異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト

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五十一話 【座学なんて】

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「そうだったんだ~、大変だったね」

 目が覚めてから皆で夕食を頂いている。
 わいわいと楽しく食べていると今日のあの結界の話題が出てきて
 二人とフェルの近くにいた者が結界の能力に掛からなかった事と
 フェルとアンアでウルエの事を探していたという事を聞き、
 そんなことがあったとは知らなかったと言わんばかりの発言をする。

「ちなみに、ウルエはどこにいたの?」

「特別欠席貰ってたからずっと部屋にいたよ!」

 ちなみに、特別欠席の件は食事中にさらっと言ってある。
 此処で正直に迷宮にいたとかエルフに襲われたとか
 服従されたとか色々と問題になりそうなので誤魔化しておく。

「そうなのね、なら安心したわ。良かった、ウルエが無事で、
 もし何かあったら私が――」

「いや~それにしても誰の仕業なのかしらね」

「さあ?」

 フェルが暴走する前にアンアが言葉を遮ってくれる。
 流石はフェルの唯一の友達だ扱い方が分かっている。
 今回の件の犯人は既に捕まっており首輪付きで迷宮に捕らわれているが
 そんな事言えるわけもないので黙っておく。
 
 先生方は今回の事件の事すらも知らないため、
 大きな事件とはならなかったが、アンアがそれとなく結界対策をするようにと
 先生に伝えてくれた為、今後イレアの様な存在が来ても
 同じ事件が起きることはないだろう。

「あら、ウルエ、その指輪どうしたのかしら?」

「え、えっと……」

「ウルエ?私も気になるのだけど」

 昨日はバレなかった為、安心しきっており、
 その油断の所為で指輪がバレテしまった。
 と言っても最初から隠すなどと言った行動はしてなかったのだが。

「ナーガがくれたんだよね、多分迷宮に落ちてたんじゃないかな?」

(そう、これだ!完璧じゃないか俺!!)

 これならば嘘は付いていない、言い方の問題だが、
 真実と同じことを言っているまでだ。
 
「そう、身体は何とも無い?何か異変は起こったりしてない?
 指輪が外れないとかは無いとね?大丈夫?」

「う、うん。大丈夫だよ!指輪だってほら!外れるでしょ?」

 指輪を外してみせ再び嵌める。
 フェルが心配してくれるのは嬉しいウルエだが、
 もう少し落ち着いて心配してほしいものである。
 その後もフェルに何度も身体が大丈夫かと聞かれ、
 大変だったが、アンアが注意をしたところ、
 フェルの気に障った様でまわ取っ組み合いが始まり、
 ウルエはこっそりと抜け出し風呂に入って寝室に向かった。

 翌日、ウルエが教室に向かうと――

「ウルエ!!なんか久しぶりだな、おはようさん!」

「ウルエおはよ~」

 教室に入ると数日ぶりのゲウヌとミアが嬉しそうに挨拶をしてきた。
 
「うん、おはよ!!」

 本当であれば昨日会えるはずだったのだが、
 強制的に欠席にされてしまい寂しい思いをしたのだ。
 
「それにしても、お前良くもやりやがったな!おら!」

 ゲウヌは一度目の模擬試合の時に、拠点ごと吹き飛ばされた事を思い出し、
 ウルエの頭を腕でつかみ軽くしめる。

「あははは、ごめんごめん。詠唱の力試してみたくてさ、
 初めて使うならゲウヌかミアにって決めてて、拠点にならいるかなって思ってさ」

「おお、そうかそうか、それは嬉しいこった!」

 そう言ってウルエを解放してくれたが、
 次はミアに頬をつねられてしまった。

「私、一回もウルエに合わずに終わったのよ!
 会いたかったのに、お仕置き!」

 理不尽な理由だがウルエは嬉しかった。
 何だかこうやって多少の冗談をし合えるのが友達という感じがするからだ。
 ウルエは抓られながらも笑い、また二人も笑い合うのであった。
 そんな楽しい時間は過ぎ、座学の時間がやってきた。
 授業の内容は詠唱について。

 この前アンアに教えてもらい理解したから大丈夫だと
 意気込んでいたが、いざ座学を受けると――

「……」

 あら、不思議な事に何も分からないのだ。
 それもそのはずだろう、詠唱の授業はあらゆる神々の言語を授かっている事が
 前提で行われているのだから。
 女神エミのみからしか言語を授かっていないウルエにとっては
 未知の言語の授業を受けているのと同じことなのだ。

「まぁ、そのなんだ……そういうこともあるさ」

「そうね、次頑張りましょ!」

「うぅ……」

 ウルエは内心気付き始めていた、これはもう根本的から違う為無理だと。
 そして決心するのであった。

(詠唱の座学なんてくそくらえだ!俺は女神エミだけしか信じない!
 こんな授業寝てやる!!)
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