ペットフードをただ眺めている男

久手堅悠作

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ペットフードをただ眺めている男

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女「お客様、何かお探しですか?」

男「別に何も探してません。……ってあれ、沙希じゃん。今はスーパーの社員さん?」

女「うん。本当はお姉ちゃんと同じ市役所職員になりたかったんだけどね。……貴史は今何してんの?」

男「スーパーに行って一番楽しいのは、ペットフードを見ることなんだよね」

女「動物飼ってたっけ?」

男「飼ってない。スマホないし、野良猫は見かけないから猫を愛でる機会がペットフードのパッケージしかないんだよ」

女「そうなんだ」

男「使いもしないペットフードなんて買ったら、生活保護課の職員に怒られちゃうよ」

女「あれ? 1週間前には買ってなかった?」

男「……」

女「大丈夫。お姉ちゃんには告げ口しないよ」

男「本当?」

女「あんたが正直に秘密を打ち明ければね」
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