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新たな家族と日常

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 21.何事も極めればそれなりになる
「よーしよしよし!」

「シャー♪」

「あんなにちっちゃかったのに、もうこんなに大きくなりやがって!スコールはでかくなっても可愛いなぁー!」

 俺はグラーザンの洞窟で出会った鉱石喰いのスコールを全力で撫でていた、当時は50センチ程だった体長も今では3mを超えそうとしている。

「高密度の魔力産魔水晶なんて自然界に中々無いものを食べていればこうなる事もあるかぁ」

「キシャ!キシャ!」

 スコールが同意する様に鳴き声を出す、自然界に魔水晶はあるが数が少なく質も悪い。だがスコールにはナズナが作る最高品質の魔水晶を与える事が出来るので特別な鉱石喰いになるのではと思っていた、予想通りスコールは大きくなるにつれ体の表面が魔水晶と同じ様な薄らと紫に輝きだした。普通の鉱石喰いは黒色から変わらないらしい

「それで魔法を込めれる位に魔石が成長したんだっけ?」

 野生化の鉱石喰いは成長している途中でスキルを覚え魔石に刻み魔法石になるがスコールはスキルを覚えるよりも早く魔石が成長していた、その為外部から魔法を刻めば魔法を覚えさせる事が出来るらしい。

「うーん、何の魔法を覚えさせようか。強い攻撃系とか防御系が良いんだろうけどスコールはペットって感じだし小さくなる魔法とかあったら覚えさせたいなぁ。」

「ありますよ。」

「うわっ!びっくりした!シャミか…もうそんな魔法まで覚えてるの?凄いね。」

「殆どはカフ様から知識として入れられた情報を再現して習得した物なので難しくはありません、生物・非生物の巨大化・縮小化魔法も習得済みです。」

「大きくもなれるんだ!いざとなったら山みたいにでっかくして戦えば最強になりそうだね!」

「では【体積変化】の魔法を刻みますか?」

「お願いするよ。」

 シャミがスコールに魔法を付与する、スコールもそれを受け入れ大人しくしていた。

「完成致しました。巨大化・縮小化の範囲は魔力量に比例します、あとはよく訓練を行う様にして下さい。」

「ありがとシャミ!スコール早速小さくなれる?」

「シャー!」

「おぉ!凄い!可愛い手の平サイズだ!」

「おめでとうございます優様、それとスコールの魔石が意外と高品質なので後幾つかは魔法を覚えられるかと。」

「そうなんだ、じゃあどんどん魔改造しようかスコール!」

「シャッ!?」

 俺は1日を使ってスコールにあれやこれ魔法を詰め込んだ。

「ふぅ、こんな物かな。ありがとシャミ、スコールもお疲れ。」

(とんでもありません主人)

 スコールの魔石に知能向上する魔法と念話の魔法を刻み、スコールと会話できる様になっていた。

「にしてもこれはもう鉱石喰いではないよなぁ…」

 スコールに【鑑定】を行う。

【スコール】
 種族:アクジキ(始祖)
 Lv.45
 体力:1580
 筋力:2500
 素早さ:2000
 知力:350
 器用さ:125
 魔力:3000
 スキル:体積変化(Ⅴ)、秀才(Ⅳ)、念話(Ⅶ)、斬撃術(Ⅳ)
           打撃術(VI)、自己再生(Ⅲ)、万物摂食、子産み
           無属性魔法(Ⅲ)、人化術、即時対応(Ⅴ)、魔力変換              (Ⅲ)

 …正直詰め込みすぎたな、見た目もトゲトゲしさが増して明らかに強者感出てるし、なんなら種族変わってるし。始祖て…余裕で俺より強くなってる。

「最強の鉱石喰いにしてやるって言ったけど、まさか種族変わってしまうとはなぁ…」

「鉱石喰いの上位種という位置付けで良さそうですね。」

「そうだね、よし!スコール人化してみて!」

(承知)

 スコールが小さくなっていく、そして現れたのは高身長のポニーテールでギザ歯娘。カッコ可愛いの間ぐらいで、体にはサソリの外殻の様な鎧が着いている。

「カッコ可愛い!あと体の鎧もカッコイイ!ていうかメスだったんだ…」

「ありがとうございます、主人。新たな種族になれた事心から感謝し、更なる忠誠を誓います。」

「うん、The女騎士みたいでカッコイイ。これからもっと一緒に冒険出来るね!」

 俺とスコールは一緒に喜び皆に報告しに行く、報告し終わった後スコールを可愛がっているとナスハにレンカ、更にゴーレム状態のナズナに寝室まで連行され、その晩3人に朝まで搾り取られる事になった。

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 22.嫁慰安
「死ぬかと思った…ハーレム物って男が絶倫じゃないと成立しないよな。」

 昨日こってり絞られた俺はハーレム物の主人公に脱帽する。

「そう言えば最近ナスハ達と出かけてないよな、あぁ…あれもあげようと思ってたのに忘れてたな。」

 俺は久しぶりにナスハとレンカ、ナズナと観光にでも行きたいなと思い、あれこれ計画する。

「じゃあ、ライドも楽しんできてね。」

「ありがとうございます主殿。では」

 俺はライドとユタに休暇を出し、ライドと出かける場所が被らないよう話し合った。メイド達にも休暇を出しているので数日は戻らなくても大丈夫だ

「皆行こっか!」

「観光なんてグラーザンで少し周った時以来だねご主人。」

「ほんとにね、今日は王都まで行って色々見て回ろうかと思うんだ。」

「私は優様と一緒ならどこでも構いません。」

「王都ならお勧めのレストランを知っています主よ。」

「レンカは王都にいたんだっけ?じゃあお昼はそこに行こう。」

 俺達は王都行きの馬車に乗り観光の予定を話し合った。

「いやぁ、流石王都、凄い賑わいだったよ。」

「レンカのお勧めのレストランも凄く美味しかったよ!」

「ありがとうございます主、私も久しぶりに王都に訪れて楽しかったです。」

「優様と同じ食事が出来るように作っていて本当に良かったです。」

 一通り王都を満喫した俺達はカップルが少なからずいる見晴らしのいいベンチで休む。

「皆に渡したい物があるんだ、受け取って。」

「綺麗…これはブレスレットかい?」

「私のはネックレスだ…」

「これはチョーカー?純魔力の魔水晶がはめられて…どうやって?」

 ナスハにはブレスレット、レンカにはネックレス、ナズナにはチョーカーを。それぞれに魔法が込められた魔水晶がはめられている

「シャミにお願いして内緒で作ったんだ、どう?気に入ってくれた?」

「「「とっても!」」」

「ははっそれは良かった。そろそろ宿に戻ろうk」

 ズズゥン!

 王城に巨大な物が落ちて砂埃が舞い上がる、離れているのに人々の騒ぎ声が聞こえてくる。

「なんだ?王城に何か落ちなかった?ナズナ調べてみて!」

「承知しました、【周辺探査】あれは…【鑑定】成層ストラフィケイションに棲む龍ドラゴン、レベル55に達しますが大分弱っています。恐らく何者かと縄張り争いをして敗北し墜落してきたのかと。」

「あんなのが負けるのか…こっからでもよく見えるくらい大きいな50mくらい?」

「120m程かと、弱っていても並の人間では歯が立ちませんと思いますが如何なさいますか?」

「王様を助けるチャンスって事?ナスハ、レンカ申し訳ないけど観光は終わりみたい。」

「構わないさ、後は帰るだけだったしね。」

「あぁ、それに困っている国民達を放ってはおけない。」

「報酬も貰えるかもしれないからね!よし行こう!」

 俺達は急いで宿に戻り戦闘準備をして王城まで行く

「金級冒険者はまだか!」

「王は避難なされたのか!?」

「くそ、並の武器じゃ歯が立たないぞ!」

「助けてくれぇ…瓦礫に足が…」

 現場に着くとそこは地獄絵図と化していた。

「ん?今誰か戦ってるな、なら今は兵士達の救出をしようか。」

 俺達は手分けして兵士達を助ける。

「冒険者殿、感謝する。」

「構いません、今戦っている彼らは?」

「銀1級の『アダマンタイトの盾』が金級冒険者を呼ぶまで時間を稼いでくれている。」

 アダマンタイト、この世界にも存在するんだな…と考えていると。

「おぉ!『星降る夜空』が合流したぞ!これで勝てる!」

 どうやら金級冒険者達が到着したようだ、お手並み拝見といこう。

「凄いな、人間の動きじゃないよあれ…」

「ああ、そうだろう。あれこそ金級の冒険者と言われる者達だ。」

 俺は素直に感心していると兵士も肯定する、金級冒険者達は見事なチームワークでドラゴンを翻弄し攻撃する。しかし

「グォォオオ!!」

 ドラゴンの範囲攻撃で近くにいた者達が皆吹き飛ばされる、金級冒険者達も動いているものの瀕死に近い。

「あぁ…そんな、金級冒険者がたった一撃で殺られるなんて…」

「これはまずそうだな、ナズナ行こうか。ナスハとレンカは引き続き兵士達を助けてあげて。」

「おっおい!何をしている!無茶だ!時間稼ぎにもならないぞ!」

 兵士が心配してくれるが俺はナズナを信じている。

「流石にこれも修行とか言わないよな?」

「そうですね、短期決戦で終わらせた方が良いと思いますので遠距離魔法の修行にしましょう。」

「結局修行なのか…よし、やってやる!何の魔法が効きそう?」

「全魔法に耐性が付いていますが、所詮は耐性。どの魔法でも9位階の魔法なら一撃で仕留められるでしょう、ですが周りに被害を抑え尚且つあのドラゴンの素材を手にするなら烈風魔法が宜しいかと。」

「一撃か…流石ナズナの魔法だね。じゃあ行くよ!」

【大鎌鼬・神風首落し】

 魔法陣から巨大なカマイタチが現れる、ドラゴンはカマイタチに向けて魔法を放つが効いている様子はない。刹那、カマイタチが尻尾を揺らすとドラゴンの動きが止まる。カマイタチがドラゴンの頭を掴むと胴から頭が離れる、しかし切断面からは血が出ない。正に神業、カマイタチは俺の前にドラゴンの首を置くと役目を終えたかのように消える。

「…凄いな、魔法って。」

「そうですね。」

 周りは静寂し俺とナズナだけの声が聞こえる、そして1分過ぎた時、大きな歓声があがる。

「俺の力じゃないけど、まぁ悪い気分じゃないよなぁ。」

「名声は甘美なるものですから、人が集まる前にナスハ達と合流しましょう。」

 ナスハ達と合流した俺達は凄い勢いで兵士達に囲まれる、そしてお偉い様の様な人が現れる。

「あなた様は我が国の恩人だ、この恩は城が直り次第必ず返すと約束しよう。」

 国の大臣と口約束を交わし、俺は自分の住所を伝える。本当は式典でも開きたかったらしいが城が壊された今はそれどころじゃないらしい、夜には王都総出の宴を行い俺が倒したドラゴンを買い取りたい商人達に付き纏われる。交渉はナズナに任せて俺はひたすら人々の感謝の言葉を聞き続ける時間を朝まで過ごした。

「疲れた…精神的疲労で死ねる…」

「お疲れさんご主人。一国の救世主だからね、これからもっと忙しくなるよ。」

「いや流石は主、あのドラゴンを一撃で屠るとは…我が主ながら思わず恐れを抱いてしまう程です。」

「それを言うならナズナの力だよ、俺は魔法を唱えただけだからね。」

 ドラゴン討伐から数日、やっと人々が落ち着き王都の復興が始まり俺は自宅に帰る。

「はぁ~家が懐かしく感じる、たっだいまぁー!」

「きゃぁぁ!」

「ご主人様!?」

「どうして!?」

「ありえない!」

「でもナスハ様とレンカ様もいらっしゃる!」

 メイド達が俺の顔を見て叫び声をあげる。少し、いや大分傷付いた…

「どうしたの皆?主人の顔忘れた?」

「い、いえ寧ろ顔はよく覚え過ぎているというか…」

 一体なんなんだろう、と彼女たちが怯えている理由を考えていると…

「おっかえりー!いやぁすまない、すまない。まさかあっちとこっちの時間の流れが違うとはね~通信を妨害されてたみたいだし。」

「か、カフ!?えっちょっ…いきなり過ぎて言葉が出てこない!」

「アハハ、久しぶり優、まぁ何だかんだ楽しんでたようで安心したよ。はいお土産」

 カフがゴトリと何かを落とす

「うわ!ふぉ、フォアエル様!?」

 「くそ…紛い物の神風情が…」

 「うわ!生きてる!!」

 首だけになったフォアエルが恨み言をブツブツ唱えていた。

 「こいつも腐っても天使だからね~無駄な手間かけさせてくれたよほんと。」

 「手間って…お前ほんとに化け物だよな…ていうか何で敵対してるの!?」

     「いやぁそれが、直接迎えに来ようと思ってこっちに来たらコイツがいきなり現れて『紛い物の神が、この世界に干渉する事は許さん…!』とか言って急に襲いかかってきたから返り討ちにしてやったよ。」

「えぇ…身に覚えないの…」

 カフの登場に驚き思わず話し込んでしまうが、固まってしまっているナスハ達に気付き、先に帰ってきていたライド達やナスハ達を集め説明する。

 「この方がご主人をここに飛ばしてきた人なんだ…」

 「まさか異世界にはもう1人の自分がいるなんて…」

 「想像もしたこと無かったな…いやしかし見れば見る程主そっくりだ…」

 「この御方がナズナ様の生みの親…まさに神様…」

 「ふ~ん、順調に異世界ハーレム生活してたみたいだね、優?」

 「お陰様で、ナズナがいなかったら何度死んでいたか…」

 「ナズナって?あぁ、あの子の名前か。まさか自分の核情報を使ってゴーレムを作るとはね、流石俺作。」

 「カフ様はお変わりなく元気そうでなによりです。」

 「カフが来たってことは異世界生活は終わり?」

 「戻りたくないの?」

 「いや、帰るよ。帰った後カフに相談があるんだ。」

 「良いよ、よしまずは帰ろうか。」

 あらかじめ元の世界に帰る事を皆に伝えている為準備は円滑に進む。

 「ライド、君さえ良ければこの屋敷を使って欲しい。勿論メイド達もここで働いてくれて構わない。」

 「ですが…」

 「シャミはここに残って魔法の研究するらしいから出来ればあの子の力になって欲しいんだ、もしかするとまた俺達が帰ってくるかもしれないしね。」

 「ありがとうございます…主殿が戻ってくるまでこの家を守らせていただきます。」

 「頼んだよ、メイドの皆も元気で!」

 「「「「いつでもお帰りをお待ちしています!」」」」

 「それじゃ、行こうか。」

 俺はカフの後に続き次元の門を通る、1年ぶりの実家は何も変わっていなかった。
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