記憶”――精霊たちの知識そのものを欲していました。連続ワープは手段でしかなかった」
長老が目を細める。「我々の先祖の知識を奪い、宇宙を支配する……それが監視者の本性か」
スミレが一歩前に出る。「だからこそ、私たちは守らなければならない。音楽は、記憶であり、魂です」
石碑の前で、エンジェリコ砲が再び共鳴を始めた。
ルンラララ、ラーララー、ルンランラララー――
その旋律は、封印の扉を完全に開き、地下の空間に光が満ちていく。
そこには、精霊たちの記憶が音の粒子となって漂っていた。
ミラスが奪おうとしたもの。
エルフたちが守り続けたもの。
そして、スミレたちが共鳴したもの。
シローたちはエルフの長老と話し合い、風の精霊の核を4個譲り受けた。代わりにミスリルインゴットを100個渡した。これは、交わりの証として一時の誓いに基づくもの。エルフが人族と取引を持たぬための、特例の贈り物であった。シローたちがメガファライナで飛び立つと、封印の扉は再び地下に隠れ、エルフの里の座標は、星々の観測者たちですら記録できず、宇宙の記憶層にも刻まれなかった。
続く──
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「ミカエル、このまま高度6万メートルまで上昇、敵を迎え撃つ」
「了解、高度6万メートルに設定」
メガファライナはセリアリューナ山脈を越え、高度6万メートルの成層圏に達していた。
「圧力隔壁異常なし」
「アストラ・オービタル・レーダー感あり」
「敵、60度方向、接近します」
そのとき、レーダーに再び“目玉型UFO”の魔力波が映る。
「来た……」サキヒコが呟く。
「敵さんも何らかの対策してきたようだな。 エンジェリコ砲、発射用意」
「エンジェリコ砲、発射準備完了」
「撃てー」
「ルーララ~ラ、ルーララ~ラ、ルーラララ~……時は止まる」
静かな宇宙空間に突然メロディが流れた。この聖なる波動が敵UFOの機関部に狂い生じさせていた。
「敵UFO、機関停止確認、爆破しました」
「カナエさん、ヒナミ、ホノカ、私たちの勝利よ!!」
スミレさんたちがハイタッチして喜びを噛みしめていた。
爆破の閃光が成層圏に広がり、宇宙空間に静寂が戻った。 エンジェリコ砲は共鳴を止め、星空モードに切り替わる。 サキヒコは砲台の前で立ち止まり、呟いた。
「……次は、もっと深いところから来る気がする」
ミカエルが静かに応じる。 「セリアリューナ山麓の地下には、未解析の魔力波が残っています」
「セリアリューナ山麓に着陸」
「了解、着陸シーケンス移行」
「補助マジックリアクターコンタクト」
「スピード・ブレーキ、セット」
「ギア・ダウン」
メガファライナはゆっくりと降下していき、高度300メートルで風の石による逆噴射を併用し、ゆっくり着地した。
「タッチダウン」
「周辺、レーダ感なし」
セリアリューナ山麓に着陸した直後、メガファライナの船体に矢が突き刺さった。
「エルフの弓矢です!」
ミカエルが警告する。 だが、シローは動かなかった。操縦席に座ったまま、モニターを見てただ静かに耐えていた。
「撃ち返すな。誤解を解く方が先だ」 その言葉に、スミレたちは頷いた。
やがて、樹冠の奥から現れたのは、銀髪のエルフ長老だった。
「この地は精霊の眠る聖域。なぜ侵入した」
シローは一礼し、静かに語り始めた。
「我々は、空に現れた大きな目玉型UFOを撃退しました。空が光ったのはその爆破の閃光です」
長老の眉が動く。「ミラス……あの忌々しい監視者か。確かに邪悪な波動は消えた。だが、なぜ戦えた?」
ヒナミが一歩前に出る。
「聖なる音楽です。私たちの砲台は、怒りではなく調和の波を放ちます」
ホノカが続ける。「刃の記憶を、守る力に変えたのです」
「お父様、この者たちに悪意はありません。むしろ、聖なる神の力を宿しています」
「フィオーラ、それは真か?」
「はい、大精霊様がおっしゃっています。『この者たちに害意は無い』……と」
長老は目を閉じ、森の風に耳を澄ませた。葉のざわめきが、まるで精霊たちの囁きのように響いていた。
やがて、彼はゆっくりと弓を下ろし、背後のエルフたちもそれに倣った。
「ならば、我らは矢を収めよう。精霊の声が、そなたらを受け入れたのだ」
スミレは深く一礼し、静かに言った。
「ありがとうございます。私たちは、この地を乱すために来たのではありません。むしろ、守るために――」
フィオーラが一歩前に出る。
「この森の地下には、古代の音の封印があります。大精霊様は、それが再び目覚める時が近いと告げています」
サキヒコが眉をひそめた。
「音の封印……それが、未解析の魔力波の正体か」
長老は頷いた。
「その封印は、かつて“ミラス”がこの地に干渉した際、精霊たちが自らの記憶を閉じ込めたもの。音楽によってのみ、開かれる」
ヒナミがそっとエンジェリコ砲に触れる。
「ならば、私たちの音で、精霊の記憶に触れてみたい」
長老は静かに微笑んだ。
「よかろう。だが、封印の扉は、調和の旋律でなければ開かぬ。怒りや欲望の音では、精霊は眠ったままだ」
ホノカが頷く。
「私たちの音楽は、守るためのもの。きっと届きます」
森の奥に、古びた石碑が姿を現した。そこには、精霊語で刻まれた旋律の断片が浮かび上がっていた。
ルンラララ、ラーララー、ルンランラララー その静かな旋律はエンジェリコ砲と共鳴し、地下から封印の扉が浮かび上がった。
「ミカエル、ミラスは何を欲したの?」
「リュエルサリュナ――星の記憶を宿す蒼き宝石。人族の言葉で言えば、タンザナイトに近い性質を持ちます」
「ミラスはリュエルサリュナを狙ってたの?」
「そうです、目玉UFOの触媒で、連続ワープが3倍になるそうです」
ミカエルは静かに続けた。
「それだけではありません。ミラスは、リュエルサリュナに宿る“音の記憶”――精霊たちの知識そのものを欲していました。連続ワープは手段でしかなかった」
長老が目を細める。「我々の先祖の知識を奪い、宇宙を支配する……それが監視者の本性か」
スミレが一歩前に出る。「だからこそ、私たちは守らなければならない。音楽は、記憶であり、魂です」
石碑の前で、エンジェリコ砲が再び共鳴を始めた。
ルンラララ、ラーララー、ルンランラララー――
その旋律は、封印の扉を完全に開き、地下の空間に光が満ちていく。
そこには、精霊たちの記憶が音の粒子となって漂っていた。
ミラスが奪おうとしたもの。
エルフたちが守り続けたもの。
そして、スミレたちが共鳴したもの。
シローたちはエルフの長老と話し合い、風の精霊の核を4個譲り受けた。代わりにミスリルインゴットを100個渡した。これは、交わりの証として一時の誓いに基づくもの。エルフが人族と取引を持たぬための、特例の贈り物であった。シローたちがメガファライナで飛び立つと、封印の扉は再び地下に隠れ、エルフの里の座標は、星々の観測者たちですら記録できず、宇宙の記憶層にも刻まれなかった。
続く──
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