16 / 68
ナナ
しおりを挟む
外は八月の炎天下だが、空調も完備されている体育館ほどの広さのこの貸倉庫の中は、涼しいとさえ言えるほどの気温に保たれている。
だが、凌と彼の相手の周りをグルリと取り囲む観衆は、外気温とは異なる、異様な熱気を放っていた。
今日の凌の相手は三人、武器は無しだ。ネット中継初試みだから、刃物は止めておくのだと、虎徹は言っていた。
「おりゃぁッ」
怒声と共に、男が殴り掛かってくる。
威勢はイイが大振りなその攻撃は隙だらけで、凌は男の拳を軽く頭を下げてかわすと、そのまま彼の腹を下からえぐり込むように拳を突き上げた。
ぐえ、だか、ぐふ、だか、奇妙な声を上げながら男が身体を折る。
反吐を吐きかけられる前に男を突き放した凌だったが、体勢を整え終わる前に羽交い絞めにされた。
正面から、彼めがけて拳が繰り出される。
それは左頬にヒットし、直後口の中に溢れた鉄の味に、凌は苛立った。
今日は響が夕方から空いている日で、逢う約束をしているのだ。
顔などという目立つ場所に傷を作っていったら、また泣かれてしまう。
虎徹は試合を長引かせろと言うが、知ったことか。これ以上傷を増やす前に、さっさとケリを着けなければ。
凌は両足で地面を蹴り、彼の前で再び拳を振り上げた男の腹に左右揃えたその足を叩き込んだ。それは男のみぞおちに決まり、ぐるりと白目を剥いた彼は声もなくくずおれる。
そのまま後ろに反り返ると、凌を羽交い絞めにしている男が、二人分の重さを支え損ねて真後ろに倒れ込んだ。少し遅れて、凌の頭の後ろでゴツッと鈍い音がする。それとともに、彼を拘束していた腕が緩む。
立ち上がった凌の周りで、三人の男は地面に転がったままだ。
彼らを睥睨する凌の隣にサッと『審判』が立ち、彼の腕を取って高く掲げる。
「終了! 勝者、リョウ!」
途端に、怒号と歓声が周囲に響き渡った。
凌の勝利で彼らが金を手に入れようが失おうが、それは彼の知ったことではない。
凌は身を翻し、観客に混じってカメラを構えている虎徹の元へ向かった。
「よ、イイ感じに撮れてるぜ? 見るか?」
「いらん。それより金をくれ」
「何だよ、つれないなぁ。まあ、いいや。やっぱネットでやると儲かるねぇ。ほらよ」
肩を竦めて虎徹が放り投げてきたのは、分厚い封筒だった。明らかに普段の倍はありそうだったが、凌は中身を確かめることもせずそれをポケットにねじ込み、踵を返す。
「おいおい、帰っちまうのかよ。最近、マジで付き合い悪ぃな。どこにしけ込んでんだよ? せっかく金があるんだろ? 遊びに行こうぜ」
そう言いながら肩を組んできた虎徹の腕を、凌は振り払う。
「用がある」
「ああ? お前にか?」
虎徹の声にあからさまな驚きの響きがあるのも当然と言えば当然だ。今まで、凌に『私用』などというものがあった例がないのだから。
呆気に取られている虎徹を置き去りにして、凌は人の波の中を縫うようにして歩く。
と、その人混みの中から、一組の腕がスルリと彼に絡み付いてきた。
「リョ、ウ!」
声の主はしなやかな腕で彼を引き寄せる。
「ナナ……」
名を呼ばれた彼女は、猫のように目を細めて笑う。ついでにゴロゴロと喉も鳴らしそうだ。
眉根を寄せた凌の表情にはまったく気づいたふうもなく、ナナは自分の胸に彼の腕をこすりつけるようにして身を摺り寄せる。
「もう、何やってたのよ? アタシ、ずっと逢いたかったのに、全然音沙汰ないんだもん」
「ナナ、放せよ」
「あ、やだ、唇切れてる。痛そ」
その台詞と共に彼の口元に伸ばされた彼女の指先を、凌は首を傾けて避けた。そして、もう一度同じ言葉を繰り返す。
「ナナ、放せ」
「その傷、アタシが舐めてあげる」
凌の言葉は彼女の耳から耳へと通り抜けているようだ。ことごとく流して、ナナは彼の腕に手をかけると爪先立って唇を寄せてくる。
「やめろ」
彼女をグイと押しやって、凌はわずかに声を荒らげた。
「えぇ? 何か怒ってる? あ、欲求不満? そうなんでしょ。じゃあ、これからシよ? 久し振りだし、アタシ張り切っちゃう」
眉間に皺を刻んだ凌も意に介さず、ナナは続ける。
彼女は、いつもこうだ。人の話は聞かず、常に自分の欲求のままに突っ走る。
凌はナナから一歩遠ざかりながら、告げた。
「お前とはもう寝ない」
「え?」
きょとんとナナが彼を見上げてくる。その釣り上がり気味な大きな目をしっかりととらえて、もう一度宣告する。
「お前とはもう寝ない。他の奴を見つけろ」
今度は彼の声も彼女の耳に到達したようだ。その目から呆気に取られたような色が消え、代わってギラギラと強い光を帯び始めた。
「何言ってんの? アタシはあんたをアイしてるんだから」
そう言って、ナナは凌の腕にすがりつく。が、次の瞬間、パッと喜びの色を溢れさせて満面の笑みになった。
「あ、もしかしてコテツのこと? やきもちやいてんの? ダイジョウブ、それならリョウ一本に絞るから。ね?」
ナナは全く悪びれた様子なく、首をかしげて上目づかいで凌を見上げてくる。
彼女が虎徹どころか複数の男達と関係を持っていることは周知の事実だが、凌がそれを気にしたことはない。
彼は深々と息をついて頭を振った。
「そういうことじゃない。ただ、俺はもうお前とは寝ない。それだけだ」
淡々と告げる、凌。その瞬間、ナナが豹変する。
「何で!?」
突然の金切り声に、騒がしかった周囲が一瞬にして静まり返った。
「ねえ、アタシの何が悪かった? 他の男を切れって言うなら、切るよ? リョウが一番だもん」
今まで見せたことのないナナの必死な眼差しを、凌は見返す。自分の何がこれほどまでに彼女を引き寄せているのかは判らないが、どんなに乞われても、もう、彼女に触れることはできなかった。
無言の凌の眼差しに、ナナが微かに目を見開く。彼女にいつもの強気で挑発的な色はなく、まるで途方に暮れた子どものような雰囲気になった。
彼は黙ったままナナの手を外し、彼女に背を向けた。その背中に注がれる、突き刺さるような視線を感じながら。
何だか、気が滅入る。
ナナは自分の好きなように男達の間を渡り歩いているのだと思っていた。その中で、凌が若干上位にいるだけなのだろう、と。突き放したところで皮肉の一つも言われて終わるだけだろうと、軽く考えていたのだ。
これほどまでに彼女を動揺させるとは、思っていなかった。
だが、凌の中に、そう多くの人間を置いておくスペースはない。そこはもう響が占めており、ナナが足を差し入れる隙間も残っていなかった。
時を置けば、彼女の執着も消え失せるに違いない。
凌は頭を一つ振るってナナのことを追いやった。
ひとまず一度家に帰り、シャワーを浴び、血飛沫が跳んだ服を着替える。
鏡を覗くと唇の端の腫れは明らかだった。
響はきっと気付く。
頻繁に怪我をする凌を見て、最初のうちは彼女も悲しんでいた。が、最近はそれが怒りにとって代わるようになってきている。
今日の怪我はどこからどう見てもケンカでできたものにしか見えなかった。流石に、転んだとかぶつけたとか、適当な言い逃れはできそうにないし、響もごまかされてくれないだろう。
やれやれと小さな息をつきつつ、凌は家を出た。
だが、凌と彼の相手の周りをグルリと取り囲む観衆は、外気温とは異なる、異様な熱気を放っていた。
今日の凌の相手は三人、武器は無しだ。ネット中継初試みだから、刃物は止めておくのだと、虎徹は言っていた。
「おりゃぁッ」
怒声と共に、男が殴り掛かってくる。
威勢はイイが大振りなその攻撃は隙だらけで、凌は男の拳を軽く頭を下げてかわすと、そのまま彼の腹を下からえぐり込むように拳を突き上げた。
ぐえ、だか、ぐふ、だか、奇妙な声を上げながら男が身体を折る。
反吐を吐きかけられる前に男を突き放した凌だったが、体勢を整え終わる前に羽交い絞めにされた。
正面から、彼めがけて拳が繰り出される。
それは左頬にヒットし、直後口の中に溢れた鉄の味に、凌は苛立った。
今日は響が夕方から空いている日で、逢う約束をしているのだ。
顔などという目立つ場所に傷を作っていったら、また泣かれてしまう。
虎徹は試合を長引かせろと言うが、知ったことか。これ以上傷を増やす前に、さっさとケリを着けなければ。
凌は両足で地面を蹴り、彼の前で再び拳を振り上げた男の腹に左右揃えたその足を叩き込んだ。それは男のみぞおちに決まり、ぐるりと白目を剥いた彼は声もなくくずおれる。
そのまま後ろに反り返ると、凌を羽交い絞めにしている男が、二人分の重さを支え損ねて真後ろに倒れ込んだ。少し遅れて、凌の頭の後ろでゴツッと鈍い音がする。それとともに、彼を拘束していた腕が緩む。
立ち上がった凌の周りで、三人の男は地面に転がったままだ。
彼らを睥睨する凌の隣にサッと『審判』が立ち、彼の腕を取って高く掲げる。
「終了! 勝者、リョウ!」
途端に、怒号と歓声が周囲に響き渡った。
凌の勝利で彼らが金を手に入れようが失おうが、それは彼の知ったことではない。
凌は身を翻し、観客に混じってカメラを構えている虎徹の元へ向かった。
「よ、イイ感じに撮れてるぜ? 見るか?」
「いらん。それより金をくれ」
「何だよ、つれないなぁ。まあ、いいや。やっぱネットでやると儲かるねぇ。ほらよ」
肩を竦めて虎徹が放り投げてきたのは、分厚い封筒だった。明らかに普段の倍はありそうだったが、凌は中身を確かめることもせずそれをポケットにねじ込み、踵を返す。
「おいおい、帰っちまうのかよ。最近、マジで付き合い悪ぃな。どこにしけ込んでんだよ? せっかく金があるんだろ? 遊びに行こうぜ」
そう言いながら肩を組んできた虎徹の腕を、凌は振り払う。
「用がある」
「ああ? お前にか?」
虎徹の声にあからさまな驚きの響きがあるのも当然と言えば当然だ。今まで、凌に『私用』などというものがあった例がないのだから。
呆気に取られている虎徹を置き去りにして、凌は人の波の中を縫うようにして歩く。
と、その人混みの中から、一組の腕がスルリと彼に絡み付いてきた。
「リョ、ウ!」
声の主はしなやかな腕で彼を引き寄せる。
「ナナ……」
名を呼ばれた彼女は、猫のように目を細めて笑う。ついでにゴロゴロと喉も鳴らしそうだ。
眉根を寄せた凌の表情にはまったく気づいたふうもなく、ナナは自分の胸に彼の腕をこすりつけるようにして身を摺り寄せる。
「もう、何やってたのよ? アタシ、ずっと逢いたかったのに、全然音沙汰ないんだもん」
「ナナ、放せよ」
「あ、やだ、唇切れてる。痛そ」
その台詞と共に彼の口元に伸ばされた彼女の指先を、凌は首を傾けて避けた。そして、もう一度同じ言葉を繰り返す。
「ナナ、放せ」
「その傷、アタシが舐めてあげる」
凌の言葉は彼女の耳から耳へと通り抜けているようだ。ことごとく流して、ナナは彼の腕に手をかけると爪先立って唇を寄せてくる。
「やめろ」
彼女をグイと押しやって、凌はわずかに声を荒らげた。
「えぇ? 何か怒ってる? あ、欲求不満? そうなんでしょ。じゃあ、これからシよ? 久し振りだし、アタシ張り切っちゃう」
眉間に皺を刻んだ凌も意に介さず、ナナは続ける。
彼女は、いつもこうだ。人の話は聞かず、常に自分の欲求のままに突っ走る。
凌はナナから一歩遠ざかりながら、告げた。
「お前とはもう寝ない」
「え?」
きょとんとナナが彼を見上げてくる。その釣り上がり気味な大きな目をしっかりととらえて、もう一度宣告する。
「お前とはもう寝ない。他の奴を見つけろ」
今度は彼の声も彼女の耳に到達したようだ。その目から呆気に取られたような色が消え、代わってギラギラと強い光を帯び始めた。
「何言ってんの? アタシはあんたをアイしてるんだから」
そう言って、ナナは凌の腕にすがりつく。が、次の瞬間、パッと喜びの色を溢れさせて満面の笑みになった。
「あ、もしかしてコテツのこと? やきもちやいてんの? ダイジョウブ、それならリョウ一本に絞るから。ね?」
ナナは全く悪びれた様子なく、首をかしげて上目づかいで凌を見上げてくる。
彼女が虎徹どころか複数の男達と関係を持っていることは周知の事実だが、凌がそれを気にしたことはない。
彼は深々と息をついて頭を振った。
「そういうことじゃない。ただ、俺はもうお前とは寝ない。それだけだ」
淡々と告げる、凌。その瞬間、ナナが豹変する。
「何で!?」
突然の金切り声に、騒がしかった周囲が一瞬にして静まり返った。
「ねえ、アタシの何が悪かった? 他の男を切れって言うなら、切るよ? リョウが一番だもん」
今まで見せたことのないナナの必死な眼差しを、凌は見返す。自分の何がこれほどまでに彼女を引き寄せているのかは判らないが、どんなに乞われても、もう、彼女に触れることはできなかった。
無言の凌の眼差しに、ナナが微かに目を見開く。彼女にいつもの強気で挑発的な色はなく、まるで途方に暮れた子どものような雰囲気になった。
彼は黙ったままナナの手を外し、彼女に背を向けた。その背中に注がれる、突き刺さるような視線を感じながら。
何だか、気が滅入る。
ナナは自分の好きなように男達の間を渡り歩いているのだと思っていた。その中で、凌が若干上位にいるだけなのだろう、と。突き放したところで皮肉の一つも言われて終わるだけだろうと、軽く考えていたのだ。
これほどまでに彼女を動揺させるとは、思っていなかった。
だが、凌の中に、そう多くの人間を置いておくスペースはない。そこはもう響が占めており、ナナが足を差し入れる隙間も残っていなかった。
時を置けば、彼女の執着も消え失せるに違いない。
凌は頭を一つ振るってナナのことを追いやった。
ひとまず一度家に帰り、シャワーを浴び、血飛沫が跳んだ服を着替える。
鏡を覗くと唇の端の腫れは明らかだった。
響はきっと気付く。
頻繁に怪我をする凌を見て、最初のうちは彼女も悲しんでいた。が、最近はそれが怒りにとって代わるようになってきている。
今日の怪我はどこからどう見てもケンカでできたものにしか見えなかった。流石に、転んだとかぶつけたとか、適当な言い逃れはできそうにないし、響もごまかされてくれないだろう。
やれやれと小さな息をつきつつ、凌は家を出た。
0
あなたにおすすめの小説
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
🥕おしどり夫婦として12年間の結婚生活を過ごしてきたが一波乱あり、妻は夫を誰かに譲りたくなるのだった。
設楽理沙
ライト文芸
2026.1.4 73話見直した際、瑛士の台詞《本音/懺悔》を加筆しました。😇
☘ 累計ポイント/ 200万pt 超えました。ありがとうございます。
―― 備忘録 ――
第8回ライト文芸大賞では大賞2位ではじまり2位で終了。 最高 57,392 pt
〃 24h/pt-1位ではじまり2位で終了。 最高 89,034 pt
◇ ◇ ◇ ◇
紳士的でいつだって私や私の両親にやさしくしてくれる
素敵な旦那さま・・だと思ってきたのに。
隠された夫の一面を知った日から、眞奈の苦悩が
始まる。
苦しくて、悲しくてもののすごく惨めで・・
消えてしまいたいと思う眞奈は小さな子供のように
大きな声で泣いた。
泣きながらも、よろけながらも、気がつけば
大地をしっかりと踏みしめていた。
そう、立ち止まってなんていられない。
☆-★-☆-★+☆-★-☆-★+☆-★-☆-★
2025.4.19☑~
あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。
まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。
あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……
夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。
結婚相手は、初恋相手~一途な恋の手ほどき~
馬村 はくあ
ライト文芸
「久しぶりだね、ちとせちゃん」
入社した会社の社長に
息子と結婚するように言われて
「ま、なぶくん……」
指示された家で出迎えてくれたのは
ずっとずっと好きだった初恋相手だった。
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
ちょっぴり照れ屋な新人保険師
鈴野 ちとせ -Chitose Suzuno-
×
俺様なイケメン副社長
遊佐 学 -Manabu Yusa-
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
「これからよろくね、ちとせ」
ずっと人生を諦めてたちとせにとって
これは好きな人と幸せになれる
大大大チャンス到来!
「結婚したい人ができたら、いつでも離婚してあげるから」
この先には幸せな未来しかないと思っていたのに。
「感謝してるよ、ちとせのおかげで俺の将来も安泰だ」
自分の立場しか考えてなくて
いつだってそこに愛はないんだと
覚悟して臨んだ結婚生活
「お前の頭にあいつがいるのが、ムカつく」
「あいつと仲良くするのはやめろ」
「違わねぇんだよ。俺のことだけ見てろよ」
好きじゃないって言うくせに
いつだって、強引で、惑わせてくる。
「かわいい、ちとせ」
溺れる日はすぐそこかもしれない
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
俺様なイケメン副社長と
そんな彼がずっとすきなウブな女の子
愛が本物になる日は……
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
田舎暮らしの貧乏令嬢、幽閉王子のお世話係になりました〜七年後の殿下が甘すぎるのですが!〜
侑子
恋愛
「リーシャ。僕がどれだけ君に会いたかったかわかる? 一人前と認められるまで魔塔から出られないのは知っていたけど、まさか七年もかかるなんて思っていなくて、リーシャに会いたくて死ぬかと思ったよ」
十五歳の時、父が作った借金のために、いつ魔力暴走を起こすかわからない危険な第二王子のお世話係をしていたリーシャ。
弟と同じ四つ年下の彼は、とても賢くて優しく、可愛らしい王子様だった。
お世話をする内に仲良くなれたと思っていたのに、彼はある日突然、世界最高の魔法使いたちが集うという魔塔へと旅立ってしまう。
七年後、二十二歳になったリーシャの前に現れたのは、成長し、十八歳になって成人した彼だった!
以前とは全く違う姿に戸惑うリーシャ。
その上、七年も音沙汰がなかったのに、彼は昔のことを忘れていないどころか、とんでもなく甘々な態度で接してくる。
一方、自分の息子ではない第二王子を疎んで幽閉状態に追い込んでいた王妃は、戻ってきた彼のことが気に入らないようで……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる