浅はかすぎる動機

久手堅悠作

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浅はかすぎる動機

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公安「実は俺は公安のスパイなんだ。君には俺の協力者になってもらいたい」

女「やった! やっと会えた」

公安「へ?」

女「私、昔ジョーカーゲームというアニメを見て、なんでも出来るかっこいいスパイに憧れてお近づきになりたかったんです。だから公安に入ろうと、公務員試験も受けたのに落ちちゃって、それでスパイは諦めて協力者になろうと思ったんです。10年の潜入期間は長かったけど、今とってもうれしいです」

公安「そんなことのために10年も?」

女「はい。だって、本物のスパイに会えるかもしれないんですよ? やらないわけないじゃないですか?」

公安「そうか」

女「でも一つ後悔していることがあるんです」

公安「やっぱり、10年もこの宗教を信仰したら信者達に愛着が湧いてしまったのか?」

女「いえ、違います。10年いますけど、全然この教えは正しいとも思えないし、信者の人にも愛着湧かないです。ただ、私が変な新興宗教に入ったせいで、親戚が警察官とかになれなくなったら嫌だなってだけの話です」

公安「……それではさっそく、君にやって貰いたいことがあるのだけどいいかな?」

女「私もスパイさんに言わなきゃいけないことがあります」

公安「なんだ?」

女「ここの教団、1週間後に密輸した武器で国会議事堂を占拠する計画を立てています」

公安「1週間後!? どうしてそんなこと大事なことを今まで黙っていた? 俺がお前に接触しなかったらどうするつもりだったんだ!?」

女「言わなかったと思います。だって私、別にスパイになりたいんじゃなくてスパイに会いたかっただけですもん」
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