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第九章:剣士の帰還
他愛①
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焚火の炎がパチンと音を立ててはぜる。一瞬強まった光で、周囲の暗闇が束の間遠のいた。
何ヶ月も前、国から追われてこのトルベスタの山中を進んだ頃はまだ夜も苦も無く過ごせたが、今は陽が落ちると随分と冷え込んでくる。
遠巻きにした炎の温もりに小さく息をつきながら、エディは横目でルゥナの様子を窺った。
彼女は、双子の弟から片時も離れようとしない。
いや、逆か。
ソワレの方が、ルゥナを放そうとしないと言った方が正しいのだろう。
今も胡坐をかいた脚の上にルゥナを座らせ、大きな身体で隠すように長衣の中に包み込んでいる。その姿は夜気から彼女を守ろうとしているようにも見えたし、他の者を近付けまいとしているようにも見えた。
ルゥナはルゥナでエディたちといた時よりも明らかに寛いでいて、彼は何となく面白くない。
(彼女が良いならそれでいいじゃないか)
むっつりと自分自身にそう言い聞かせても、やっぱり面白くないものは面白くなかった。
そんなエディの不機嫌さなど気付いた様子もなく――もしかしたら気付いていてほくそえんでいるのかもしれないが、トールが朗らかに声をあげる。
「そう言えば、ルゥナを見つけたのって、この辺りだったっけ?」
「もう少し、北だ」
「あの洞窟からここまででも結構距離あったけど、こんなところ、よく一人でいられたねぇ」
感心したようなトールの台詞に、ルゥナの背後のソワレが身じろぎした。そもそも山奥に彼女を閉じ込めたのは彼なのだから、居心地が悪くて当然だろう。
そんな弟の気持ちが伝わったように、ルゥナが慌てて頭を振る。が、その内容もまた、微妙に場を緊張させるものだった。
「ううん、独りじゃなくて、ピシカが一緒だったから――」
その名を言ってしまってから、ハタと彼女は口をつぐんだ。
「えっと……」
気まずげにうつむいたルゥナに迷いのようなものを感じて、エディはまた苛立ちを覚える。
「ルゥナは、結局どうするつもりなんだ?」
唐突に切り出したエディに、ルゥナが戸惑いの眼差しを向ける。
彼としては、ルゥナが封じられていた洞穴を後にしてからずっと口にしたかった問いだった。しかし、彼女の方は、不意打ちを食らったかのように目を見開いている。
「どうって」
「邪神のこと、アイツの言うことに従ったりはしないんだろ?」
「それは……」
エディには、何故ルゥナがすぐさま彼の言うことに頷かないのか、理解できなかった。
「まだ迷っているのか?」
無言は何よりも雄弁な答えだ。
「ルゥナ?」
強い口調で名前を呼ぶと、ルゥナではなくソワレが反応する。
「声を荒らげるな」
姉を抱え込む彼の腕がより深く回され、白銀の頭以外見えなくなってしまう。無性にその腕の中から彼女を引っ張り出したくなって、エディの腰が浮きかけた。
と、そこに呑気な声が割って入る。
「ちょっと待った、エディ。少し状況を整理しようよ」
立ち上がってルゥナに詰め寄りかけたエディの服の裾を引きながら、トールがにっこりと笑った。そうして、彼の返事を待つことなくルゥナとソワレに目を向ける。
「僕たちの間で言い伝えられてきたのは、昔邪神が現れました、神器と『印』を手にした英雄が現れて邪神を封じ込めました、英雄の子孫はいつか邪神が復活する時に備えて神器と『印』を引き継ぎましょうということになりましたって感じなんだよね。で、律儀にそれを実践してきたわけ」
そう言って、トールの手が横に置かれた聖弓に触れる。視線をそちらに向けてはおらず、多分無意識の所作なのだろう。
エディもトールも、神器と『印』に対しては責任、自負、畏怖――そんなものを抱いてきた。とても重いものでありながら、同時に、彼らの存在意義の一つでもあったのだ。
息継ぎともため息ともつかない小さな吐息を一つこぼして、トールは再び口を開いた。
「でも、実際は、英雄たちは何もできてなかったんだよね。そして、ピシカの言葉によれば、神器にはもう意味はない――『印』も。邪神を封じるには、ルゥナだけがいればいい。君の身体をピシカにはいどうぞと差し出せば、僕らは平穏に暮らしていけるわけだ」
「トール!」
声を荒らげたエディに、トールはチラリと目を寄越すことすらしない。彼の視線は、ルゥナだけに向けられている。そして茶化した口調とは裏腹に、その眼差しはルゥナを貫き通しそうに鋭かった。
エディは思わず小さく息を呑む。
トールがそんな目をすることは、滅多にない。
穏やかな物腰の後ろには、やはり何かがとぐろを巻いているのだ。
「エディ様」
静かな声でスクートに呼びかけられ、エディは浮いた腰を下ろした。トールはエディの方を見てもいなかったが、彼がそうするのを待っていたかのように、続ける。
「さて、じゃあ、これからが本題。邪神は実は違う世界からやってきた存在だった。本来この世界の人間がどうこうする必要はない――つまり、ルゥナが身体を差し出す義務はこれっぽっちも無いわけ。はっきり言って、さっさと元の場所に帰れって感じだよね。来ることができたなら、去って行くこともできるわけだし」
「まあ、それが筋だが、あの化け猫もどきが『はい、わかりました』と言うことを聞くと思うか?」
そう口を挟んできたのは、ヤンだ。
「私はあのピシカとやらのことを良くは知らんが、アレはこの世界などどうでもいいと思っているようにしか見えなかったがな」
「そんなこと!」
肩をすくめたヤンの台詞を半ば遮るように上がった声に、一同の視線が集まった。それを発したルゥナは、皆に見つめられて初めて自分が声を出していたことに気付いたように、口を閉じる。
「あの、ごめんなさい……」
その謝罪は、大きな声を出してしまったことに対してなのか、それとも敵に回った存在を未だに庇おうとしてしまったことに対してなのか。
ソワレの長衣にすっぽりと包まれていたルゥナは、一瞬迷い、そして弟の腕をそっとどけた。
「ごめんなさい。でも、ピシカは、この世界のことをどうでもいいとは、思っていないと思うの。だって、そうならとっくの昔に邪神を残してどこかに行っちゃってるはずだもの。ピシカだって、きっと助けたいと思ってる――この世界も、邪神も」
「まさか。あんな嫌味たらしいやつがそんなこと考えてるわけがないだろ」
ピシカのことを良く考え過ぎなルゥナを、エディは鼻で嗤う。けれど彼女は、かぶりを振った。
「ううん、絶対、そう。わたしは、そう思うの。だって、ずっと一緒にいたんだもの。確かに言葉ではいじわるな事ばかり言ってたけど……」
「心底から意地が悪いだろ、あいつは」
「いじわる、かもしれないけど、でも、この世界のこと、どうでもいいとは思ってないよ」
言い張るルゥナは、一歩も引きそうにない。
「わたしはピシカを信じてるもの」
そう断言した彼女のいつも物静かな瞳に、今は強いきらめきが宿っている。
エディはそれ以上何も言えなかった。
あの得体の知れない存在をそんなに信じるのは危険だと言ってやりたかったが、言えなかった。
唇を引き結んだエディの肩に、ポンと手が置かれる。
「まあまあ、そんなに熱くならないで。ルゥナがピシカを心の底から信じていることは伝わってきたんだけど、じゃあ、さっきのエディの質問。君はこれから自分がどうするか――どうしたいか、定まった?」
「え……」
「ピシカの言うことを信じて、邪神の入れ物になる? それとも、彼女を退けて、別の方法を探してみる?」
「それ、は」
視線を落としたところを見ると、ルゥナはまだ揺らいでいるらしい。
だが、エディに言わせれば、迷うことなどないのだ。
「ルゥナ」
背後からソワレが彼女の名前を呼ぶ。静かな声音だったけれど、ここでルゥナが前者を採れば、また彼女をどこかへ監禁することも厭わないだろう。そう思わせる熱が、彼のその声には潜んでいた。
ソワレの腕に力がこもったのか、ルゥナが身じろぎをする。
口ごもったルゥナに、トールは続ける。
「最終的には君自身が決断することに僕らがどうこう口出しはできないけど、もしもピシカの方法を取ることにしたなら、君がその答えを選ぶ理由を教えておいて欲しいな」
「理由?」
「そう」
トールが頷き、促すように小首をかしげる。
「それは、だって、世界を――みんなを守る為、だよ」
「皆、ね」
ルゥナのその一言を繰り返したトールの瞳が、焚火の灯りを受けてきらりと光る。
「その皆って、誰のこと?」
「誰って……」
「この世界中の生きとし生ける全てのもの?」
「それもあるけど、わたしは、わたしの好きな人たちに幸せに暮らして欲しいの」
「君の好きな人って、その弟君とか、エディとか、フロアールとか僕とか? 僕たちに、幸せになって欲しいの? だから、邪神に身を捧げる?」
畳みかけるように言うトールに、ルゥナの目の中の戸惑いの色が濃くなっていく。
「そう、だよ」
「つまり、君が大事に想っている僕たちに喜んで欲しいわけだ」
「う、うん」
ためらいがちにルゥナが微笑むと、トールはニッコリと笑顔になった。が、彼と長い付き合いのエディには、その茶色の目は笑いとは程遠い色を浮かべているのが見て取れる。
「残念、多分、君の思うようにはいかないな」
「え?」
「君が『世界の為に』と身体を投げ出しても、それを手放しに喜べるのは君のことを名前すら知らないような赤の他人だけだよ」
朗らかといってもいいかもしれない声でのトールの台詞に、ルゥナは絶句した。目を見開いてトールを見つめている彼女に皆の視線が集まるが、彼女自身はそれに気付いていないようだった。
そんな彼女に、トールは追い打ちをかけるように続ける。
何ヶ月も前、国から追われてこのトルベスタの山中を進んだ頃はまだ夜も苦も無く過ごせたが、今は陽が落ちると随分と冷え込んでくる。
遠巻きにした炎の温もりに小さく息をつきながら、エディは横目でルゥナの様子を窺った。
彼女は、双子の弟から片時も離れようとしない。
いや、逆か。
ソワレの方が、ルゥナを放そうとしないと言った方が正しいのだろう。
今も胡坐をかいた脚の上にルゥナを座らせ、大きな身体で隠すように長衣の中に包み込んでいる。その姿は夜気から彼女を守ろうとしているようにも見えたし、他の者を近付けまいとしているようにも見えた。
ルゥナはルゥナでエディたちといた時よりも明らかに寛いでいて、彼は何となく面白くない。
(彼女が良いならそれでいいじゃないか)
むっつりと自分自身にそう言い聞かせても、やっぱり面白くないものは面白くなかった。
そんなエディの不機嫌さなど気付いた様子もなく――もしかしたら気付いていてほくそえんでいるのかもしれないが、トールが朗らかに声をあげる。
「そう言えば、ルゥナを見つけたのって、この辺りだったっけ?」
「もう少し、北だ」
「あの洞窟からここまででも結構距離あったけど、こんなところ、よく一人でいられたねぇ」
感心したようなトールの台詞に、ルゥナの背後のソワレが身じろぎした。そもそも山奥に彼女を閉じ込めたのは彼なのだから、居心地が悪くて当然だろう。
そんな弟の気持ちが伝わったように、ルゥナが慌てて頭を振る。が、その内容もまた、微妙に場を緊張させるものだった。
「ううん、独りじゃなくて、ピシカが一緒だったから――」
その名を言ってしまってから、ハタと彼女は口をつぐんだ。
「えっと……」
気まずげにうつむいたルゥナに迷いのようなものを感じて、エディはまた苛立ちを覚える。
「ルゥナは、結局どうするつもりなんだ?」
唐突に切り出したエディに、ルゥナが戸惑いの眼差しを向ける。
彼としては、ルゥナが封じられていた洞穴を後にしてからずっと口にしたかった問いだった。しかし、彼女の方は、不意打ちを食らったかのように目を見開いている。
「どうって」
「邪神のこと、アイツの言うことに従ったりはしないんだろ?」
「それは……」
エディには、何故ルゥナがすぐさま彼の言うことに頷かないのか、理解できなかった。
「まだ迷っているのか?」
無言は何よりも雄弁な答えだ。
「ルゥナ?」
強い口調で名前を呼ぶと、ルゥナではなくソワレが反応する。
「声を荒らげるな」
姉を抱え込む彼の腕がより深く回され、白銀の頭以外見えなくなってしまう。無性にその腕の中から彼女を引っ張り出したくなって、エディの腰が浮きかけた。
と、そこに呑気な声が割って入る。
「ちょっと待った、エディ。少し状況を整理しようよ」
立ち上がってルゥナに詰め寄りかけたエディの服の裾を引きながら、トールがにっこりと笑った。そうして、彼の返事を待つことなくルゥナとソワレに目を向ける。
「僕たちの間で言い伝えられてきたのは、昔邪神が現れました、神器と『印』を手にした英雄が現れて邪神を封じ込めました、英雄の子孫はいつか邪神が復活する時に備えて神器と『印』を引き継ぎましょうということになりましたって感じなんだよね。で、律儀にそれを実践してきたわけ」
そう言って、トールの手が横に置かれた聖弓に触れる。視線をそちらに向けてはおらず、多分無意識の所作なのだろう。
エディもトールも、神器と『印』に対しては責任、自負、畏怖――そんなものを抱いてきた。とても重いものでありながら、同時に、彼らの存在意義の一つでもあったのだ。
息継ぎともため息ともつかない小さな吐息を一つこぼして、トールは再び口を開いた。
「でも、実際は、英雄たちは何もできてなかったんだよね。そして、ピシカの言葉によれば、神器にはもう意味はない――『印』も。邪神を封じるには、ルゥナだけがいればいい。君の身体をピシカにはいどうぞと差し出せば、僕らは平穏に暮らしていけるわけだ」
「トール!」
声を荒らげたエディに、トールはチラリと目を寄越すことすらしない。彼の視線は、ルゥナだけに向けられている。そして茶化した口調とは裏腹に、その眼差しはルゥナを貫き通しそうに鋭かった。
エディは思わず小さく息を呑む。
トールがそんな目をすることは、滅多にない。
穏やかな物腰の後ろには、やはり何かがとぐろを巻いているのだ。
「エディ様」
静かな声でスクートに呼びかけられ、エディは浮いた腰を下ろした。トールはエディの方を見てもいなかったが、彼がそうするのを待っていたかのように、続ける。
「さて、じゃあ、これからが本題。邪神は実は違う世界からやってきた存在だった。本来この世界の人間がどうこうする必要はない――つまり、ルゥナが身体を差し出す義務はこれっぽっちも無いわけ。はっきり言って、さっさと元の場所に帰れって感じだよね。来ることができたなら、去って行くこともできるわけだし」
「まあ、それが筋だが、あの化け猫もどきが『はい、わかりました』と言うことを聞くと思うか?」
そう口を挟んできたのは、ヤンだ。
「私はあのピシカとやらのことを良くは知らんが、アレはこの世界などどうでもいいと思っているようにしか見えなかったがな」
「そんなこと!」
肩をすくめたヤンの台詞を半ば遮るように上がった声に、一同の視線が集まった。それを発したルゥナは、皆に見つめられて初めて自分が声を出していたことに気付いたように、口を閉じる。
「あの、ごめんなさい……」
その謝罪は、大きな声を出してしまったことに対してなのか、それとも敵に回った存在を未だに庇おうとしてしまったことに対してなのか。
ソワレの長衣にすっぽりと包まれていたルゥナは、一瞬迷い、そして弟の腕をそっとどけた。
「ごめんなさい。でも、ピシカは、この世界のことをどうでもいいとは、思っていないと思うの。だって、そうならとっくの昔に邪神を残してどこかに行っちゃってるはずだもの。ピシカだって、きっと助けたいと思ってる――この世界も、邪神も」
「まさか。あんな嫌味たらしいやつがそんなこと考えてるわけがないだろ」
ピシカのことを良く考え過ぎなルゥナを、エディは鼻で嗤う。けれど彼女は、かぶりを振った。
「ううん、絶対、そう。わたしは、そう思うの。だって、ずっと一緒にいたんだもの。確かに言葉ではいじわるな事ばかり言ってたけど……」
「心底から意地が悪いだろ、あいつは」
「いじわる、かもしれないけど、でも、この世界のこと、どうでもいいとは思ってないよ」
言い張るルゥナは、一歩も引きそうにない。
「わたしはピシカを信じてるもの」
そう断言した彼女のいつも物静かな瞳に、今は強いきらめきが宿っている。
エディはそれ以上何も言えなかった。
あの得体の知れない存在をそんなに信じるのは危険だと言ってやりたかったが、言えなかった。
唇を引き結んだエディの肩に、ポンと手が置かれる。
「まあまあ、そんなに熱くならないで。ルゥナがピシカを心の底から信じていることは伝わってきたんだけど、じゃあ、さっきのエディの質問。君はこれから自分がどうするか――どうしたいか、定まった?」
「え……」
「ピシカの言うことを信じて、邪神の入れ物になる? それとも、彼女を退けて、別の方法を探してみる?」
「それ、は」
視線を落としたところを見ると、ルゥナはまだ揺らいでいるらしい。
だが、エディに言わせれば、迷うことなどないのだ。
「ルゥナ」
背後からソワレが彼女の名前を呼ぶ。静かな声音だったけれど、ここでルゥナが前者を採れば、また彼女をどこかへ監禁することも厭わないだろう。そう思わせる熱が、彼のその声には潜んでいた。
ソワレの腕に力がこもったのか、ルゥナが身じろぎをする。
口ごもったルゥナに、トールは続ける。
「最終的には君自身が決断することに僕らがどうこう口出しはできないけど、もしもピシカの方法を取ることにしたなら、君がその答えを選ぶ理由を教えておいて欲しいな」
「理由?」
「そう」
トールが頷き、促すように小首をかしげる。
「それは、だって、世界を――みんなを守る為、だよ」
「皆、ね」
ルゥナのその一言を繰り返したトールの瞳が、焚火の灯りを受けてきらりと光る。
「その皆って、誰のこと?」
「誰って……」
「この世界中の生きとし生ける全てのもの?」
「それもあるけど、わたしは、わたしの好きな人たちに幸せに暮らして欲しいの」
「君の好きな人って、その弟君とか、エディとか、フロアールとか僕とか? 僕たちに、幸せになって欲しいの? だから、邪神に身を捧げる?」
畳みかけるように言うトールに、ルゥナの目の中の戸惑いの色が濃くなっていく。
「そう、だよ」
「つまり、君が大事に想っている僕たちに喜んで欲しいわけだ」
「う、うん」
ためらいがちにルゥナが微笑むと、トールはニッコリと笑顔になった。が、彼と長い付き合いのエディには、その茶色の目は笑いとは程遠い色を浮かべているのが見て取れる。
「残念、多分、君の思うようにはいかないな」
「え?」
「君が『世界の為に』と身体を投げ出しても、それを手放しに喜べるのは君のことを名前すら知らないような赤の他人だけだよ」
朗らかといってもいいかもしれない声でのトールの台詞に、ルゥナは絶句した。目を見開いてトールを見つめている彼女に皆の視線が集まるが、彼女自身はそれに気付いていないようだった。
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