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捨て猫が安らぐ日
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日曜日の昼下がり。
佐々木家には妙な緊張感が漂っていた。
その発信源は、主にキッチンだ。
そこから、ゴトン、という何かが落ちる音に引き続き、「ウワッ」という小さな声。
「コウ……だいじょうぶ?」
さっきから気が気ではなかった真白は、そう問いかけながら座っていたリビングのソファから立ち上がろうとした。けれど、重くなりつつある身体がソファから離れないうちに、キッチンの方から孝一の制止が入る。
「座ってろ。ちょっと包丁を落としただけだ」
「え、怪我は――」
「ない。だから座ってろ」
「でも――」
「座ってろ」
カウンター越しに睨みながらの三度目で、真白はしおしおとソファのクッションに身を沈めた。
その後も、ゴトン、ガタンと何やら賑やかな音が聞こえてくる。
キッチンに孝一。
リビングに真白。
いつもと立つ場所を換えた孝一が何をしているのかと言えば――料理だ。
品目はカレー。
真白が来るまでキッチンが使われたのは湯を沸かすくらい、小学校の時の家庭科の授業を最後に包丁にも鍋にも触ったことがないという孝一の為に彼女が選んだメニューだけれど、作業が始まってから五分で不安になってきた。
「ッと」
また、声が上がる。
その声で、真白の背筋がピッと伸びる。
(うう……落ち着かない)
孝一が包丁で指を切ったらどうしよう、お湯で火傷をしたらどうしよう、と、ちょっとした物音や声が気になってしまう。
(わたしにさせてくれた方が、ずっと落ち着くのに)
ふう、とため息をついて、真白はできるだけリラックスしようとは、した。
した、けれど。
意識して寛ごうとすることに、どれほどのリラックス効果が得られるというのだろう。
――料理をすると言い出したのは、孝一だ。子どもが生まれたらいろいろ忙しくなるだろうから、と。
真白のお腹が大きくなるにつれ、いよいよ家族が増えるという実感が湧いてきたのか、彼はどんどん彼女の役割に手を出すようになってきた。
最初は、掃除。
次は、洗濯。
そして今度は、料理。
料理以外のことは、真白が来る前には孝一自身もやっていたことだから、とても手際が良い。それは真白の手など必要なさそうなほどで――もしかしたら、真白に全てさせていたのは彼女がしたがっていたからなだけではないかとすら思ってしまう。
(基本的に、コウはなんでも自分でできちゃう人なんだよね)
今も、最初はあれほどぎこちなかったのに、ゆっくりではあるものの、いつの間にか多分人参を切っているのだろう音が規則正しく続くようになっている。
料理すら孝一がするようになってしまったら、真白の存在意義はどうなってしまうのだろう。
孝一は何かにつけ、彼女に『傍にいるだけでいい』と言ってくれるけれど、やっぱり彼の役に立ちたいと思ってしまう。
不安、ではないけれど、複雑な気持ちではある。
(わたしにできること、残しておいて欲しいんだけどなぁ……)
そんなふうに胸の中でぼやきながら。
その眠気を誘うリズミカルな音に誘われて、真白はうとうとと微睡の中に引き込まれていった。
*
ぽこん、とお腹に軽い衝撃があって、真白はふと目を覚ました。
(寝ちゃってたんだ)
まだ眠気でぼうっとしている頭で、考える。
もそもそと身体を起こそうとしたら、そっと肩を押さえられた。そうして、こめかみの辺りに柔らかくて温かなものが押し当てられる。
目を上げると、すぐそこに孝一の優しい眼差しがあって。
孝一の腕の中にいるということは真白にとってとても自然なことだったから、「いつの間に?」とか「なんで?」とか、ほんの少しも疑問が浮かぶことはなかった。
ただぼんやりと、何を考えるでもなく彼の胸に頬を摺り寄せただけで。
二、三度瞬きをしているうちに、頭の上から声がかけられる。
「起きたか? そろそろ起こそうとは思ったんだが……そいつが良く動くから、夜、あまり眠れてないんだろう? もう少し寝ていてもいいぞ?」
孝一がそう言った途端、まるで「自分の所為じゃない!」と抗議しているかのように、また中からお腹を蹴られた。
思わずそこに手をやると、その上にもっと大きな手が重ねられる。
「こいつ、やっぱり間違いなく男だよな」
呆れたような声にほんの少しだけ混じる、残念そうな響き。
孝一に似た男の子が欲しい真白と、真白に似た女の子が欲しい孝一だ。
特に孝一の願いは強くて、先日ついに性別が判明した時には、ちょっとショックを受けていた。今でもほんの少し、諦めきれていないらしい。
けれど、真白の手の上から彼女のお腹をさする孝一の手の優しさが、そんな『ちょっとした期待外れ』は本当に些細なことなのだと教えてくれる。
(コウは、心の底からこの子を望んでいてくれる――この子と、この子を宿している、わたしを)
不意に、真白の目の奥が熱くなって、頬をころりと滴が転げ落ちていった。
あ、と思った時にはもう遅くて、涙は次から次へと溢れ出してしまう。
そんなふうに何の前触れもなく泣き出す真白にも孝一はすっかり慣れっこになっていて、そっと親指で頬を拭ってくれる。その涙が止まるまで、胸の中に引き寄せて、ただ黙って抱き締めていてくれる。
――まるで、彼には真白が泣く理由が解かっているかのように。
(ううん。本当に、解かってくれてるんだ、きっと)
真白にも解からない真白のことを孝一は解かっていて、その不可解な何かごと、彼女のことを受け止めてくれるのだ。
それは、真白にとても大きな安らぎを与えてくれる。
安心できて、寛げて、彼女も、何もかもを受け入れられるような心持ちになってくる。
(わたしは、コウの大事な人なんだ)
――その、自信も。
コウが大事に想う人である真白は、真白にとっても大事な人になる。取るに足らない、要らない存在ではなく、この世に必要な、かけがえのない存在なのだ。
何かに駆られてギュウと孝一の大きな胸にしがみつくと、彼も同じように抱き締め返してくれる。すっぽりと、全身で。
こうやって孝一の腕に包まれていると、真白は、自分の中に宿ってくれた命のことが、いっそう愛おしくてたまらなくなる。
「ごめんね、コウ。わたし、ウソついたかも」
「え?」
真白は少し身体を離して孝一を見上げた。
「前に、他の人の分の『好き』っていう気持ちはもうないって、言ったでしょ? コウの分しかないって」
「……ああ」
真白はお腹に置かれた孝一の手にもう一方の手を重ねて、言う。
「わたし、ここにいるこの子のことが、好き。すごく大事なの……コウと、同じくらい」
何故か孝一は、真白の髪を揺らすほどの大きなため息をこぼした。何となく強張っていた彼の身体から力が抜けて、また彼女のことを引き寄せると、ゆっくりと背中を撫で下ろしてくれる。
「悪いが、俺はこいつよりもお前の方を愛しているからな。あんまりこいつにばっかかまけてると妬くぞ」
チュ、と真白のこめかみの辺りにキスを落としてのその台詞に、彼女は笑う。
「そんなことないくせに」
「そう思うか? ……この年にして、俺は初めて自分の嫉妬深さを思い知らされたよ。正直、お前の視界に入るものは、俺以外全て叩き出してやりたくなることがある」
低い声でそう言って、すぐに彼は小さく笑った。
「だから、俺がお前を手放すとか、夢にも思うなよ。お前の居場所はここなんだからな」
その言葉と同じくらいの強さで、孝一の腕が真白をギュッと抱き締める。
少し苦しいな、と思うほどの、力で。
「お前が離れていきたいと思っても、俺はもう放してやれない。お前はもう、俺のものなんだ」
彼のその言葉が、真白の中に染み渡る。
真白は、孝一のもの。
真白の居場所は、孝一の、この腕の中。
それはほんのわずかな揺らぎもなく、彼女を受け止めてくれる場所。
やっと辿り着いた、唯一無二の、真白の居場所。
「……わたしを、放さないで」
真白の囁きに返ってきたのは、とても、とても優しいキスだった。
佐々木家には妙な緊張感が漂っていた。
その発信源は、主にキッチンだ。
そこから、ゴトン、という何かが落ちる音に引き続き、「ウワッ」という小さな声。
「コウ……だいじょうぶ?」
さっきから気が気ではなかった真白は、そう問いかけながら座っていたリビングのソファから立ち上がろうとした。けれど、重くなりつつある身体がソファから離れないうちに、キッチンの方から孝一の制止が入る。
「座ってろ。ちょっと包丁を落としただけだ」
「え、怪我は――」
「ない。だから座ってろ」
「でも――」
「座ってろ」
カウンター越しに睨みながらの三度目で、真白はしおしおとソファのクッションに身を沈めた。
その後も、ゴトン、ガタンと何やら賑やかな音が聞こえてくる。
キッチンに孝一。
リビングに真白。
いつもと立つ場所を換えた孝一が何をしているのかと言えば――料理だ。
品目はカレー。
真白が来るまでキッチンが使われたのは湯を沸かすくらい、小学校の時の家庭科の授業を最後に包丁にも鍋にも触ったことがないという孝一の為に彼女が選んだメニューだけれど、作業が始まってから五分で不安になってきた。
「ッと」
また、声が上がる。
その声で、真白の背筋がピッと伸びる。
(うう……落ち着かない)
孝一が包丁で指を切ったらどうしよう、お湯で火傷をしたらどうしよう、と、ちょっとした物音や声が気になってしまう。
(わたしにさせてくれた方が、ずっと落ち着くのに)
ふう、とため息をついて、真白はできるだけリラックスしようとは、した。
した、けれど。
意識して寛ごうとすることに、どれほどのリラックス効果が得られるというのだろう。
――料理をすると言い出したのは、孝一だ。子どもが生まれたらいろいろ忙しくなるだろうから、と。
真白のお腹が大きくなるにつれ、いよいよ家族が増えるという実感が湧いてきたのか、彼はどんどん彼女の役割に手を出すようになってきた。
最初は、掃除。
次は、洗濯。
そして今度は、料理。
料理以外のことは、真白が来る前には孝一自身もやっていたことだから、とても手際が良い。それは真白の手など必要なさそうなほどで――もしかしたら、真白に全てさせていたのは彼女がしたがっていたからなだけではないかとすら思ってしまう。
(基本的に、コウはなんでも自分でできちゃう人なんだよね)
今も、最初はあれほどぎこちなかったのに、ゆっくりではあるものの、いつの間にか多分人参を切っているのだろう音が規則正しく続くようになっている。
料理すら孝一がするようになってしまったら、真白の存在意義はどうなってしまうのだろう。
孝一は何かにつけ、彼女に『傍にいるだけでいい』と言ってくれるけれど、やっぱり彼の役に立ちたいと思ってしまう。
不安、ではないけれど、複雑な気持ちではある。
(わたしにできること、残しておいて欲しいんだけどなぁ……)
そんなふうに胸の中でぼやきながら。
その眠気を誘うリズミカルな音に誘われて、真白はうとうとと微睡の中に引き込まれていった。
*
ぽこん、とお腹に軽い衝撃があって、真白はふと目を覚ました。
(寝ちゃってたんだ)
まだ眠気でぼうっとしている頭で、考える。
もそもそと身体を起こそうとしたら、そっと肩を押さえられた。そうして、こめかみの辺りに柔らかくて温かなものが押し当てられる。
目を上げると、すぐそこに孝一の優しい眼差しがあって。
孝一の腕の中にいるということは真白にとってとても自然なことだったから、「いつの間に?」とか「なんで?」とか、ほんの少しも疑問が浮かぶことはなかった。
ただぼんやりと、何を考えるでもなく彼の胸に頬を摺り寄せただけで。
二、三度瞬きをしているうちに、頭の上から声がかけられる。
「起きたか? そろそろ起こそうとは思ったんだが……そいつが良く動くから、夜、あまり眠れてないんだろう? もう少し寝ていてもいいぞ?」
孝一がそう言った途端、まるで「自分の所為じゃない!」と抗議しているかのように、また中からお腹を蹴られた。
思わずそこに手をやると、その上にもっと大きな手が重ねられる。
「こいつ、やっぱり間違いなく男だよな」
呆れたような声にほんの少しだけ混じる、残念そうな響き。
孝一に似た男の子が欲しい真白と、真白に似た女の子が欲しい孝一だ。
特に孝一の願いは強くて、先日ついに性別が判明した時には、ちょっとショックを受けていた。今でもほんの少し、諦めきれていないらしい。
けれど、真白の手の上から彼女のお腹をさする孝一の手の優しさが、そんな『ちょっとした期待外れ』は本当に些細なことなのだと教えてくれる。
(コウは、心の底からこの子を望んでいてくれる――この子と、この子を宿している、わたしを)
不意に、真白の目の奥が熱くなって、頬をころりと滴が転げ落ちていった。
あ、と思った時にはもう遅くて、涙は次から次へと溢れ出してしまう。
そんなふうに何の前触れもなく泣き出す真白にも孝一はすっかり慣れっこになっていて、そっと親指で頬を拭ってくれる。その涙が止まるまで、胸の中に引き寄せて、ただ黙って抱き締めていてくれる。
――まるで、彼には真白が泣く理由が解かっているかのように。
(ううん。本当に、解かってくれてるんだ、きっと)
真白にも解からない真白のことを孝一は解かっていて、その不可解な何かごと、彼女のことを受け止めてくれるのだ。
それは、真白にとても大きな安らぎを与えてくれる。
安心できて、寛げて、彼女も、何もかもを受け入れられるような心持ちになってくる。
(わたしは、コウの大事な人なんだ)
――その、自信も。
コウが大事に想う人である真白は、真白にとっても大事な人になる。取るに足らない、要らない存在ではなく、この世に必要な、かけがえのない存在なのだ。
何かに駆られてギュウと孝一の大きな胸にしがみつくと、彼も同じように抱き締め返してくれる。すっぽりと、全身で。
こうやって孝一の腕に包まれていると、真白は、自分の中に宿ってくれた命のことが、いっそう愛おしくてたまらなくなる。
「ごめんね、コウ。わたし、ウソついたかも」
「え?」
真白は少し身体を離して孝一を見上げた。
「前に、他の人の分の『好き』っていう気持ちはもうないって、言ったでしょ? コウの分しかないって」
「……ああ」
真白はお腹に置かれた孝一の手にもう一方の手を重ねて、言う。
「わたし、ここにいるこの子のことが、好き。すごく大事なの……コウと、同じくらい」
何故か孝一は、真白の髪を揺らすほどの大きなため息をこぼした。何となく強張っていた彼の身体から力が抜けて、また彼女のことを引き寄せると、ゆっくりと背中を撫で下ろしてくれる。
「悪いが、俺はこいつよりもお前の方を愛しているからな。あんまりこいつにばっかかまけてると妬くぞ」
チュ、と真白のこめかみの辺りにキスを落としてのその台詞に、彼女は笑う。
「そんなことないくせに」
「そう思うか? ……この年にして、俺は初めて自分の嫉妬深さを思い知らされたよ。正直、お前の視界に入るものは、俺以外全て叩き出してやりたくなることがある」
低い声でそう言って、すぐに彼は小さく笑った。
「だから、俺がお前を手放すとか、夢にも思うなよ。お前の居場所はここなんだからな」
その言葉と同じくらいの強さで、孝一の腕が真白をギュッと抱き締める。
少し苦しいな、と思うほどの、力で。
「お前が離れていきたいと思っても、俺はもう放してやれない。お前はもう、俺のものなんだ」
彼のその言葉が、真白の中に染み渡る。
真白は、孝一のもの。
真白の居場所は、孝一の、この腕の中。
それはほんのわずかな揺らぎもなく、彼女を受け止めてくれる場所。
やっと辿り着いた、唯一無二の、真白の居場所。
「……わたしを、放さないで」
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お読みくださってありがとうございました。
少しでも楽しんでいただけたなら、作者冥利に尽きるというものです。
ご縁がありましたら、また。