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第二部:天上を舞う天使は雲の中を惑いそして墜ちる。
過去を探しに②
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ヘニングが貸してくれた綱をしっかりと胴体に括り付けたアンジェリカは、半ば自力で、半ば上にいる男性陣の力で、崖を下りていく。
やはり上から見た通り結構な高さで、足を地面につけることができた時にはさすがに安堵の吐息がこぼれた。
綱を解いて軽く引くと、それがスルスルと引き上げられていく。
綱が上がっていくのを見守って頭を反らして崖を見上げていると、微かに、アンジェリカの胸の中で何かがざわついた。
(これは、見覚えがある……?)
アンジェリカは自問し、モヤモヤとしたその感覚が更に確かなものになるのを待った――が、やはり、ダメだ。
微かなざわつきは、捕らえようとするほどに、波が引くようにスゥッと治まっていってしまう。
「何か、感じたと思ったのに」
悔しく思いながらポツリとつぶやいたアンジェリカは、次の瞬間目を見開いた。
「ブライアン?」
確かに彼だ。ブライアンが、後ろ向きに崖の縁に姿を現したのだ。
「大丈夫なのか……?」
息を詰めてブライアンを見守っていたアンジェリカだったけれども、彼の姿が崖の半ばほどまで来た頃にそれを吐き出した。
あまり身体能力は高くない印象のブライアンは、予想外に危なげなく下りてくる。
「やれば、たいていのことはできてしまうのではないのか?」
実際、体術も友人に鍛えてもらってずいぶんと上達しているらしいし、議会でもかなり一目置かれる存在になりつつあると聞いている。兄曰く相当な放蕩者として名を馳せていたということだったけれども、アンジェリカが知るブライアンにはそんなところは全然ない。
時々ふざけたところを見せるけれど、店で酔っぱらうこともないし、みだりに彼女やコニーに触れてくることもない。ブラッド・デッカーと肩を並べるほどに『堅物』と言ってもいいくらいだ。
もっと早くやる気を出していたら、さぞかし『立派な貴族』になっていただろうに。
「もったいない」
呟いたアンジェリカは、ふと、自分を見下ろす。
スカートの裾は、崖を下りるのに邪魔にならないようにまだ縛ったままだった。どうせ上るときにまた縛る必要があるからそのままでも構わないのだけれど、ブライアンは彼女の脚が見えるのを気にしていたようだったから、解いておいた方がよさそうだ。
(でも、彼は女性には慣れているのではないのか?)
今さら脛の一つや二つ、珍しいものではないだろうに。
あるいは、アンジェリカの為を思って、なのかもしれない。いくら平民の娘でも脛から先を見せるのははしたないこととされているから。
やれやれとアンジェリカがスカートの結び目を解いてしわを軽く伸ばしているところで、ジャリ、と砂を踏む音がする。
振り返ると、たたらを踏んだブライアンが姿勢を整えようとしているところだった。
「大丈夫?」
アンジェリカが駆け寄ると彼は反射的に目をよこし、次いでパッと視線を逸らせてから、また彼女を見た。戻ってくるときは、微妙に恐る恐る、という感じだったけれども、アンジェリカを視界に収めた途端に見るからにほっとした顔になる。
何をそんなにびくついているのか。
首を傾げたアンジェリカの前で、ブライアンはいつものように微笑んだ。
「ちょっと怖かったけど僕は大丈夫。アンジェリカ、あなたは? どこかこすったりしていない?」
「何も」
「良かった」
かぶりを振るアンジェリカにまたふと笑い、ブライアンは辺りに目を向けた。
「それで、何か思い出した?」
ブライアンに釣られるようにアンジェリカも周囲を見回し、眉根を寄せる。
「今のところは、まだ。けれど、本当に、ここなのだろうか。こんな高さから落ちて私一人無事だったのも奇妙なことだし……」
何も、記憶はよみがえらない――昨晩母の香りを嗅いでから胸の奥に生まれた奇妙な疼きは、強くなったような気がするけれど。
ここに来ればパッと色々と思い出せるのではないかと期待していたアンジェリカの顔は、失望に曇る。そんな彼女の背中を、ブライアンが励ますようにポンポンと叩いた。
「まあ、場所は同じでも十年も経ってるから、わからなくても無理はないんじゃないかな。……絶対、記憶の底には何かがあると思うんだけどね」
ブライアンの台詞の後半は、つぶやくような声だった。つぶやき声だけれども、それは確信に満ちている。
そこに引っかかるものを感じて、アンジェリカは彼を見上げた。
「どうしてそんなふうに思う?」
「え? えっと……」
ブライアンの緑の目が、泳いだ。
「ブライアン?」
ジッと見つめて問いかけると、彼はクシャリと前髪を掴む。
「その、あなたは昨晩うなされていたから」
ブライアンの言葉に、アンジェリカは目をしばたたかせた。
「私が?」
「そう、多分、事故の時のことを夢に観ていたんじゃないかな。どんな内容かは……判らないけど、そんな感じだったから」
「夢……」
まったく、覚えていない。とてもぐっすり眠れたのに。下手したら、いつもよりも心地良く眠れていたくらいだ。
けれど、ブライアンが言うなら、そうなのだろう。
(私の、記憶の底にあるもの)
何とかそれを引っ張り出そうとして、アンジェリカはギュッと目蓋を閉じた。脳裏に残るたった今目にした崖下の風景に、壊れた馬車を重ねてみる。
ツキン、と、頭の奥に鋭い痛み。
反射的にアンジェリカは頭に手をやる。その拍子に、ふわりと香りが漂った。
それは、昨晩ブライアンがつけてくれた、母の香水の匂い。
(あ……また……)
昨晩そうであったように、その優しい香りがアンジェリカの頭の奥から何かを引きずり出そうとする。
ほんの一瞬、目蓋の裏に閃いた光景。
バラバラになった馬車の残骸から伸びる、血まみれの腕。
不意に、いくつかの記憶が浮かんでは消えていった。
険しい声で何かを言い合う父と母。
ガタガタと激しく揺れる中で身を縮めているアンジェリカを、誰かが抱き寄せる。
突然、揺れが消え。
内臓が口から飛び出しそうな、奇妙な感覚。
息もできないほどの力で誰かが抱き締めてくる。
全身を襲う強い衝撃。
「――ッ!」
声にならない悲鳴が、のどから漏れる。
と、突然、誰かに手を握られた。
「母さま!」
パッと目を開けたアンジェリカを見つめていたのは、ブライアンだった。彼はとっさにやってしまったという風情で、彼女の手を握り締めている。
「ブライアン……」
囁き声で名を呼んで、アンジェリカは、自分の手を握っている彼の手を凝視した。
その感触は記憶とは違う。
けれども、確かに以前、アンジェリカは誰かにこうやってきつく手を掴まれたことがある。
記憶に触れるのは、もっとたおやかで柔らかな手。
それはブライアンのものよりももっと冷たくて、微かに震えていた。
(掴まれて、その後は……?)
一つの記憶が呼び水になって、玉突きのように、次、次、と想起されていく。
あれほど頑強に閉ざされていた記憶の扉が、まるでそうされることを待ちかねていたかのようにひと息に開け放たれる。
その手の主に、連れていかれた。
あちこち痛いのに、父さまと一緒にいたいのに、動きたくない、動けないと泣いても許してくれなくて、ほとんど引きずられるようにして。
もう優しい香水の香りはなくて、漂うのは、鉄さびのような臭い。
気持ち悪い。
つないだ手が、生温い液体でやけにヌルヌルする。
何度か、吐いた。
どれくらい歩いたか判らない。
けれど、ずいぶんと歩かされた気がする。
泣きじゃくるアンジェリカは、どこか――灌木の茂みのようなところに押し込まれる。
生い茂る葉の隙間から見える顔。
顔の半分を濡らし、顎の先から滴り落ちる真っ赤な液体。
その顔に浮かんでいるのは、いつものように優しく、そしていつもと違って悲しげな、笑み。
『アンジェリカ』
名前を呼ばれた。
小夜鳴き鳥のような声が、潰れて、かすれている。
『アンジェリカ』
返事ができない彼女に、もう一度、念を押すように。
『強く、強く、なって』
枝がガサガサと鳴って、茂みの中に手が入ってきた。
頬に触れる手のひらは冷たいのに、ぬるりとした生温かなものが塗り込められる。
『強く、なって』
耳の奥にこだまする願いの言葉は、ほとんど、呪いのよう。
手は離れていき、茂みの隙間の顔も消える。
ザッ、ザッ、と、何かを掃くような音がして、それが次第に遠ざかっていく。
追いかけたいのに、父と母のところに行きたいのに、怖くて痛くて動けない。
途方もない無力感。
「父さま、母さま……」
思わずつぶやいた、その時。
「アンジェリカ?」
彼女の呼び声に応えるように、誰かが名前を呼んでくれる。
無理やり目蓋をこじ開けてかすむ目を声の方へと向けると、包み込むような新緑の眼差しがあった。
ホッと、吐息が漏れる。そこで初めて、アンジェリカは自分が息を止めていたことに気づく。
「ブラ――」
意識があったのは、そこまでだった。
フッと気が遠のき、全身から力が抜ける。
為す術もなく膝がくずおれ――硬い地面に激突する直前で強く温かな腕が抱き留めてくれたことだけは、わかった。
やはり上から見た通り結構な高さで、足を地面につけることができた時にはさすがに安堵の吐息がこぼれた。
綱を解いて軽く引くと、それがスルスルと引き上げられていく。
綱が上がっていくのを見守って頭を反らして崖を見上げていると、微かに、アンジェリカの胸の中で何かがざわついた。
(これは、見覚えがある……?)
アンジェリカは自問し、モヤモヤとしたその感覚が更に確かなものになるのを待った――が、やはり、ダメだ。
微かなざわつきは、捕らえようとするほどに、波が引くようにスゥッと治まっていってしまう。
「何か、感じたと思ったのに」
悔しく思いながらポツリとつぶやいたアンジェリカは、次の瞬間目を見開いた。
「ブライアン?」
確かに彼だ。ブライアンが、後ろ向きに崖の縁に姿を現したのだ。
「大丈夫なのか……?」
息を詰めてブライアンを見守っていたアンジェリカだったけれども、彼の姿が崖の半ばほどまで来た頃にそれを吐き出した。
あまり身体能力は高くない印象のブライアンは、予想外に危なげなく下りてくる。
「やれば、たいていのことはできてしまうのではないのか?」
実際、体術も友人に鍛えてもらってずいぶんと上達しているらしいし、議会でもかなり一目置かれる存在になりつつあると聞いている。兄曰く相当な放蕩者として名を馳せていたということだったけれども、アンジェリカが知るブライアンにはそんなところは全然ない。
時々ふざけたところを見せるけれど、店で酔っぱらうこともないし、みだりに彼女やコニーに触れてくることもない。ブラッド・デッカーと肩を並べるほどに『堅物』と言ってもいいくらいだ。
もっと早くやる気を出していたら、さぞかし『立派な貴族』になっていただろうに。
「もったいない」
呟いたアンジェリカは、ふと、自分を見下ろす。
スカートの裾は、崖を下りるのに邪魔にならないようにまだ縛ったままだった。どうせ上るときにまた縛る必要があるからそのままでも構わないのだけれど、ブライアンは彼女の脚が見えるのを気にしていたようだったから、解いておいた方がよさそうだ。
(でも、彼は女性には慣れているのではないのか?)
今さら脛の一つや二つ、珍しいものではないだろうに。
あるいは、アンジェリカの為を思って、なのかもしれない。いくら平民の娘でも脛から先を見せるのははしたないこととされているから。
やれやれとアンジェリカがスカートの結び目を解いてしわを軽く伸ばしているところで、ジャリ、と砂を踏む音がする。
振り返ると、たたらを踏んだブライアンが姿勢を整えようとしているところだった。
「大丈夫?」
アンジェリカが駆け寄ると彼は反射的に目をよこし、次いでパッと視線を逸らせてから、また彼女を見た。戻ってくるときは、微妙に恐る恐る、という感じだったけれども、アンジェリカを視界に収めた途端に見るからにほっとした顔になる。
何をそんなにびくついているのか。
首を傾げたアンジェリカの前で、ブライアンはいつものように微笑んだ。
「ちょっと怖かったけど僕は大丈夫。アンジェリカ、あなたは? どこかこすったりしていない?」
「何も」
「良かった」
かぶりを振るアンジェリカにまたふと笑い、ブライアンは辺りに目を向けた。
「それで、何か思い出した?」
ブライアンに釣られるようにアンジェリカも周囲を見回し、眉根を寄せる。
「今のところは、まだ。けれど、本当に、ここなのだろうか。こんな高さから落ちて私一人無事だったのも奇妙なことだし……」
何も、記憶はよみがえらない――昨晩母の香りを嗅いでから胸の奥に生まれた奇妙な疼きは、強くなったような気がするけれど。
ここに来ればパッと色々と思い出せるのではないかと期待していたアンジェリカの顔は、失望に曇る。そんな彼女の背中を、ブライアンが励ますようにポンポンと叩いた。
「まあ、場所は同じでも十年も経ってるから、わからなくても無理はないんじゃないかな。……絶対、記憶の底には何かがあると思うんだけどね」
ブライアンの台詞の後半は、つぶやくような声だった。つぶやき声だけれども、それは確信に満ちている。
そこに引っかかるものを感じて、アンジェリカは彼を見上げた。
「どうしてそんなふうに思う?」
「え? えっと……」
ブライアンの緑の目が、泳いだ。
「ブライアン?」
ジッと見つめて問いかけると、彼はクシャリと前髪を掴む。
「その、あなたは昨晩うなされていたから」
ブライアンの言葉に、アンジェリカは目をしばたたかせた。
「私が?」
「そう、多分、事故の時のことを夢に観ていたんじゃないかな。どんな内容かは……判らないけど、そんな感じだったから」
「夢……」
まったく、覚えていない。とてもぐっすり眠れたのに。下手したら、いつもよりも心地良く眠れていたくらいだ。
けれど、ブライアンが言うなら、そうなのだろう。
(私の、記憶の底にあるもの)
何とかそれを引っ張り出そうとして、アンジェリカはギュッと目蓋を閉じた。脳裏に残るたった今目にした崖下の風景に、壊れた馬車を重ねてみる。
ツキン、と、頭の奥に鋭い痛み。
反射的にアンジェリカは頭に手をやる。その拍子に、ふわりと香りが漂った。
それは、昨晩ブライアンがつけてくれた、母の香水の匂い。
(あ……また……)
昨晩そうであったように、その優しい香りがアンジェリカの頭の奥から何かを引きずり出そうとする。
ほんの一瞬、目蓋の裏に閃いた光景。
バラバラになった馬車の残骸から伸びる、血まみれの腕。
不意に、いくつかの記憶が浮かんでは消えていった。
険しい声で何かを言い合う父と母。
ガタガタと激しく揺れる中で身を縮めているアンジェリカを、誰かが抱き寄せる。
突然、揺れが消え。
内臓が口から飛び出しそうな、奇妙な感覚。
息もできないほどの力で誰かが抱き締めてくる。
全身を襲う強い衝撃。
「――ッ!」
声にならない悲鳴が、のどから漏れる。
と、突然、誰かに手を握られた。
「母さま!」
パッと目を開けたアンジェリカを見つめていたのは、ブライアンだった。彼はとっさにやってしまったという風情で、彼女の手を握り締めている。
「ブライアン……」
囁き声で名を呼んで、アンジェリカは、自分の手を握っている彼の手を凝視した。
その感触は記憶とは違う。
けれども、確かに以前、アンジェリカは誰かにこうやってきつく手を掴まれたことがある。
記憶に触れるのは、もっとたおやかで柔らかな手。
それはブライアンのものよりももっと冷たくて、微かに震えていた。
(掴まれて、その後は……?)
一つの記憶が呼び水になって、玉突きのように、次、次、と想起されていく。
あれほど頑強に閉ざされていた記憶の扉が、まるでそうされることを待ちかねていたかのようにひと息に開け放たれる。
その手の主に、連れていかれた。
あちこち痛いのに、父さまと一緒にいたいのに、動きたくない、動けないと泣いても許してくれなくて、ほとんど引きずられるようにして。
もう優しい香水の香りはなくて、漂うのは、鉄さびのような臭い。
気持ち悪い。
つないだ手が、生温い液体でやけにヌルヌルする。
何度か、吐いた。
どれくらい歩いたか判らない。
けれど、ずいぶんと歩かされた気がする。
泣きじゃくるアンジェリカは、どこか――灌木の茂みのようなところに押し込まれる。
生い茂る葉の隙間から見える顔。
顔の半分を濡らし、顎の先から滴り落ちる真っ赤な液体。
その顔に浮かんでいるのは、いつものように優しく、そしていつもと違って悲しげな、笑み。
『アンジェリカ』
名前を呼ばれた。
小夜鳴き鳥のような声が、潰れて、かすれている。
『アンジェリカ』
返事ができない彼女に、もう一度、念を押すように。
『強く、強く、なって』
枝がガサガサと鳴って、茂みの中に手が入ってきた。
頬に触れる手のひらは冷たいのに、ぬるりとした生温かなものが塗り込められる。
『強く、なって』
耳の奥にこだまする願いの言葉は、ほとんど、呪いのよう。
手は離れていき、茂みの隙間の顔も消える。
ザッ、ザッ、と、何かを掃くような音がして、それが次第に遠ざかっていく。
追いかけたいのに、父と母のところに行きたいのに、怖くて痛くて動けない。
途方もない無力感。
「父さま、母さま……」
思わずつぶやいた、その時。
「アンジェリカ?」
彼女の呼び声に応えるように、誰かが名前を呼んでくれる。
無理やり目蓋をこじ開けてかすむ目を声の方へと向けると、包み込むような新緑の眼差しがあった。
ホッと、吐息が漏れる。そこで初めて、アンジェリカは自分が息を止めていたことに気づく。
「ブラ――」
意識があったのは、そこまでだった。
フッと気が遠のき、全身から力が抜ける。
為す術もなく膝がくずおれ――硬い地面に激突する直前で強く温かな腕が抱き留めてくれたことだけは、わかった。
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