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SS:文化祭、再び
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二度目の文化祭のこと
***
「ねえ、先生。今度の土曜日、お時間ありますか?」
診察の為に外したボタンをかけ直しながら、キラは問いかけた。彼女に背を向けて聴診器を耳から外しかけていた清一郎は、その手を止めて振り返る。
「土曜? 七日か?」
「はい」
キラがコクリと頷くと、清一郎はポケットから手帳を取り出して眉間にしわを寄せた。
「……夕方からなら出られそうだな」
「三時くらいから1時間、とか……」
彼は少し眉間にしわを寄せてから、頷いた。
「それなら大丈夫だろう」
彼の答えに、キラはホッと息をつく。
「何があるんだ?」
「あ、と、その……文化祭、です」
「もうそんな時期か? ……あの時は、参ったな」
去年の文化祭を思い出したらしい清一郎の目が、フッとなごむ。
一年前の今頃は、半年先にどうなっているかも判らない状態だった。
それが、こんなふうに清一郎の前に座って、その当時のことを振り返っているなんて。
「月日が経つのって早いですよねぇ」
しみじみとした口調でキラがそう言うと、清一郎は呆れたような眼差しを返してきた。
「そういう台詞は、年寄りが口にするものだ」
「……わたしは、早く年取りたいですよ」
でないと、いつまで経っても清一郎に追い付けない。
ポソリと呟いた声は、どうやら彼には届かなかったようだ。
「何か言ったか?」
「いいえ、なんにも。じゃあ、お待ちしています」
「ああ。……今年は何をやるんだ?」
問われて、キラはニコリと笑って答える。
「劇です。シンデレラ、なんですけど」
「――普通、だな」
その時清一郎の頭の中をよぎったのは、昨年の異様さだろう。真面目一辺倒の彼に、コスプレ喫茶というのは難易度が高かったに違いない。
今年も桃子プロデュースだけれども、今回は「目指せ正統派ラブロマンス」らしい。
「で、君は何をやるんだ?」
「え。えぇっと……その、シンデレラ、です」
清一郎の眉が上がる。
「主役か」
「ええ、まあ……」
ヘラッと笑いながら答えたけれども、選ばれた理由はあまり言いたくない。
それは別に、彼女が絶世の美少女だから、とか、演技が抜群、とかでは、もちろんない。
単に、キラが小さくて軽いからだ。
桃子の拘りで王子はシンデレラをお姫様抱っこして階段を上がる、という場面があって、ほとんどの女子は、そこをクリアできなかったのだ。王子役が楽に運べるほど小さくて軽い――裏を返せば、貧相なお姫様になる、ということで。
「楽しみだ」
清一郎にそう言われても、キラには虚ろな笑いしか返せなかった。
*
桃子の鬼の演技指導に耐え抜いただけあって、劇は大成功だった。
昨年の文化祭と同じく、小道具、大道具、衣装、そして演技。
全てにおいて、監督である桃子は、完璧を求めたのだ。
「いやぁ、頑張ったよね、あたしたち」
舞台から引き上げ教室に戻った桃子は、大きく伸びをしながら自画自賛の声を上げた。そうしてクルリとキラに向き直る。
「あ、ねえ、センセと待ち合わせしてるんでしょ?」
「うん。だから、早くこれ脱がないと」
「え、なんでよ。そのまま行ったらいいじゃない。よく似合ってるよ、そのドレス。センセだって近くで見たいんじゃないの?」
「こんな格好でウロウロするの、恥ずかしいよ」
着ているのは、最後の場面で使った純白のウェディングドレスだ。もちろん桃子が力を込めて縫い上げたもので、素人の手によるものとは思えないほどの完成度だった。
「何言ってんの、文化祭よ文化祭。祭りなんだから、何だってアリなの。去年だってやったでしょ?」
「だってあの時は――」
先生も一緒だったし。
そう言おうとしたキラの口は、桃子に敢え無く塞がれる。
「あたしの力作をそんな簡単に脱がれてたまるもんですか。とにかく、いいから! ちょっとしか会えないって、言ってたじゃない。忙しい人待たせちゃダメでしょ!」
ぐいぐい押されて教室を追い出された。
仕方なく、キラは清一郎と待ち合わせている中庭へと向かう。
キラたちが待ち合わせ場所に選んだということは、他の人も選ぶということだ。当然、中庭には人が溢れかえっていた。
清一郎の前に出る前に、キラは物陰からチョロリと覗いてみる。
(あ、いた)
大柄な清一郎の姿は、どんな人込みでもいつもすぐに見つかった。彼は何かに寄り掛かることなく、ピンと背筋を伸ばして佇んでいる。その雰囲気も他の人とは一線を画しているから、余計に目立つのかもしれない。
(やっぱり、カッコいいなぁ)
大人で、格好良くて――不愛想なのは玉に瑕だけれども、どうして彼がこうやってキラに付き合ってくれるのか、未だに判らない。誘ってみると、スケジュールの調整をしてまで、大体応じてくれるのだ。
思わず見とれていると、不意に、清一郎が首を回した。まるでキラがそこにいることが判っているかのように、彼の視線が真っ直ぐに彼女の方へと向けられる。
「え」
バチンと目が合って、思わず声を漏らしてしまう。と、キラがまごまごしているうちに、大股で清一郎が向かってきた。
彼はキラの前で立ち止まり、しげしげと彼女を見つめている。と思ったら、ぼそりと呟いた。
「やはり、着物よりもドレスだな」
「あの?」
どういう意味かとキラは眉をひそめたけれども、清一郎は彼女の疑問を素通りした。
「ずいぶん、本格的だったな」
唐突に言われて、キラは何のことかと一瞬キョトンとして、すぐに劇のことかと思い至る。
「いつものように、桃子主宰でしたから」
笑いながら答えたキラに、その回答ですぐさま清一郎は納得顔になった。多分、去年のことが頭に思い浮かんだに違いない。
「ああ、あの子か」
「今年もものすごく、力入れてたんですよ。で、どうでした? 楽しんでいただけました?」
ほとんど社交辞令で、キラは彼にそう問いかけた。
面白かったとか何とか、てっきり無難な返事を寄越すかと思っていたけれど、清一郎は宙をにらんで眉間に深い溝を刻んでいる。
「先生?」
そんなに詰まらなかったのだろうかと首をかしげながらキラが呼びかけるよりもほんの少し早く、清一郎の視線が彼女に落ちてきた。そうして、また、じっと見つめる。
「あ、の……?」
謎な彼の態度に、キラは戸惑う。
と、微妙に不機嫌な声で。
「王子役を殴りたくなった」
「何で!?」
つい、頓狂な声を上げてしまった。
それは確かに名俳優、とは言えないのはもちろんだけれども、腹立たしくなるほどの大根でもなかったと思う。
彼はまた束の間考え込み、答えを付け足す。
「君に触れたからじゃないかな」
「……何で?」
今度は、心底からの疑問の声だ。
ものすごくストレートに受け取れば、清一郎がヤキモチを焼いている――となるけれど、キラはすぐさまそんな考えを頭の中から放り出す。
(まさかね、そんなことあるわけないし)
「先生って、たまに変なこと言いますよね」
あははと笑うキラを、清一郎はいつもの無表情で見下ろしている。あまりにジッと見つめてくるから、キラの笑いは尻すぼみに消えていった。
「変なこと、か」
清一郎がつぶやく。そうして、不意に手を上げ、そっとキラの頬に触れた。
「まあ、その方がいい――今は」
彼の指はほんの一瞬かすめただけで、すぐに離れていく。でも、ただそれだけで、その場所はジンジンと疼くようだった。
(不意打ちは困るの、不意打ちは)
そんなふうにしても、清一郎には何も深い意味はないのだと、判っている。判っているけれど、時折やらかしてくれる彼に、キラは平常心を保つのに難儀する。
「あの! わたし、まだ片付けが残ってるんで!」
若干声が裏返ってしまったのは、許して欲しい。
数歩後ずさってキラがさりげなく距離を取ると、清一郎はさっきの仕草などなかったかのように淡々と頷いた。
「ああ、怪我をしないように」
保護者のような、台詞。
その方が彼らしくて、ちょっとホッとした。
「じゃあ、また」
そう残し、キラはドレスの裾をからげて退散する。
途中でチラリと振り返ると、清一郎はまだその場に佇んで、彼女を見送っていた。
***
「ねえ、先生。今度の土曜日、お時間ありますか?」
診察の為に外したボタンをかけ直しながら、キラは問いかけた。彼女に背を向けて聴診器を耳から外しかけていた清一郎は、その手を止めて振り返る。
「土曜? 七日か?」
「はい」
キラがコクリと頷くと、清一郎はポケットから手帳を取り出して眉間にしわを寄せた。
「……夕方からなら出られそうだな」
「三時くらいから1時間、とか……」
彼は少し眉間にしわを寄せてから、頷いた。
「それなら大丈夫だろう」
彼の答えに、キラはホッと息をつく。
「何があるんだ?」
「あ、と、その……文化祭、です」
「もうそんな時期か? ……あの時は、参ったな」
去年の文化祭を思い出したらしい清一郎の目が、フッとなごむ。
一年前の今頃は、半年先にどうなっているかも判らない状態だった。
それが、こんなふうに清一郎の前に座って、その当時のことを振り返っているなんて。
「月日が経つのって早いですよねぇ」
しみじみとした口調でキラがそう言うと、清一郎は呆れたような眼差しを返してきた。
「そういう台詞は、年寄りが口にするものだ」
「……わたしは、早く年取りたいですよ」
でないと、いつまで経っても清一郎に追い付けない。
ポソリと呟いた声は、どうやら彼には届かなかったようだ。
「何か言ったか?」
「いいえ、なんにも。じゃあ、お待ちしています」
「ああ。……今年は何をやるんだ?」
問われて、キラはニコリと笑って答える。
「劇です。シンデレラ、なんですけど」
「――普通、だな」
その時清一郎の頭の中をよぎったのは、昨年の異様さだろう。真面目一辺倒の彼に、コスプレ喫茶というのは難易度が高かったに違いない。
今年も桃子プロデュースだけれども、今回は「目指せ正統派ラブロマンス」らしい。
「で、君は何をやるんだ?」
「え。えぇっと……その、シンデレラ、です」
清一郎の眉が上がる。
「主役か」
「ええ、まあ……」
ヘラッと笑いながら答えたけれども、選ばれた理由はあまり言いたくない。
それは別に、彼女が絶世の美少女だから、とか、演技が抜群、とかでは、もちろんない。
単に、キラが小さくて軽いからだ。
桃子の拘りで王子はシンデレラをお姫様抱っこして階段を上がる、という場面があって、ほとんどの女子は、そこをクリアできなかったのだ。王子役が楽に運べるほど小さくて軽い――裏を返せば、貧相なお姫様になる、ということで。
「楽しみだ」
清一郎にそう言われても、キラには虚ろな笑いしか返せなかった。
*
桃子の鬼の演技指導に耐え抜いただけあって、劇は大成功だった。
昨年の文化祭と同じく、小道具、大道具、衣装、そして演技。
全てにおいて、監督である桃子は、完璧を求めたのだ。
「いやぁ、頑張ったよね、あたしたち」
舞台から引き上げ教室に戻った桃子は、大きく伸びをしながら自画自賛の声を上げた。そうしてクルリとキラに向き直る。
「あ、ねえ、センセと待ち合わせしてるんでしょ?」
「うん。だから、早くこれ脱がないと」
「え、なんでよ。そのまま行ったらいいじゃない。よく似合ってるよ、そのドレス。センセだって近くで見たいんじゃないの?」
「こんな格好でウロウロするの、恥ずかしいよ」
着ているのは、最後の場面で使った純白のウェディングドレスだ。もちろん桃子が力を込めて縫い上げたもので、素人の手によるものとは思えないほどの完成度だった。
「何言ってんの、文化祭よ文化祭。祭りなんだから、何だってアリなの。去年だってやったでしょ?」
「だってあの時は――」
先生も一緒だったし。
そう言おうとしたキラの口は、桃子に敢え無く塞がれる。
「あたしの力作をそんな簡単に脱がれてたまるもんですか。とにかく、いいから! ちょっとしか会えないって、言ってたじゃない。忙しい人待たせちゃダメでしょ!」
ぐいぐい押されて教室を追い出された。
仕方なく、キラは清一郎と待ち合わせている中庭へと向かう。
キラたちが待ち合わせ場所に選んだということは、他の人も選ぶということだ。当然、中庭には人が溢れかえっていた。
清一郎の前に出る前に、キラは物陰からチョロリと覗いてみる。
(あ、いた)
大柄な清一郎の姿は、どんな人込みでもいつもすぐに見つかった。彼は何かに寄り掛かることなく、ピンと背筋を伸ばして佇んでいる。その雰囲気も他の人とは一線を画しているから、余計に目立つのかもしれない。
(やっぱり、カッコいいなぁ)
大人で、格好良くて――不愛想なのは玉に瑕だけれども、どうして彼がこうやってキラに付き合ってくれるのか、未だに判らない。誘ってみると、スケジュールの調整をしてまで、大体応じてくれるのだ。
思わず見とれていると、不意に、清一郎が首を回した。まるでキラがそこにいることが判っているかのように、彼の視線が真っ直ぐに彼女の方へと向けられる。
「え」
バチンと目が合って、思わず声を漏らしてしまう。と、キラがまごまごしているうちに、大股で清一郎が向かってきた。
彼はキラの前で立ち止まり、しげしげと彼女を見つめている。と思ったら、ぼそりと呟いた。
「やはり、着物よりもドレスだな」
「あの?」
どういう意味かとキラは眉をひそめたけれども、清一郎は彼女の疑問を素通りした。
「ずいぶん、本格的だったな」
唐突に言われて、キラは何のことかと一瞬キョトンとして、すぐに劇のことかと思い至る。
「いつものように、桃子主宰でしたから」
笑いながら答えたキラに、その回答ですぐさま清一郎は納得顔になった。多分、去年のことが頭に思い浮かんだに違いない。
「ああ、あの子か」
「今年もものすごく、力入れてたんですよ。で、どうでした? 楽しんでいただけました?」
ほとんど社交辞令で、キラは彼にそう問いかけた。
面白かったとか何とか、てっきり無難な返事を寄越すかと思っていたけれど、清一郎は宙をにらんで眉間に深い溝を刻んでいる。
「先生?」
そんなに詰まらなかったのだろうかと首をかしげながらキラが呼びかけるよりもほんの少し早く、清一郎の視線が彼女に落ちてきた。そうして、また、じっと見つめる。
「あ、の……?」
謎な彼の態度に、キラは戸惑う。
と、微妙に不機嫌な声で。
「王子役を殴りたくなった」
「何で!?」
つい、頓狂な声を上げてしまった。
それは確かに名俳優、とは言えないのはもちろんだけれども、腹立たしくなるほどの大根でもなかったと思う。
彼はまた束の間考え込み、答えを付け足す。
「君に触れたからじゃないかな」
「……何で?」
今度は、心底からの疑問の声だ。
ものすごくストレートに受け取れば、清一郎がヤキモチを焼いている――となるけれど、キラはすぐさまそんな考えを頭の中から放り出す。
(まさかね、そんなことあるわけないし)
「先生って、たまに変なこと言いますよね」
あははと笑うキラを、清一郎はいつもの無表情で見下ろしている。あまりにジッと見つめてくるから、キラの笑いは尻すぼみに消えていった。
「変なこと、か」
清一郎がつぶやく。そうして、不意に手を上げ、そっとキラの頬に触れた。
「まあ、その方がいい――今は」
彼の指はほんの一瞬かすめただけで、すぐに離れていく。でも、ただそれだけで、その場所はジンジンと疼くようだった。
(不意打ちは困るの、不意打ちは)
そんなふうにしても、清一郎には何も深い意味はないのだと、判っている。判っているけれど、時折やらかしてくれる彼に、キラは平常心を保つのに難儀する。
「あの! わたし、まだ片付けが残ってるんで!」
若干声が裏返ってしまったのは、許して欲しい。
数歩後ずさってキラがさりげなく距離を取ると、清一郎はさっきの仕草などなかったかのように淡々と頷いた。
「ああ、怪我をしないように」
保護者のような、台詞。
その方が彼らしくて、ちょっとホッとした。
「じゃあ、また」
そう残し、キラはドレスの裾をからげて退散する。
途中でチラリと振り返ると、清一郎はまだその場に佇んで、彼女を見送っていた。
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